第1860回「無気力は越えられない壁ではない筈」
2013/11/10(日)

「今日はベルリンの壁が崩壊した日ですね。発端となったゲートの解放自体は9日ですが」
「うん、東ドイツ政府が市民に対し、旅行許可書発行の大幅な規制緩和という趣旨の発表を、『事実上の旅行自由化』ととれる表現で誤発表してしまった事件だね。放送を受けて歓喜しゲートに詰め寄る群集に対し、何も聞かされていない上に上司の対応が『待て』の一点張りなゲート側。天安門事件の後だった為、非難を懼れて武力による鎮圧ができず、ボルンホルマー通りの検問所では殺気立った2万程の群集を前に、最早抑える事は不可能と判断。現場は、独断でゲートを開ける。それに続くかのように、6箇所全てのゲートが次々に開いていった」
「やがて10日未明になると、ハンマーやつるはしなどのほか建設機械までもがベルリン市民によって持ち出され、ベルリンの壁は東ドイツ政府の許可なく破壊され始める。数日後には、正式に撤去されたそうね」
「表現のミスが大騒動を巻き起こし、結果的に東西の統一を成したわけですね」
「表現一つで内容は変わってしまうからね」
「二人とも確か、東西分裂の際には既に生きてはいませんでしたね?」
「そうだね。終戦を迎える前に死亡している」
「航空ガールになっていろいろ調べるまでは、まさか祖国が分断されているとは知らなかったわね。何しろ死後は、双方の隙間で意識が散って漂っている状態だったから」
「不自然な死に方をすると、双方の隙間に無条件で飛ばされるんでしょうかね?」
「ふむ……それはあるかも知れないな。確実なのかどうかは分からないけど、霊体として覚醒したのは、まだ現役で空を飛んでいた頃だったから」
「大日本帝国軍機な方々がこちらに来れば、もっとよく分かるかも知れませんね」
「そうだね。それにはまず、何処ぞのアホ中尉が全力の半分でいいから出さないとね」
「そうだな、とりあえず半分でいいから」
とりあえずですね」
「まぁその前にアデライードとエルヴィーラを早く
「セラが頑張って意識を集めてくれているんだけど、中尉があれではな」
やる気を阻む無気力の壁を崩壊させないと」
「やはりお仕置きハンマーか」
「そのようだな」

ルーヤ(Su-24)
日々剣技に磨きをかけているが、未だにA-50がやってこない。ナイチチ同盟は不滅!
イズベルガ(M-262 A-1b)
軍人気質。残りの戦友達に逢えるのはいつの日か? 時折遠くを見つめてる。
カルラ(Bf109F-1)
イズベルガの戦友。双方の隙間にて意識が散った状態だったが、セラが集めてつれて来た。





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