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「プリンに醤油かけるとウニの味になるって言うだろ?」 |
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「らしいネ」 |
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「なんだか胡散臭いであります」 |
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「ん〜、やった事ないしなぁ。やってみようとも思わなかったし」 |
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「だよな」 |
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「中尉殿はやってみたのでありますか?」 |
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「いや俺ウニ嫌いだし」 |
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「え、アッキーってウニ嫌いだったの?」 |
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「うん、一度食べて以来嫌いになった。高校生の時だったか? いや、もうちょっと後か……とにかく、それまで見た目が嫌で食べた事がなかったんだが、物は試しと食べてみたんだ」 |
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「ふむふむ」 |
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「それで?」 |
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「もう二度と食わないと思った」 |
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「鮮度が命でピンキリだって言うけど」 |
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「いくら良い物でも俺には無理だ」 |
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「あ、これは重症ですね」 |
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「味はどうだったのよ、美味いとか不味いとか甘いとか苦いとか」 |
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「んー、美味いとか不味いとか以前に食感が嫌いだからなぁ、とれたての本当に美味いウニでも無理だと思うぜ。というかミソ系・モツ系が駄目なんだよ、かにミソも駄目。ぶっちゃけ結局は好みだし、どんなに最高に美味いウニを食わせて貰っても、それは治らんだろ」 |
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「そりゃそうだ」 |
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「好みを矯正しようとしてどんどん投入すると、トラウマになって更に嫌いになる……ワカメだ! そう! ワカメだよ!! 例えば俺のワカメ嫌いは、美味いワカメがとれるこの三浦半島ですら治らん。あとレバーも嫌いだな、味とか以前に食感が嫌だからな」 |
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「三浦とか三崎とか有名だよネ。て言うかあんた魚介類好きじゃないよネ」 |
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「違うな、好き嫌いがあるだけだ。鮭(生)とかアサリとかは好きだぞ」 |
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「へぇ」 |
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「とりあえず、すげぇ甘い感じがしたのは覚えてる、濃厚と言うのかな……なんだろう、とりあえず食感がまず駄目で俺は嫌いだ」 |
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「まぁー好みは人それぞれ、食べ物じゃなくたってみんな同じ事だよネ。みんなそれぞれでしょ。十人十色と言うよ」 |
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「思考・好み・性格・思想などなどが、人によって様々に異なる。当然でありますね、人間は総体ではありませんから」 |
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「因みにワカメは別に食えない訳じゃない、だが嫌いだ! 喉に張り付くから!!」 |
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「だからあんたのその表現が理解不能なんだってば」 |
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「味云々以前に食感が嫌いなんだから、よく言う本当に美味いのを食えばと言われてもどうしようもない。味以前の問題だもん」 |
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「因みに、本当に美味いのを食えば理論に当てはまった例はある? アッキー自身でサ」 |
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「あるよ。俺はネギもタマネギも嫌いだったんだ。なんだこの苦いの妙に辛いのってな。だけど軟白ネギと新タマネギを食べたらこれが美味くてな。気付いたら、普通のネギも貯蔵物のタマネギも、問題なく食えるようになってた。だから味に関して嫌いならば、美味いの食えば治る場合もあるんじゃないの? もちろん、それでも治らない場合だってあるだろう、個人の好みの問題だからな」 |
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「結局最後は、好みの問題ですからね」 |
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「見た目が駄目・食感が嫌いってのはどうにもならんだろうな。あと匂いか。ウニは新鮮なのは臭くないそうだが。だから俺の場合、まずは食感の改善を要求する!」 |
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「んな無茶な」 |
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「それなら加工すれば良いのでは? 保存の為に施す加工ではなく、調理であります」 |
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「ウニパスタとか?」 |
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「ん〜、それならいけるかも? 原形留めてなきゃいけるってのは割と多いぞ、実は。 あ、俺ね、昆布はでかいまんまは駄目(おでんとか)だけど、おにぎりに入ってるような細いのとか小さい四角とかの昆布は大丈夫」 |
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「それって何が違うのよ」 |
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「形だろ」 |
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「ワカメと昆布と何が違うのよ」 |
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「厚さ」 |
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「…………」 |
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「…………」 |
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「なんだその目は! 暑さが生み出す食感の違いは重要だぞ! 昆布は張り付かないし、おにぎりに入ってるのは細切りなんだぞ! あ、でもおでんの昆布を細切りにしてもなんか積極的には食べたくないなぁ、味染みてんのになんでだ?」 |
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「好みってメンドイネ〜」 |
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「そうでありますね」 |
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「アッキーが変なだけかもしれないけどネ」 |
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「おいコラそれはどういう意味だ?」 |
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「そういう意味でーっす♪」 |
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