第1550回「わかっちゃいるけど」
2013/01/04(金)

「……アラ?」
「あ……」
「お」
「…………HL!」
「どうしたノかしラ、怖い顔シテ」
「貴女には、何機も仲間が落とされた!」
「…………それハお互い様ヨ」
「ちょちょっ、御巳子ぉ〜」
「リエナ、HLはU.S.A.J.! 敵の筈よ!」
「それはそれ、双方の隙間のHL。こっちのは仲間だって、このあいだ言ったでしょ」
「でも……」
「言いタい事ハ解るワ、でもワタシは……」
「…………」
「ワタシは……」
 ギリッ……
「ハイハイ、そこまでっ。あたしらもバシバシ無人機落としてんだから、それは言いっこなしだよ」
「………………ごめんなさい、取り乱してしまって」
「イイわ。だけドこれダケは言わせテ。ワタシはHLじゃない、ステラよ。これハみんなガ付けてクレた名前、だかラ必ずソウ呼んで欲しいノ」
「わかったわ、ステラ」
「もぉ、まったく、だから事前に言っておいたのに」
「ごめんなさい、HL──ごめんなさい、ステラを前にしたら、頭に血が上ってしまって」
(御巳子ってば物腰は柔らかいのに……セグロウミヘビの気性が荒い部分が、潜在的にあるのかネェ?)
「過ぎた事ヨ。改めテ自己紹介するワ。ワタシはFX-11のステラ、よろしク」
「私はF-2Mの御巳子、よろしくお願いしますわ」
「ほい、仲直り♪」
「それにしても、みんなにつけてもらった名前とは?」
「ステラは元々、HLって名乗っててネ、これがまたほんと無人機な奴だったワケ」
「ソウね、心というモノが理解できなかっタ。でも、みんなト過ごすウチに、それガ理解出来るようニなって……ワタシは、自我を得タ」
「そ、だから名前付けようって話になったの。HLって、ヘヴン・ランサーの略でしかないからネ」
「なるほど……貴女は、双方の隙間のHLとは、かなり違うようね」
「ソウね……ワタシもそう思うワ」
「そーいやGSってのも居るんだけどネ、時々こっち来るのよ」
「GS?」
「ガーディアンシップ級ミサイルコルベット、ガーディアンシップの略が、GS」
「ああ、そういうことね」
「そ、パーソナルネームはコルネットって言うらしいんだけど、あいつもなんだか無人艦らしくなくなってきてるんだよネー」
「彼女モ、雛菊や大和達ト一緒に居るカラ、その影響ジャないカシラ?」
「だろうネー」
「心に囲まれる事で、心が生まれたのね」
「そういう事だネ♪」
「双方の隙間のHL達ニモ、心を知っテもらいたイのだけレド……特にB型ハ破壊的だかラ……」
「う〜ん、そこは難しいところだネ」

御巳子(F-2M)
剣術と水泳が得意な蛇娘。セグロウミヘビだけど、気性は荒くない。
リエナ(Su-37jkR)
偵察が大好きなお調子者。元気の塊、略して元塊。妄想癖な一面もある。
ステラ(FX-11A)
ブルーレイン搭載のFX-11A、無人機だが自我がある。名前はみんなに付けてもらった。





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