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「うぉぉぉぉぉ!」 |
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びくっ |
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「何、何、何!?」 |
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「ふぅ」 |
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「だから何よ」 |
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「なんだ騒がしい」 |
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「アッキーがちょーっとご乱心なの」 |
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「殴れば直るんじゃないか? テレビみたいに」 |
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「いつの時代のテレビだよ。別に乱心なんかしてないぞ」 |
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「じゃあ何よ」 |
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「いや、去年の9月から戦い続けていた車の不調と、やっと決着がついた感じなんだ!」 |
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「へぇ、そりゃまた何」 |
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「……アイドリング不調ですか」 |
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「そうだ。信号待ちとかでな、振動が出るんだ。これより前にも同じことがあったが、その時はスパークプラグが原因でね。振動はもっと酷かった。まぁ、そのプラグを新品に交換した2ヵ月後に今回のが出たから、プラグじゃないのはほぼ確実だったけど」 |
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「何が原因だったんだ?」 |
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「まぁ過程を聞いてくれ」 |
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「過程は要らん、結果を聞かせな」 |
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「過程は重要だぞ! まぁ聞いてくれ。まず、前回の不調時に交換した部品。プラグ以外な。ISCバルブだ。これはスバル車特有の装置だが、冷却水の温度とコンピュータ制御によってバルブを開閉して、空気吸入量を調節し、アイドリングの回転数をコントロールするもんだ。アイドル・スピード・コントロール・バルブの略な。コイツが汚れると、バルブの動きが渋くなって、アイドリングが不安定になったりする事がある」 |
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「あ、じゃあ洗ったんだ?」 |
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「洗ったが落として壊した」 |
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「オイオーイ」 |
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「正確には、不調が出る前に洗ったんだが、そん時に落とした。んで、その日のうちに不調になった。仕方ないんで、中古の良品と交換したが……ま、これは原因じゃなかったな。プラグがいいタイミングで逝っちゃったせいだったので、結局、プラグ交換で直ったのが前回」 |
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「で、今回は?」 |
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「まずプラグコードを疑った。簡単に言えば、ウチのプレオの方式で言うと、イグニッションコイル(変圧器)とスパークプラグとを繋ぐ電線だな。これが劣化すると、電気が通りにくくなって不調になると。だが、これも違った。新品をおごったが駄目だった」 |
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「……次はアレですね」 |
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「そう、アレだ。あれはマヌケだったな。次に疑ったのは圧力センサー(Dジェトロニック故)。これはまんまだな、吸気圧を計る部分だ。ここが汚れているのではと外そうとしたものの、固着してて外れん。力任せにふんぬっとやったら見事なめた(マヌケ)。ボルト頭終了のお知らせ。仕方ないので、ディーラーへ。そういう時用の工具で外してもらった。んで、洗ったんだけどこれも駄目」 |
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「まだ駄目なの?」 |
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「駄目だった。次は補機ベルトを疑った。滑って電圧落ちているのではと。ま、これはもう湿気が多い日はキュルキュル言ってたんで、どっち道交換する気だったけど……駄目だった」 |
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「駄目ばっかりだな」 |
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「まぁな。で、次に疑ったのがオルタネーター。発電機だな。諸悪の根源はコイツに違いない! これで勝つる!! と、思ってリビルド品に交換したが駄目だった」 |
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「しらみつぶしになってないか?」 |
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「そうだよ」 |
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「そうだよってあんた……」 |
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「で、次はバッテリーだ。新品交換! 今度こそ俺の勝ちだ!! とは行かなかった、俺の負け」 |
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「お前は一体何をしているんだ?」 |
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「ここまできたら、素直にディーラーに泣きつけばいいジャン」 |
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「それはお手上げになってから! で、これで直らなかったらどうしようレベルで交換したのが、実は最初の頃に『これじゃないだろう』と決め付けていた部品だ。その名はイグニッションコイル!」 |
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「決め付けてたってお前……」 |
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「だって症状が出るの、アイドリング中だけだったし。変圧器逝ってたら加速中も出そうだろ? でもな、原因は、コイツだった!!!」 |
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「あんたネェ……」 |
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「いやー灯台下暗し? いやいや、先入観? 決め付けちゃうのは良くないね!」 |
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「馬鹿だろう」 |
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「ていうか、マジで最初からディーラー行ったほうが良かったんじゃないの? 調べてもらうにもお金かかるだろうけど、でも、そっちのほうがお金かかんなかったんじゃない?」 |
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「いやいや、俺ってばトラブルシューティングが楽しくてやってるトコあるからさ。ほんとお手上げになるまでは自分でやるのよ。勿論交換作業もな。オルタは面倒だから(重要)やってもらったけど。そりゃ金はかかったが、それとトレードオフだぜ」 |
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「変態だな」 |
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「まー世間一般的に見れば、変態でしょ」 |
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「褒め言葉だな! とりあえず、3日経ったが今のところ症状は出てない。まだ油断はできないが、とりあえず様子見だな」 |
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「……長かったですね」 |
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「長かったなぁ。だが、いろいろ勉強になったし、個人的にはいい経験だと思うぞ」 |
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