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「海袮ー! 私のお菓子食べたなー!!」 |
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「食べてない食べてない食べてない食べてない」 |
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「駄犬ですか? 駄犬なんですか? この駄犬!」 |
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「食べてない食べてない食べてない食べてない」 |
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「あらあらー、駄目な子ねー」 |
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「食べてない!」 |
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「じゃあ誰が食べたんだよ、誰の仕業だよ」 |
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「よ、よ、よ──」 |
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「よ?」 |
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「妖怪だよ!!!!!」 |
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「はぁ!?」 |
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「妖怪の仕業だよ!!!!!」 |
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「はぁ、なんの妖怪ですか?」 |
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「そうだ、なんの妖怪だ? 一応聞いてやるぞ」 |
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「妖怪・土踏まず」
発音:ぃよぉ↑かい↓・つちぃ↓ふまず |
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「………………」 |
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「………………」 |
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「………………」 |
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「え?」 |
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「はぁ!?」 |
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「何よそれー」 |
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「妖怪・土踏まずとは、土踏まずの妖怪である。歩く時など、足の裏の中でも地面につかない部分、それが土踏まずである。妖怪・土踏まずは、『みんなが苦労してる時に自分だけ楽しているヤツ』と蔑まれた土踏まずが、その怨念のあまりに妖怪化したもの。普段は山奥でひっそりと暮らしているが、時折人里に下りてきてはお菓子を盗むという小さな悪戯をして、山へ帰ってゆく。悪戯の程度は軽い為、基本的に無害だが、妖怪・土踏まずに危害を加えると、危害を加えた人間の土踏まずが怒って説教を始めるので注意すべし」 |
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「長いしワケがわからん」 |
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「つまり、妖怪・土踏まずは海袮さんの土踏まずなんですね?」 |
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「え?」 |
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「なるほどー、つまり海袮がやったのねー」 |
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「え? え?」 |
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「やはり貴様か海袮ぇ……」 |
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「え? え? え?」 |
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「覚悟はいいなぁ!?」 |
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「私じゃないし! 山から下りてきた妖怪・土踏まずの仕業だし!!」 |
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「ですから、その妖怪・土踏まずは、海袮さんのですよね?」 |
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「ちがうもんね! えー、えーっとそうだ! そう! クリスのだもんね!!」 |
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「人のせいに……するなぁ!」 |
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「ひぃ助けて妖怪・土踏まずー!」 |
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「やれやれ……」 |
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