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「大丈夫ってさぁ」 |
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「うん」 |
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「大きな丈夫って書くじゃん」 |
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「うん」 |
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「小丈夫ってあるの?」 |
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「は?」 |
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「だからさぁー、大丈夫があるなら小丈夫もあるよね!」 |
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「ねぇよ!」 |
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「ありますけど」 |
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「うそぉ!?」 |
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「マジで?」 |
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「ただ、クリスさんが考えているような意味ではありませんし、発音がちょっとだけ違いますが」 |
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「どんな意味?」 |
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「国語辞典によりますと、
1: 小柄な男。
2: 器量の狭い人物。小人物。
ですね。読みは『しょうじょうふ』」 |
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「大丈夫と全然関係ないじゃん!」 |
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「ところがそうでもありません」 |
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「ほう?」 |
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「国語辞典によりますと、大丈夫には、
1: あぶなげがなく安心できるさま。強くてしっかりしているさま。
2: まちがいがなくて確かなさま。
という意味がありますが、同じ漢字表記の大丈夫で、
立派な男子。ますらお。偉丈夫。
という意味のものがあるそうです。但し『立派な男子。ますらお。偉丈夫。』の意味のほうは、『だいじょうぶ』とも読みますが、読みは『だいじょうふ』です。1と2の意味が転じて、立派な男子を大丈夫(だいじょうふ)と呼ぶのでしょう。丈夫(じょうふ)にも『立派な男子。ますらお』の意味がありますので、その丈夫の中でも特に凄いとか、そういう意味でしょうか。それで、大丈夫の対義語として、小丈夫が存在する訳ですね。小丈夫には蔑称的な意味合いも感じられますが。
尚、近年では、大丈夫(だいじょうぶ)を『必要・不要』『可・不可』『諾・否』の意として、問いかけ・返答に用いる用法が定着していますね」 |
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「そんな装備で大丈夫か?」 |
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「大丈夫だ、問題ない」 |
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「それは近年の用法というより、従来どおりの用法では?」 |
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「そんな装備で安心できるのか?」 |
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「強くてしっかりしてるから問題ないよ」 |
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「そういうことです」 |
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「じゃああれだろ、中丈夫もあるんだろぉー?」 |
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「ありません」 |
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「なんで!? 二元論は避けるべきだろ!」 |
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「ないものはないんです」 |
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「じゃあ超丈夫は?」 |
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「それは単に、並とはかけ離れたという意味の『超』を、『丈夫』にくっつけただけです」 |
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「じゃあ中丈夫もそれでいいじゃん」 |
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「ああ、中くらいの丈夫さだ」 |
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「それなら単に、丈夫でいいじゃないですか」 |
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「じゃあじゃあ、中くらいの丈夫(じょうふ)だ!」 |
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「小丈夫と大丈夫の中間なら、単に丈夫でいいじゃないですか」 |
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「ばっか! 丈夫の中でも中くらいなんだよ!!」 |
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「つまり標準的な丈夫ですよね? じゃあ丈夫で良いのでは?」 |
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「だって小丈夫は丈夫じゃないじゃん」 |
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「うーん、丈夫(じょうふ。じょうぶ、とも読む)は……
『中国の周の制度で1丈(約2メートル)を男子の身長としたところから』→りっぱな男。ますらお。
ですね」 |
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「ほら、小丈夫は当てはまらないじゃん」 |
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「てことは、やっぱ蔑称なんだな」 |
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「まぁそうでしょうね」 |
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