第40回「実弾は、撃てる時に撃っておく」
2008/11/16

「うふふふ、今日こそ日本の領空をいただくヨ。何度転んでも諦めないのが、ワタシのいい所なのヨ」


「あ〜、やっぱり晴れた空は気持ちがいいな」
「そうだね。太陽の光を受けると、なんだか気持ちがいいよね」
暑いのは嫌だけど、寒いのもちょっと。この時期はまだ昼は寒くないし、太陽の光が一番気持ちいい頃だな」
「暑くても寒くても、変な力で体温調節しちゃうけどね」
「いやいや、自然な状態の心地よさってのがあるから」
「そうだよね」
「二人とも、ちょっといいですか」
「司令殿、何か?」
「レーダーに反応がありました、指定するポイントに向かってください。領空侵犯の可能性があります
「了解です、司令」
「クマか? それとも妹月か?」
「どうやら、妹月さんのようだね。見つけた」
「あらー? もう見つかったヨ。ほんっと空気読まない人たちだネ」
「空気読んでないのは貴様だ。白昼堂々領空侵犯とは、いい度胸をしているじゃないか」
「どうせ手出しできないでしョ、わかってんのヨ」
「それはどうかな……」
「こちらは航空自衛隊。貴機は領空を侵そうとしている。この先は日本の領空である、速やかに退去せよ。日本の領空である、速やかに退去せよ。
  
「イヤだヨ」
「おっと、警告を無視して進む気だな?」
「警告射撃、開始します(ブゥゥゥゥゥゥム!」
「撃った!? 撃ったヨ! 交戦許可が出たの!? まずいヨ、いつから日本は、領空侵犯機を撃ち落せるようになったのヨ
「(だから警告射撃だって。撃たれてもいないのに、交戦許可なんか出る訳ないだろ。そもそも、わざわざ前に出て撃ってるのに)」
「退去を確認できず、再度警告射撃(ブゥゥゥゥゥゥム!」
「分かった、分かったヨ! 退去、退去するヨ!」
「退去が遅い、再度警告射撃……(ブゥゥゥゥゥゥム!」
「って、おーい、伊理奈?」
「もう一回だけ、警告射撃」
「伊理奈、もう警告射撃の必要はありません。目標が完全退去するまで、ついていくだけで良いです」
「もう一回」
「駄目です」

妹月(殲撃10型)
いつも自衛隊機のテリトリーに遊びに行くが、すぐさま追い返される。
志乃(F-1)
アカが大嫌いな、チビで生意気な女の子。
伊理奈(F-2A)
冷静な性格で、志乃と大の仲良し。アカは別にどうでもいいらしい。
粉雪(E-767)
いつもほんわかしてるが、メガネをかけるとシャキッとする。





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