第986回「ドラゴンなんだからこれはやらないと駄目だろ」
2011/06/20

「リルって火を吹くのカ?」
「え……え?」
「だから、リルは火を吹くのカ?」
「え……あ、ああー、いえ、吹きませんけど」
「なんだ吹かないのかよ。吹こうぜ、炎の息をさ」
「あ、もしかしたら氷属性カ?」
「は、はい?」
「いや、かもよ?」
「あ、あのぉ……」
「判ったネ!」
「その……」
「いや、やっぱ空飛んでんだからのほうがしっくりくるんじゃね?」
「えと……」
「もしかしたらかもしれないヨ」
「あの……」
「変り種で、とかどうよ?」
爆発系の属性カ? ミサイルとか爆弾的な意味デ」
「あ、あのー……」
「あ、ジェット排気音うるせぇから、音属性とかどうよ?」
「…………」
「それがありなら電波属性もありネ」
「それじゃあお前、アレだろ」
「あ、あのっ」
「なに?」
「属性とかありませんし、なんにも吹きませんからねっ」
「…………」
「…………」
「ドラゴンなのに?」
「おかしいヨ!」
「お、おかしくありませんから!」
「ドラゴンなんだから火ぃ吹けよぉ〜」
「ドラゴンなんだから火ぃ吹くネ」
「吹きませんからっ」
「じゃ、これ口に含んで
「……なんですかこれ」
「灯油」
「え?」
「ほら、これ持って火ぃ点けて、それに向かって灯油を吹き出すネ」
「……なんですか、それ」
「点火用トーチ」
「え?」
「さ、頑張って火吹きだ! あ、みんなは真似するなよー?」
「下手すると死ぬヨ」
「私はいいと言うんですか!」
「げ、怒った!」
「逃げロー!」

リル(SAAB35)
ちょっと心配性で気が弱く脆いが、体術が得意で実は強い。
クリスティーナ(Tu-22M3)
割とネタに走る。後ろに立つ戦闘機は、容赦なく「炎尾」で一掃。
妹月(殲撃10型)
いつも自衛隊機のテリトリーに遊びに行くが、すぐさま追い返される。





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