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「ねぇねぇ、なんで『こくしょくかやく』ってくろいの?」 |
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「それはね、イカ墨が入っているからだよ」 |
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「そうなんだー」 |
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「おいコラ嘘教えんな」 |
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「ウソなの? じゃあほんとうはなぁに?」 |
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「それはね、タコ墨が入っているからだよ」 |
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「そうなんだー」 |
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「おいコラ嘘教えんな」 |
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「えー」 |
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「この二人の話は無視していいですからね」 |
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「ひでぇ」 |
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「悪魔!」 |
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「無視)黒色火薬が黒いのは、木炭の色によるものです」 |
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「もくたん?」 |
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「硝石を70%程度、硫黄を15%程度、木炭を15%程度、これが黒色火薬の成分です。比率は品種によって変わります。硝石と硫黄の色に対して、木炭の黒色が凄く強い、と言ったところですね」 |
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「そうなんだ!」 |
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「で、イカ墨とタコ墨の話だけどさー」 |
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「うん」 |
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「イカ墨は吐き出された後、一旦は紡錘形にまとまって、それから広がるんだぜ。自分の姿に似せているんだそうだ、アミノ酸が多くて味もあるんだよ。対してタコ墨は粘度が低くて一気に広がる、味もない、タコ墨は完璧に煙幕仕様だ」 |
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「ちがうんだ」 |
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「じゃあイカのはデコイだね」 |
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「おうよ」 |
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「珍しくマトモな事を言いましたね」 |
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「ふっふっふっ……私だってたまにはマトモなのだぁー」 |
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「自分で言ってしまいますか」 |
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「ていうかさ、最初にイカ墨食べてみようって思った人って、何考えてたんだろうね?」 |
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「ああ、見た目はただの黒い液体だからな」 |
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「今では食品として認識されていますけど、誰かが食べるまでは謎の黒い液体ですからね」 |
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「泳いでたらたまたまイカが居て、たまたま墨吐かれて、たまたま口に入ったら美味しかった! ってんじゃねーの?」 |
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「うわ、ありそう」 |
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