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「販売系の仕事してるとさぁ」 |
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「うん」 |
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「ライバル店の偵察隊が来る時があるんだけどさぁ」 |
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「そりゃ来るでしょうよ」 |
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「そうそう、偵察は大事!」 |
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「うん、情報収集はキチンとやっておかないと、対抗されるし対抗できないからな」 |
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「……商売も戦争」 |
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「テリトリーに殴り込みに行ったり返り討ちにしたり、他企業と同盟組んだりな(笑」 |
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「大国同士の戦争の巻き添え喰うのは、中小国なのネ」 |
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「そうなんだよな。横須賀も昔は大型店なんてそんなになかったのに、今では結構密集してるし、そのせいかシャッター街も加速しているな。俺が小中学生のころは、もうちょっと活気があったもんだが。いやま、大型スーパーで仕事しといてなんだけどさ」 |
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「時代と言えばそうなんだろうけどネ」 |
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「それで、偵察隊がなんだって?」 |
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「うん。偵察隊、つまり同業者ってさ、雰囲気でわかるよね」 |
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「……雰囲気ですか」 |
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「雰囲気ネ、なるほどネ」 |
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「例えば目の付け所とか、野菜や果物に対する触れ方とか、そういう一挙一動が雰囲気を作り出すんだよ」 |
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「実際に買い物して帰るでもしないと、すぐにばれるよね、そういうのは」 |
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「まぁ是が非でも隠そうとはしていないな。そうする必要もないし、こちらもあちらも、偵察隊が居るのは承知の上だしな」 |
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「そりゃそうだ」 |
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「そもそも『あの人あの店で見た事あるぞ』って事もあるわけだ。バイヤー同士なんて、市場で顔つき合わせてるから尚更だな」 |
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「ま、今回の話を要約すると……」 |
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「……うん」 |
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「偵察機サイコー!」 |
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「意義なーし!」 |
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「お、おう(汗」 |
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