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「アッキー、Web拍手に質問お便りきてるよ。ほいっ」 |
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>中尉殿、質問です。煤原大尉殿は怒らせると怖いらしいですが、具体的なエピソードはありますか?例えば、レオナ准尉殿にスカート捲り等のセクハラ行為を犯した人物を即半殺しにしたとかじゃないですよね?
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「レオナにセクハラなんぞしたら、わらわがこの刀で……」 |
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「あんたまた持ち出して」 |
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「まぁ〜空母ゆえに女性比率も高めなんで、女性陣に血祭りに上げられるだろうから、そんなことやる奴は居ないと思う」 |
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「それで、煤原さんが怒ると怖いというのは? レオナはご存知?」 |
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「話には聞いてますけどぉ、見た事はないですねぇ〜」 |
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「……マスターは、ご存知ですね」 |
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「メタ的な意味で?」 |
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「メタじゃないほうで」 |
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「OK。俺も見たのは一度だけだけどさ、あれは俺が訓練兵だった頃だな。対テロ戦争後に就役した躑躅は、段階的戦力化って事で、就役後2年ほどで搭載定数を揃える計画の最中だったんだ。まぁ消耗した戦力の回復もしなくちゃならなかったからな。海軍としては、雛菊と朝顔優先って事」 |
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「でも空母を追加してたよネ」 |
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「中国の問題もあったからな、この頃にはかなりの脅威となっている。内部分裂しているがな。あとアメリカの動きも気にしてた。他国の戦争に基本的に不介入を掲げていたアメリカだが、発言力を維持する為に軍事力強化を続けていたし、日本の対テロ戦争もあってか、世界の警察論とか、強いアメリカ論が再燃しまくってたからね」 |
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「百合級の建造により、MiG-29jkのラインが出来ておったから、雛菊級以外はそちらを使ってコストを抑えておるのぅ」 |
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「戦力回復と同時に軍拡は続けていっていたからな。しわ寄せに、退役予定だった装備が全然退役できないでいる」 |
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「それで、煤原さんのお話は?」 |
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「うん。で、厚木で訓練中だった俺は、ある日、アサルトフランカー及びマリン・ヴァイパーの混成小隊が駐機している隣に、JT-3を停めろと言われて駐機させたんだが」 |
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「JT-3は高等練習機だから、訓練後期だネ」 |
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「そうだ。んで、そのアサルト達は新編の躑躅・攻撃機小隊、アサルトキャッツの面々だったわけ。煤原大尉は小隊長に任命され、空軍から移動してきたワケなんだけど、小隊長って事で優先的にアサルトが廻されてな。部下はみんな新兵でさ、アサルトと入れ替わりで席が空いたマリヴァを使ってたわけ」 |
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「全機がアサルトになるにはぁ、少しかかったようですねぇ〜」 |
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「まぁ生産優先度は高かったようだがな、新鋭機だし。一部のマリヴァ部隊、特に攻撃任務に特化してた部隊に配備して、席が空いたマリヴァを補充や新兵用に充ててたって事」 |
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「……レオナは14号機だったね」 |
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「そうですぅ〜、14号機ですぅ〜」 |
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「最初期ロットのうち、雛菊に充てられたのが3〜6号機、朝顔が7〜10号機、で、躑躅に11〜14号機だな。躑躅に来た4機のうち、攻撃隊小隊長達は好きなのを選べと艦長に言われたんだけど、真っ先に指名を出したのが煤原大尉。14号機を指差して、『絶対にあの14号機だ』って言ったんだとさ」 |
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「しょっぱなから愛されてますネぇ〜」 |
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「えへへぇ〜」 |
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「んで話し戻すけど、その大尉が新兵達の前に立って何やら沈黙してるのよ。『なんだ、瞑想か?』と思ってたら、斉藤のヤツが来てさ、『ちょっと見学しようぜ』とか言いやがんの。でも俺も何やってんのか気になったから、ちょっと見学してたんだけど、なぁんかもうし〜んとしちゃって、マジで沈黙し続けてるんだな」 |
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「いったいなんなのじゃ?」 |
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「んで、新兵達のほうをよ〜〜っく見ると、すっげぇ緊張した顔してるっぽいんだな。俺は察したね、『あれは怒られている』ってな」 |
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「あ〜、静かに怒るってやつだネ」 |
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「そう、沈黙が恐ろしいタイプだな。たぶん作品が作品なら、怒りのオーラが見えてた筈だぞ。20代前半でアレだから、今はもっとパワーアップしてるかもしれん!」 |
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「で、怒らせちゃいけない人だって、記憶に刻まれたのネ」 |
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「うん。まぁその時は、まさか同じ艦の一員になるとは思ってもみなかったが。で、そのあとに教官に訊いたんだけどさ、『彼らは何をしたのか』と。そしたらなんか、割と攻撃隊ってのを甘く見てたようでな。訓練に対する気持ちが軽いってのを見透かされて、叱られてたそうだ。教官が言うのには、『あの歳であの雰囲気を出せる奴はそうそう居ないぞ』だってさ」 |
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「制空権をとったとて、歩兵がミサイルを撃ってくるのじゃからのぅ」 |
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「このままではこのさき生き残れないって、部下となった新兵達を気遣ってのお叱りだな。だもんで、彼らも今じゃ立派な攻撃機乗りだ」 |
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「つまりはなぁ〜んだ、アッキーが怒らせたわけじゃないんだネ」 |
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「俺はいつでも真面目だからな! わはは!」 |
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「どの口がそれを言うのかと」 |
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