ACE COMBAT5 The unsung war〜謀略の破壊者・ラーズグリーズ〜




ACE COMBAT5 The unsung war〜謀略の破壊者・ラーズグリーズ〜
第20章 解き放たれた凶風〜サンド島脱出戦〜

サンド島空軍基地副司令官室 2314時
「今入る、少佐。」
「・・・ウェイン大尉か。」
ノックして部屋に入ると、ハミルトンが待っていた・・・先日昇格したと聞く。
「どうしたんだ?こんな時間に・・・アクシデントがあったと聞いたが。」
「そのことについて、だ。この戦争、ユークのせいじゃなかったとしたらどうなる?」
ハミルトンは一瞬びっくりしたような表情を見せ、それから落ち着いて聞き始める。
それは突拍子もない話を聞いた反応より、むしろ何かを見破られた・・・そんな表情だ。
「だったらどこだ?ウェイン大尉。」
「ベルカ公国残党旧ラルド派。じゃなかったらグランダーの連中。とにかくベルカがらみの勢力だ。」
「・・・ほう。」
やはり表情が変わった・・・ハミルトンについて何か怪しいと思っているらしい。
「国境なき世界のメンバーと通じてオーシア、ユーク上層部を操り戦争を起こしている。ベルカ公国の戦闘機が飛来し俺たちを襲撃したということは、連中はパイロットなど兵力も保有していることになる。無人機も無論のこと。」
「では、どうするべきだと思う?」
「オーシア側から和平交渉を持ちかけ、ユーク支配権を放棄。しかる後にベルカ公国の内情を調査して攻撃を仕掛ける・・・これしかないと思うが。」
「具体的だな。」
「ああ・・・そのためには、あんたが邪魔だがな。」
ハミルトンの表情がまた変わり・・・そして高笑いに変わる。
「私が?何故そう思うのだ。私はオーシアの・・・」
「ああ。今日の任務を知っているのは俺たちと少佐、あんただけだ。整備員も、それどころか司令すら知らない任務だったんだ。予想外はジェラーヴリク隊の襲撃だ。連中の襲撃がなければ罠にはまっていただろうな。」
「・・・」
「言えなければ全部言ってやる。お前はベルカの内通者だな?それも・・・そうとう深く絡み合った。」
「何もかも見破られていたわけか・・・なるほどなぁ・・・」
その途端にハミルトンが立ち上がり、机の横に立つ。握っているのはコルトガバメント・・・
が、その前にウェインが銃を抜いてハミルトンに向けている。
「さすが用意周到で読みが深いな、ウィンド隊隊長は。」
「やはり・・・裏切っていたのね。」
ナガセが忌々しげに口を開くが、ハミルトンは違うなという。
「最初からベルカ側の人間だ。オーシアは利用したに過ぎない。貴様に私を批判する権利があるのか?ウェイン・・・ナガセ、リズ・・・貴様らオーシアが、我がベルカを批判できるのか?」
「時間稼ぎか?警備兵が来るまでの・・・無駄だな。ナガセ、持ってろ。」
「・・・わかった。」
ナガセがハミルトンに銃を向けていると、ようやく警備兵が向かってきた。
扉を開ける・・・と同時にリズがいきなり強く扉を閉めてしまう。
先頭の警備兵が倒され、2人目が入ってくるとウェインは横から飛び掛り頭突きで気絶させる。
「形勢逆転だな。おとなしく銃を捨てろ。」
ハミルトンが銃を捨てると、ナガセが顔面を殴りつけて気絶させる。
いくらなんでもひどいんじゃないかといおうとしたが、状況が状況だけに仕方ない。
「裏切り者への当然の報いです。」
「そうね・・・隊長、脱出しましょう。」
リズにハンドガンを持たせ、ウェインは自動小銃を奪うとそのまま廊下を警戒しながら進んでいく。


「やれやれだ・・・陸戦なんて陸軍に任せておけば良いんだが、そうも言ってられないか。」
クラウスは空のドラム缶などを並べてバリケードをつくり、うかつに進入できないようにしている。
銃撃戦を行うなら弾除けなども必要。ウェインがうまくEFタイフーンにいけるように侵入ルートも確保している。
「Interesting!ぞくぞくしてきたわ。」
「やめとけ。そんな生易しいものじゃないっての・・・」
機体を押さえられたらことだ・・・よりによってMLS機を確保されるなんて最大の悪夢だ。
「よし、格納庫を制圧しろ!」
「いいか、もっとおびき寄せろ・・・ぎりぎりまでな。」
警備兵がいっせいに入ってくる・・・すると、フェメナがクラウスにゴーグルを渡す。
「何に使うんだ?これ。」
「Attention!これよ。」
フェメナが持ってきたのはスタングレネード・・・どっから持ってきたのだろうか。
まぁ、それを使えば何とかなりそうだ。クラウスは89式小銃の安全装置を「タ」に合わせる。
「安全装置、はずしとけ・・・そろそろだ。あのBastardに鉛弾ぶち込んでやる。」
「いよいよね・・・」
「そのとおりだな・・・」
すると、こちらに警備兵が向かってくる。
「何をしている!?」
「俺たちの機体がどうなるか確かめておきたいからな。MLS機だからな。」
「早く出ろ!撃ち殺されたいのか!?」
「それはイヤだが・・・お前みたいなのにフェメナを渡すつもりもないからな。」
銃で警備兵を殴りつけ、そのまま気絶させてしまう。
「て、敵だ!」
「Fuck you!これでも喰らいなさい!」
さっそくフェメナが先頭の敵をFN57で狙い打つ。それと同時にカーシェやエイリも射撃を開始。
すかさずクラウスが89式小銃を発射。同時にフェメナがハンドガンを発射する。カーシェやエイリも射撃し時間を稼いでいるようだ。
まず1人・・・敵の銃弾はドラム缶にはじかれている。中身は何も入っていないから引火する危険性もない。
「ま、俺たちを狙おうってのがいけないわけだ。消えな。」
引火する危険性のあるドラム缶を弾除けに使っている敵兵を見て、クラウスがドラム缶めがけて打つ。
思ったとおり爆発。警備兵が大きく吹き飛びいりふちに倒れこむ。映画みたいなシーンだ。
「悪く思うな!」
クラウスは狙いを定め警備兵に発砲。大分数も減ってきた。
すると、裏口から誰かが入ってくる・・・ウェインとリズだ。何とか無事にここまできたようだ。
「クラウス、大丈夫か!?」
「ウェイン、速く行け!仲間は練習機用の格納庫に向かった。後で合流できる!」
「ああ!」
リズをつれてウェインはドラム缶の弾よけをとおり、EFタイフーンにたどり着く。
扉は既に開いている。そのままタキシングしに向かうようだ。
「もういい、カーシェ!行くぞ!」
「ああ!」
EFタイフーンが出た次はF-22Aが出て行く・・・無論エイリも同化して。
最後までクラウスは89式小銃を撃つと、すぐに放り投げて梯子を上がっていく。
が・・・もう敵兵が視力を回復するといきなり自動小銃を発射。クラウスの右腕と肩に命中してしまう。
「ぐっ!!」
『マスター!?』
「いい・・・離陸だ。早く・・・!」
ここで離陸しなければ、多分逃げ切ることは出来ない・・・
すぐにフェメナはキャノピーを閉じてタキシング・・・・腕を負傷したマスターの変わりに飛ばなければならない。
どこに行けばいいのかは解らないが・・・ここよりも安全な場所はあるだろう。ベルカ戦争の時に放棄され、使われていない空港も一部にはあるはずだ。
「く・・・!」
左腕で傷口を縛り付ける・・・持っていたハンカチで傷を縛り、そのままシートにもたれかかる。
クラウスはかなり苦しそうだ・・・が、大丈夫だと言う。
「・・・絶対生きてやる。それに・・・俺がとまったらカーシェやウェインが戻るとかいい始める・・・俺のために、そこまで迷惑をかけるわけには行かない・・・く・・・・」
『Stop is!もういいわ・・・十分よ。私に任せなさい。』
「・・・すまない。」
クラウスは落ち着いたのか・・・そのまま眠ってしまう。機体のコントロールはフェメナが行っている状態だ。
武装は制空装備のまま補充されているが・・・マスターが重傷を負っているため空戦は不可能。
『次であったら、必ず殺してやるわ・・・ハミルトン・・・・』
後ろから練習機が付いてくる・・・JAS-39Cと艦上練習機T-45ゴスホークだ。
着艦は出来るだろうが・・・どうすればいいのだろうか。
「とりあえず北だ。第3艦隊に事情を説明するしかない。」
「大丈夫なのか?」
ウェインが第3艦隊に向かうと言う・・・艦隊は確かに1つの独立国と同じような雰囲気がある。
今のところ第3艦隊はサンド島北方1700kmの位置にいる。所属艦はCVヒューバード、ケストレルと先日戦力不足で強制的に編入された第2艦隊。戦艦改サウスダコタ級グラッセルと巡洋艦タイコンデロガ、ブルーリッジと駆逐艦数隻がいる。
「それより、クラウスは大丈夫か?」
『重傷よ。空戦は不可能ね。』
そうとしかフェメナは答えられない・・・この調子だと死ぬ危険すらある。
とにかく、無事にケストレルまでたどり着いて欲しい・・・フェメナはそれしか考えていない。


0200時 サンド島北方 ガディス列島
「参ったな・・・夜間飛行でこの島か。」
デミトリが発見したのはガディス列島・・・元はオーシアの軍事基地だが今は放棄されている。
それでも10年ほど前までは試験航空機や標的船などを置いて訓練場にしていたが、今では放棄されて久しい。
『敵機確認です、南東から・・・IFFはオーシア空軍、機体はF-15S/MTD。』
『ここで空戦をするわけには行きませんわ・・・練習機と負傷者1名が居ますもの。』
練習機で空戦など不可能。まともな武装をしているのはフェザー隊の2機だけでウェインとデミトリの機体は機銃と短射程ミサイル6本のみ。
敵機は6機編隊。しかもベルカンエース。隙を見せたら終わりだ。
「・・・やむをえないな。夜間でかなり危険だがここを突破して振り切ろう。」
「グラーバク1より各機へ。容赦はいらない。すべての敵を殲滅しろ。」
「恐れないで・・・付いて来い。絶対に出来るはずだ。」
JAS-39Cが高度を落とし風車の間をすり抜けていく・・・フェメナは6機から憎悪とも呼べる思念を感じ取っている。
それもかなり濃いものを。間違いなく憎悪を放っている・・・EFLシステムだろうか。
それはそうとデミトリもかなりすばやい・・・軌道に癖がなく、それでいて鋭い。
「・・・あの飛び方・・・中佐か!?」
「中佐・・・デミトリ・ハインリッヒ中佐ですか?」
「そうだ・・・藍色の騎士団。敵ながら腕前はすさまじいな。」
飛び方で見破れるベルカンエースもなかなかの腕前なのだろう。
フェメナは無理にグリペンについていこうとせず。最低限の機動でルートを選んでいく。
「アシュレイか。久しぶりだな・・・元気そうで何よりだ。」
「やはりお前がくたばるとも思えなかったがな。」
「そうだな・・・ミストの為だ。君にはずっと解らないだろうが。」
それはそうとレーダーがかなり狂っている。MLSならなんともないだろうが練習機の2人は危険だ。
『レーダーが狂ってるわ・・・どういうことですの?』
『火山性の島です・・・わかりますか?下の輸送船が。』
ミストの言われるがままに下を見る・・・なるほど、古いタンカーが大量に放棄されている。
艦砲射撃の的にされたのをここに放置したのだろう。もったいない話だが・・・
『あれが磁石になった・・・そういいたいのね?』
『ええ。強力な電磁波をだしてレーダーを無効化してます・・・まぁ、彼らには関係のない話ですけど。』
そう、連中はEFLシステム機。こちらの思念に暗い付いている。
が、レーダーでミサイルはぶち込めないだろう・・・その途端にウェインがIRジャマーを放出。これでミサイルは何も使えなくなった。
「残り4発だ。この島を突っ切る。」
その途端に飛行場が見える・・・そしてそこには大量の旧式戦闘機が。
F-4EやF-5E、A-4など・・・今ではもう使われない機体ばかりだ。
「スクラップヤードか・・・これじゃレーダーは無理だな。」
カーシェの言うとおり・・・このままだと他の電子機器にも影響が出そうだ。
すぐにフェメナは電子機をチェック・・・大丈夫。この調子ならまだいける。
『・・・危ないです。こんなところを通るなんて。』
しっかりとEFタイフーンやT-45ゴスホークは付いていく・・・その後をF-22とF-23Aが追っている。
グリペンの機動をそのままトレースできるウェインの腕前はなかなかだ・・・僚機はついていけず、最短ルートで追いついている。
「敵機が降下してくる・・・ガンキルを狙うつもりだ!」
「鈍っていないと見える・・・何とか振り切れ!」
F-15S/MTDの編隊から2機向かってきた・・・隊長機のアシュレイと僚機1機だ。
ウェインとカーシェがすぐに応戦・・・その隙にフェメナは逃亡する・・・やむをえない。マスターがこんな状況だから。
「後を頼む・・・必ず合流する!」
『It can't be helped・・・けど、必ず戻って来なさい。』
「ああ・・・行くぞ、リズ!」
『行くです!』
他のF-15S/MTDは上空からこちらを狙っている・・・低空飛行のため手出しできないと言った状況だ。
グリペンは練習機を先導し洞窟へともぐりこんでいく・・・フェメナもそれに続いていく。
「・・・く・・・・!」
『まだ無理よ、マスター・・・寝てて。』
「わかった・・・・悪いな・・・・・無理させて。」
傷口の痛みで起きたと言うところだろう・・・だが、操縦を任せられるほど回復はしていない。
「ついていくだけでも精一杯だ。こんな飛び方、僕じゃできない・・・」
『Shut up!弱音なんて聞きたくないのよ。がんばりなさい。』
弱音を吐いたグリムをフェメナが叱咤すると、そのまま進んでいく・・・
少々遅れてEFタイフーンとF-22Aが到着。その様子だと撃退したようだ。
『案外速かったわね。どうしたの?』
『敵機が接触事故を起こして墜落したです。脱出したですが・・・』
非常に幸運というべきだろう・・・が、無線が届いていないせいで4機は撤収していない。
それでも連中はEFLを扱いこなせていない。IRシーカーから身を隠せばあっさりと逃げられるはずだ。
「よし・・・逃げ込もう。あの潜水艦補給基地へだ。」
入り口にクレーンがあるから突入は難しそうだが、うまくすれば振り切れる。
『アクション映画張りね。やってみるわ。』
グリペンの後ろにF-23Aが続く・・・EFタイフーンなどもクレーンに引っかからずに突入に成功。
が・・・良く見るとウェインがクレーンをマウザー27mmで破壊してきたようだ。
「邪魔だからな・・・ところでクラウスは無事か?」
『今のところはね・・・でも長くは持たないはずよ。』
急がなければ鳴らない・・・だがあせったら接触して爆発。それは危険すぎる。
基地内部は非常に暗いが通れないほどでもない。そして反対側に抜ける・・・敵意はない。
ようやく振り切った・・・これで助かったようだ。
「助かった・・・待て、ケストレル!?単艦でここまで来ていたのか!?」
良く見ると発光信号が出ている・・・これで助かったようだ。
しかし、どうしてここに脱出することを知っていたのだろう?
「発光信号解読・・・――信ジロ、着艦セヨ――以上!」
T-45は艦上練習機だから着艦可能。前の改造でF-22A、F-23Aとグリペンも着艦できる。
その途端にアングルドデッキにライトが灯る・・・本気で着艦しろと言っているらしい。
「フェメナ、先に下りてくれ。クラウスが心配だ!」
『解ってるわ。マスター・・・』
『フェザー01、着艦許可を出す。』
フックをだし、2本目のワイヤーでアプローチ・・・少々あせったためか。
それよりも緊急事態だ・・・整備員が近づいてくるとフェメナはすぐに実体化する。
「Hully up!!マスターが銃弾を受けて倒れてるのよ!!」
「わかった!早く担ぎ出せ!担架を用意するんだ!!」
整備員が大急ぎでクラウスを担ぎ出すと、救護班がすぐに担架に乗せて運んでいく。
すぐにフェメナはその場をどいて離れる・・・続いて燃料の用量が小さい練習機が着艦。
居ても経っても居られず、フェメナは医務室へと駆け込んでいく・・・

「いつやっても着艦だけは慣れないな。相変わらずだが・・・」
『元が空軍です。仕方ないです。』
何せ空母は動く。それにアングルドデッキは斜めに出来ている。
気流とかバランスの都合はあるだろうが、もう少し広く作ってほしい・・・予算は間に合わないか。
「そういえば、何でケストレルがここにいるんだ?第3艦隊はもう少し北にいるはずだが、戦時中に領海内とはいえ単艦とは・・・」
いや、良く見ると駆逐艦が居る。イージス艦アーレイ・バーグ・・・何年か前に見たときよりも何か大規模に改造されている。
ここ最近は艦隊決戦が主流のためオーシアは戦艦改サウスダコタ級4隻を建造。同時にISAF海軍のリシュリュー級を越えるワシントン級まで建造しているらしい。
ユークはすでにソビエツキー・ソユーズ級5隻がある。ユージア大陸戦争以降は艦隊決戦がミサイルから戦艦の艦砲射撃戦に変わってしまった。おまけに魚雷まで出てきている。
ミサイル迎撃能力が高い最近の艦船相手ならば、逆に主砲でぶっ飛ばせばいいということか。
戦艦の主砲なら弾の数が多い。数が限られたミサイルだと撃ち尽くせば終わりになってしまう。
アーレイ・バーグも15.2cm砲を搭載した軽巡洋艦として生まれ変わっている。船体を延長し搭載したようだが。
「まぁ、いいか・・・とりあえず、眠いし俺は寝る。」
「わかったです。明日、アンダーセン艦長に会うはずですし。」
リズをつれてウェインは部屋に向かう・・・無論、クルーに案内されての話なのだが。


翌日 CVケストレル艦橋(カーウィン島近海) 1400時
「・・・良く来てくれた。ウィンド隊隊長ウェイン大尉、フェザー隊隊長代行カーシェ中尉とデミトリ・ハインリッヒ大尉。それと・・・」
「従軍記者のアルベール・ジュネットです。よろしくお願いします。」
良く見ると、戦艦や護衛艦が輸送艦から補給を受けている。どうやらこれからの決戦に備えるためらしい。
軽い挨拶を交わすと、さっそくアンダーセン艦長が話を進めていく。
「助けてくれてありがとうございます・・・ですが、何故少数の護衛艦であの近海を?」
早速ウェインが疑問点をたずねると、アンダーセン艦長が答える。
「CVヒューバードのクルーは情報収集のプロが多いわけでしてな。何せ最初から旗艦として建造されてその任務をまっとうするのが目的ですから。サンド島からの通信を受け取り、第3艦隊に来るだろうと思いあの位置で。」
「私からもお礼を言います、名艦長。」
ジュネットもお世辞というべきか・・・素直にほめているような言葉を出す。
すると、アンダーセン艦長はゆっくりと首を振る。
「いや、まったく・・・自分など、負け戦ばかり繰り返してきた男です。」
そうは言うものの、CVケストレルは就役以来1回も被弾したことがない。
アンダーセン艦長はベルカ戦争にもケストレル艦長補佐として乗艦。クルーも殆ど入れ替えがなく結束は強い。
「ですが、ずっと貴方が乗っている限り被弾したことはありませんよね?」
「いえいえ。パイロットが戻ってきません・・・作戦ごとにエース部隊や対空砲火の奇襲を受けて酷いときは10機も戻ってきませんでした。今では作戦機はジャマーのみ。先日まで戦っていたスノー大尉も撃墜されて怪我を負い、今は休んでいる途中です。」
それほどまでに悲惨だったらしい。そしてここで休養の途中だという。
「・・・まぁ、それより・・・実は我等もこの戦争の黒幕に気づきましてな。ヒューバードの乗員は優秀で、すぐに不審な信号をキャッチし解読してくれました。」
すぐにジュネットがテープに録音したのが見えた・・・ウェインはそのまま話を聞く。
もともとケストレル級空母は旧式空母や他の艦隊をまとめる旗艦のために製作され、情報運用能力が非常に高いこと。
そしてベルカ側の通信を傍受。そうやって黒幕に気づいたことも・・・
「で、何をするんですか?わざわざ俺を呼んでおいて。」
「ウィンド隊3番機にリュートを合流させて欲しい。まずはそれだ。もう1つは・・・大統領はベルカにさらわれ、古城に幽閉されているらしい。近いうちに救出するので作戦を頼む。」
「わかりました。」
ウェインはあっさりと承諾するが・・・はっと気づき艦長に言う。
「ですが・・・ウィンド隊の2名は練習機。機体は向こうにおいてきました。作戦機はジャマーしかないのに大丈夫ですか?」
「ご心配なく。先日輸送船を2隻拿捕した。グランダー社がオーシアとユークに送る予定の機体と予備の武装、パーツも入っていた。タイフーンのエンジンを改良する予定だが、どうだね?」
「わかりました。改造をお願いします。」
それなら大丈夫だが・・・ウェインがうなずくと、デミトリ大尉が話を続ける。
「武装はISAFから支給品が届いた。どうやらISAF、ウスティオはベルカの動きを察知したらしい。だからこの近海にある海軍基地を拠点として当分行動する。いずれISAF側からも艦隊を回す予定だ。」
「ISAFから?またどうして・・・」
「ベルカ戦争ではファーバンティ沖に揚陸されたこともある。相当神経を尖らせているのだろう。」
ウスティオも同じ。ベルカ残党勢力の動きには逐一気を配っている。
裏で動いている勢力はまだ特定できていないが・・・どうやら核兵器を持ち出してユークにも運ぼうとしているようだ。
「以上だ。退室を許可する。」
「了解です。ご期待に添えるだけの活躍はして見せますよ。」
ウェインはカーシェとともに階段を下りて行き、途中で彼の様態を聞く。
「どうなんだ?あんたの隊長は。」
「救出作戦は2日後。それまでには万全になると言ってたな。治りが早いほうがいいとか行って、砕けた骨を全部人工のに変えたらしい。容態は安定してる。フェメナがずっと付きっ切りだからな。」
「あいつが・・・案外良いところはあるんだな。」
暴言とか吐きまくっていても、クラウスとは上手くやっているようだった・・・よっぽど不安なのだろう。
「エイリもうるさくてな。フェメナがかまってくれないって。ああ見えて仲はいいんだよな。」
「そうだな・・・」
階段を下りていくと・・・そこでハーモニカを吹いている人が居る。
彼はどうやら整備員らしい。しかし、かなりいい音色を出している。
「マスター、ちょっと。」
「何だ?」
「機体を決めて欲しいってデミトリ大尉が催促してるです。ナガセ大尉とグリム中尉の。」
「そうだな・・・適当に決めてきて来いとでも言ってやるか。」
それぞれ飛び方に癖があり、それに見合った機体というのもある。
だからウェインは部下の機体を選ぶことはせず、とりあえずどういうのになら乗りこなせるかと言うことをメインにしている。バラバラでも別にかまわない。
「じゃ、ちょっと出向いてくる。じゃあな。」
「ああ。」
ウェインがリズを連れて行く・・・カーシェは暇だからクラウスに顔でも出すかなと思い医務室へと向かう。

「・・・ったく、俺は生きてるよな・・・?」
クラウスが起き上がる・・・痛さで数度目を開けて、そして眠気に負けてまた眠って・・・これを何度も繰り返し、ようやく安定したところだ。
看護士の適切かつ懸命な治療で命は取り留めた・・・前線復帰も2日後には出来るらしい。治療促進剤とか言うものがあったためそれを使っている・・・完治とまでは行かないが、それでも復帰したらそれから飛ぶ。
「ようやく起きたのね。随分と寝てたわ。」
「・・・そうか。まぁ、こうして生きているだけでも感謝しなきゃな。」
フェメナがたっている・・・とりあえず、看護士が他の患者を診ているらしくその場を後にする。
「悪いな。俺としたことがミスって。」
「・・・もういいわ。次から気をつけなさい・・・どれだけ心配したかと・・・・」
「・・・ああ。もう・・・離れないって。安心しろ。」
そうはいっても・・・クラウスはどうしたら良いのかわからない。
頭でもなでるわけにも行かないし、いきなり抱きつくのはどうかとも思う・・・どうすればいいのだろうか?
「・・・ちょっといいか?」
ふと思いつき、クラウスはフェメナの手をとるとその手の甲にキスをする。
「これしかできなくて悪いな。」
「・・・べ、別にいいのよ。私はちょっと外の空気を吸ってくるわ。」
顔を真っ赤にしてフェメナが出て行く・・・クラウスはふぅと一息つくと、F-23Aグレイゴーストの模型を手に取る。
ずっと昔からこういうSFみたいな戦闘機が好きだったのだが・・・フェメナも十分好きだ。あの毒舌も何となく慣れてきた。

続く

あとがき
かなりシチュエーションが変わってしまったミッションですね。撃墜できるわけ無いですし。
スノー大尉はお休みにしてもらいました。スーデントール決戦には出てきますけど。
それと練習機はミッションと変えてません。T-45ゴスホークはあれの艦上機バージョンですから。
次は大統領救出。マリーン・ワンでコールサインは会ってるはず。



 2007/09/15あくてぃぶF-15さんから頂きました。
秋元 「さすがに海に落ちたあと、ヘリで回収! はできませんね。MLS機である以上は。ところでゴスホークってなんか響きがいいよネ!」
アリス 「……ゴスロリ(ぼそっ」

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