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「……あの、マスター?」 |
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「ん、どうした」 |
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「……気になる病の事なのですが……」 |
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「うん」 |
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「……あの、調べていたら見つけたのですが……似たような……というより、これじゃないかと思われる病気が……その、実際にあるようです」 |
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「マジで?」 |
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「へぇー、そりゃ興味深い。アッキーの気になる病は、ずーーーーーーーーーーっと治ってないからネ」 |
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「……不安神経症(全般性不安障害)です」 |
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「なんだそれはと思ったが、そのまんまな感じがするぞ!」 |
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「こういう時こそ検索ですわ。…………あら、これはこれは」 |
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不安神経症(全般性不安障害) - goo ヘルスケア
全般性不安障害 - Wikipedia
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「要するに、節操ない程の意味不明な不安がずっと続いちゃう精神障害って事ネ」 |
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「って、マジで精神病ジャン!」 |
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「う、おおお、これは……当てはまりすぎるぞ!! いや精神病だとは思っていたが、これ程ぴったりなものはないんじゃないか?」 |
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慢性的な不安、過敏、緊張、落ち着きのなさ、イライラ、集中困難などの精神症状と、筋肉の緊張、首や肩のこり、頭痛・頭重(ずじゅう)、震え、動悸(どうき)、息苦しさ、めまい、頻尿(ひんにょう)、下痢、疲れやすい、不眠(寝つきが悪い、途中で目が覚める、眠りが浅い)などの多様な身体症状(いわゆる不定愁訴)があります。
何かにつけて過度の不安や心配がつきまとい、それが慢性的に続く(診断基準では6カ月以上)のが特徴で、不安に伴ういろいろな精神身体症状が現れます。多くの患者さんは身体症状のほうを強く自覚し、どこか体に重大な病気があるのではないかと考え、あちこちの病院で診察や検査を受けるのが常ですが、症状の原因になるような身体疾患はみられません。
経過は慢性で、日常生活のストレスの影響を受け、よくなったり悪くなったりが続きます。途中から、気分が沈んでうつ状態を伴ったり、うつ病に移行することもあります。
*引用
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「まずだな……
慢性的な不安 ○
過敏 ○
緊張 ○
落ち着きのなさ ?
イライラ ○
集中困難 ×
筋肉の緊張 ?
首や肩のこり ○
頭痛・頭重(ずじゅう) ○
震え ×
動悸(どうき) ×
息苦しさ ×
めまい ×
頻尿(ひんにょう) ×
下痢 ○
疲れやすい ○
不眠(寝つきが悪い、途中で目が覚める、眠りが浅い) ○
半分ほどが当てはまってるな。これは自己判断だから、実はもっとかも知れんが……身体的な症状は少な目か。だけど不眠は覚えがありすぎる。酷い時は30分間の間に何回も目が覚めるぞ」 |
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何かにつけて過度の不安や心配がつきまとい、それが慢性的に続く(診断基準では6カ月以上)のが特徴で、不安に伴ういろいろな精神身体症状が現れます。多くの患者さんは身体症状のほうを強く自覚し、どこか体に重大な病気があるのではないかと考え、あちこちの病院で診察や検査を受けるのが常ですが、症状の原因になるような身体疾患はみられません。
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「秋元さんの場合、精神的症状が一番大きいようですわね。それにしても……『何かにつけて過度の不安や心配がつきまとい、それが慢性的に続く(診断基準では6カ月以上)』と、これはドンピシャですわね」 |
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「……物を落としていないのに、落としたんじゃないかと不安になる。……蛇口から水が出ていないのを目で認識しているのに、実は出ているんじゃないかと不安になる。……今挨拶したばかりなのに、挨拶し損ねたんじゃないかと不安になる、などなどほかにも沢山。…………そしてこれは、6ヶ月どころではありませんね」 |
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「ん、高校生の時から自覚してたからな。その時命名したんだ、気になる病は。確か高2の時からだから、16歳からか……おお、症状が10年も続いてるぞ!」 |
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不安障害のなかでは一般的で発症は10代半ばが多いが、精神科にはかなりの時を経て受診するケースが多い。
*引用
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「かんっっっっっっっっぺきに、これじゃないの?」 |
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「あらあら」 |
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経過は慢性で、日常生活のストレスの影響を受け、よくなったり悪くなったりが続きます。途中から、気分が沈んでうつ状態を伴ったり、うつ病に移行することもあります。
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「なんでこうも的確に……というくらいですわね。それより、最後の一文が気になりますわね」 |
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「……うつ病」 |
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「いやぁ、このままいくと鬱になりそうだとは思っていたが……マジだったとは」 |
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「う〜ん、これマジで治療受けたほうがいいんじゃないの?」 |
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「まだ可能性の段階だけど、これっぽいという感じは凄く強いしなぁ」 |
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「精神科か心療内科行ってきなさい、マジで」 |
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「ぐぅぅ……精神科っていうとなんかアレなイメージあるが、そもそも俺自身、精神病だと認識してる訳で」 |
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「それなら躊躇する必要はありませんわね」 |
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「……うつ病になる前に」 |
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「いや、無気力星人状態がもう、すでにうつ病の症状の片鱗かも知れんぞ」 |
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「可能性はあるよネ」 |
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「しかし、なんだかちょっとだけスッキリしたな。こういう病気なんだってちゃんと認識できてさ。やる気に満ち溢れてた頃に比べると、症状はかなり悪化していると自分でも分かってるし、それが無気力の原因ならば、話は早い。精神科へGO!だ。しかし、今回ので分かった事がある。それは……
・精神病だろうではなく、精神病だ
・気になっていたのではなく、不安だった
という事。アリスが挙げた例をもう一度見て欲しい」 |
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物を落としていないのに、落としたんじゃないかと不安になる。
蛇口から水が出ていないのを目で認識しているのに、実は出ているんじゃないかと不安になる。
今挨拶したばかりなのに、挨拶し損ねたんじゃないかと不安になる。
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「これだ、これの認識が今まで間違っていた。今までは……落としたんじゃないかと気になる、実は出ているんじゃないかと気になる、挨拶し損ねたんじゃないかと気になる、こう思ってた。だからこその『気になる病』という命名なんだ」 |
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「全然違ってたネ」 |
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「気になる事と気にならない事の落差が激しいとは思ってたんだが……考えてみれば、俺が症状を自覚した行動全てが、『気になる』ではなく『不安』と考えたほうが、ごく自然なんだよ」 |
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「それなら、認識が変わった事で症状が改善するかもしれませんわね」 |
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「とりあえず、暫く様子を見ようと思う。それで改善が見られれば、俺自身で何とかできる問題だと言えるかも知れんな」 |
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「……どうか改善しますように」 |
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