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「あ、今日ってファミコンのドラクエ3が発売された日みたいだよ」 |
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「おー、あれか。懐かしいな。俺がファミコンをやり始めたのは中学生の時だが……あの時はそう、一週間に一時間という制約があったな」 |
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「……それじゃ進まないじゃないか……」 |
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「いやぁ、親父が昔使ってたファミコンを発掘してな、使わせてもらえる事になったのが中学生の時なんだけど、その時言い渡された制約が……一週間に一時間なんだよ。おかげでほんと、RPGは進まなかったなぁ」 |
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「FCのドラクエでその制約だと、レベル上げだけで終わっちゃう日とかあったでしょ」 |
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「勿論あった。まぁそれでも、なんとかバラモスまで到達したんだよ。メダパニ喰らったりして死にまくったな。仕方ないんで、レベルを上げて再挑戦するんだが……」 |
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「…………だが……?」 |
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「さぁ今度こそ倒すぞ!! ってトコで、データが吹っ飛んだ」 |
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デロデロデロデロデロデロデロデロデェロォン
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「うわー」 |
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「ていうかな、『おきのどくですが ぼうけんのしょ1ばんは きえてしまいました。』という文章と、このデロデロ音が搭載されているって事はな、データ消えやすいですと自分で言っているようなもんだぞ」 |
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「……恐ろしいね……」 |
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「あんた顔が笑ってるよ」 |
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「……っへ……」 |
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「ま、デバック段階でも分かってた筈だよネ、消えやすいのは」 |
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「だろうな。どうしようもなかったから、申し訳ない気持ちで入れたのかもしれんが……なんつーか逆にイラッと来たね!」 |
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「あるある」 |
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「もうスパッと何も入れずに消えてくれりゃいいものを……」 |
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「その後定番になって、結構ネタにもなったけど、当時の子供にとっちゃトラウマでしょ」 |
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「まさにトラウマだ。ROMカセット時代の、恐るべき遺産だ! 今じゃありえん光景だな。SFCもそうだったし、なんであんなに消えやすいんだ?」 |
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「ファミコンの場合は、もともとソフトにデータを保存するって仕様じゃなかったみたいだよ」 |
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「あー、そういや初期のファミコンゲームはパスワード方式だったな。RPGも」 |
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「想定外ゆえのトラブルだネ。電源投入・切断時のSRAMに対する電流が問題だとか。SFCで対策されたって事だけど、どっちにしろ電池切れで終了ってのがあるよネ」 |
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「……電池切れ……?」 |
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「バックアップ用にボタン電池使ってたの。だからこの電池が切れると、データもどっかーんと吹っ飛ぶわけ」 |
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「今はフラッシュメモリが主流だからな。と言っても、これも書き換えによる寿命があるそうだが……まぁ、通常使用ではそこまで到達しないとかなんとか」 |
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「時間経過では消えないけど、書き換えしまくってると物理的に劣化していくらしいネ」 |
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「……現行品なら……その辺も考慮しているんだろ……?」 |
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「そりゃ技術が進めば品質も向上するからネ。物理的な劣化は避けられないけど、寿命を延ばす事はできるって」 |
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「ま、なんにせよ、セーブデータが吹っ飛ぶ瞬間は、血の気が引くな。もう何度データがお亡くなりになった事か……」 |
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「一週間に一時間じゃネェ……ダメージでかいよ」 |
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「……一撃必殺だね……」 |
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