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「さっきスーパー行ったらさぁ」 |
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「うん」 |
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「もう鬼の面売ってたよ」 |
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「節分か、気が早いなぁ〜」 |
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「ねー?」 |
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「ああ、節分か。鬼役の人に豆をぶつけまくればいいんでしょ?」 |
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「いやなんかそれちょっと語弊が……」 |
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「まぁーウチの鬼役はティアだからな、喜ぶしいいんじゃね?」 |
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「だけど喜んじゃったら鬼退治にならないじゃん」 |
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「それもそうだなぁー」 |
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「鬼の航空ガールは居ないのね?」 |
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「居ないよ。何しろ該当する機体がないし」 |
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「ゴブリンとか」 |
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「ゴブリンはゴブリンであって、日本で言う鬼とは違うからな」 |
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「そうそう、イメージ全然違うよ」 |
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「ふぅん」 |
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「…………あ!」 |
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「お?」 |
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「なんだ?」 |
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「T-34ならどうだ!?」 |
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「T-34ってお前、航空ガールじゃなくて、陸戦ガール? じゃないか? ん?」 |
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「いいじゃんこの機会に。リーネ辺りが喜んで撃ちまくるでしょ」 |
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「そりゃ目に浮かぶけどさ、なんでT-34──ああ、わかった」 |
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「?」 |
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「鬼戦車 T-34か」 |
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「その通り!」 |
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「何、それ? なんでT-34が鬼戦車? 確かにドイツ戦車兵とソ連戦車兵を鬼のように苦しめたけど」 |
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「ああ、当時V号やW号が主力だったドイツ戦車兵は、T-34に思いっきり苦しめられたな。結果、ティーガーとか出てきちゃったけどな。そんでもってその居住性の悪さとか、クッソ重いギアチェンジとかで、ソ連戦車兵をも苦しめたな確かに」 |
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「で、鬼戦車だけど」 |
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「うん」 |
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「単に映画のタイトルなだけ」 |
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「え?」 |
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「1965年公開のソ連製映画『ЖАВОРНОК(雲雀:ひばり)』の日本語版タイトルだよ」 |
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「雲雀でいいじゃないの」 |
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「まぁ内容が内容だからねぇ〜」 |
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「だよな」 |
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「何が?」 |
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「端的に言えば、T-34が暴走する話」 |
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「しかし『鬼戦車』といタイトルから素直に想像すると痛い目に遭うぞ」 |
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「ド派手に戦闘する訳じゃなくて、逃走劇だよね」 |
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「プロパガンダ映画だからな。ま、実話を元にしたらしいけど」 |
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「ドイツの捕虜になったソ連兵が、鹵獲されたT-34に乗って大脱走! だね。構えて見ないで、T-34がいろいろぶっ壊すのを楽しむといいと思うよ」 |
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「…………やっぱり雲雀でいいじゃな──」 |
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「この響きがいいんだよ!! 鬼戦車!」 |
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「だよな!」 |
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「鬼役の話は何処行ったのよ」 |
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