ACE COMBAT5 The unsung war〜謀略の破壊者・ラーズグリーズ〜




ACE COMBAT5 The unsung war〜謀略の破壊者・ラーズグリーズ〜
第11章 報復の連鎖〜11.4同時多発テロ〜

11/4 1100時 オーレッド総司令部
「人の話を聞け!8492しか無理だと言ってるだろうが!」
「8492、8492!君たちはそれしかいえないのかね!?我が軍の航空隊にそのような番号を持つ部隊は一切存在しないのだよ!」
「Hear hear? Shall I say again?あの無線は幽霊の仕業だとでも言うの!?」
クラウスとフェメナが査問を受けているが・・・相変わらず暴言ばかり吐きまくっている。
「まぁまぁ、落着いて。これは話が堂々巡りするだけ・・・」
「Stop is!6回も同じこと聞いたわ!黙ってなさいこのBastard!」
ここまで言うかと思うほどフェメナは暴言を言い続けている。
「俺から言うが、フェザー隊は爆撃は無理。ドレスデネ地方の工科大学は6機編隊の戦闘機に爆撃を受けた。サンダーヘッドの交戦記録で俺とカーシェはAIM-120Cを6発発射したこともわかっている。これでどう爆撃しろと!?」
「戯言を言うのもいい加減にしないか!いいかね、バートレット大尉はユークに亡命したとの情報もあるのだぞ。君たちは彼の手先となって・・・」
「What?マートレット大尉って誰なの?」
一瞬だけ空気が凍りついたが・・・フェメナは構わず暴言を吐きまくる。
「Tedious.無茶苦茶な発言で時間を潰してる暇なんか無いのよ。私達をユークに送り返して、戦争が終わってからやったらどうなの?Boredomな査問委員会をやってる暇なんて本当にあるの?」
「・・・ここで話をもう一度整理したい。まず・・・」
かなり相手も怒っているようだが・・・その途端に警報が鳴り響く。
同時に1人の士官が駆け込んできて、委員長に耳打ちする。
「・・・この件はユーク側の督戦工作として処理する。よって不問だ。諸君は作戦機で来たのだから早速任務に参加して貰おう。その戦いぶりで潔白を証明してもらう。」
「ありがたいな・・・」
「同時に国内で2つの事件が発生した。フェザー隊はバーナ学園都市に赴きテロの鎮圧を厳命する・・・まぁ、シンファクシを撃沈した諸君にはたやすいだろうな。フェザーリーダーに出撃を命令する。」
「了解。」
ようやく部屋から出ると、馴れない総司令部の道案内を見てすぐに大通りに出る。
「かなり幸運ね。マスター。」
「ああ・・・」
外敵が来たからパイロットが足りない・・・結局主戦派はこの事件を「ユーク空軍の仕業」にしてシンファクシを撃沈したパイロットを使う方が効果的と判断したのだろう。
結局は面子よりも実利だ。危機が訪れれば小さいことなど吹き飛んでしまう。
「さて、気分良く向かうとするか。」
総司令部を出ると早速士官が車で待機してくれたようだ。
近くの空軍基地で降りると・・・F-23Aがもう滑走路に出ている。
「準備がいいな・・・」
もうカーシェはF-22Aで離陸しているようだ。かなり準備がいい。
すると、先ほど車を運転していた仕官がこちらに来た。
「フェザーリーダー、これを。」
案内役の士官がガスマスクを持ってきたが、クラウスは断る。
「脱出した時に使うのか?だったらいらないな。こんな任務で脱出するほど俺の腕前は悪くない。」
「すみません。どうかご無事で・・・」
「いいんだ。」
敬礼に敬礼を返し、すぐに機体に乗り込む。
フラップ、ラダーベータ異常なし。武装は中和弾12個・・・外付けパイロンにも大量に搭載されている。
ステルス性はないが充分だろう。この任務は空対空任務ではないのだから。


1124時 港湾都市バーナ

「はい、こちらバーナ港湾都市上空です!あちこちから黄色い煙が立ち昇っています・・・VXガスでしょうか!?甚大な被害を及ぼしています!この映像はUBC(ユージア放送協会)が放送しています!」
上空を飛ぶUBCのヘリは危なっかしいが、それに文句を言っていられない。
まぁ、UBCと言えばファーバンティ包囲戦でもヘリで取材をした命知らずの集団。これくらいなんでもないのだろう。
『酷いわね・・・残留思念が・・・』
「やるしかないだろう。ランツェよりリッター、やるぞ。急降下爆撃で中和だ。」
「了解。やってやるか・・・」
ラプターにも赤い小型爆弾・・・中和剤爆弾が大量に搭載されている。
少し挙動は重いが文句は言えない。とにかくやるしかない。
ピパーに収め中和剤投下。まずは1箇所中和。
『ちきしょう、ユークめ!』
『死にたくない!死にたくない!』
無数の市民の残留思念がはっきりと聴こえてくる・・・早急に中和しなければ危ない。
フェメナは何とか大丈夫そうだ・・・
「酷い作戦だ。ノースポイント条約違反じゃないのか?」
『そんなものはユークも知らないようね・・・方位75、距離1200にガス確認。』
「投下!」
中和剤が投下され、またガスが中和される。
高速飛行のためビルのガラスが割れているがそれに構っている暇もない。
「で・・・なんでわざわざアピート国際空港に手を出したんだ?ここは学園都市とも呼ばれているからこの前の報復で説明がつくが・・・」
『脱出を考えているようね。この混乱にまぎれて脱出、そして輸送機で逃亡ってパターン。』
「ありえる。が・・・もう1つ忘れている。空港に護衛機が来たということは、敵はステルス空母でも持っているんじゃないのか?あるいはシンファクシの2番艦とか。空中給油を繰り返すにしては航続距離が短すぎる。」
『Great!さすがね。』
もう1発投下・・・中和弾が爆発し黄色い煙が消滅する。
カーシェはカーシェで黙々と爆弾を落とし煙を消滅させている。
「クラウス大尉とフェメナ少尉だな?無線での暴言が多いと前線から報告が届いているぞ。」
「現在クラウス大尉は作戦中にて回答不可能です。御用のある方はピーという発信音の後にお答えください。」
ふざけてクラウスが発信音の真似をすると、空軍司令部が無線を入れてきた。
「こちらE管区空軍司令部。暴言を慎め。」
耐えられずにカーシェが笑っているのが無線ではっきり解った。
フェメナはこっちを見ているようだが・・・我に帰るとすぐクラウスに言う。
『Hurry up!まだガスが中和されてないのよ!』
「そうだったな・・・失礼。」
まぁ、あれくらいのユーモアくらい入れないと作戦がつまらないだろう。
最後のガスに中和弾投下・・・赤い爆弾は最後のBC兵器を潰した。
『よほどの憎しみがないとここまで出来ない・・・』
「そりゃそうだ。特攻まがいのことなんてよほどうらんでなきゃ出来ないな。」

「おい、レオン・・・なんだよあいつら。」
地上でレオン・ハース・・・元ベルカ空軍エースは相棒のフレッドに言われた方を向く。
国境なき世界にも関係ないし、ましてやグランダー社がらみでもないただの警官だがディンズマルクにいた頃はベルカ戦争の重要戦犯多数を逮捕してきたのだ。
まっ白なトラックの荷台に黒装束の人員が乗り込み、そのまま逃亡していく。
「どう見ても怪しいな・・・こちらチャーリー11。怪しいトラックを見つけた。追跡する。」
すぐにパトカーに乗り込み、追跡を開始する。
「ところで、レオン・・・後部座席になに乗せてるんだ?」
「ああ・・・まぁ、ユークのテロだろ?15年前のお下がりって奴だ。」
良くわかんないがとにかく2人は追跡を敢行する。危ないがそんなことも行っていられない。
すると、敵のトラックの荷台が開き猛烈な射撃をしてきた!
「ちっ!ありゃAN-94だぞ!こちらチャーリー11、ユークの奴らを見つけた!」
一応はパトカーも防弾仕様。だが5.45ラシアンに耐えられるかどうか。
そんなことは構わず2人は追跡。すると相手はロケットランチャーまで出してきた。
「危ねぇっ!」
急激にハンドルを切って回避、後のポストに砲弾が命中して吹っ飛ばしたようだ。
「やばいってよ!増援待ったほうがいいんじゃないのか!?」
「こいつは面白くなってきた!15年ぶりだ!」
「おいおい・・・」
「こちらチャーリー11、早く来てくれないとやばいんだが。振り切られそうだ。」

「激戦だな。」
フェザー隊は特等席でカーチェイスを見ているが・・・そこに通信が入ってきた。
「こちらバーナ市警。空軍は手伝ってくれないか?こっちは戦争に関して全くの素人だ。」
「空軍E管区、それが必要か?」
「ああ。じゃなかったらMPでも寄こしてくれ。」
「わかった・・・よし、フェザー隊。バーナ市警の支援にあたれ!」
了解といい、クラウスは上空からトレーラーを監視する。
トレーラー内部の人員はかなりあわてているようだ。あの命知らずの警官の追撃を受けているためだろう。
『こちらフェザー01、早く撃って片付けたいのよ。こんな相手はすぐに・・・』
「勘弁してくれよ。流れ弾に当たるのは嫌だし真相を明らかにしたいんでね。」
『少しでもやりたいのよ。ダメ?』
「ダメ!」
フェメナは撃ちたいようだが、やはりダメのようだ。
まぁ、それが警察の任務だから仕方ないが。
次々にトレーラーの後にパトカーが集まっていくが、ユーク工作員は被害などお構い無しにトレーラーで逃亡する。
信号にぶつかったり車を跳ね飛ばしてもその勢いは止まらない・・・どこかのアクション映画を見ているようだ。
『野蛮ですわねぇ、灰色幽霊さん。』
『Shut up!あなただけには言われたくないのよ。黙って頂戴。』
エイリとフェメナは口論を続けているし、こっちはカーチェイスを空から観戦するしか楽しさがない。
まぁ、それも一興だ。グレイゴーストを目印に次々にパトカーが集結している。
「こいつも捨ててしまえ!このロケットランチャーはさっきので終わりだ!」
地上を見ると・・・相手はロケットランチャーを捨てたようだ。
他にもダンボールだの何だの捨てているが・・・
「こいつも捨てろ!」
「俺のテレビを捨てるな!お前の昼食も捨ててやる!」
7.62mmラシアンを使うミニガンやテレビ、挙句の果てにフライドチキンまで捨てている。
「あ、俺の楽しみにしていたフライドチキンが!」
「死んだら食えるか!計画変更、とにかくマービン橋まで逃げろ!」
敵トレーラーはマービン橋に逃亡しているが、まだ振り切れないようだ。
「道路交通に連絡しておけ!あと水道管と電線が通ってるから水道局と電力会社にも!」
「そこまで封鎖しないだろ!大丈夫だ、何とかなる!マービンブリッジを封鎖しろ!」
パトカーがトレーラー進路上の道を塞ぎ、後からは追跡していた車両に封鎖され・・・完璧だ。
封鎖完了、これで逃げることも出来ないだろう。
「レオン、後ろに搭載している奴は何だよ?」
「聞いて驚くなよ・・・ゲパードM1だ。」
対戦車ライフルって奴だろう。かなり危なっかしい代物を搭載しているようだ。
警官も拳銃やら突撃銃やらを構えている・・・これでおわりだろう。
『何か来たわ、マスター。ヘリのようね。』
「ああ・・・Ka-50ホウカムとMi-24ハインドDだ。」
ハインドで兵員だけでも輸送するつもりだろう。ホウカムは多分警察などを掃討する為に送り込まれたはずだ。
が・・・そうなると、この近くに空母がいるのではないだろうか?航続距離の短いヘリを使うとは・・・
「・・・ミサイル持って来れば良かったな。」
敵機は7機。ハインド2機とホウカム5機・・・まぁ、MLS機なら標的にしかならない。
加速してから後方に回り込む・・・ヘリなら外付けパイロンをつけていても見つからないだろう。
「後に敵だ!ケダール2、後!」
「レーダーに写っていない!」
「何悠長なこと言ってるんだ!?ステルスだ!はやくかわせ!」
機体後部にM61A2を乱射。尾翼が粉砕されて敵機は降下している。
「ちっ、脱出だ!」
ホウカムの生存性能は高いというが、それは戦闘機相手でも本当らしい。
まぁ、パイロットは撃つつもりなどないので次のMi-24を狙う。
『距離1500、ガンレンジ。』
「悪いな・・・落ちて貰う!」
ガンレンジでテイルローターを狙い発射。20mm銃弾が次々に直撃し炎上させる。
パイロットは脱出できずに死亡、残留思念が響いてくる。
「いつ聞いてもこれだけは馴れないな・・・」
「これでも喰らえぇ!!」
低空飛行で侵入してきたKa-50めがけあの対戦車警官がライフルを発射・・・1機を吹き飛ばしたようだ。
なかなか勇気はある。
『もとベルカ空軍のエースのようね。』
「でも、あいつは凄いな・・・」
あそこまでクラウスが出来るか・・・と言われれば出来ないと応えるしかない。
まだ敵機はいる・・・接近しているMi-24はラプターにやられたが、Mig-29Kが増援として到着した。
「カーシェ、ヘリの掃討は任せる!俺は護衛を!」
「了解。ま、俺がヘリをぶちのめしてやるよ!」
F-23AがMig-29Kに接近。敵機は空対空装備満載だ。
ヘッドオンで敵機がAA-11を発射、すぐにロールで急激に交わしM61A2を発射・・・機首レーダーに直撃させる。
「ちっ、負傷した・・・!後は任せる!」
「相手は黒の翼だぞ!?俺だけで勝てるかよ!」
黒の翼・・・仰々しい2つ名がつけられたものだ。
敵機は必死にフルバーナーで後を取ろうとするが、こっちも急激に機首を傾けヘッドオン。
敵がこちらを向く前にM61A2を発射・・・バルカン砲の銃弾に射抜かれ敵機は錐揉みを起こす。
「くっ、ベイルアウトする!」
Mig-29Kのパイロットはベイルアウト・・・作戦成功だ。
ヘリ部隊も壊滅。これであとは帰還するだけだ。
「対戦車警官へ、新たな事件発生。娘さんから捜索願が出ている。急行せよ。」
「了解。チャーリー11は直ちに帰還する。始末書は任せる!」
歓声が上がり・・・最後にフェザー隊はマービンブリッジの下を潜り抜けるという芸当を見せて帰還する。
これくらいはやってもいいだろう。せめてものお礼だ。


バーナ南300km 作戦海域
「敵ステルス空母発見!」
ヴァルカン隊には「敵空母を捕捉、殲滅せよ」との命令が下り作戦空域に向かった。
この海域で哨戒艇数隻が消息を絶ったために判明・・しかもバーナ港湾都市の襲撃を聞いてKa-50の戦闘行動半径を計算しようやく導き出したのだ。
「あれがステルス空母!?前甲板に重武装が施されてるぞ!」
『・・・巨大航空戦艦!?』
その途端に敵艦が主砲を発射、すぐに3機はブレイクし攻撃を開始する。
後甲板が飛行甲板になっていて、艦橋の横にまでアングルド・デッキが張り出している。
艦首付近には巡航ミサイル発射機と思しき砲台と大量の対空火器が設置されているようだ。
しかも化け物じみた大きさ・・・空母よりは小さいがかなり巨大だ。
『こんなの3機じゃむりだってば!』
「レナ・・・やるしかないよ!ハープーン発射用意、行くよ!」
フィンの狙いは敵艦の前甲板・・・防空火器を先に潰せば何とかなりそうだ。
「何だこいつら!?リボンのエンブレムだ!」
「メビウス中隊か!?まぁいい、叩き落せ!」
防空火器が一斉に機動、攻撃態勢に入るフィンに容赦なく13cm砲を発射してくる。
同時にCIWSも稼動し、弾幕を浴びせかけてくる。
『こんな弾幕に入るなんて自殺行為だってば、フィン!』
「仕方ないなぁ・・・ルウ、ヴィクセン!攻撃して!」
F-15Irを旋回させ、嫌がらせのように周囲を回る。
それにつられ防空火器が一斉にF-15Irめがけて発射・・・フィンはうまくそれを交わしていく。
『距離7500。ANNGロックオン!』
「発射!」
ミラージュ2000-5から空対艦ミサイルが発射、艦中央部の13cm砲を直撃し使えなくさせる。
もう1発は艦橋に命中・・・だが平然と攻撃を仕掛けてくる。
「装甲が硬い!くっ・・・!」
その途端に敵艦から艦載機が発進・・・Su-33だ。
すぐにフィンが要撃にあたるが、ハープーン4発を抱えているとさすがに重い。
「無理するな、俺がやる!」
「ルウ・・・了解!」
ミラージュ2000-5がSu-33に当たっている隙を着き、フィンはハープーン2発を一斉に発射。
狙ったのは敵艦の艦首主砲群・・・次々に爆発を起し主砲は沈黙したが、まだ結構残っている。
「強いよ、これ・・・!」
シンファクシやリムファクシといった艦船よりも数段強い。しかもアークバードの支援がないときている。
すぐにフィンは反転、CIWSを狙ってM61A2を発射・・・撃破するがこの程度ではダメージは少なすぎる。
「かなりやられたぞ!」
「心配するな。我がソビエツキー・ソユーズは無敵だ。散弾ミサイル撃て!」
その途端に艦橋前に設置されたミサイル発射口が真上を向き、ミサイルを発射した。
目標はこの地点・・・とにかく何が何でもメビウス隊を吹き飛ばしたいらしい。
『信管セットが対空になってる!高度8000まで上がってよ!』
「解った!」
シンファクシやリムファクシと違い、この戦艦は海上艦艇・・・散弾ミサイルでダメージを受けるわけには行かないのだろう。
ヴァルカン隊の3機は急激に上昇、一気に高度8000まで到達する。
『・・・着弾!』
レンの声と共に散弾ミサイルが着弾・・・大爆発が発生する。
あれに巻き込まれたら命はないが・・・何とか逃げ切ったようだ。
「たった3機相手にこの被害か!?」
「メビウスだからかなうわけないだろ!相手が悪すぎる!」
「ラーズグリーズの悪魔か!?」
逆落としにF-12とF-15Irが降下をかけ、ハープーンとクラスター爆弾を投下。
ハープーンミサイルは艦橋に突き刺さり爆発を起しているようだ。
「ヴィクセン、後に敵機!Su-33の2機編隊!」
「ちっ!」
「僕がカバーする!」
F-15IrがSu-33に向けてAIM-9を発射、これで撃墜するなんて思っていない。
ただ引き離すだけ・・・思惑通りSu-33はミサイルを回避、F-12Dから離れる。
「フランカーとイーグル、永遠のライバルってわけだね・・・」
『腕前は黄色中隊以下だと思うけど?』
「それもそうかな。」
格闘戦に持ち込むと、リミッターを解除し強引に後ろに回りこむ。
フランカーよりも鋭く、そしてすかさずもぐりこみM61A2を発射・・・主翼を吹き飛ばして撃墜する。
もう1機はこちらの後につこうとしている・・・エアブレーキ展開、TVC最大角度。
急激にF-15Irの機首が上を向き、そのまま反転・・・敵機、オーバーシュート。
『距離1450!ガンレンジ!』
「発射!」
トリガーを退き、20mm銃弾を発射・・・敵垂直尾翼とエンジンに直撃し、急激に機体を降下させる。
フィンは敵航空機の全滅を確認、バルカンで敵艦の艦橋を狙う。
「何なんだこいつら!?たった3機で撃沈するつもりか!?」
「悪魔だ・・・リボンつきだ!俺達のかなう相手じゃない!」
艦橋にDEFA30mm機銃が直撃、火を噴いている。
そこにフィンが再び銃撃、艦橋が再び爆発を起し全体が炎上している。
「艦橋大破!艦橋大破!」
「シンファクシに続き、このソビエツキー・ソユーズまで失うというのか!?」
「弾薬庫に火の手が!もうダメです、総員退艦を!!」
止めといわんばかりにフィンが炎上している主砲めがけAIM-9を発射・・・それが弾薬庫内部で火災を発生させたようだ。
敵艦から救命ボートが出ている・・・これでもう大丈夫だろう。
「嘘だろ・・・?あの巨大な戦艦が、たった3機に・・・」
「ラーズグリーズの悪魔だ・・・オーシアにいる・・・」
「リボンつき、恐るべしと言った所か・・・」
敵航空戦艦は艦首から爆発を起し、中央部が折れて沈んでいく。
『終わった・・・』
疲れたような表情でレンがつぶやいたが・・・もう終わりだ。
航空戦艦は撃沈した・・・が、まだこっちを返してくれそうにないらしい。
『レナ、何か?』
『迫ってきてる・・・機影3機、こっちに!』
『え!?』
ミラもようやく敵機を確認・・・フィンにはそれがはっきりを見えている。
5年前、倒したはずの因縁の相手。メビウス隊が唯一ライバルと認める世界最強の敵。
「黄6より各機へ。燃料は少ないがやれるだけやるぞ。5年前の報復だ。」
『行きます・・・リボンつき。あなたを落とすために舞い戻りました!」
「黄色中隊!?」
カラーリングは同じ。僚機の機体は違うが黄色中隊のカラーだ。
戦わないわけには行かない・・・フィンは残り少ない空対空兵装で相手をする。
「メビウス1より各機へ。撤退は許可しない・・・行くよ!」
『落とすよ、黄色中隊の残党!』
黄色13のエーリッヒ・クリンスマン、黄色7のオルベルト・イェーガーはもういないようだ。
が・・・充分な実力を持っていたのは5年前の空戦でわかっている。
フィンがSu-37を、残りの2機はMig-21/93とSu-24を相手にする。
「因縁のライバルというわけだ、フィン・・・6年前のコンベースと同じように落としてやる!」
「それは無理さ。僕が勝つ!」
メビウス1が1回だけ撃墜された6年前のコンベース強襲作戦・・・あの時はF-15JとSu-37というハンデがあったが今回は西側、東側最強の機体同士だ。
それならフィンも負ける気がしない。TVCを傾けSu-37と格闘戦に入る。
が・・・敵もただのSu-37ではない。黄色中隊専用に大幅な改造を受けているタイプだ。
テイルコーンが大きめでTVC可変角度45度、ウィングレットつき・・・しかも火器管制能力がオリジナルより数段向上しているのだ。
「さすがは黄色中隊のSu-37だね。まったく・・・手がつけられないよ!」
一方のF-15Irはもとが格闘戦性能向上の実験機だがTVC可変角度40度・・・わずかに黄色中隊のSu-37に劣っている。
が、その程度だったらフィンはカバーできる自信がある。コーナー速度で旋回、Su-37の後に向かう。
「最近は雑魚ばかりで腕前が鈍ったか・・・?行くぞ!」
Su-37、急激に機首を傾けた状態でフックを決める。
すぐにフィンはTVC稼動、後を取られる前に機首を急激に上げて1回転・・・クルビットだろう。
「腕前を上げてきたか・・・!」
「5年前の僕とは違う!」
Su-37の丁度真上にF-15Ir、すぐにSu-37は降下して振り切ろうとする。
F-15Irも追撃開始、機体を傾けSu-37を追う。
エンジン推力と加速度ならこちらが上。F-15IrはSu-37の機動になんなく着いていく。
「ちっ!」
一瞬だけ水平に戻した隙に20mmバルカンを乱射・・・その途端に敵機は急激に機首を上げてきた。
しかもそのまま反転、後ろにつこうというのか。
「甘いってば!レナ、行くよ・・・!」
機首を上げて上昇、高度を稼いだところでTVC最大角度、急激に反転。
180度回転したさきにはSu-37の機影が。迷わずエンジンを狙いM61A2を乱射。
が、あたらない。その前に敵機が機首をめぐらせ旋回している。
こちらも旋回、また格闘戦だ。
『相変わらずね。何でいっつも味方にならないのかな?味方だと心強いのに。』
『・・・軍人というものの宿命でしょう?そして・・戦闘機と言う存在のわたし達の。』

「相容れることのない運命か。」
この黄色中隊VerSu-37に張り付いてくるとは、奴もかなり技量を挙げたようだ。
唯一、ルーチェと共に生き残ったベルナードはユークに渡航、内紛で敵エースを何度も葬ってきたのだ。
『悲しい運命ですけどね。』
「・・・撃墜したくないな。少なくとも今は。」
空対空兵装満載のフィンを落とさなければ、いくら勝っても満たされない。
それに・・・相手のMCの思念まで耐え切れる保障もない。ルーチェもMLS機を撃墜した時かなりの負担が来て戦闘続行不可能になったのだから。
しかもSu-24が煙を吹いている・・・無理はさせられない。
ベルナードは水平飛行に写ると、後を見てF-15Irが喰らいついたのを見た。
「シュバッツより各機へ、撤退するぞ!」
「了解!」
みやげと言うのもなんだが、AA-11を後に発射して後は撤収する。
ミラージュ2000Cは超音速巡航が出来ない・・・こっちはフルバーナーで逃げればいい。

「逃した・・・!」
決定打を与えられないまま敵機は撤退・・・あれではまた来るだろう。
まぁ、それでも構わない・・・フィンは僚機の無事を確認すると撤収する。
充分な打撃は与えた。また何時か戦場でであったらそのときこそ撃墜すればいい話だ。
「黄色中隊の奴等、まだ生きていたのか・・・フィン。厄介だな。」
「そうだね・・・ヴィクセン、もしかしたら・・・この戦争が今世紀最大の戦争になるんじゃないかな?」
ベルカ空軍のエース、そしてリボンと黄色中隊・・・これらを巻き込んでいるだけで大規模な戦争になりえる。
さらにシンファクシ級潜水空母、ソビエツキー・ソユーズ級航空戦艦やアークバードといった超兵器まで参加。用意に終わり層にはない。
ユージア大陸戦争並の長丁場になるのは当然だろう。そんなことを考えながら3機は基地に戻っていく。


首都防空基地 1500時
「見つけたです・・・仏空軍機・・・」
「何・・・?」
マリエルを見つけ、リズは敵意むき出しで接近していく。
「私に何か用件でも?」
「とぼけるのもいい加減にするです・・・抜け駆けと裏切りの罪は重いです・・・!」
「どうするつもり?戦うなら・・・華麗に切り裂いてあげる。」
「望むところです。この風をまとった・・・
その途端にマリエルが後ろを向く・・・ウェインが通りかかったようだ。
目の前を通り過ぎたのを確認してから、2りはまた敵意をむき出しにしてにらみ合う。
「欧州なんかの枠組みに収まるほど醜い私じゃない・・・華麗に切り裂いてあげるわ。気に食わないと思っていたから・・・」
「望むところです!この一撃で・・・」

「なぁ、あれはとめなくていいのか?」
「構わん・・・妙な因縁がつくこともある。」
ウェインはただならぬ気配を感じたためリュートを呼んできたが・・・別にいいようだ。
こういうことは時々起こりえるので、気にしてはいけないらしい。割ってはいると大怪我のもとなので。
「まぁ、精神生命体は人の姿だが実際は人じゃないからな・・・あんなことも出来る。だいたいブルーレインの利用方法に描かれていた中には、明らかに魔法とも取れる一文が書かれていたらしい。彼女達が出来ないことでもない。」
「そういえばそうか・・・」
20年位前に、突然のように各地で発見された輸送船にブルーレインが搭載されていたのだ。
それが今、MLSやJFSのコアとなって使われている。
利用方法は輸送船にあった文章に書かれていたらしい・・・その中にこの2つのシステムなどの利用方法が描かれていたのだ。
大半が絵による注釈であり、文章も多少の差異はあるもののこの世界の言語と同じため解読に成功。
そして現在の利用にいたる・・・というわけだ。
「でも、怪我とかは大丈夫なのか?」
「あいつらだ・・・多分大丈夫だろう。」
多分・・・まぁ、何とかなるんだろうと思いウェインとリュートは離れていく。

続く

あとがき
長いながらも後半は超兵器、そしてメビVS黄色の戦いを。
これは本当に長いなぁ・・・疲れましたよ。
まぁ、それはとにかく対戦車警官も大活躍させました。
・・・なんでAH-64なんだろう。ヘリがいつも・・・
では。



 2006/12/26:あくてぃぶF-15さんから頂きました。
秋元 「あ〜、あのトラック撃ちまくってた記憶が。撃つなと言われると……(笑」
アリス 「……癖だそうで」
「困った癖だネ」

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