ACE COMBAT5 The unsung war〜謀略の破壊者・ラーズグリーズ〜




ACE COMBAT5 The unsung war〜謀略の破壊者・ラーズグリーズ〜
第19章 英雄相打つ〜クルイーク要塞攻防戦/バストーク半島制空戦


12/6 1200時 クルイーク要塞
「・・・大儀なき戦い、でありますか・・・」
「嫌だね、お姉ちゃん。」
ジェラとチェカ、リェースが滑走路で空を見つめている・・・
友好国同士だったのが、いつからこんなに憎み会うようになってしまったのか。
両国の友好関係は、たった数回の領空侵犯程度で亀裂の入る脆いものだったのか・・・?
「そうであります・・・日々残留思念を吸い取る数も増えるであります。」
劣勢になった以上、ジェラーヴリク隊には相当な出撃回数が課せられている。
もはや戦力温存などとほざいている場合でもない。この要衝クルイークを落とされまいと必死だ。
先日の攻撃で多くの敵戦車を葬り敵機10機を撃墜。その中に「ラーズグリーズ」と呼ばれる部隊は居ない。
前線にいるのはグラーバク隊。ベルカ戦争を生き抜いたエース集団・・・
近いうちにここにもラーズグリーズが来るというが、それが来たら生き残れるだろうか?
少しジェラは不安になったが・・・首を振ってその考えを消す。
「絶対に倒すであります。同志をこれ以上倒させるわけには・・・」
「そうそう。私も落とせたから大丈夫だと思うよ?」
先日のノヴェンバーシティ空戦でチェカとカラエフがラーズグリーズ3番機を撃墜。
それからユーク軍の士気があがり、ここ最近来ないこともあり何とか抑えている。
このクルイーク要塞で総攻撃を2度も跳ね返した。城門を閉ざし熾烈な銃撃や砲撃を浴びせ撃退。退路を航空支援で殲滅し大きな被害を与え第1師団を撃破。
オーシア軍は各地駐屯軍をかき集め臨時で部隊を編成、総攻撃をかけるという。
この増援を撃破すれば反攻作戦が可能。ユークをオーシアの侵略者から撃退できる。
「だから、ボクもがんばるね。お姉ちゃん・・・負けないよ。」
「そうであります。」
すると、セルゲイがやってきた・・・ジェラはさっそく立ち上がる。
「どうしたのでありますか?マスター。」
「ラーズグリーズ隊が前線に動くとの情報を得た。連中は対地兵装メインでさほどミサイルがつめないからその隙を狙う。空中給油後、このポイントを通過することがわかっている。」
バストーク半島。基地もレーダーすらも無く空戦には絶好の場所。ここでラーズグリーズを葬る算段だ。
高い山脈はミサイルを巻くのに絶好のポイント。マニューバーキルも可能だ。
「同志大尉、いよいよですか・・・」
セルゲイも来た・・・いよいよやるということだろう。
「ああ。この手でラーズグリーズの凶風を葬る。連中のせいで散った同志に報いるためにも。出撃準備だ。行くぞ。」
「あ、了解であります!」
ジェラとチェカ、リェースも格納庫に向かう・・・セルゲイは兵装を整備員に指示し、機体を調整している。
武装はAA-12を6本とAA-11を10本。エースがメイン故にアダーの数は少なめだ。


サンド島空軍基地 同時刻

「案外さびしいです。あの2人がいないと。」
「まぁ、な。」
フェメナとエイリが先発隊としてクルイークに向かったようだが、そうなるとこの基地もさびしい。
こんなとき、いつもチョッパーが明るい話題を提供してくれたが彼も居ない・・・
その雰囲気から抜けきらないところに出撃命令が届く。目標はユーク最強の要塞「クルイーク要塞」。
核兵器サイロを核軍備放棄と同時に要塞に改造したもので、防御機能はかなり高い。
ここの防衛線を突破するのが目的だ。
「・・・あいつは居ないと、どうにもさびしいな。
ウェインはある種の喪失感をまだ引きずりながらも武装をチェックする。
クラスター爆弾4個とミーティア4本。AIM-132を8本・・・重武装での出撃。僚機のフェアウィンドにはクラスター爆弾4個とAAM-5を8本搭載。クルイーク要塞には飛行場も設置されているため、空戦も考えられるからだ。
「・・・隊長、出撃準備完了よ。」
「こちらもです・・・チョッパー大尉の分までがんばりましょう?」
ナガセとグリムも出撃準備が出来たという・・・ウェインはリズをつれてEFタイフーンに乗り込む。
まだチョッパーのことは引きずってはいるが・・・ユークが原因じゃないとしたら誰なのだろうか。それが不安だ。



クルイーク要塞 1249時
「よし、撃て!」
クルイーク要塞への総攻撃を開始したオーシア軍に対し、要塞砲撃管制官モロゾフ中佐が攻撃を命令する。
同時に道中にあるトーチカから30mm機銃の銃弾や対戦車砲弾が飛び交い次々に戦車を撃破していく。
「ゴルト1より各機へ、状況開始。空を制圧する。」
「了解!!」
カプチェンコが確認したのは敵爆撃機・・・B-2スピリットの編隊だ。
「こちらレイヴン01、敵部隊・・・ゴルト隊だ。支援願う。」
「フェザー01了解、救援に向かう!」
「バーディ07了解。行くぞ!」
F-23AとF-22Aが編隊を組み向かってくる・・・後続にF-25Aブラックオウルの編隊だ。
グリューンがフェザー隊をおびき寄せる。カプチェンコは直ちにF-25Aへの攻撃を命令する。
「ゴルト5、4機フォーメーションだ。おびき寄せろ。」
「了解。」
『目標ロックオン。いけるよ。』
AA-11をロックオンし、ヘッドオンでF-25Aに発射。
回避行動をとっている1機を無視しカプチェンコは4番機を追撃。F-25Aは後ろにいる敵機を見つけすかさず回避する。
それが、誘い込む罠だとも知らずに。
「よし、攻撃だ。行け!」
「了解!」
ゴルト2がF-25Aをヘッドオン。GSh-30-1を発射する。
それをF-25Aは急降下で回避するが、待ち構えていたゴルト3がAA-11を発射。撃墜される。
「ゴルト隊だ!敵機のペースに飲まれるな!」
「ダメだ、バーディ3撃墜!」
ゴルト5に誘い込まれた敵機も撃墜。続いてカプチェンコは2機目と交戦する。
「3機編成に変更。ゴルト2と6は敵機を誘い込め。ゴルト5は自由戦闘。」
「了解。」
敵機の実力がそれほどでもなければ3機編成のフォーメーションで十分。カプチェンコはF-25Aをロックオンする。
『距離2400。武装どうする?』
「ガンレンジに持ち込む。行くぞ。」
機体を加速させガンレンジに。レティクルをあわせGSh-30-1を発射。
30mm銃弾が次々に敵機を貫き、爆発させる。

「なんて壮絶さだ!くっ!要塞内部に突破された!!」
「落ち着け!攻撃開始だ!」
城門が突破されオーシア陸軍が要塞に侵入・・・したが、本当に恐ろしいのはここからだ。
要塞内部には大量の砲台があり、侵入者を狙い撃ちできるのだ。
「全く・・・やわいな。」
対地支援に回っているラストーチカ隊はオーシア陸軍戦車を見つけるとクラスター爆弾を投下。
大量の爆弾が戦車部隊に降り注ぎ、次々に破壊していく。
『戦闘ヘリ接近中。RAH-66コマンチです。』
「来たか。」
戦闘ヘリは陸上部隊にとって大きな脅威となりえる。が・・・こちらも方策はある。
艦船から流用したCIWSをあちこちに配備。敵のミサイルやヘリを叩き潰すことも可能だ。
が、それも完全ではない。陸上部隊は性能の勝る戦車に任せベルナードはヘリにミサイルをロックオンする。
「攻撃開始だ!行くぞ!」
『落とします!』
Su-24とMig-21が攻撃開始。セイル、ラーレイに続きベルナードも攻撃を開始する。
「このままシーニグラードまで突っ切れ!!」
「オーレッドまで押し返してやる!!」
両軍の戦闘は継続中。最大の陸戦が繰り広げられている・・・


バストーク半島 1259時
「サンダーヘッドよりウィンド隊、進路を281に向けろ。この戦争は君達さえ居れば早期に終結できると思う。がんばれよ。」
「了解。しかし、打ち解けたな?サンダーヘッド。」
ウェインがそんなことを言うと、サンダーヘッドは落ち込み気味な声で言う、。
「・・・ダヴェンポートの分だけでも明るく出来ればいいと思っている。さて、復帰第1戦だ。」
ウィンド隊の3機はクルイーク要塞へと進撃中・・・だが、何かウェインには引っかかる。
ダヴェンポートの機体に細工した連中が、このまま生き残った自分達を生かしておくのかと。
・・・絶対それはありえない。どこかで襲撃してくるはずだ。とすれば多分このあたり・・・
『・・・マスター、何か来るです。』
「何か・・・来たな。思念波反応・・・こいつは・・・・!」
あの空戦でも強い思念を感じていたユーク空軍エース部隊・・・
間違いない。敵機影3機。こちらに向かってくる。
「警告、敵機接近中!機影・・・3機!空戦装備だ!」
やはりラーズグリーズが狙い・・・サンダーヘッドはそのことを裏付けている。
が、ナガセは落ち着いている・・・グリムはあわててミサイルをセットしたようが。
「見つけたぞ。ラーズグリーズ・・・ここで決着をつけようか。」
「お前は・・・ジェラーヴリク隊!?」
その途端に敵機が散会、AA-12を発射してきた。
ウェインはすかさずチャフをばら撒いて回避。どうやらユークにこの進撃ルートをつかまれてしまったようだ。
『ここで落とすであります。ユークのためにも!』
「うらみは無いんだがな・・・消えてもらう!」
Su-27がEFタイフーンに急速接近、AA-11を発射する。
同時にフレアーでウェインが回避、急激に機体を旋回させるとSu-27の背後に向かう。
「もらった!」
急激に減速、旋回半径を狭めるとSu-27を捕捉しマウザー27mmを発射。
直撃はしないが何発かがかすった。そのままウェインは追撃する。
「ふん。ラーズグリーズ・・・ここで消えるのはお前だ。俺にはジェラがいる。散るわけにはいかないからな。」
「・・・MLS機のパイロットか!?」
「そうだな・・・互いに退くことは出来ない。そして落ちることすら許されない。互いの思う人のため。」
セルゲイが応答すると、高迎え角でのエアブレーキで減速。オーバーシュートしたのをみて機体を立て直す。
「ラーズグリーズ。お前と飛ぶ空は平和なものでありたかった。この戦場にお前の飛び方は似合わない。」
GSh-30-1を積極的に連射。セルゲイはウェインを追い詰めていく。
すかさずウェインが右に旋回。急激な旋回にセルゲイは喰らいつけず、そのまま加速して距離を離す。
「賢明な判断をしたな・・・」
無理に喰らいつこうとすれば、ヘッドオンで叩きのめすつもりだった・・・
ウェインはさすがエースだとつぶやくと、AIM-132をセットする。
『敵機、ヘッドオンです!突っ込んでくるです!』
「Mig-29!?あいつか!」
Su-27はナガセに向かい、代わりにMig-29が相手をしてくれるようだ。
奴は、確か・・・チョッパーを落としたあいつだ。
「・・・相手は俺だ!」
「俺は3番機のようには行かない。覚悟しろ。」
不思議と憎しみはわいてこない。にくいのはコンソールに細工したどこかの連中だ。
正面からGSh-30-1を発射するが、当たっていない・・・こちらのマウザー27mmも交わされているが。
『・・・憎くないですか?マスター・・・』
「どうした?リズ。」
『3番機を落とした相手によく平常心を保っていられるです。いくらなんでも。』
「・・・この前言っただろ?コンソールに誰か細工したと。空戦で落とされたのは技量のすべてを尽くした上での結果だ。だが・・・小細工をして殺そうとする奴は腹が立つ。」
『ですか・・・』
「ま・・・一番の理由は、大事なリズに黒い意識見せて苦しめるわけにも行かないだろう?」
急激にEFタイフーンが旋回、Mig-29を追撃する。
MCはマスターの憎悪や怒りなどにもかなり敏感に反応する・・・ウェインはそれを知っていた。
その怒りをぶつける相手は、黒幕しかいない・・・この戦争を仕組んだと思われる。
「鋭い・・・!」
「腕前はいいが・・・機体の性能が悪かったな。」
急激にローリングなどを繰り返すが、はっきりと読める。
Mig-29・・・とりあえず3番機の敵はとらせてもらう。ウェインはトリガーを引き27mm機銃を発射。
主翼にかすったがたいしたものではない。Mig-29が回避すると後ろにSu-27が。
『チェカに手出しさせないであります!!』
「落ち着け・・・ったく、行くぞ!」
「助かりました!」
なかなかいい連携・・・ウェインはそう感じずには居られない。
グリムとMig-31はかなり遠くで戦っている。知らない間に引き離したのだろう。
「・・・来る!」
ロールしてすかさず減速、Su-27は引っかからずに急激に旋回する。
そして捕捉・・・マウザー27mmを発射するが直撃しない。垂直尾翼を掠めた程度だ。
『さすがであります・・・ラーズグリーズの凶風・・・』
『ユークの白鶴、さすがです・・・気を抜かずにやるです!』
が・・・いきなりミサイルアラート。遠距離からミサイルが飛来する。
そしてレーダーにECMが・・・何かあったようだ。
「ECM!?いったい何が・・・!?」
グリムまで驚いている・・・それよりも敵のパイロットも驚きを隠せない。
ということはユークの妨害工作ではない。そしてチャフをばら撒きミサイルを回避。
だがあのミサイルはAA-12じゃない。ミーティアAAM・・・
『敵意がたくさん・・・総数14機です!』
「14機!?」
その途端に救援信号が鳴り響き、いきなりサンダーヘッドから無線が来た。
「・・・ちら・・・ダーヘッド・・・撃墜された!脱出・・・・・」
「何!?」
E-3Cが煙を吹きながら墜落していくのが見える・・・パイロットは脱出したようだ。
それよりも敵機がいる。機影は黒のFX-10Aが2機とトーネードADVが6機、EFタイフーンが6機だ。
「ユーク空軍じゃないのか!?ラーズグリーズ、どうやら両方狙われているようだ・・・!」
「一旦休戦か?白鶴。」
「ああ・・・そうだな。」
機影の国籍マーク不明。黒の機体14機とジャミングしているトーネードECRが2機いる。
この機体はどこかでの主力航空機のはず。確か・・・
「グラーバクより各機、ラーズグリーズと白鶴を逃すな。殲滅せよ。ベルカの明日のために。」
「了解、殲滅します。」
ベルカ空軍機・・・道理でユーク空軍機でもオーシアでもない理由がわかった。
となれば、3番機の敵はこのベルカだろう・・・小細工をしたのも、増援をとめたのも。
それをとめたのはジルファルコン・・・連中も敵勢力についている。
「エッジ、アーチャー!対地兵装パージして敵戦力を落とせ!敵機はベルカ空軍機!ユーク軍機に手出しするな!」
「了解・・・そういうことだったのね。この戦争拡大も・・・」
「ああ!殲滅して撤退だ。連中はどこまでも追って来る!」
こいつからから逃げ切るなど至難の技だ。撃墜するのも難しいが攻撃をかわしながら逃げるよりは勝算はある。
先ほど空中給油は終えたから燃料だけはたっぷりある。じっくりと殲滅し燃料がやばくなってから逃げればいい。
もう要塞攻略どころの騒ぎではない。こいつらを撃墜しサンド島に帰還するのが先決だ。
クラスター爆弾を投棄し、真正面から敵編隊に突っ込む。
『ミーティアAAMセットです、距離6700。』
「よし、フォックス・スリー!」
ミーティアAAMを発射し敵編隊の散会を狙う。編隊を組まれてかかってこられると厄介だ。
同時にユーク軍機がAA-12を発射。EFタイフーンを2機撃墜するが大半が買わされてしまう。
数では不利。技量は同等。機体性能はほぼ互角、ややこちらにアドバンテージか。
「要塞を落とされては戦争が終わってしまう。故に貴様らに落ちてもらわないとな。」
「・・・イレギュラー要素は抹消する。それがベルカ公国の意思だ。」
トーネードADVが後ろに2機張り付いてくる・・・ウェインはすかさずSu-27にヘッドオンする。
「何のつもりだ?」
「受け取れ。手土産だ!」
「そうか。ならば俺の手土産も受け取ってもらう。」
Su-27の後ろにいるEFタイフーンをロックオン、ウェインはAIM-132を発射。
同時にSu-27がAA-11を後ろにいるトーネードADVに発射。すれ違いざまに3機が葬られる。
『ベルカ万歳・・・・っ!!』
『くっ、ラーズグリーズめ・・・!!』
2人の残留思念・・・トーネードADVのようだ。
すかさずウェインは期待を建て直し、周囲を確認・・・グリム機の後ろにトーネードADVがはりついている。
明らかに機体性能は劣っているのに、それをカバーできる技量がある。ベルカンエース・・・かつてオーシア空軍を散々に苦しめた最強のエースたちだ。
世界の空軍を語るなら、まずベルカについて知れ。次はISAFだといわれるほどの強さだ。
『見事な連携であります。味方にすれば心強い存在ですね。』
『・・・敵同士です。今のところは。』
『お姉ちゃん、後ろに敵機!』
Mig-31がEFタイフーンの追撃を受けている・・・すかさずSu-27がMig-31の救援に向かう。
「8492より第17航空隊、了解。殲滅せよ。」
8492・・・どこかで訊いたと思いウェインは頭をめぐらせる。
『査問委員会送りにした憎き友軍部隊です。あの一度ぶん殴ってやりたい・・・』
「連中もベルカと・・・!?ということは・・・」
査問委員会の連中もベルカへの内通者がいると間違いない。となればこの戦争は仕組まれたものだ。
上層部同士でユークとオーシアがいろいろやって・・・そして戦争を長引かせようとしたのだろう。
ただ、シンファクシとリムファクシがやられたこと。そしてオーシアエース部隊が異様な力を持っていたためこの計画が頓挫した。
「連中から見れば、俺たちは「イレギュラー」か・・・」
『生きるです、生きてハミルトン大尉に知らせて何とかしてもらったほうがいいです。』
「ああ・・・らしいな。」
背後に回ったEFタイフーンめがけ、ウェインはオーバーシュートを試みる。

「・・・さすがか!これが連中の腕前・・・」
カラエフはMig-29で執拗に追撃を繰り返すが、FX-10Aは高軌道を繰り返して回避する。
『何でここにベルカがいるの・・・!?』
「いるから居るんだ!早く落とさなければ・・・!」
FX-10Aが隙を見せた・・・一瞬だけ軌道が鈍ったところにカラエフがGSh-30-1を発射。
直撃した無人機は木っ端微塵に吹き飛び、山脈の間に消え去っていく。
『マスター、ジャミングしてる敵機がいるよ!トーネードECRが2機!』
「わかってる・・・これは・・・!」
そのトーネードECRですらユーク国内のエースをはるかにしのぐ技量だ。
すると後ろにFX-10A・・・こちらを追撃してくる。
「支援します!」
「・・・お前は!?」
ラーズグリーズ3番機、アーチャーが後ろに行きFX-10Aを引き離す。
油断したトーネードECRめがけカラエフはAA-11を発射。うれしい誤算だ・・・まぁ、本人の内心は複雑だろうが。
フレアーを射出するが敵機にミサイルが直撃。すかさずベイルアウト。
「・・・があった!?・・・ズ・・リー・・・答せよ!繰り返・・・・」
長距離からの無線は大半がジャミングで無効化されている。だいぶ聴こえるようにはなったが、まだ1機いるようだ。
「ありえない・・・我が最強の空軍がオーシアやユークごときに・・・」
「甘く見すぎたな・・・終わらせる!」
AA-12を遠距離にいる隊長機らしきEFタイフーンに発射。
F-3Aの追撃を受けているところにミサイルが直撃し、爆発。墜落していく。
『なんてことだ・・・うそだろ・・・!?』
残留思念が響いてきた・・・が、もう敵はいない。これで終わりのようだ。
すると、ラーズグリーズも撤退していく。これ以上の戦闘は出来ないと思ったためだろうか。
『鮮やかな引き際だね。ボクもそうしたい気分だけど。』
「隊長、追撃しますか?」
ヴィクトールが進言するが、セルゲイは首を振る。
「あわてるな・・・次も敵とは限らんだろう。」
意味ありげな台詞を残し、セルゲイはクルイーク要塞へと帰還する。
すると、通信が回復した基地司令部から連絡が入ってきた。
「クルイーク要塞の防衛を完了した。敵攻撃部隊は全滅!反攻作戦を開始する!」
ユーク最強の味方冬将軍とともに、ユーク陸軍は反撃を開始するようだ。
ラーズグリーズを当てにしているためかオーシア軍はろくな防寒装備をしていない。おそらくここからはユークの一方的な勝利が続くだろう・・・

「・・・辛かったな。何とか帰還できる・・・」
ウェインは僚機の無事を確認・・・燃料もしっかりとある。
航法はとりあえず覚えている・・・近くの空軍基地に連絡し、サンド島へのルートを教えてもらった。
アクシデントによる帰還。それも仕方ない・・・ラーズグリーズも万能じゃないのだから。


サンド島空軍基地 2300時
「・・・やはりな。ずいぶんと疲れた・・・」
クルイーク要塞攻略失敗。そのためフェザー隊はサンド島に帰還してきた。
ラーズグリーズが出現しなかったのは途中で国籍不明機に襲撃を受けたらしい。
「何かあったようですわね。国籍不明機ということ自体・・・」
「そうみたいだな・・・変な話だ。」
国籍不明機というところからして、ユーク以外の勢力と交戦したらしい。
なんにしても変な話だ。ラーズグリーズに一泡吹かせるだけの奴がユークにいるにしても、所属不明機というだろうか?
ベルカ空軍機らしい・・・すると、ジュネットにデミトリが何か話している。
「大統領官邸にハーリング大統領の姿がない・・・と連絡が入りました。」
「やはりな・・・副大統領アップルルースが政権を握っている以上、ベルカの手にオーシアが落ちたと考えて間違いあるまい。彼は旧ラルド派の幹部だった。」
「旧ラルド派・・・ベルカ戦争当時の極右政権で多くの賛同者が居たと訊きます。当時のベルカOKW(統合軍作戦本部)にも大量に居たとか・・・まさか・・・・・」
「そのまさかだ。今のグランダー社の社長はヴァルデマー・ラルド・・・まさに旧ラルド派の党首だった男。だとすれば、この戦争を仕組んだのはベルカ勢力旧ラルド派ということになる。そして彼らは国境なき世界にも加担していた。」
何か危なっかしい話題だが、クラウスは何か思い当たることがあり話してみる。
「そういえば・・・オーシアのグラーバク航空隊。通称8492部隊はベルカ空軍から送り込まれた部隊だったはずだよな?俺も何度かDACTで戦ったんだが・・・連絡将校の中にハミルトンがいたんだ。サンド島に来たときにようやく思い出したんだが・・・」
「ハミルトンが・・・」
デミトリがここまで来たかというと、ミストもため息を突く。
「だとしたら、こちらの行動なんて筒抜けですね。私達はハミルトン・・・今は少佐に何かと相談していました。その情報をベルカに流したら、今回の襲撃もたやすいはずです。ブリーフィングにハミルトン少佐が出席しているんですから。」
「Stop is!ということは、私達の周囲は敵だらけよ。司令は役立たず、おまけに警備兵はハミルトンの言動になら従うわ。」
「そのとおりです、フェメナさん・・・」
すると、ウィンド隊が帰還。MLS機用の第2格納庫にEFタイフーンが入りF-3A2機は第3格納庫に入る。
かなり遅れたが、どうやら機銃などを補給して戻ってきたためらしい。
「・・・渡しておきます。」
ミストがロッカーから包みを取り出し、開けると89式小銃が入っていた。
どうやら警備兵のをくすねてきたらしい・・・
「どこからこんな物騒なものを持ってきたんですの?」
「ベルカが関わっていると訊き、警備兵からいくらか隠しておきました。万が一に備えてのことです。こんなものを使う事態が来るとは予想してませんでしたが・・・念には念を入れてです。」
4丁あるので、カーシェとクラウスで1丁ずつもちミストも持っておく。
すると、グリムが入ってきた。
「どうしたんすか?そんな物騒なものもって・・・」
「もって置いてください。危険ですから。」
ミストにいきなり手渡され、グリムは戸惑っているようだ。
「ハミルトンのところに、隊長とナガセ大尉、リズ少尉が向かいました。今までのことを話すと・・・」
その場に居た全員の顔が真っ青になるのを感じ、すぐにクラウスはフェメナを連れて行く。
「クラウス、どこに行くんだ!?」
「連中にウェインや俺たちの機体を奪わせてたまるか。カーシェ、第2格納庫に行くぞ!」
「な、何が・・・!?」
「エイリをつれて来い、早く!」
戸惑っているカーシェをよそに、クラウスはフェメナをつれて第2格納庫に向かう。
「一応渡しておく。」
「What?どうするのよ。」
「・・・やばいんだ。警備兵を使って格納庫を制圧でもされてみろ。俺達はどうするんだ?」
ああとフェメナは気づき、ハンドガンを受け取る。
格納庫を制圧されたら間違いなく引き離されるに決まっている・・・もしかしたら、このまま分かれてしまうかもしれないからだ。


「石頭の司令はまず無理。ハミルトン副指令に掛け合いましょう?」
「そうだな。」
ウェインとナガセ、リズはそのまま副指令のいる部屋に向かう。
が・・・ウェインはベルトにハンドガンをはさんでいる。それに気がついたリズがウェインにたずねる。
「・・・疑ってるですか?ハミルトン少佐を。」
「わからない・・・が、どうにも嫌な予感がする。まぁ、これを使う機会がないことを祈ろう。」
ルートをベルカ連中に読まれたところを見ると、どうもこちらの航法ルートを見破られたらしい。
ということは、基地内部にベルカ側に突いた人物がいると見て間違いない。そしてブリーフィングを行ったのはハミルトン少佐だ。先日大尉から昇格したらしいが。
ウェインは・・・もしハミルトン少佐が裏切っていたなら裏切っていたではっきりとさせておきたいのだ。
「・・・ナガセ。フェザー隊の連中とデミトリ少尉以外信用できないと思っておいたほうがいい。ハミルトンにあったからと言って、気は抜かないでくれ。」
3人は緊張した面持ちで、副指令の部屋に入っていく。


続く

あとがき
クルイークは陥落させず、ジェラーヴリク対ラーズグリーズで一騎打ちさせそれから8492へともって行きました。
8492部隊に発砲しました。怒られませんでしたね・・・怪しいとわかっていたんでしょうか。
最後の執筆から半年以上経過しているため、作風もかなり変わってます。
いよいよベルカ空軍の影が見え隠れして来ました。
次は銃撃戦の後に脱出。では。



 2007/09/15あくてぃぶF-15さんから頂きました。
秋元 「次は脱出ですね。そう言えば犬、名前忘れましたが(ぉ)、あの子はGに耐えられたのだろうか」
アリス 「……戦闘機動は執っていなかったかと」

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