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「粉雪さん、粉雪さん」 |
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「はい、なんでしょう」 |
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「わたくしAEWですけども、管制機としての機能も優れていますの。自分で言うのもなんですけど。ですが、わたくし自身生まれたてで未熟……そこで、AWACSの粉雪さんに、ちょっとお話をと」 |
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「構いませんよ。お役に立てるかどうか分かりませんが」 |
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「では訊きたいのですが、ちょっと抑制が効かないお方の扱い方ですわ」 |
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「ああ、そういうのは得意ですよ。やんわりと諭すのも良いのですが、あまりにも過ぎる場合は、しっかりと躾けてあげなければなりません。例えば衛子さんなんて、まるっきり言う事聞いてくれませんからね」 |
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「身体で解らせると?」 |
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「いえいえ、体罰ではありません。私はあくまでAWACSです、格闘なんか出来ません。ので、精神的に解らせる事が必要です」 |
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「精神的に、ですか」 |
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「そうです。まずは軽く3時間ほど無休憩でお説教、その後2時間正座させ、もう一度3時間お説教です」 |
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「あらあら。でも、相手が暴力に訴えてきた場合は?」 |
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「施設を使って、ECMでもかけてあげれば良いです。特に嫌な周波数で。私達のテリトリーのECM施設は、私の管理下にありますし。航空ガールにとって妨害電波は、不快なものですからね。では具体例を、ちょっと前の記憶から」 |
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「何度言えば解るのですか? 私は何度も何度も口を酸っぱくして言ってます。何故勝手な行動をとるのですか。貴女だけで動いているわけじゃないんですよ、我々は。解ってますか? 解っていませんよね、解ってないから何度も何度も同じ事を言わせるのですよね。私が上に文句を言われるのは構いませんが、貴女のせいで、私の管理下に居る人々が迷惑を被るのですよ。解りますか? 一人の勝手が全体として見られてしまうんですよ。貴女はいいですね、勝手気ままに動くだけですから。でもそれが原因で大事になったら、一体どう責任を執るのですか。と言うより、貴女が責任を執ってどうこうなる問題ではなくなるのですよ。もうちょっと自覚して欲しいですね、子供ですか貴女は。いい加減、何度も何度も言うのも疲れました。でも、言わせて貰いますからね。いつまで経っても治らない、こまったちゃんの貴女ですから、何度言っても解って頂けないかも知れませんが、私はね、解っていただけるまで何度も何度も言いますからね。聞いていますか? 怒りますよ、本当に。そうやって貴女は適当に聞き流していればいいやなどど思っているのでしょうけど、許されませんからね。貴女が適当な態度で聞き流すのであれば、私はお説教をやめませんから。そもそも貴女は──」 |
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「解った、解ったから!」 |
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「話はまだ終わってません! 自分がやった事すら理解していないのに、話が終わる筈ないでしょう。理解してる? してないから毎度同じ事をして、毎度同じ事を言われているのでしょう。あまり問題ばかり起こされると、真面目にやっている方々の迷惑です。貴女は空自のファントムUの代表としてここに居るのをお忘れですか。その辺りの自覚が──くどくど……」 |
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「あくまで一例ですが」 |
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「なるほど……リエナには効きそうですわね。でも、レオナはすぐに泣いちゃいそうですわ」 |
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「うふふ、大変ですね。でもムチばかりでは駄目ですよ、ちゃんとその後のフォローもしなきゃ、ね」 |
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「例えば?」 |
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「衛子さんって、説教のあとはいつもヘコんじゃうんです。だから、そっと頭を撫でてあげて、『頑張ってくださいね』って言ってあげると、子供みたいな笑顔で返事するんですよ。返事はいつも『うむっ』ですけど」 |
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「ふぅん……もしかして粉雪さん、結構楽しんでいます?」 |
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「さぁ、それはどうでしょう(にこにこ」 |
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