第360回「渋抜き柿で渋いのに当たったら逆に考えるんだ運がいいと」
2009/10/02

「柿にゃ♪ 柿にゃ♪」
「お、柿か。この時期だから……」
「もぐもぐ……」
「渋柿だな。渋抜きした刀根柿
「むしゃむしゃ……」
渋抜きしてるから、赤くなってなくても十分に甘いんだ。逆に赤くなるにつれて柔らかくなるから、好みで食べる時期を選ぶといい。俺は硬いほうがいいから、ちょっと緑がかっているうちに食べるな」
「もぐもぐ……」
「ただな、元は渋柿で、それを渋抜きする事で甘くしているんだが……」
「むしゃむしゃ……」
「ごくごく稀に、渋が抜けきってないハズレがある。いやぁ、相当低い確率だが、見た目じゃ分からんからな。聞いた話じゃ、ヘタが生き生きしてると駄目らしいが」
「もぐ──」
「にゃ!? 渋いにゃー!!」
「あ……ハズレ引きやがった」
「にゃ、にゃ、アキ、なんとかしてにゃ!」
「甘柿を食うと、甘柿の成分で緩和されるらしいが、今の時期はまだまだ……とりあえず、キャラメルならあるが?」
「ちょうだい、ちょうだい、ちょうだいにゃー!」
「ほら」
「にゃー……」
「ま、完全な渋柿じゃなくて良かったな。渋抜きが不完全だった渋柿だから、渋さも減ってる。お前、完全な渋柿を食った事ないだろ? あれはやばいぞ……舌に残るんだ、舌に。こう、ザラザラゴロゴロと、あー、思い出しただけでも気分が悪い」
「にゃ、アキは食べた事あるにゃ?」
「小学校の頃、な、所謂盗み食いだ。通学路の途中に柿の木があって、子供ながらずっと我慢してたんだが、つい、一口だけって感覚で食ったんだよ。そしたら渋柿でやんの、口の中が気持ち悪くて仕方なかったなぁ。今思うと、あれこれになるんだからすごいよな」
「うぅ〜、渋柿は嫌にゃ〜」
「運が悪いとしか言い様がないな、ほんと滅多にない事だぞ。大抵は出荷前に農家で弾かれるから。ヘタを見て選別しているのかね」
「アキ、アキ」
「なんだ?」
「キャラメルもっとちょうだいにゃ」
「ん、ああ、そうだな。ほれ」
「……渋みは大人の味(ぼそっ」
「いやそういう渋いじゃないぞあれは」
「…………(ぱくっ←ミオが残した渋抜き損ないを食べた」
「あ……」
「……渋い」
「だから言っただろ、とりあえずキャラメル食っとけ」
「……はい(ぱたぱた←尻尾を振っている」
(なぁんだ、構って欲しかったのにゃね)

ミオ(F-14A)
語尾に「にゃ」を付ける、元気で素直な女の子。
アリス(Su-37jk)
無口で無表情だが、まったく喋らない訳ではない。
秋元 健太(無気力星人)
アリスのマスター、趣味と萌えに生きる無気力星人。





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