ACE COMBAT5 The unsung war〜謀略の破壊者・ラーズグリーズ〜




ACE COMBAT5 The unsung war〜謀略の破壊者・ラーズグリーズ〜
第14章 ラーズグリーズの凶風〜ユークトバニア北部揚陸作戦/ラーズグリーズ海峡奇襲戦〜

11/14 0600時 CVヒューバード艦内(セレス海北に停泊中)
「疲れるなぁ、本当に・・・」
北部方面揚陸隊の支援、それがヴァルカン隊以下のヒューバード航空隊に与えられた任務だ。
連日の出撃でフィンは疲れたような表情をしている。
「疲れるほど忙しいって、ユージアじゃなかったよね・・・テンポが速いなぁ。この戦争。」
「そうだね・・・」
レナの言うとおり、電撃戦ともいえるべきスピードで部隊が進軍しているのだ。
ベルカも同じことをして敗れたが・・・オーシアは国力が違う。大陸戦争のISAFとはぜんぜん違う。
フィンの部隊は敵輸送船団撃滅や潜水艦基地襲撃などで毎日のように出撃している・・・かなりつらい。
ユージア大陸戦争は1ヶ月くらい間が空いたこともあったのだ。
「・・・仕方ない。行こう?」
「そうだね、フィン・・・」
F-15Irに乗り込み、甲板に出るとF-12Dとミラージュ2000Cが射出されたようだ。
射出要員が次々に準備を終えて、F-15Irをカタパルトにセットする。
「ソードフィッシュ、発艦を許可する。」
「了解!」
F-15Irが発艦・・・カタパルトから射出されて作戦空域に向かう。
『フィンが疲れてるけど、大丈夫そう?』
「なんとかいけるよ、レン。」
レナが後部座席からレンに答えを返す。
『無駄な抵抗をするユーク軍を、完膚なきまで叩き潰すよ・・・』
ちょっと怖いことを訊きつつも、3機は作戦空域に突入する。
目標、敵地上物および戦闘ヘリ。厄介だが何とかしなければ・・・


クルイーク要塞 同時刻
後方の空軍基地にラストーチカなどの主だったエースが集められた。
北部方面軍はリムファクシがいるため今回出撃は無い。
「何聞いてるんですか?」
ヘッドフォンをつけて何か音楽を聴いているクーナに、ルーヤが話しかける。
「あ、ルーヤ?これ面白いから聞いてるの。」
「面白いって・・・」
「「ラヴィ!!」で検索するとでてくるあれ。MDに入れといたの。」
あれですか・・・とルーヤは言うがなんとなく面白そうなので片方のヘッドフォンを付けてみる。
「・・・どう?」
「どこから手に入れたんですか?この音楽。」
「それは聞かないで。」
ヘッドフォンを付けて、クーナはまたその音楽を聴いている。
どこが面白いのでしょうかとルーヤはいいかけて・・・口に出さない。
「何聞いてるの?クーナ。」
「リェース、聞いてみる?」
「やめとくよ。ボクもそろそろ出撃だし・・・」
ジェラーヴリク隊とゴルト隊に、北部方面を支援せよとの命令が下ったのだ。
リェースはマスターに続き、Mig-31に乗り込む。
「・・・生き残ってよ。シンファクシの支援はあるけどさ。」
それがクーナの本音・・・いや、むしろシンファクシだからこそ危険だろう。
味方まで巻き込みかねない散弾ミサイル攻撃、クーナはそれが気がかりだ。


0612時 サンド島空軍基地
「・・・俺が時間の遅れとか、神経使う任務で苛つく癖は知ってるよな・・・?」
相変わらずクラウスはブリーフィングの遅れに怒っている。
早朝から起こされたのだから無理も無いが・・・
「お前、敵機に撃墜される前に脳の血管が切れて死ぬんじゃないか?」
「多分そうね。」
ウェインがそんなことを言うとフェメナも同意する。
隣でウィンド隊の3人がナガセの「姫君の青い鳩」という本のことで話をしている。
ジュネットはそちらを撮影しているが・・・ブリーフィングはかなり遅い。
「・・・有名な伝承ですわね。『歴史が大きく変わるとき、ラーズグリーズはその姿を現す。はじめは、黒い翼を持つ漆黒の女神として。悪魔は凶風を持って死をもたらし、やがて死ぬ。しばしの後、ラーズグリーズは英雄として現れる』と。」
エイリの言うとおり、この伝承はほとんど誰でも知っている・・・オーシアやユークでも。
「俺のいたベルカの古い話では、神オーディンに仕えるヴァルキリーの1人だ・・・意味は「計画を壊すもの」だと。」
どうやら、ベルカではまた別の意味らしい・・・クラウスの説明にウェインはうなずく。
まぁ、伝承などあちこちで多少変化するものだ。発祥はベルカと見て間違いないだろう。
「姫君の青い鳩ですか・・・確か、姫君を助けるために姫にすかれていた鳩が木の実を取りに行く話ですね?」
「ああ・・・で、戻ってきたら姫君が死んで鳩もぶっ倒れてしまったわけだ。不運だな。」
ふぅと息をつき、クラウスはそんなことを言う。
「北の海から来るヴァルキリーか・・・」
「では、作戦内容の説明を。」
本土から来た士官が任務を説明する・・・ごく簡潔に。
内容は「リムファクシを奇襲、戦闘不能にし可能なら撃沈せよ」と言うもの。
まぁ、大規模な部隊は向かわせられない。だからこの精鋭6機がやるというわけだ。
失ってもオーシアにはヴァルカン隊とジルファルコン、グラーバクがいる。戦力は均衡状態を保てる。
リムファクシはSA-N-6SAMのVLSやAK-630CIWSなどが大量に装備されているのだ。
おまけにリムファクシは水上戦闘も考慮し、浮上時にフェイズド・アレイ・レーダーを艦内から出すのだ。
つまり、イージスシステムと同等の能力を持っているとみて間違いない。
ブリーフィングが終了。後は戦うだけだ。
「・・・行くか。ラーズグリーズは俺達だ。奴らじゃない。」
ウェインが締めにそんなことを言い、6機は離陸する。


北部方面作戦空域 0810時
「くっ!揚陸艦が7隻もやられてるぞ!」
「なんだあのレールガンは・・・!?」
敵は後方の陣地にレールガン砲台を配置、なかなか接近できないようにしている。
エルジアの技術が大量に流出してしまったようだ。
「ストーンヘンジの亡霊をここで全滅させる!ソードフィッシュ、エンゲージ!」
武装はAGM-88を4本とAIM-9を8本に気化爆弾2個。きついがやるしかない。
『クラブハンマーのようね。高度を落として。』
「了解!」
ヒューバード航空隊はヴァルカン隊を中心に敵レールガン砲台へと突貫する。
『敵の思念感知!何これ・・・!』
ミラが気分悪そうに言うのも無理は無い・・・
相手の思念は単純に「敵・・・」の繰り返しだけ。
薬物投与でもされたのだろうか・・・東側諸国のやりそうなことだ。
人間を機械の部品のようにしか扱えないユーク軍部もかなり酷い・・・
敵のレールガン砲台、通称クラブハンマーは口径40.64cmのレールガン。タイタンより殲滅範囲が広い。
その破壊力から「スモール・ストーンヘンジ」とさえISAFから呼ばれたほどだ。
「来たぞ、高度を下げろ!」
「こちらストーム04、ダメだ!これ以上は・・・っ!!」
その途端に敵レールガンが射撃、炸裂しF/A-18IホーネットADVとF-16Sヴァルチャーが2機ずつ撃墜。
『敵・・・敵・・・』
『その思念を向けないで!お願いだから!』
悲しくなりそうなのだろう・・・それはマスターのフィンも同じだ。
こんな戦争、速く終わらせないと気の毒だ・・・オーシアもユークも。
AGM-88をロックオン。目標、敵ユーク軍レールガン砲台。
『上空に敵機・・・黙れ!』
「ミラ・・・わかった!頼むぞ!」
ミラージュ2000Cが急上昇、上空のSu-35をロックオンする。
機首を上げるのは自殺行為だが、このままだと攻撃隊が相当な被害を受けてしまう。
「僕達だけで行く!狙うよ・・・スラッシュ・スリー!」
AGM-88がパイロンからはずれ、敵レールガン砲台を狙う。
クラブハンマー。RAMおよびCIWSを稼動。だがこっちにも作戦はある。
「悪いけど、使わせてもらうよ!」
F-15Irのみクラブハンマーに急接近、気化爆弾を投下する。
ハームは囮、こっちが本命というわけだ。
気化爆弾が空中で炸裂、クラブハンマー2台を一瞬で吹き飛ばしてしまう。
『敵・・・もう、いない・・・?開放された・・・?』
「そうだよ。だから安らかに眠って。」
それしかいえない。今のフィンでは・・・
ヴァルカン隊は対地支援に任務を切り替え、散会し自由戦闘を行う。
『・・・!?敵機確認!前進翼の新鋭機!ベルクトじゃない!』
「じゃ、何!?」
その途端に機影が出てくる・・・無人戦闘機、黒とところどころに赤を入れたカラーリング。
機体はユーク軍機を撃墜しつつ、こちらの航空機も撃墜しようとしている。
「・・・っ!なんとしても止める!」
ミーティアAAMで牽制し、いっきに接近戦へと持ち込む。
その途端に敵機がこちらに気づき、IRIS-Tを発射。
フレアーで回避してAIM-9を発射するも簡単にかわされる・・・AAM-5やAAM-3ならまだしも、誘導性能がかなり低い。
『・・・リボンか。覚えているぞ。』
「君は誰・・・?どうしてここに?何故無差別に攻撃を!?」
『まぁ、テストだよ。戦場こそいいテストになるからな。さて、都合よくエースが出てきてくれたものだ。このYFX-12の実験台になってもらおう。』
「だから誰!?」
『教えるわけには行かないな。』
ミサイルはIRIS-T、ベルカ空軍機!?
確定は出来ないが、ありえない話でもない・・・叩きのめせば同じだが。
となれば・・・こいつはカール・ブラウヴェルトだろう。ベルカ空軍元帥、それしか考えられない。
「・・・辛い相手だね!まったく!」
旋回性能はSu-37フランカーE改以上。黄色中隊機より強い。
が・・・それよりもパイロットの腕前もかなりいい。
すぐに追撃に移る。距離8700、IRSTでロックオンを仕掛ける。
一応、この距離からでも発射は出来るが振り切られやすい。
気化爆弾1個がデッド・ウェイトだが気にする必要は無い。F-15Irならこんなもの無いも同然だ。
機動に付き合わず、ロールを繰り返すYFX-12に低速で追随する。
上昇に入るあたりが狙い目。敵機はすかさず上昇しF-15Irも上昇る・・・
『ガンレンジ!』
「・・・もらう!」
敵機、高迎え角でエアブレーキをかけるが衝突覚悟でフィンはM61A2を発射。
エンジンに炸裂した銃弾が爆発を起こすが、YFX-12はまだ飛行可能だ。
同時に破片がF-15Irの右エンジンを直撃、火を噴かせる。
「あちゃ・・・やりすぎたかも・・・」
『レイシスでも同じ事をしただろうな・・・さすがだ。まぁ、これでデータは取れた。』
煙を吹きながらYFX-12は離脱。
だが・・・フィンの機体もこれ以上空戦が出来るというものでもない。
「無理すんな!脱出しろ!」
「了解。後任せるよ。」
やれやれと言いつつ、フィンは作戦空域を離脱する。
これでは作戦続行は不可能。仕方ないだろう・・・



同時刻 ラーズグリーズ海峡
「ウィンド隊、フェザー隊は高度1000以下を維持せよ。」
「了解。」
超低空で6機はラーズグリーズ海峡へと向かう。
「寒気がする・・・こっからラーズグリーズが来たんだな・・・」
カーシェがそんなことをつぶやくと、ナガセも何か考えるようにつぶやく。
「ラーズグリーズ・・・」
『この前撃沈した艦船の姉妹艦ごときがラーズグリーズなんて、笑わせてくれますわね。』
エイリもそんなことを言うと、サンダーヘッドが通信を入れてくる。
「私語を慎め。思念波通信もだ。」
『It can't be helped.マスターと話すしかなさそうね。』
いっせいに6機が無線封鎖。ウェインはかなり暇だ。
「・・・ラーズグリーズか。俺か奴らかどっちかってことだな。」
『絶対にこっちです。どこぞの大型潜水艦なんかに負けないです。』
「だよな。」
確認するかのようにウェインが言う。
フェザー隊は制空任務で空対空装備。ウィンド隊の僚機はASM-2を6本とAAM-5を2本搭載。
ウェインのEFタイフーンにAM610対戦車バルカンとクラスター爆弾6個、AIM-132が4本となかなかの武装だ。
「敵潜水艦?タイフーンがなぜここに・・・?」
巡航ミサイルを大量に装備したユーク海軍の原子力潜水艦、タイフーンがなぜかいる。
一体何が・・・その途端、本土からの士官、ミッチェル中佐が報告を入れてきた。
「潜水艦がリムファクシに敵機襲来を伝達した!1分以内に攻撃を開始せよ!」
「なるほど・・・まぁいい、行くぞ!」
フルバーナーで向かえば15秒くらいでたどり着く。そこにクラスターでもぶち込めば何とかいけそうだ。
「ばれちまったんだ!しゃべるぞ!」
『遅いですわ。何をしゃべることがありまして?』
ダヴェンポートがエイリに突っ込まれたが・・・かまわずにF-22AとF-23Aがタイフーンに続く。
タイフーンがクラスター爆弾を投下。艦中央部に炸裂したがダメージはほとんどなさそうだ。
ASM-2を発射する前に敵艦が潜行・・・かなり熟練しているようだ。
「こちら潜水艦隊司令部。クラブハンマーが撃破されて守備隊が苦戦している!散弾ミサイル発射を要請する!」
「こちらリムファクシ!水中発射が出来ない・・・注水管が故障した!復旧まで20分もあればできる!」
「かなり陸上部隊が苦戦している!20分も待てない!」
どうやら、甚大なダメージを与えてくれたようだ。
潜水艦はすこしのダメージが命取りになる艦船、その特性はリムファクシも同じのようだ。
「緊急浮上!急げ!FX-10Aを射出しろ!」
リムファクシの艦首が氷海から突き出し、艦全体が浮上・・・同時にFX-10Aを射出する。
円卓でオーシア軍を苦しめた無人戦闘機。無茶苦茶に強いと見てかからなければならない。
「デスティニーは俺達で叩く!ウィンド隊、リムファクシを集中攻撃だ!」
「了解!」
このためにフェザー隊は制空装備を整えているし、ウェインもAIM-132を搭載している。
まずウェインがクラスター爆弾を投下、同時にエッジがASM-2を発射。
とりあえず直撃させたが、すぐに潜行してしまう。
しかも、潜行前に散弾ミサイルを北部方面に発射したのだ。
『遅かったです・・・!』

「あーあ、向かっていったか。」
こともなげにクラウスは言うと。FX-10Aを追撃する。
『何て動きするのよ!このUninhabited machine!』
「・・・つらい相手だ!Fuck you!」
FX-10Aの機動に追随、一瞬の隙を突きM61A2を連射。
敵機の燃料タンクに引火させ、爆発させる。
『ナイスキル・・・けど、暴言は余計よ。マスター。』
「・・・いいじゃないか。別に。」
『Stop is!やめて頂戴。』
どうやら、フェメナにはこれが嫌らしい・・・が、クラウスは気に入っている。
「It can't be helped・・・解ったよ。」
『・・・もういいわ。空戦をやって頂戴。』
あっさりフェメナはあきらめ・・・次の目標を見つける。
『FX-10A、距離8700に。』
「ロックオン・・・フォックス・スリー!」
F-22Aを追撃しているようなのでAIM-120Cを発射。
うまくFX-10Aを捕らえ、チャフにだまされずに直撃・・・爆発させる。
「助かった、ランツェ!」
「後でおごれよ。AIM-120Cの代金だ。」
そんなことを言いながら水面を見ているが、敵はミサイルを撃ってこない。
かなり暇だ・・・対空兵装しかもっていないフェザー隊にとっては。

「陸上部隊に甚大な被害!」
「・・・ウィンド隊を信じろ!ラーズグリーズの凶風を!」
あれはミッチェル中佐の声・・・なかなか信頼してくれているのか。
まぁ、表向きかもしれないがその信頼にはこたえるべきだろう。
「おい、散弾ミサイル発射機は大丈夫か!?」
「ダメだ・・・爆発の衝撃で射撃管制システムがやられた!上の奴らに向けるぞ!」
「ああ!」
その途端にリムファクシが散弾ミサイルを発射する。
「リムファクシ、散弾ミサイル発射・・・ウィンド隊、フェザー隊!狙われているぞ!」
「高度5000か!?」
『対空信管にセットされてるです・・・8000以上に!』
「よし・・・急げ!急ぐんだ!」
タイフーンに続きF-3Aの3機編隊が続く。
F-23AとF-22Aも上昇を終了・・・MLS機だから真っ先に気づいたのだろう。
「各機、弾着に備えよ!」
信管が炸裂、大爆発を起こしたがこっちには被害はない。
「・・・奴さえ撃沈すれば、散弾ミサイル攻撃はなくなるんだな・・・」
カーシェが下を見下ろしながら言うと、それにグリムも続く。
「そうですね、カーシェ中尉。戦争終結も早まります。」
『わたくし達は休暇ですわね。いいこと尽くめですわ。』
最後にエイリもつなげると・・・ウィンド隊が逆落としに降下、ASM-2を発射する。
それがリムファクシに命中し、あちこちで爆発を引き起こさせる。
「バラストタンク損傷!潜行できません!」
「やはりラーズグリーズは本当だ・・・ラーズグリーズの凶風は本当だったんだ!」
「あれは撃てば落とせる戦闘機だ!作り話なんか信じるな!」
「じゃ、この損害は何だってんだよ!?戦闘機6機相手にデスティニーがやられこっちも甚大なダメージだぞ!?」
リムファクシ搭乗員が動揺している隙をつき、ウェインは一気にクラスター爆弾4個を投下する。
それが艦を貫通し、内部で爆発を繰り返す。
「最後の1発だ!撃て!奴らを叩きのめしてやる!」
「了解!」
最後の散弾ミサイルが発射・・・だが、散弾ミサイルと色が違う。
どこかでウェインは見たことがある・・・あれはエルジア製の確か・・・
「SH弾頭だ!」
『SH弾頭ですか!?』
ストーンヘンジ弾頭の略称・・・本気でこっちを落とそうとしてきているらしい。
しかもユークが手を加えている、絶対にこんなのが直撃したら撃墜は免れない。
「着弾まで10秒!早く離れろ!」
『Jesus!どう離れればいいのよ!?』
ストーンヘンジの殲滅範囲など、誰も予想できない・・・
とにかく、逃げるしか出来なかったのだ。
「着弾に備えろ!」
「・・・っ!!」
SH弾頭が炸裂、同時に広範囲に断片が降り注ぐ。
タイフーンも衝撃に包まれ、強い光が周囲を覆う・・・

「・・・員退艦!総員退艦!」
リムファクシ乗員の声でウェインが気づくと・・・リズを呼ぶ。
「リズ、状況は?」
『強い衝撃を受けたです。けど、損害は右翼だけで済んだです。5機すべて無事です。』
「よかった・・・何とかなったようだな。」
肝心のリムファクシはあちこちから煙を噴出し、救命ボートで脱出していく。
もう、あの艦船に戦闘能力はないだろう。
「・・・リムファクシ。君達が相手にしているのはラーズグリーズの凶風のようだ。」
「ラーズグリーズとは我等ではなく、奴等のことだったのか・・・俺達の時代も終わったのかもしれないな。」
「艦長、退艦願います!」
「うむ・・・」
救命ボートが脱出、先ほど警戒していたタイフーン級原子力潜水艦に救助された。
ここまで狙う必要はないだろう。そう思ってウェインは撤退する。
「任務完了、RTB!今日はウィンド隊最高の戦果だ!」
「了解。生き残ったな、ウィンド01。」
1名の犠牲者もなく、リムファクシだけが撃沈された戦闘・・・
これがラーズグリーズの悪魔の仕業といわれるようになるまで、時間はかからなかった。


「遅かったか・・・」
ジェラーヴリク隊が到着したころには、もうユーク陸軍は壊走していた。
ヴィクトールはため息が出る思いだった。
「・・・隊長。何で俺達がリムファクシの支援に迎えなかったんですか。行けば・・・」
「その話はもういい・・・ヴィクトール。仕方ないんだ。リムファクシが陸上部隊を食い止めている間に俺達がエース部隊を撃滅する計画がこのざまだ。」
仕方なさそうにセルゲイが言うが、ヴィクトールは煮え切らないものを感じていた。
ここで支援してもどうにもならない。対空装備しか持っていないのだから・・・
『・・・悔しいよ。マスター・・・』
「リェース・・・終わったんだ。この作戦は。」
『そうだね・・・でも、ボク達、これから・・・』
戦力温存の名目で第一線引かされるだろう・・・が、そんなことにはなりたくなかった。
この手でオーシアの連中に一矢報いなければ気がすまない。
「結局、燃料を損してくたびれもうけって訳か。つまらないな・・・」
「もうよせ、ヴィクトール。俺も悔しいのは同じだ。けどな・・・」
「戦力温存してどうなる?まぁ、冬将軍到来まであと1ヶ月もないがそのまえにシーニグラードに突っ込まれるぞ!俺達にその力がありながら・・・使うことが許されないなんてありかよ!」
真剣にユークトバニアと言う国家が好きなのがヴィクトールだが・・・セルゲイはどうでもいいような雰囲気だ。
だからこそ・・・怒っているのだろうか。
「・・・俺が上申して、ラーズグリーズ奇襲案を出す。それまで耐えてくれ、ヴィクトール。」
「信用していいんだな?」
「ああ・・・無論だ。」
戦力を逆転させるには、ウィンド隊を始末する以外にない・・・
セルゲイは痛いほどそれが解っている・・・解っていてどうにも出来ない。
「・・・任務終了。RTB。」
ジェラーヴリク隊は機首を翻し、そのままクルイークへと帰還する。
が・・・ヴィクトールは悔しさで一杯だった。
『マスター・・・』
「リェース、何も言わないでくれ。俺は・・・」
落ち込んだ表情で帰還・・・ジェラーヴリク隊は不完全燃焼のまま帰還する。


サンド島空軍基地 1600時
デミトリ・ハインリッヒ・・・元ベルカ空軍第7航空師団第51戦闘飛行隊、インディゴ隊隊長。
鋭く優雅なその飛び方から『藍鷺』と呼ばれたエース。
今はここで整備員をやっているが・・・空戦の腕前は衰えていない。
「5年前のドキュメンタリーの真似してどうするんです?」
「あ・・・いえ。」
「原子力潜水艦を撃沈したエースは無効ですけど・・・マスターに何か用ですか?」
「・・・聞き忘れたことがあったんです。バートレット大尉とどこで知り合ったんですか?」
ジュネットは、どうしてもそれが気になっていたようだ。
すると・・・デミトリが話し始める。
「これと言って何もない。ただ・・・JAS-39C付きで空軍に入隊したいと言ったらここに着ただけだ。まぁ、9年も付き合えばb仲良しにもなる。何か特別な用件でもあるのかな?」
「いえ・・・ただ、あなたの経験はかなり頼りになっている思います。インディゴ隊といえば、15年前の戦争を知っている人ならば誰でも知っている名前。それからくる助言が、彼らを支えていると思います。」
「・・・そういってくれるとありがたい。私も、ここで何をしているのか・・・何が出来るのかと時々思う。」
「彼らの任務は、危険な綱渡りです・・・それも、いつ切れるかも解らないロープの上での。彼らの力になって欲しいんです。」
「・・・私でよければ、協力しよう。」
「微力ながら、私もがんばります。」
そっと、デミトリとミストが乾杯するのをジュネットはカメラに収める。


続く

あとがき
リムファクシの最後の弾頭はストーンヘンジ弾頭というとんでもない秘密兵器でした。
で、クラブハンマーも登場。YFX-12も。あっさりとやられましたけどね・・・
そしてフェメナの暴言がクラウスに伝染。大丈夫だとは思います。
北部方面は少ないですけどね・・・・
では。次回は捕虜収容所奪還で。



 2007/01/19あくてぃぶF-15さんから頂きました。
秋元 「リムファクシですか。トーネードIDSで撃沈したと記憶してます。だってフランカーだしそこねたんだもの_| ̄|○」
アリス 「……無人機がちょこまかとしてましたね」

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