第856回「おきのどくですが ぼうけんのしょ1ばんは おれがけしといた」
2011/02/10

「あ、今日ってファミコンのドラクエ3が発売された日みたいだよ」
「おー、あれか。懐かしいな。俺がファミコンをやり始めたのは中学生の時だが……あの時はそう、一週間に一時間という制約があったな」
「……それじゃ進まないじゃないか……」
「いやぁ、親父が昔使ってたファミコンを発掘してな、使わせてもらえる事になったのが中学生の時なんだけど、その時言い渡された制約が……一週間に一時間なんだよ。おかげでほんと、RPGは進まなかったなぁ」
「FCのドラクエでその制約だと、レベル上げだけで終わっちゃう日とかあったでしょ」
「勿論あった。まぁそれでも、なんとかバラモスまで到達したんだよ。メダパニ喰らったりして死にまくったな。仕方ないんで、レベルを上げて再挑戦するんだが……」
「…………だが……?」
「さぁ今度こそ倒すぞ!! ってトコで、データが吹っ飛んだ


デロデロデロデロデロデロデロデロデェロォン


「うわー」
「ていうかな、『おきのどくですが ぼうけんのしょ1ばんは きえてしまいました。』という文章と、このデロデロ音搭載されているって事はな、データ消えやすいですと自分で言っているようなもんだぞ」
「……恐ろしいね……」
「あんた顔が笑ってるよ」
「……っへ……」
「ま、デバック段階でも分かってた筈だよネ、消えやすいのは」
「だろうな。どうしようもなかったから、申し訳ない気持ちで入れたのかもしれんが……なんつーか逆にイラッと来たね!
「あるある」
「もうスパッと何も入れずに消えてくれりゃいいものを……」
「その後定番になって、結構ネタにもなったけど、当時の子供にとっちゃトラウマでしょ」
「まさにトラウマだ。ROMカセット時代の、恐るべき遺産だ! 今じゃありえん光景だな。SFCもそうだったし、なんであんなに消えやすいんだ?」
「ファミコンの場合は、もともとソフトにデータを保存するって仕様じゃなかったみたいだよ」
「あー、そういや初期のファミコンゲームはパスワード方式だったな。RPGも」
「想定外ゆえのトラブルだネ。電源投入・切断時のSRAMに対する電流が問題だとか。SFCで対策されたって事だけど、どっちにしろ電池切れで終了ってのがあるよネ」
「……電池切れ……?」
「バックアップ用にボタン電池使ってたの。だからこの電池が切れると、データもどっかーんと吹っ飛ぶわけ」
「今はフラッシュメモリが主流だからな。と言っても、これも書き換えによる寿命があるそうだが……まぁ、通常使用ではそこまで到達しないとかなんとか」
「時間経過では消えないけど、書き換えしまくってると物理的に劣化していくらしいネ」
「……現行品なら……その辺も考慮しているんだろ……?」
「そりゃ技術が進めば品質も向上するからネ。物理的な劣化は避けられないけど、寿命を延ばす事はできるって」
「ま、なんにせよ、セーブデータが吹っ飛ぶ瞬間は、血の気が引くな。もう何度データがお亡くなりになった事か……」
「一週間に一時間じゃネェ……ダメージでかいよ」
「……一撃必殺だね……」

リエナ(Su-37jkR)
元気でお調子者。偵察が大好き。
ツアギ(T-10-1)
よく分からない女性。怪しげな笑みを浮かべ、航空ガールを困惑させる。
秋元 健太(無気力星人)
アリスのマスター、趣味と萌えに生きる無気力星人。





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