ACE COMBAT5 The unsung war〜謀略の破壊者・ラーズグリーズ〜 | ||||
ACE COMBAT5 The unsung war〜謀略の破壊者・ラーズグリーズ〜 第1章 極西の飛行隊〜国籍不明機迎撃〜 9/24 1040時 ランダース岬 「機種確認。Mig-25Rだ。」 先日と同じランダース岬に偵察機が侵入、地上防空部隊のSAMを喰らって高度を落としている。 こいつの正体を解明するために、ウォードック隊が投入されたのだ。 ウェインが敵機をカメラで確認・・・ユークトバニア空軍の偵察機Mig-25Rフォックスバットと判明した。 側面にもレーダーを搭載したタイプで、高高度からの偵察を得意とする機体だが・・・自衛用のミサイルを搭載しているようだ。 「こちらハートブレイク1。これより目標に接敵する。」 どう見ても敵だし、IFFも敵と言っている。 後は周囲の警戒のみ。ウェインはレーダーをチェックする。 IRシーjカー、レーダー共に異常なし。 「サンダーヘッド了解。強制着陸させよ。許可あるまで発砲は許さない。」 お決まりの台詞だ。まぁ、あのMig-25Rの様子からして空戦など不可能だろうが。 念のためウェインはウェポンシステムも確認。30mmバルカン、AIM-9起動可能。 「聴いたな、ひよっこども。」 「2番機了解。」 「3番機、了解。」 すぐにナガセとダヴェンポートが返事をする。 ウェインは念のためTVCもチェックしている。これが使えればハリアーの空戦性能を最大限に引き出せる・・・ 「4番機、どん尻!おい、聞こえてるか、ブービー。ちゃんとついて来てるか、最後尾!」 「レーダー見ればわかるっての・・・ウィンド01了解!」 「実戦馴れしてるだろうが、気を抜くなよ。落とされる時はあっけなく落とされるもんだ。」 それは思いっきりわかっている・・・去年、僚機2機が国籍不明機に撃墜されてしまったのだから。 自分の判断ミスで落とした・・・そのことがまだ引っかかっているのだ。 「TVC稼動確認・・・と。」 「離れてるぞ。遅れるなよ。」 「失礼、今追いつきます。」 すこし減速していたようで・・・すぐに加速させて編隊に戻る。 こんな飛行など二年ぶりで、すこし感覚が鈍っているようだ。 「あーあ。俺は3番機でよかったぜ。」 「黙れ3番機。お前は何かあだ名で呼ばれたいのか?」 待ってましたとばかりにダヴェンポート少尉が口を開く。 「それならば「チョッパー」であります。それ以外では返答しないかもしれないであります。」 わざとらしい敬語だが、ウェインはふぅとため息をつく。 「ヘリか。真っ先に落とされるなよ。」 「ウェイン、それもそうだが俺は心の中でこいつを他の名前で呼ぶ。どうだ?」 やはり古強者。このおしゃべりにも負けていない。 「勘弁してくれよ!」 ダヴェンポートが音を上げた途端、ミドルレンジにレーダーが変わりそこに敵機が見えた。 Mig-25Rに間違いない。まぁ、偵察機だしエンジンが損傷しているから撃ち落してもすっきりしないだろう。 機首をめぐらせ、4機編隊はMig-25Rに接近する。 「ユーク国籍、間違いないな。第8偵察航空隊か・・・」 「そうか。おしゃべり小僧チョッパー。」 ウェインの報告を聞き、バートレットは早速考え付いた綽名でダヴェンポートを呼ぶ。 「うっ・・・俺の綽名ってそれ!?」 「漫談の才能がありそうだ。投降を呼びかけてくれないか?」 「どーかご自分で。」 先を譲るようにダヴェンポートが言うのだが、バートレットも負けてはいない。 「俺には人見知りの癖があってなぁ。」 「・・・何言ってるんですか。人見知りなわけないでしょうが。あのデミトリ大尉になれなれしく話しかけたのはどこの・・・」 「余計なこと言うな、ウェイン。お前が呼びかけろ。」 「俺も人見知りの癖があります、隊長。」 ウェインも全然バートレットに負けていない。 「・・・ってわけだ。お前に任せる。」 結局、ダヴェンポートが呼ぶことになってしまった。 「ちぇっ。あーあー・・・国籍不明機に告ぐ。我々の誘導にしたがって進路を取れ。」 「なかなか上手いな。現職の国境警備から見てどうだ?」 バートレットがあおってみると、ウェインも話に入ってくる。 「俺の部下になったらどうだ?上手いからな。」 「あー・・・最寄の空港に誘導する。了解したらギアダウンしろ。」 が・・・Mig-25Rは逆方向に進路を変更する。方位280・・・ この方向は確か、以前国籍不明機が来た方向・・・ 「敵機確認。機影4機・・・その後に4機。方位280より接近中。」 F-4Eが転進、F-5EとシーハリアーFA2も向きを変える。 HUD表示を見ると・・・Mig-21ランサーが4機、後続の編隊も同じだ。 「殊勝な奴等だ。それでこそ戦闘機だ。よし、ヘッドオン!」 「あー・・・撃ちたい。真っ先にここで撃てば2機は軽く落とせる・・・」 ヘッドオンの状態でバルカンを撃てば、間違いなくあたる状況だ。 こちらは重量のあるAM610を搭載。先にぶっ飛ばせるのに。 が、敵機はロックオンをかけてきたようだ。 「こいつはぶっ飛ばしていいってサインだろ?さ・・・行くか。」 その途端に敵機はミサイルを発射。この距離だとAA-12あたりか。 とりあえずチャフをばら撒いておき、素早く回避。急激に上昇して反転。 「撃ってきたぞ!」 「命令あるまで発砲を禁じる!」 その手で新入りが何度も死んでいった・・・ウェインは同じ運命になるつもりなど毛頭ない。 AM610をセット。ガンレンジに入ると同時に発射。 対戦車砲弾を喰らった敵機は爆発、そのまま墜落していく。 「何を考えている、ウェイン少尉!交戦をやめろ!」 「撃ってきたら反撃してもいいだろうが!この金属頭が!」 その途端に爆発音。スパローで撃破されたようだ。 F-4Eが、MIg-21ランサーを撃墜していたのだ。 「黙って火の粉を払え!そのままだと死ぬぞ!」 「バートレット大尉、それは命令違反だ!」 命令違反だろうと何だろうと、こっちは愛機と命を捨てるつもりなど無い。 ウェインはサンダーヘッドに怒鳴りつける。 「安全なところにいるあんたは黙ってろ!全機交戦許可!こっちのミサイルは飾り物じゃないって事を見せろ!ウィンド01、エンゲージ!」 「了解。エッジ、エンゲージ。」 あの07の機体がまた動き、AIM-9を発射。 上手く喰らいつき、敵機を撃墜したようだ。 「いいのか?やっちゃうぞ、俺。」 「落とせるものなら落としてみろ。俺はカバーしないぞ。」 ウェインはそういうと2機目を捕捉。ガンレンジに入る前にAIM-9を発射。 しっかりとMig-21ランサーを追尾、近接信管でミサイルが爆発し敵機を傷つける。 「くっ、こいつら強いぞ!」 「よくやった。後は俺達に任せろ。」 1機が離脱、次の編隊がこちらに向かってくる。 「命令あるまで発砲は禁ずる!」 もう、こうなると命令など誰も聞いてくれない。 4機編隊は敵の第2陣に攻撃を開始していく。 「どんどん飛んできやがる。が・・・今回はやけに多いな。」 この前で大体8機くらい、今度は13機。 国籍不明機がこんなに数多く来るなんて滅多にないことだ。 「ブービー!飛び方考えろ。」 「ウィンド01、戦闘中につき応答不可!」 1機をロックオン、ガンレンジに持ち込みAM610を発射。 30mmバルカンを喰らい敵機は炎上、爆発した。 「ブービーだかなんだか知らないが、こっちは規定どおりウィンド01と呼ぶ。」 「落着いてきたな、サンダーヘッド・・・管制頼む。」 「了解。ウィンド01、敵増援だ。」 ミグ設計局がMig-23を改修したMig-23/98を持ってきたようだ。 最新鋭機・・・敵はユークトバニア。おそらく威力偵察だろう。 「隊長機は俺がやる。4機は任せるぞ。」 F-4EがMig-23/98と交戦、ウェインはMig-21ランサーを狙う。 もう、僚機2機もずいぶんと空戦に慣れてきて敵機を追い回している。 「おい、後にMig-23/98が向かった。警戒しろ!」 「後か・・・」 ウェインはTVCを稼動、垂直方向にノズルを向ける。 途端に機体が上昇、急加速で接近してきたMig-23/98がオーバーシュート。 そこにAIM-9を発射、敵機は急旋回で逃げようとするがあえなく撃墜されてしまう。 「おいおい、ウェイン!そんな技術をどこで身につけた!?」 「見よう見まねで練習しただけだ!」 フォークランド紛争でよく使われた機動であり、これでハリアーは当時の敵であるミラージュVより優位に立てたのだ。 17年前のユージア紛争ではISAFのハリアーパイロットが使い、この戦術は非公式にVTOLファイターに伝授されている。 特に、ガンキルを狙おうとする熟練パイロットほど引っかかりやすい。 「まだいるか・・・AAMを全部使うか。」 手近な敵をロックオンし、AIM-9を発射。 Mig-21ランサーは散々追い回された末に爆発、右翼をもぎ取られて落ちていく。 「ちっ!」 ミサイルアラート。AA-11が追尾してくる。 すぐにフレアーを射出、急激に旋回しミサイルを交わす。 「俺を狙った奴は・・・あいつか。」 ブレイクする前にAIM-9を発射。敵機は急激な旋回で逃げようとする。 が、こっちはもうレティクルに収めている。AM610セット。 「砕け散れ!」 30mmバルカンが火を噴き、Mig-21ランサーに直撃弾を与える。 エンジン部分から出火、推力が上がらず落ちていくようだ。 「高度が保てない!もうダメだ!」 「全ての国籍不明機の撃墜を確認。」 とりあえず、危機は脱した・・・というところだろう。 新入り2人も良くやっている。ウェインはすこし安心した。 これなら、もっと激しい戦場でも充分生き残れると。 「こちら隊長機、全機きこえるか?」 「ウィンド01、よく聞こえる。」 「みんな生きてるな。よーし、いい子ちゃんたちだ。4番機、ちゃんとついて来てるか? よし、全員生還の今日の良き日の記念に、今後、編隊内のどこにいてもお前のことは ブービーと呼ぶ。いいな。わかったな。」 「こちらウィンド01。コールサインを呼ばないと返答しません。」 「・・・ウィンド01か、なんとも言いにくいな。」 どうやら、この名前はバートレット大尉のお気に召さないらしい。 ウェインははぁとため息をつくと、もう一度通信を入れる。 「仕方ない・・・ブレイズでどうですか?俺のTACネームです。」 「わかった。まずまずお前にしてはいいネーミングセンスだ。」 とりあえず任務終了。4機はサンド島へと帰還する。 1630時 サンド島空軍基地第7格納庫 格納されているのはC-1輸送機と・・・JAS-39Cグリペン。 彼・・・デミトリ・ハインリッヒ大尉の愛機だという。 整備員が戦闘機の機体を使うなど滅多にないが、当時の上層部も了解して運び入れたらしい。 「戦闘を会ったことを伏せるのは何者でしょう?」 国籍不明機との戦闘は伏せられ、バートレット大尉はオーソン司令から叱責を受けた。 が、パイロット達はチヌーク搭乗員や整備員から歓迎されている。 ジュネットは、長いすに座っているバートレットに話しかける。 「あのな、この島の向こうといや・・・ユークはムルスカの空軍基地しかねぇんだぜ?」 「けど・・・ユークトバニアはベルカ戦争以来の友好国じゃ無いですか。」 「それを必死に探ってるんだろうよ。今頃、第18偵察航空隊からU-2とかブラックバードがひっきりなしに飛んでいるはずだ。まぁ・・・結局このなさけねぇ秘密主義だ。あんたにはすまねぇことだけど。」 そんな時、整備を終えて2人の整備員が格納庫から出てきた。 5年前、取材を申し込んだ人物・・・デミトリ・ハインリッヒ大尉とMCのミスト少尉だったはず。 「仕方ないです。友好関係に亀裂を入れたくないのが本音でしょうし。戦争になると犠牲も大きいです。オーシアはベルカ戦争以来反戦主義者が多い。未熟なパイロットと天秤にかければ、どっちを取るか明白でしょう。」 「まったくだ。そのせいで俺も叱責なんか珍しくねぇ。万年大尉さ。」 はっきりと物を言う・・・とジュネットは相変わらず思っている。 5年前も、あんな調子でミストはジュネット・・・およびブレッドにインタビューをしていたのだ。 「・・・ああは言っているが、一番打ちたくないのはバートレットだ。」 「え?」 突然のように、デミトリ大尉がジュネットに話しかけてきた。 「彼には、ユークに恋人が居た。諜報員だが。」 すると、照れくさそうにバートレットは頭をかく。 「何、古い戦争の傷跡だ・・・ベルカ戦争の。」 CVヒューバード 1724時 「ふん・・・腕は悪くない!」 F-15IrとラファールのDACT・・・2機は鋭く急旋回を繰り返しガンキルを狙っている。 リュート中尉はF-15Irの後を取ろうと躍起になっているようだ。 「オーシアにしては腕前はいいかも。ずいぶんとね。」 フィンは余裕のような声で急激な旋回を繰り返している。 あれはどう見ても9G以上かかっている・・・が、彼の声は余裕そのものだ。 『あーあ、ラファールも覚醒寸前かな?こりゃ見ものかも。』 「何・・・!?」 F-15Irは急激にフック。ラファールは追随しきれず速度を殺して旋回半径を狭める。 この距離でマジックAAMは使えない。27mm機銃でぶち抜くしかなさそうだ。 「くっ、ふざけてんのか!」 ラファールよりもF-15Irの方が旋回速度が速い・・・技量も違いすぎる。 こいつは、負けを覚悟する必要があるかもしれない。 いや・・・負けたくない。絶対にこいつに勝ちたい。 「マリエル・・・何とかしてくれよ!」 自分ながらネーミングセンスが無いと思ったが・・・愛機につけた名前だ。 黒く染め、白いラインが機首から風防脇を通って入っているこの機体の。 『お困りのようね?』 「・・・ああ。本気で困っている。助けて貰いたいくらいだ。」 『細切れに切り刻んであげるわ。敵を・・・』 その途端にラファールが急激に旋回、ロックオンしようとしているF-15Irをガンレンジに収める。 「え・・・先を読まれた!?」 『フィン、覚醒させちゃったかもしれない・・・とにかくがんばるよ!』 リュートの脳内に・・・風の刃を持つ1人の少女が描かれている。 HUDのデータも、敵機の位置も何もかも捕捉している。 ガンレンジだがまだレティクルに収めていない。これで発射しても無駄弾だ。 『危なっかしいよ!誰!?』 『勝てると思わないことね。返り討ちにしてあげるわ・・・』 急激にカナードを傾かせ、アフターバーナを点火させ無理やりレティクルに入れる。 中央に来た途端に27mm機銃を発射。仮想空間内でF-15Irにキル判定が出る。 「DACT終了。着艦せよ。」 「了解・・・ふぅ。だいぶ疲れたな。」 偶然かもしれないし、相手が手を抜いていたからかもしれない。 が・・・メビウス1を落としたのだ。大番狂わせだろう。 『華麗な勝利ね。』 「・・・まぁ、そうだろうな。」 ラファールはF-15Irに続き着艦、整備員によってエレベーターに運ばれる。 その前にリュートは機体から下りて、ため息をつく。 「・・・あー・・・疲れた。」 多少だが気だるいような、そんな雰囲気だ。 続く あとがき さっそくマリエルが。メビウス1とDACTやらせてみました。 まぁ・・・本気を出していませんからね。彼は。 あえて覚醒させるためにやらせたような雰囲気です。 ACEにハリアーは登場しないですけど、したら面白いので出しました。 出ないかな・・・?出たら思いっきり使いたいんだけど。 では。 |
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2006/10/20:あくてぃぶF-15さんから頂きました。
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