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「よしよし、こんなもんだろう」 |
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「しかし意外だな、美風が梅を漬けてるなんて」 |
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「毎年漬けてるぞ」 |
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「食卓に出てる梅干は、全部美風さんの作ったものよー」 |
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「そ、それは知らなかった」 |
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「意外だろう?」 |
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「意外すぎ」 |
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「漬かるのをのんびり待つのがいいんだ」 |
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「ああ、それなら納得」 |
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「今年はどんな感じかしらー?」 |
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「いい感じだ」 |
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「美風……もしかして、他にも何か漬けてる?」 |
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「漬けてるぞ、いろんな野菜をな」 |
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「司令殿、もしかして、食卓に並んでる漬物類は?」 |
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「殆どが美風さん特製よー」 |
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「し、知らなかった。美風がそんなに働き者だなんて」 |
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「なんだか引っかかる言いようだな、まぁいい」 |
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「だっていっつも昼寝してるじゃないか、いつ修行してるのかすらも分からないくらいだし」 |
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「ふふ、そういうのは人知れずやるものよ」 |
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「志乃、あなたもちゃんと修行しなさーい」 |
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「し、してますよっ」 |
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「あら、最近サボリ気味だってぼやいてたわよぉ? 美風さんが」 |
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「え?」 |
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「え?じゃないわよぅ」 |
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「さ、サボってなんかない!」 |
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「嘘こけ、最近怠け気味だろう。知っているんだ」 |
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「ひ、昼寝ばっかりしてる美風に言われたくないっ」 |
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「私は人知れずやってるからいいんだ。その証拠に、腕は鈍っちゃいないし、むしろ日々進歩している」 |
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「い、いや! 今の美風になら私だって勝てるぞ!」 |
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「お。言ったな?」 |
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「はい、お手合わせー」 |
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「え? え??」 |
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「きゅう……」 ←ボコボコに負けた |
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「修行が足りんな、志乃」 |
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「うぅ……」 |
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「とりあえず、稽古をつけてやる」 |
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「え、今!?」 |
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「当たり前だ。粉雪殿、梅干の壷をいつもの所へしまっておいてくれ」 |
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「はいはい頑張ってねー」 |
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