ACE COMBAT5 The unsung war〜謀略の破壊者・ラーズグリーズ〜




ACE COMBAT5 The unsung war〜謀略の破壊者・ラーズグリーズ〜
第5章 第3艦隊壊滅〜イーグリン海峡防空戦〜

9/30 1100時 イーグリン海峡

「新鋭機には慣れてるようだな。」
そんなことをいうウェイン・・・その後にいるのはF-3Aフェアウィンド。
ISAFから輸入した新鋭戦闘機で、最新鋭戦闘機。F-35Cと構造は似ているが機首周辺はフランカーシリーズにも似ている。
一応はF/A-18E、F-16S(F-16CVer60の改修型)、A-12アヴェンジャーUの中から選んでこうした。
タイフーンにも念のためか着艦フックが搭載されている。
AAM-4を4本にAAM-5を6本。翼の外までパイロンを搭載しステルス性無視の空対空装備だ。
ウェインの機体もEFタイフーン。武装はミーテイアAAM4本にAIM-132を6本。そして対戦車バルカン1基。
部隊名はひと悶着あった末にウィンド隊と正式に決定。そして何度かの訓練を受けてここにいる。
「・・・護衛任務終了だ。」
フェザー隊は別任務があり出撃していないが、上空にはスノー大尉のF-14Dにヴァルカン隊、リュートのラファールがしっかりと上空を守っている。
こんなところに突っ込むのは自殺行為だろう。
眼下に見えるのはCVN-04ヴァルチャーとCVN-07バザード。そしてCVN-01ヒューバードとCVN-03ケストレル、およびその護衛艦。
かろうじてこの4隻が生き残っていたため、何とかオーシアは艦隊を再編することができそうだ。
もっとも、新鋭艦のニミッツ級空母を全て空襲で失ったのは痛いが・・・

「こちらサンダーヘッド。ウィンド隊は給油機を空母上空で待て。」
「俺達はまだかよ!?他の奴らは帰ってるぞ!」
「給油機を待てと言うのだ。」
ダヴェンポートはやれやれだと言うと、ため息をついてしまう。
それはウェインも同じだ。早く給油機を回して欲しいものだ。
「こちらブルーゲイル、敵機を確認した。」
「何!?」
ウェインがレーダーを見ると、確かに敵機がくっきりと移っている。
機影はS-47とYak-141F。まずいかもしれない・・・
「こちらウィングアイ。敵機をレーダーで確認!全機スクランブル、迎撃急いでください!」
相変わらずE-2Cが上空で指揮を執っている。
とにかく、EFタイフーンとF-3Aは敵機を迎撃することにする。
「交戦許可出します!要撃急げ!」
「了解。ウィンド01、エンゲージ!全機自由戦闘!」
敵機をロックオン、新鋭のAAMで狙いをつけて発射。
ミサイルはYak-141Fを捕捉、急激な旋回にも喰らいつき爆発する。
「あのストーンヘンジはでかい図体で何してるんだ!?」
「こちらソードフィッシュ、要撃任務に変更!」
サンダーヘッドが指示を出す前にCVヒューバードから艦載機が発進、迎撃を行っている。
「て、敵接近!各隊戻れ!空母を護れ!」
「今さら遅いです!全機攻撃開始!」
敵機はVTOL戦闘機としては高性能なYak-141FとS-47、以前の機種なら辛い相手だろう。
が・・・タイフーンとフェアウィンド相手ならかつ見込みはある。

「落ちろ落ちろ落ちろぉ!!」
S-47を次々にリュートはガンキルしていく。
母艦は不明だがかなり近くにいるようだ。
『前方の敵機はフィンがロックオンしているようね・・・』
「フィン、前方は任せる!」
ラファールを旋回させ、攻撃態勢に入っているS-47をロックオンする。
真上から覆いかぶさるようにして銃撃。27mm機銃が敵機を射抜いていく。
「1機やられた!例のあれはまだか!?」
「そろそろ到着する頃だ。」
敵の通信は意味不明だが・・・その途端、ヒューバードから通信が入った。
「推進軸が折れた!速力27ktに低下!」
「CVN-03了解。ヒューバードに速力をあわせろ!守り通せ!」
敵艦のミサイルか魚雷を喰らって速力が低下、ヴァルチャー、バザードの主力艦隊とケストレル、ヒューバードの後続艦隊に分断される形になった。
ケストレルと随伴艦は熾烈な弾幕を張り、何とか敵機を撃退している。
『不明機確認。方位045。数8機・・・』
「マリエル、どうかしたのか?」
『不明機、ライブラリー内に確認不可。新鋭機!』
その途端、4機編隊の2部隊がレーダーに映った。
MFDを見ると確かに新鋭機・・・前進翼の戦闘機と4発エンジンの攻撃機だ。
その途端に敵機はミサイルを発射、高速で接近したミサイルに成すすべなくCVヒューバード艦載機2機が落とされてしまう。
どちらもF-15F/25、交わせないはずではないのだが・・・
「こちらブルーゲイル!不明機を攻撃する!」
『流麗なスタイルね・・・華麗に切り裂いてあげる。』
前進翼の戦闘機をロックオン、追撃するが敵機はすさまじい機動で旋回、回避する。
武装搭載数は多くTVCを搭載した新鋭機、しかも風防がない・・・
「無人機か!?」
『人の意識を感じる・・・有人機のようね。』
「何・・・!?」
コフィンシステムと呼ばれる完全風防密閉型戦闘機。それをユークが繰り出してきたのだ。
ベルカ戦争で使われたR-101の同型だろうか・・・?
「何だコイツ!旋回性能が異常だ!」
ラファールではとてもじゃないが追随できない速さで旋回。性能はかなりのものだろう。
低速でループを描きすぐに追撃、マジックAAMを発射するがフレアーでかわされる。
その間に攻撃機は空対艦ミサイルを発射。1機が6本ものSSN-22を搭載しているのだ。
「な・・・!?」
24本の空対艦ミサイルが超音速で友軍艦に接近、護衛艦が次々に被弾していく。
上手くケストレルとヒューバードが迎撃を繰り返しているがヒューバードに1発直撃。艦内から火災を起こしている。
それ以上に前方の艦隊の被害は甚大・・・護衛艦の4割が撃沈されるという甚大な被害だ。
「敵機情報を確認しました!YR-302フレガータおよびXR-45キャリバーン、ユーク国内で極秘開発されていた重戦闘攻撃機および制空戦闘機です!」
「やばい相手だな・・・」
『何にしても、華麗に切り裂いてあげるわ。』
新鋭機ならこの性能はわかる。異常すぎるほど強い。
が・・・技量はまだまだ。何とかレティクルに収め27mm機銃を発射。
急激な旋回のせいで銃弾の軌跡が曲がっているようにも見えるが、しっかりとあたってくれたようだ。
「撃墜だ!」
『華麗ですこと、マスター。』
錐揉みを起こしながらXR-45は墜落していくが、まだ3機も残っている。
それは他の部隊に任せ、リュートは離脱しようとしているYR-302をロックオンする。
『MICAセット。距離7500。』
「フォックス・スリー!」
パイロンからMICAが外れ、一斉に撤退中のYR-302に向かう。
チャフを一斉に敵はばら撒いたが2機が撃墜され、残りの2機も回避行動のため撤退が遅れてしまう。
隣にEFタイフーン、残りを撃破できるチャンスだ。
「「フォックス・ツー!」」
ほぼ同時にAIM-132とマジックAAMが発射、敵機に向かっていく。
機動性は良好なのだろうが挙動が重く、ミサイルを回避できず直撃して落ちていく。
「攻撃機を撃墜した。」
「まだ会戦は終わっていないぞ、リュート・・・」
レーダーにはしっかりとS-47が映っている。
しかも、超射程のASMを発射しているようだ。
「迎撃か・・・ブルーゲイル了解。マリエル、行くぞ。」
『ふふ・・・面白そう。』

「X-02並に強いよ、こいつら!」
「ひるむな、フィン!」
残り3機のXR-45はメビウス隊と死闘を繰り広げている。
ほぼ互角・・・機体性能では劣っているがパイロットはこっちが上。しかもMLSつきだ。
フリーエルジアのX-02や黄色中隊からみれば技量は下だが、その旋回性能を生かして逃げの一手に周られると厄介な部分がある。
「兄さん・・・どうやってこの状況を切り抜けた?ねぇ・・・!」
自分もパイロットになろうと決心したのは兄がいたから・・・フィンはそれを思い出しながら空戦をしている。
リミッター解除、TVC最大角度。急激な旋回でXR-45に追いつく。
『上手いよ、フィン!ガンレンジ!』
「落ちて貰うよ。時間稼ぎは飽きたから。」
20mmバルカンを乱射。敵機は前進翼が引きちぎれそのまま墜落していく。
かろうじてベイルアウトに成功したようだ。
「次も一気に・・・」
『フィン、なんか来る・・・高度を5000以上!』
「え?」
何かわからないが、とにかく高度を上げる。
他の僚機にも知らせておく必要がありそうだ。
「ソードフィッシュよりウィングアイ、高度5000以上に全機向かわせて!」
「わかりました。全機高度5000以上!大至急です!」
何がなんだかわからない様子でウィンド隊とスノー大尉のF-14Dが上昇してきた。
途端に大爆発が発生・・・CVN-07バザードが傾いてしまっている。
しかも、周囲にいた航空隊も大半が壊滅してしまったのだ。
「バザードが・・・!」
艦首を天高く突き上げ、海のそこに引き込まれていく。
大量の残留思念が同時に流れ込んできたが・・・何とか2人とも耐え抜く。
『何千人死んだのかな・・・?護衛艦とバザードの乗員が・・・』
「わかんないよ・・・」
その途端にサンダーヘッドから通信、どうやら敵は長距離戦略兵器を投入してきたようだ。
ベルカ戦争のエクスキャリバー、ユージア大陸戦争のストーンヘンジのようなものだ。
この前は高度2000以下で今回は5000以上・・・もう見慣れた光景だが、二度と遭遇したくはない。
『また来た!』
「ヴァルチャーに止めを刺したいんだね・・・」
比較的被害の少ないヴァルチャーは、何とかあのミサイルから生き残っていたのだ。
が・・・あと1発に耐え切れるはずがない。
「ヴァルチャーより各艦へ、総員退艦せよ!」
「・・・了解!」
救命ボートを急いで展開させ、何とか残存艦隊の乗員は逃げようとしているようだ。
「5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・弾着!!」
途端に無数の照明弾が集中して光ったようになり・・・直後に爆発音が響いた。
誰もわからないが・・・あのミサイルはアヴァロンダムでフォルクが使っていた大型ミサイルをMIRVの弾頭にしたタイプだ。
「残存艦は・・・CVヒューバードとケストレル、巡洋艦ハイエルラークとイージス駆逐艦エクスキャリバー、ギアリング、アーレイ・バーグ・・・それに駆逐艦スプルアンスとオブライエンだけだね・・・」
『あれだけの艦隊が・・・』
当初は30隻近くいた艦艇が、今では8隻にまで減っている。
しかもCVヒューバードが機関損傷、ケストレルは散弾ミサイル着弾の衝撃でエレベーターとカタパルトが故障している。

「ウェインだが・・・給油機はいつ到着する?」
「空中給油機KC-10が墜落しました。空中給油は不可能です。」
ウィングアイが落ち込んだ様子で無線を入れてきた。
「ちょっと待てよ、じゃ、俺達も救助隊の世話になれってのか!?」
「安心してください。CVヒューバードから給油機を回します。」
その途端、E/A-18G6機が発進し空中給油用のプロープを出した。
これで空中給油し、ハイエルラークまで向かえと言うことらしい。
「F-3AフェアウィンドおよびEFタイフーンはプロープ式ですから大丈夫ですよね?着艦なんて無謀でしょうし・・・」
「ちょっと待ってくれ・・・なんで6機いるんだ?」
「着艦ワイヤーが切断されてますし着艦は危険です。今飛んでいるのは私と貴方たちの機体だけ。ですから空中給油機ともどもハイエルラークに着陸します。」
相変わらずこの空中管制指揮官はぶっ飛んでいるが、それがCVヒューバードの強さかもしれない。
プロープがE/A-18Gから流され、ウェインは上手く軸線をあわせる。
そして給油・・・隣ではF-15Irやミラージュ2000Cなどが空中給油を受けている。
「・・・ってか、他の奴らは大丈夫か?特にグリムとか・・・空中給油訓練受けてんのか?」
「受けましたよ。給油管に傷つけましたけど・・・」
グリムの答え思わずウェインはビックリしてしまう。
そんなことになったら大惨事を招く・・・下手したら某大統領専用機映画そのものだ。
「よく生きてたね・・・」
ソードフィッシュ機からも同じようなことを言われてしまう。当然だろう・・・
「こちらクレイモアー。アーチャー機は一番最後にしろ。俺達がやばい。」
ミラージュ2000Cのパイロットからもそんなことを言われる始末。結局無事に給油は完了した。
が・・・アーチャー機給油の時だけ全機が離れるようになったらしい・・・


ハイエルラーク空軍基地 1500時
空中給油を終えて、一端15機はハイエルラーク空軍基地へと帰還する。
修理完了まで海軍機はここで待機するらしい。
「何か楽な気分。本当・・・」
ようやく重荷から開放され、フィンは一安心と言った雰囲気だ。
「あー・・・本当だね。何か今日はきつかったなぁ・・・」
残留思念を感じ取りすぎて、レナもお疲れの表情。
とにかく自室で休む・・・フィンとレナはそんな感じで基地に入ろうとする。
「待って!」
2人が振り向くと・・・どこかで聴いたような声。
確かウィンド隊の2番機のはず・・・
「何?僕達に・・・」
「メビウス1よね・・・?あの時はありがとう。」
「あの時って・・・」
フィンはまだ気づかないが、レナは気づいたようだ。
「あ・・・あの時の副操縦士!?お久しぶり!」
「副操縦士?」
まだフィンは気づかないが、レナはそっと教える。
「ほら、大陸戦争でストーンヘンジ技術者を乗せた時副操縦士してたあの人!」
「あ・・・ナガセ副機長!あの時以来だね!」
ユージア大陸戦争で701便の副機長をしていた彼女が、まさか空軍パイロットになっているとは気づかなかった。
どこかで聴いた声・・・とフィンは感じていたが思い出せなかったのだ。
「久しぶりね、メビウス1。」
「オーシアの空軍パイロットになったなんて気づかないよ・・・あのままエア・イクシオンで航空機の機長でもやってると思ったんだけど。」
「ふふ・・・あなたに触発されてパイロットになったようなものよ。」
大陸戦争終焉後、ナガセは故国オーシアに戻り空軍に入隊したのだ。
「こっちもずいぶん助かったよ。おかげでストーンヘンジをぶっ飛ばせたし・・・じゃあね。」
フィンはそれだけ言うと、基地に入っていく。
短い再会だが・・それでも嬉しかった。

続く


あとがき
矛盾が出るのでケストレルには1発もミサイルを当てさせません。
ケストレルとヒューバード・・・瑞鶴と翔鶴みたいな感じです。雰囲気的にそれでいいかなと。
で、メビウスとナガセの過去を交えてACXのオリジナル機体を入れました。
ついでにウィンド隊もといウォードックの機体はF-3A。航空自衛隊試作機をそのまま使っています。
フェアウィンドの理由は・・・昔の艦上戦闘機は「風」って入れる予定でしたから。追風で。
零戦の後に続くのは烈風でしたから。
では。



 2006/11/12:あくてぃぶF-15さんから頂きました。
秋元 「空自のアレですね。何ちゃってステルス。技術研究機なので、あの後の発展があれば萌え燃えなんですが」
アリス 「……米が(ぼそっ」

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