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「……ゼロ・アリス」 |
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《何、アリス》 |
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「……ゼロ・アリスは痛みを感じるの?」 |
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《被弾した時とか?》 |
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「……うん」 |
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《感じないわ、だって機械だもの》 |
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「……でも、私は感じるよ。……同化してる時」 |
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《当然よ、それが精神生命体だもの。機体と一体となる、生命体。実体も持っているのよ? 若干の痛覚は残るわ。私はあくまでゼロ・アリスという機械であって、アリスという生命じゃないの》 |
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「……どっちが本物?」 |
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《どっちも本物だよ、アリス。ゼロ・アリスという戦闘機として見れば、私が本体、アリスという生命で見れば貴女が本体。だから一つであるべきだった。でも貴女は機械じゃない、人としてマスターに触れられる存在》 |
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「…………」 |
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《私は、私が模造か貴女が模造かなんて、考えない。私はただただゼロ・アリスであるだけ、私を生み出したのは貴女の疑心。私は使われるモノで、貴女の身体》 |
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「…………(だからこそ不安なの、ゼロ・アリス」 |
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《いつか一つになろう、その必要だってある筈だよ》 |
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「……うん」 |
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《それじゃあ電源を落とすね。お休みアリス、私の心》 |
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「……お休み、ゼロ・アリス」 |
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「…………やっぱり不安。……私はMLSにより生み出された生命体、MLSを内包するのはゼロ・アリス。……心だけが、本体を離れているだけなのかも……本体は、ゼロ・アリス? ……解らない」 |
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「なーに独りごと言ってんの、ア・リ・ス」 |
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「……ううん、なんでもない」 |
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「ふーん、それならいいんだけどサ」 |
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「…………(一つになれたとして、残るのはどっちなんだろう」 |
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