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「ない! ない! なーーーーい!!」 |
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「海袮ー! さっきからうるさいぞ!(ガチャ!」 ←ドアを勢いよく開けた |
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「ないんだよ!?」 |
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「何が?」 |
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「ないんだよ!?」 |
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「だから何が?」 |
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「ないんだよぅ」 |
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「だから! 何が!?」 |
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「SDカード」 |
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「なんの?」 |
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「デジカメの……」 |
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「なんだ、それならリエナに貸してもらえばいいじゃないか。いくらでも持ってそうだぞアイツ。って、2053年の規格だから駄目か。私はデジカメ持ってないしなぁ」 |
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「違うの、あれじゃないと駄目なの」 |
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「なんで?」 |
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「粉雪と遠足行った時の写真なの」 |
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「おいおい……そんな大事なもの失くすなよ、データはパソコンに保存してあるのか?」 |
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「してない」 |
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「そういうのはな、家に帰ったらすぐにバックアップしないと! まったく海袮は──」 |
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しゅん…… |
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(う……珍しく本当に落ち込んでる) |
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「………………粉雪、残念がるかなぁ……残念そうな顔が浮かぶよ……」 |
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「ほ、ほら、私も手伝って──」 |
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「粉雪の残念そうな顔が浮かぶよー! きゃうんきゃうんきゃうん!」 |
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「落ち着け犬化してるぞ。私も手伝ってやるから落ち着け」 |
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「……うん」 |
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「で、最後に何処置いたか覚えてるか?」 |
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「えーと………………確か、パソコンデスクに置いた筈なんだよ、でも無いの。デジカメからカード抜いて、リーダーに挿したんだけど、パソコンの起動はしなかったよ。そのあとお風呂入って、すぐに寝て……えーと……そうだ! 次の日に、ほかのSDカードと差し替えたんだ!」 |
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「なんで?」 |
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「携帯のmicroSDがね、満タンだったから、アダプター使ってリーダーに挿して、パソコンに移したんだよ。すぐに出かける用事があったから、すぐに必要で……そうだ! その時、デスクに裸のまま置いちゃったんだ!」 |
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「駄目だぞ、そういう小さいのをまんま置いちゃ」 |
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「でも、パソコンデスクの周りには落ちてなかったし、上にも無かったよ?」 |
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「…………う〜ん…………(パソコンデスクに歩み寄った)……カードリーダーは、SD完全専用?」 |
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「そうだよ、microSDだってアダプタ使えばSDになるし、凄く安かったからそれでいいかなって」 |
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「それで差し替えたのか」 |
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「うん」 |
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「置き場所はここ(デスクの右奥、モニタの下)……ん? もしかしたら」 |
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「え?」 |
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「えーと……(イスをどかした)……ん……(ガサゴソ」 |
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「…………」 |
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「……お! ほら、あった!」 |
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「うわーっ! ありがと志乃ーっ!(抱きっ」 |
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「ふっふっふっ、私にかかればこんなもんよって言うかくっつくな暑苦しい」 |
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「何処にあったの?」 |
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「ほら、これ。一番奥、天板の下に袋になってる所があるだろ? 電源タップとか置く場所。ここにあった」 |
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「おおーっ」 |
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「大きな隙間があるから、何かの拍子に落ちたんだな」 |
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「ほんとありがとっ、志乃ーっ!(抱きっ」 |
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「はっはっはっ凄いだろってくっつくな暑苦しい!」 |
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「くぅんくぅんくぅんくぅんくぅん」 |
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