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「雀ってさぁ」 |
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「うん」 |
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「スパローって言うんでしょ? 英語で」 |
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「そうだよ」 |
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「なんかカッコイイよね」 |
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「うん、いい響きだよね」 |
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「あのチュンチュン言ってる鳥が、だよ?」 |
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「うん、そうだよ」 |
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「あれがスパローだよ?」 |
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「うん」 |
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「凄いよね」 |
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「す、すごいのかなぁ?」 |
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「凄いよ、チュンチュン言っているのがスパローなんだよ?」 |
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「そ、そうだねー…………(だんだん訳が分からなくなってきたよー)」 |
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「あの何処にでも居る鳥がスパローだよ、凄いよ」 |
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「そ、そうだよ、ね」 |
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「チュンチュン言ってるんだよ?」 |
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「あ、あははは……」 |
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「チュンチュンスパロー」 |
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(どうしよう、どうやって逃げよう) |
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「スパローって、なんか強そうだよね」 |
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「そ、そうだね」 |
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「絶対、あの名前には秘密がある。強そうな名前がついてるんだから、実は本当に強いのかもしれないよ。カラスなんか余裕じゃないかな」 |
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(それは流石に無理じゃないかなー) |
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「みんなそれを忘れてるんだ。カラスですらそれを忘れてるんだ。だから苛めるんだ、いずれ痛い目見るぞ」 |
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(だ、誰か居ないかな、誰か居ないかな、誰か助けてーっ) |
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「スパロー、スゲェよね、カッコイイよねー、チュンチュン」 |
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(ま、真顔でこっち見ないでっ、こっち見ないでーっ) |
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「…………何をしているんだ」 |
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「た、た、助かったー!」 |
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「……?」 |
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「助けて! アレ、変なのアレ!」 |
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「…………」 |
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「チュンチュン言ってるのがスパローだよ、凄いよね」 |
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「馬鹿にしているのか褒めているのか分からんな」 |
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「さっきからこの調子なんだよー」 |
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「馬鹿になんかしてない! あのかっこいい名前には何か秘密がある筈なんだ! それこそカラスくらいなら撃墜できる、実は強い鳥なんだ!!」 |
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「ね、変だよね」 |
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「…………要約すると?」 |
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「英語名がカッコイイ名前で羨ましい」 |
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「ドッグだっていい名称じゃないか」 |
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「だって、時々ドックと間違われるんだもん!」 |
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「それはないでしょー」 |
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「あるよ! ドラックとドラッグくらいあるよ!」 |
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「もう何がなんだか……頭痛いんだけど?」 |
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「スパロー! スパロー!」 |
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「…………つまり?」 |
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「スパローあたりなら装備しても文句出ないよね?」 |
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「 無 理 だ 」 |
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「ハープーンで我慢してよー」 |
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「嫌だい嫌だい、スパローがいいんだい!」 |
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「あー、この馬鹿犬は連れて帰るから、お前ももう行っていいぞ」 |
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「きゃうんきゃうんきゃうん〜っ」 |
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「………………なんだったんだろう」 |
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