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「この裏切り者!」 |
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「勝手に言ってなさい」 |
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「またやってるのか、ほんと飽きないなぁ」 |
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「喧嘩するほど仲がいいって言うけど」 |
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「まぁ、そうなのかもな」 |
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「お前なんかバナナの皮で滑って豆腐の角に頭ぶつけて死んじまえなのです!」 |
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「そっくりそのまま返すわ」 |
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「バナナの皮で滑るってのは、まぁ理解できるけど、豆腐の角にってのはどうなんだ?」 |
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「豆腐の角じゃ死なないよね」 |
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「まぁ冗談が分からないようなのを嘲る言葉らしいけど」 |
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「え、でもどんだけお馬鹿でも、豆腐の角じゃ死なないって分かるよね」 |
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「カッチコッチに凍った豆腐を使うとか?」 |
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「豆腐っぽい食品サンプルとか?」 |
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「分かった、中に石を仕込むんだよ」 |
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「成る程、雪玉に仕込むのと同じね!」 |
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「そういうわけだからーっ、豆腐に石仕込んでやればいいぞーっ」 |
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「何がどういうわけなのか分からないのです!」 |
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「石を仕込めばいいのね。リズ、豆腐を持ってきて頂戴」 |
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「はいはい今持ってくるのですよ──って何で私が!」 |
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「豆腐は木綿? 絹?」 |
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「え、豆腐に種類ってあるの?」 |
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「そりゃあるさ」 |
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「だから豆腐でなんかやらないのです!」 |
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「だけどお前、さっき豆腐で死ねって言ったじゃないか」 |
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「言ったけど、豆腐じゃ死なないのです!」 |
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「だから石を入れろって話だ」 |
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「そんなのに頼るくらいなら、この拳でっ」 |
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「豆腐を潰すのね?」 |
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「だぁかぁらぁ!! ……あ、うふふふ、そうです! 豆腐(マリエルを見ながら)を潰すのです!」 |
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「あら」 |
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「いい度胸ね、3枚におろしてあげるわ」 |
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「マリエルって木綿か? 絹か?」 |
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「玉子豆腐なのです!」 |
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「玉子豆腐か……」 |
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「玉子豆腐?」 |
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「だし汁と卵を混ぜ合わせて、型に入れて蒸したものだ。大豆やにがりは使用していないが、見た目が豆腐なので豆腐と呼ばれている」 |
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「つまり豆腐っぽい何かなのです。豆腐っぽいマリエルを、グシャッとやってやるのです」 |
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「あら嫌だ、手で潰すなんて。そういうのは丁寧に、包丁で切るものよ。あなたの野蛮な性格が出ているわね、リズ」 |
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「お前に言われたくないのです」 |
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「なんでもいいけど、とりあえず石入れてみよう、な? 司令殿から豆腐もらってくるから」 |
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「え、粉雪から? 食べ物を粗末にするなって、怒られるんじゃないの?」 |
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「あ──そうだな……それはまずい……そういうわけだから、豆腐は諦めてくれ」 |
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「最初から望んじゃいないのです」 |
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