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「まったく、外の世界じゃクリスマス・クリスマスと軟弱な! こういう綺麗な月夜は、一人で酒でも飲むのがよかろう!」 |
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「まぁまぁ、経済効果覿面とだけ考えればいいだろう」 |
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「あっちを見ればイチャイチャ、こっちを見ればイチャイチャ……軟弱極まりない!」 |
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「なんだ結局それか。寂しいのか?」 |
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「馬鹿を言うな、我がいつそんな事を──ん、何かいるぞ」 |
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「粉雪殿からの警告もないし、レーダーには映っていないようだが」 |
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「我の勘だ」 |
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「ふむ……もしかしたら、サンタクロースかもしれないな。なにやら、米軍機が追跡しているらしいじゃないか、サンタの奴を」 |
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「あの領空侵犯爺か。しかし……子供に夢を与える前に、未来を与えてやったらどうなんだ、ああ?」 |
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「私に言われてもな、困る。もし本当に存在するならば、存在しない存在として、迷い込んだのかも。何せクリスマス・イヴだからな、今日は」 |
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「ふんっ、くだらない……だが、そ、そうだな、行ってみるか(ソワソワ」 |
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「何をソワソワしているんだ、衛子」 |
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「気のせいだ」 |
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「さて、そろそろかな」 |
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「そろそろだ、近いぞ。人影が見える」 |
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「あれか──」 |
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「…………何か?」 |
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「なんだ、サンタじゃなくてサタンじゃないか」 |
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「…………」 |
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「どうした?」 |
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「なんでもないっ」 |
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