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「勿体無いんだけどな」 |
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「……結構、多いですね」 |
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「夏場はもっとすごいぞ。腐りやすいからな」 |
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「なんの話かしら?」 |
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「……あ、マリエルさん。……いえ、マスターのお仕事は青果なのですが、その青果では、かなりの量の痛んだ野菜・果物が破棄されているという話です。多い時では、90リットルサイズのゴミ袋が10近く、ひどい時はそれ以上」 |
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「あら、勿体無い。……ちょっと善人ぶってみましょうか。それだけの食物があれば、一体、何人の人々が救われることか」 |
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「腐ったイチゴでか?」 |
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「…………」 |
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「世の中そんなもんだ」 |
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「そうね、やめた( ´ー`)つ ポイッ【善意?】」 |
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「今はまだマシだ。夏場はほんとすごいぞ。キャベツだ、キャベツ。酷い時は1パレット(8個入り×約40〜50ケース)のうち、半分くらいしか出せない時もあった。腐ったキャベツは見切り(傷とか萎れとか程度の低い痛みの場合、値段を安くして売る)にも出来ないからな。勿体無いが破棄だ。量が多いと、返品になるが……市場で破棄されているだろうな」 |
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「……天候不順でも腐りますね」 |
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「大雨が続いた時なんか、葉物が腐りまくってたな。特定の産地で。因みにキャベツが腐ると、不快なカッパえびせんの臭いがするぞ。ジャガイモはすっぱいドブの臭い。たまねぎは、たまねぎ過ぎる臭いだ」 |
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「よく分からないたとえね」 |
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「いやほんと、そうとしか言い様がないんだ。あと、すごかったのはスイカな、スイカ。それも終わりのほうの。中身が完全に溶けて、皮だけになってんだぜ。汁は全部箱から漏れて、めっちゃ臭い」 |
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「また……冗談を」 |
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「冗談じゃないぞ。中身NEEEEEEEEEEEEEEE!!!と爆笑した程だ」 |
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「……スイカは音で品定めすると聞きましたが」 |
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「あー、あれな。難しいんだぞ。なんていうか、反響がない音は駄目だ。具体的に言うと、ペチペチ言うのな。外皮を叩く音しか聞こえないようなの。そういうのは大体痛んでる。音が軽すぎるのもあまり良くない、重いのと軽いのの中間がいい」 |
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「なんとなく的ね」 |
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「だから難しいんだ」 |
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「品定めはできるのよね? じゃあその感覚で、針路も見極められなかったのかしら」 |
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「黙れ小娘! 黙れ、黙れよ、畜生…………_| ̄|○ 」 |
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「哀れね」 |
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