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「なぁ、ちょっと聞いてくれ」 |
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「……嫌だね……」 |
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「ちょっとだけでいいから!」 |
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「アリスに聞かせればいいじゃな〜い」 |
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「いや、これは二十歳以上じゃないと困る話なんでな」 |
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「ほう、そりゃまたなんでだ?」 |
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「酒の話だからだ。いいか、呑み会なんかでだな、酒が飲めなかったり、車なんで飲んじゃいけなかったりするとしよう」 |
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「……それで?……」 |
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「まぁなんつーか、酒入ってないのに異様に気分が盛り上がらないか? もうまさに酔ってんじゃね?ってくらいに」 |
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「さてね、酒はそんなに飲まないから」 |
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「うーん、どうなのかしらー」 |
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「いやぁ、マジよマジ。アルコール摂取してないのに酔ってるの! なんだろう、雰囲気がそうさせるのか……俺はこれを、貰い酔いと名づけた。広めてくれこれは流行る」 |
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「……流行るわけないだろ……」 |
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「流行らないわねー」 |
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「それは流行らない」 |
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「バカな! こんな上手い例えは10年に一度あるかないかだぞ!」 |
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「その根拠は?」 |
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「俺がそう思ったから」 |
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「……っへ………」 |
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「何故笑う」 |
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「そんな事は置いといてー。中尉ってお酒飲めるのー?」 |
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「飲めるよ。自分で言うのもなんだがそれなりに強いかな。ただ、普段は飲まないけどな。ま、そんな事よりちゃんと流行らせてくれよ、貰い酔い」 |
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「……嫌だね……」 |
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「自分でやればいいじゃないか」 |
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「それじゃなんか悲しくなるだろ!」 |
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「他人にお願いして流布させるのは悲しくないのー?」 |
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「うぐっ」 |
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「そういうわけだから、自分でやれ」 |
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「……っへ……」 |
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「貰い酔い、い〜い表現だと思うんだけどなぁ。貰い○○の仲間でさぁ」 |
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「検索したら、既にあるようだぞ、その言葉」 |
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「なんだって!?」 |
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「あ、ほんとーだー」 |
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「……ますます……っへ……駄目だね……」 |
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「残念だったな」 |
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「な、なんてこった……俺の未来の記憶を誰かが吸い取って、ばら撒きやがったんだ!」 |
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「何わけの分からない事言ってるのよー」 |
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「往生際が悪いぞ、中尉」 |
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「冗談だ。だが、貰い酔いはある! これで逆に確信した」 |
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「……まぁ……あるかもね……」 |
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