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「あ……お金拾った」 |
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「何それ、1円?」 |
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「1円ね」 |
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「1円じゃなんにも出来ないじゃない」 |
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「そうね」 |
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「何を言っているんだ、1円を笑う者は1円に泣くんだ」 |
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「えー、だって1円だよ1円。何が買えるのよ」 |
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「うーん、1円スタートオークション?」 |
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「あんなの、大抵価格上がるじゃないの。そもそも最低落札金額とかなんとかついてて、1円スタートの意味ない時だってあるじゃない」 |
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「あれは目立たせて釣る為の作戦だ、安い順に並べた時とか一番上に来るからな。私が言いたいのはそういうことじゃないの」 |
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「じゃ、何よ」 |
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「ある日の買い物、レジで支払いを済ませようとすると、なんと1円だけ足りない!! ああ〜たかが1円されど1円、お金はお金、まけてなんかくれないので諦めて帰った」 |
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「そんな事あるの?」 |
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「運が悪いだけじゃないの?」 |
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「そういう問題ではない。あるかないかの話ならば、中尉がその状態になった事があるそうだ」 |
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「要はお金を大切にしましょって事?」 |
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「そういうこと。1円だって立派なお金だ、重さを感じないアルミニウムだけど立派なお金なんだよ」 |
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「そうだ、1円の重みを体感できるように、鉛で作ったらどうかしら?」 |
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「えー、鉛じゃすぐ歪みそう。タングステンにしようよ」 |
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「タングステンじゃ1円より高いだろーっ」 |
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「それじゃあやっぱり、劣化ウランね!(スッ」 |
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「劣化ウラン弾を出すな」 |
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「劣化ウラン硬貨……嫌過ぎる」 |
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「もっと普通ので」 |
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「じゃステンレス」 |
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「それなら鉄でいいだろ」 |
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「鉄でもステンレスでもいいけど、1円で作れるの?」 |
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「1円じゃ無理かも。やっぱり1円の価値に見合った金属じゃないと駄目か」 |
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「アルミしかないじゃない」 |
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「やっぱりアルミか」 |
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「アルミでいいんだな」 |
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「でも劣化ウランも捨てがたい……」 |
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「それはない」 |
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