第101回「Rゼロのお肌DE☆ステルス」
2009/01/16

「うわっ、何このタイトル
「いやぁだってそうだろ?
「まぁ否定はしないけどネ。形状ではなく材料でステルス性を得る、つまりRAM(電波吸収材料)を多用したステルス性だから。コストも比較的抑えられてるよ。勿論普通の材料よりは高いけど、修繕は至って簡単だから、前線でバンバン使っても、その場で修理できるところが楽だよ」
「50年も先だから、当然、技術的には枯れているレベルまで行っているんだろうね」
「まぁネ。アンチステルス技術も進歩して、微弱な反応をソフトウェアで見分けられるようになったし、多数の地上や海上、空中のレーダー装置がリンクして、あらぬ方向に反射されたレーダー波をキャッチしたり、システム的な対策も成熟してるから、今度は電波自体を吸収してしまおうというステルススキンが台頭してきたって訳。イタチゴッコだネ」
「ステルスの肝は、いかに目標に返してしまう電波を少なくするか。微弱すぎてソフトウェアが弾いてしまうし、かと言ってそれだけを数あるノイズの中から見分けるのは困難だから、現代のステルス機は『殆ど見えない』航空機。見えているけど見えていないとも言えるかもね。勿論接近すればする程反応は強くなるから、数十キロで補足は可能だよ。でも、その距離だと、既に撃たれているって訳だね。AWACSなどのサポートあってこそだけど。
確かに、それを見分けられれば、遠距離からの攻撃も可能となるけど、相当な処理能力を要求されるだろうね」
「うん、F-22FGとか小さい目標だと、あたし達の時代で30キロ程度カナ。これはゼロのMAFAL7レーダーの場合で、尚且つデータリンクなし・レーダー感度100%の話だけどサ。B-2みたいにでかい奴だと、もっと遠くで補足出来るよ。これ、RAMが発達していなかったら、もっともっと遠距離で補足出来たんだけどネ、F-22FGで対策されちゃってるから駄目なのよ。
だから、AEWやAWACSが超高性能になって、戦闘機をサポートする訳。JE-1なんて、機体価格の殆どが、レーダーや管制システムなどの価格だからネ」
「ステルス機はイニシャルコストもランニングコストも相当掛かるから、そこが問題だね。戦争はまず資金ありきだろう、技術進歩も装備調達も、資金がなければ出来ない。技術を育てるのは人間だけど、人間が技術を育てるには設備投資が必要だ。国や企業がどれだけ人材を重視し、そこに資金をかけるかだね」
「要は状況に見合った効果的な作戦と、それに見合った機材でしょ。特殊な機体を効果的に投入するって点では、例えば偵察なんて、ステルスありきだと思うよ。数が必要なのは殴り合いな訳で、それを揃えるのに必要な資金などとの相談だよネ。相手がたいした事ない軍隊なら、ステルス機をある程度投入して一方的にボッコボコって感じでOKじゃないの。被害もほぼゼロ、配備数もそんなに必要ないってトコで、この辺が特殊な感じカナ」
「今(2009年)の経済ではそれも辛いかな。戦線を絞って戦力を集中するツモリのようだけど、最新兵器群に対し議会は色よい返事をしてくれない。それはそうだ、攻め込まれている訳じゃないからね。遠くで起きている戦争よりはまず、ガタガタになりつつある自国の経済って訳だ。そこも資金ありきだね、価格も性能のうちさ。で、Rゼロは具体的にどんなステルス?」
「まずどんな機体の外板でも、あたし達の時代では大抵RAM使ってるね。機体によってはHi-ジュラルミンだったり、軽チタンだったりする部分もあるし、RAM自体大なり小なり性能差はあるけど、Rゼロのは配合が違うから能力は高いよ。Rゼロの何がステルスに貢献してるかって、機体を構成するRAMの比率でもある訳。電波を弱い熱に変換しちゃうのよ。特に言えば今(2009)だと物凄い電波吸収塗料なんてのはないみたいだけど、ほら、50年後だから察してネ
で、通常外版やRAM外板の上に幾層もの異なるステルス塗料を重ねて、Rゼロの塗料ステルス、ステルススキンは完成する訳よ。だから、同じ層を重ねたRF-4EJF リサーチ・ファントム(Rファントム)とRゼロじゃ、勿論形状的なものもあるけど、同等のステルス性ではないのよネ。だってRファントムはRAM外板殆ど使ってないもん」
「そのRAM外板、ゼロやイーグル25にも使われているんだろう?」
「使われているよ。性能的にはコスト重視で、あくまでRCS低減が目的だけど。MAFAL7なら、イーグル25を230キロ程度で補足出来るネ。これは微弱な反射電波から特徴を解析し、それがイーグル25であると判別できるって事。RCS低減しても230キロだからネ、この時代のレーダーのハードとソフト自体が、今(2009)とは一線を画している訳。まぁ、生産時期でRAM外板の性能も変わるから、全部が全部同じとは言えないけど。例えば、ゼロのフェイズ1とフェイズ4じゃ、形は同じでもRCSは違うんだよ。
あとネ、キャノピーの対電波コーティングは勿論、エアインテイク内の形状変更と、レーダーブロッカーの標準装備とかカナ。エンジンってRCSでかいからネ。勿論、Rゼロのレーダーブロッカーは、ゼロの物より数段上だよ」
「ふぅむ。そう言えば、そっちにはF-15JFっていうのがあるけど、確か元々はF-15J及びF-15FJだったね?」
「うん。F-15Jは言わずもがなだけど、F-15FJは所謂E型フレームの機体ネ。FJには、古いものだけどRAMが使われているよ。JはFJより使用率低いけど。だからF-15JFの場合、Jからの改造機かFJからの改造機かで、RCSが結構違ったりするのよこれが」
「FJのRAMは、F-2で得られた技術かい?」
「まーネ、使わない手はないでしょ。因みにこっちの世界では、F-2はC/Dと来てM/MTに発展してるよ」
「そう言えば2003年までの史実を使用、だったね」
「うん。だってサ……」
「近未来物って、史実にあと出しジャンケンされるジャン。いちいち歴史と違うーとか面倒だからネ、外機が始まった2003年までを史実と同一にしてるって事だよ」
「成る程……フィクションって言うのは作者の都合のいい世界だから、その為の基盤は必要だからね」
「そーそー、だって作り話だもん」
「何処かで現実と切り離す必要があるよね、そうでないモノはノンフィクションだから」

リエナ(Su-37jkR)
元気でお調子者。偵察が大好き。
プリシラ(F-15C)
全身兵器。ジェラを色々な意味で狙っている。





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