ACE COMBAT5 The unsung war〜謀略の破壊者・ラーズグリーズ〜 | ||||||
ACE COMBAT5 The unsung war〜謀略の破壊者・ラーズグリーズ〜 第21章 古城の幽閉者〜シュティーア城救出戦〜 12/9 CVN-05ケストレル 0450時 「あー・・・・ったく、起きろってか。」 ウェインは早速飛び起きて、警報を聞きながら服を着替え始める・・・本当に朝から忙しい連中だ。 そのまま階段を駆け上がる・・・先ほど起きたときに髪とかはといたし顔も洗っておいた。 「早速任務ですか?」 「ああ・・・行くか。」 すぐに階段を駆け上がり、ウェインはブリーフィングルームに向かう・・・もう殆どのメンバーは集まっている。 そこに・・・・何気にマリエルとリュートの姿がある。何故ここに・・・ 「お前、何やってるんだ!?」 「・・・・不本意ながらラーズグリーズと戦えとの命令だ。4機いなければ落ち着かないだろう?」 「そりゃあそうだけどな・・・」 「愚痴は後だ。ブリーフィングが始まる。」 飛行長のデミトリ大尉がプロジェクターを起動させ、早速作戦内容を説明し始める。今回のミッションはかなり難しいらしい。 早速内容を聞く。どれほどのものか・・・確かめておきたい。 「それでは、異存がなければ、航空作戦の指揮は私が 執らせていただく。 ベルカ公国領内において、大統領救出作戦を実施する。 CVヒューバードがハーリング大統領がベルカに 囚われているとの情報を傍受した。 場所はベルカとノースオーシアの国境地帯南端に位置する 古城だ。直接の救出活動はヘリ部隊、ガーディアンが行う。 目標地点の安全確保の後、城にヘリが降下、救出部隊を 降ろす。地上および城内での救出作戦展開中、ヘリは上空で待機する。 救出作戦を妨害する敵勢力の鎮圧、ガーディアン隊の援護が今回の任務である。」 友軍機体はCH-53Eシードラゴン。敵戦力は対空砲ゲパルドと陸上戦車レオパルド2A9。無人戦車らしい。 砲塔部分の装甲を大幅に強化された新型。何かで支援しなければ危険だろう。 「なお、今回ウスティオおよびサピン空軍から支援の航空隊が派遣されることが正式に決定された。決して発砲するな。」 ウスティオはベルカの行動に逐一気を配っている。15年前の戦争では苦戦したから、何としても怪しい計画は先につぶしておきたいのだろう。 しかし誰が支援に来るのだろう?そこだけは気になるが・・・ 「以上、解散。」 気になりながらもウェインは格納庫に向かう・・・リュートのラファールもしっかりと配置されているが、エンブレムは既に書き換えられている。 まぁ仕方ないだろう・・・彼もあまり望んでいることでは無さそうだ。 「で・・・何番機に入れるんだ?速く決めてもらいたいが。」 「3番だ。最後尾だとあんたがイヤだろうし、かといって2番機は・・・」 「あいつか。」 ナガセをリュートは見つめ、あぁとうなずく・・・そんなことだろうとは思った。後はどうするべきか。 「そんなところだ。まぁいろいろあるような。」 「・・・まぁいい。好きに使え。」 「ところでマリエルはいいのか?リズと・・・」 後ろを振り向くが、2人は1回も視線を合わせようとしない。そこまで仲の悪い原因は何だろう? まぁいいとウェインが言うと、手を差し出す・・・リュートもがっちりとそれを握り返す。 「後ろより・・・適度にやってくれ。敵を。」 「・・・・ああ。どうせお前のことだ。好きにやらせてもらう。」 そしてすぐに手を離すと、ウェインは早速EFタイフーンに乗り込む・・・相変わらず機体の調子は万全だ。 リズも機体と同化して計器チェックを開始・・・異常は無い。いつでも出撃可能だ。 「出撃準備完了。エレベーターに上げてくれ。」 「了解。」 武装はミーティアAAM4本とAIM-132を8本。そして対戦車バルカンを搭載している。これで対地支援もおこなえる。 シュティーア城郭北 現地時間0520時 「リュート大尉、後ろにつきます。よろしくお願いします。」 「・・・慣れない編隊飛行だ。」 単独で行動してきたリュートにとっては物足りないが、グリムはしっかりと挨拶をする。 会戦当初に彼らは一度しかあっていない。一応挨拶しておきたいのだろう。 「戦争が始まって最初の戦闘で、あなたに叱咤されたと聞きました。そのとき、まだ僕は補欠で・・・」 「もったいない腕前だな。無茶をするウェインについてゆけるだけお前の腕前も相当なものだ。」 「そ、それは・・・」 「まぁいい、行くぞ。」 編隊からリュートは離れ、目標を見据える・・・対空火器。元から設置されていたものらしいが早めに始末するに限る。 武装はSOD(スタンドオフディスペンサー)が4機とマジックAAMが6本。使いどころを見極めないと無駄弾になる。 『目標確認・・・DEFA30mmセット。』 「貰うか。」 機首を合わせ、対空機銃めがけDEFA30mmを発射。銃弾が次々に刺し貫き爆発する。 「ガーディアンよりウィンド隊。ナガセ大尉はいるのか?」 「ええ、あの時は。」 そうだった、救出されたらしい・・・大分彼らも気持ちが楽になるだろう。自分たちが助けたのは無駄ではないと知れば。 変態を組みガーディアン隊のヘリCH-53Eはそのまま城郭へと突撃していく・・・ウィンド隊は展開する対空火器、高射砲を機銃や小型の対地ミサイルで破壊する。 「そういえば、あのおしゃべりの旦那はどうした?聞こえてこないんだが。」 「いえ、その・・・・」 ナガセが言葉に詰まってしまう・・・どうやらあの大空戦の情報は隠蔽されているようだ。 大方、重傷を負ったことにでもされているのか・・・あるいは届いていないだけか。 「あいつは空で散った・・・最期まで俺たちを気遣ってな。」 「・・・そうか。何か悪いこと聞いちまったな・・・よし行くぞ!俺達の仕事振りを空に散ったあいつに見せてやれ!」 せめて悔やむ言葉より、その死を無駄にしないために今の任務を全力でやる。 それくらいしか出来ない・・・ウェインも同じことを考えての言葉なのだろう。 「よし、突撃だ!」 1番機がシュティーア城中庭に到達、ロープを使い降下していく。 今の中庭はベルカ戦争のときに構造物が吹き飛ばされただの何だの言われているが、元々こういう構造であり連合軍がこの特異な城の構造を見て間違えたらしい。 核爆発にも耐え抜き、そしてXB-0フレスベルグとガルム隊の交戦すら見守ってきた。 歴史をすべて見てきたという意味では、円卓と同じくらい大事な場所だろう。 『核爆発を間近で受けて、周辺の爆発まで見守って来たのね。』 「15年前、ニュースで何度も放送されてたな。俺も何度も見た・・・」 当時のベルカ空軍爆撃機BM-335により爆撃が敢行、空の陣地に連合軍将兵をおびき寄せ、そこで爆発させたようだ。 これにより連合軍は相当な犠牲を払った・・・そして周辺都市に大量の放射能がばら撒かれ今でも苦しんでいる人がいるという。 特に焦土作戦をおこなった後のホフヌング市街地は思いっきり放射能を受けてしまい、今では放棄されて久しい。今でこそ人は住めるため、周辺都市に戻った人も多いというが・・・ 『来たわ、敵機よ・・・・無人機とトーネードADV、トーネードFX。』 「ベルカ空軍機総出でお出迎えか。ご苦労様だな。」 無人トーネードとFX-10Bなど、さすがにパイロットまでたくさんは保有していないようだ。武装はIRIS-TおよびAIM-120。 解散させられたはずのベルカ空軍がここにいる・・・残党勢力などをかき集めたのだろう。 「自前のパイロットまで保有だと!?」 『やるしかないです・・・マスター!』 「よし、ウィンド01、エンゲージ!」 EFタイフーンが上昇、トーネードFXと交戦する・・・リュートは対地支援のため城郭に接近。場内から出てきたレオパルド2A9目がけDEFA30mmを発射。 銃弾に貫かれ戦車が爆発・・・すかさず上昇をかけると真上に敵機がいる。トーネードFXだ。 『無人機・・・良い度胸ね。切り裂かれる運命に変わりないけど。』 「行くか・・・」 銃撃を急激に上昇して回避、後ろにトーネードFXが付いてくる・・・かなり速度がある。 すかさずフラップを広げ、エアブレーキをかける・・・オーバーシュートを避けたトーネードFXにリュートは機体を旋回させマジックAAMを発射。 振り切れずにトーネードFXが爆発・・・元々無人機だ。撃墜に躊躇はいらない。 「軽いものだ・・・粗製ではかなうはずが無い。」 『同感・・・前方距離3710に無人機。FX-10B・・・爆発?』 「友軍機のラファールだ。サビン所属機?」 同じラファール・・・リュートが無線を入れる。なかなか鮮やかな手前に敬意を表したいというところか。 「エスパーダ1より各機、攻撃開始!行けぇ!」 「サビン空軍のエスパーダ1か?」 「まぁ、そんなところ。ぶっ飛ばすよ!」 ハイテンションだ・・・そんなことを思いながら周辺を警戒。機影確認、距離6400・・・トーネードADVだ。 ヘッドオンを挑む・・・距離が詰まっていく。まずはマジックAAMを発射。 回避は出来ない。敵機はIRIS-TでマジックAAMを撃墜。銃弾を撃ちながらすれ違う・・・と同時にトーネードADVが炎を拭き撃墜。 「だめだ、早く逃げろ!」 「味方が1機食われた!」 エスパーダ隊のラファールが地上支援を行い、同時にエスパーダ1が空戦を支援している・・・ ほぼ同時にグリムのF-25Aが急降下、爆弾を投下するが後ろにトーネードADVが喰らいついている。 「援護に向かうか・・・」 『後ろに敵機よ・・・冗談じゃないわ!』 「何!?」 後ろにFX-10B。コイツを振り切らないと支援できない・・・かといって今の状況ではグリムが危険だ。 どうするべきか・・・その途端にFX-10Bが大口径バルカンによって切り裂かれ、爆発する。 「遅くなって悪かったな。」 『ロスビフなんて救う義理もないですけど・・・』 EFタイフーンが後ろの敵を排除、ほぼ同時にリュートはマジックAAMを発射する。 回避行動に移った敵機を追撃、DEFA30mmをぶち込む・・・銃弾を喰らった敵機は前後搭乗員ともどもベイルアウト。 「メイデイメイデイメイデイ、攻撃を喰らった、脱出する!」 「僚機がやられた!」 「くっ、なかなか進めない!」 地上部隊は苦戦中・・・らしい。ショットガンなどの音に混じって機銃や突撃銃の音なども聞こえる。 室内戦になればショットガンとかハンドガンの方が優位と聞くが・・・ 「速すぎる!こいつら何者だ!?」 「・・・エスパーダ隊とオーシア空軍機だ。エスパーダ隊に不用意に近づくな。オーシア空軍機から先に倒せ。」 『敵増援・・・新鋭機よ。警戒して。』 機影はXR-45キャリバーン。前進翼を採用した新鋭高機動機だ・・・ウィンド隊が旧式機を食い止めているがこの新鋭機だけはどうしてもこっちで相手をしなくてはいけない。 FX-10Bは既に撤退したが、トーネードADV、トーネードFXの編隊はまだ交戦している・・・攻撃部隊とヘリに1発の銃弾を浴びせることも許されないからだ。 数は3機・・・何とかできるか? 「私が2機引き寄せる。1機倒して。」 「了解・・・気に入らんがな。先に撃墜して2機貰うぞ。」 「お好きにどうぞ。」 MICAをほぼ同時に2機が発射、XR-45は散会し1機こちらに喰らいついてくる・・・やはりエスパーダ1を狙っているようだ。 やれやれとリュートはぼやくと、ヘッドオンを挑む・・・銃弾が掠めあったが、たいした傷も無くそのまま過ぎ去る。 「速い、あれがラファールか!?」 「甘く見ると死ぬぞ。」 『・・・生意気ね。切り裂いてあげるわ。何もいえないほどに。』 XR-45が旋回、同時にリュートは敵の進路を先読みし減速するとそのままXR-45の後ろを捉える・・・同時にマジックAAMを発射。 フレアーを発射するがだまされず、ミサイルはXR-45に直撃、爆発する。 「メイデイメイデイメイデイ!ミサイルを喰らった、脱出する!」 「新鋭機の癖に手ごたえの無い・・・」 やはり実戦経験が浅いためか、それほどの強敵ではなかった・・・相変わらず地上部隊は激しい銃撃戦を繰り広げている。 すると、通信が入ってきた・・・陸上部隊からだ。 「ガーディアンよりウィンドへ。大統領を確保した!何とかなりそうだ・・・おっと、通信機はこっちだ。」 「ギャラクシー4よりウィンド・・・あの時は助かった。」 リュートは聞き覚えなかったが・・・どうやらウィンド隊の知り合いらしい。輸送機のパイロットと聞いたが・・・ そういえばベルカ戦争のインタビューに出ていた。ということは相当なベテランだ。 「あぁ・・・大統領は?それとあんたの怪我も大丈夫か?」 「何とかな。補佐官ともどもしっかりとしぶとく生きている。」 「え、あんた達知り合い?お久しぶり!」 いきなりマルセラまで無線に割り込んでくる・・・やっぱりベルカ戦争のときの知り合いらしい。 あの戦争が生んだのは・・・悲劇だけではないのか。まぁそれは連合国の連中に限った話。 「エスパーダ2か!蒼い鳥はどうしたんだ?」 「ウスティオで元気にやってるよ。あんたこそこんな所で何やってたのさ?」 「話すと長いんでな・・・さ、脱出してから話を続けようか。」 無人トーネードFXをリュートは確認する・・・早速機首をむけてヘッドオン。DEFA30mmで応戦する。 敵機も機銃を打ちながらすれ違う・・・すると可変翼を開き、一気に旋回してこちらの後ろについてくる。 「ほう・・・」 『無人機はそれなりのようね・・・』 数度ロールして機銃を交わし、急降下に入った途端に急激に減速。敵機がオーバーシュート。 ガンレンジにいる間にDEFA30mmを発射、撃墜・・・無人機は主翼を吹き飛ばされて落ちていく。 『撃墜確認。次。』 「ああ・・・ん?」 すると、いきなりのように左脇を閃光が駆け抜ける・・・そして一直線上にいた敵機が吹き飛んでしまう。一体何の冗談だ? リュートが閃光の放たれた方向を見ると、また照射された・・・すかさず降下して回避する。 「ドーラ07より各砲台へ。レーザー照射および砲撃開始。目標国籍不明機。終了の後にシュティーア城を破壊する。」 「何!?」 シュティーア城を破壊する?ふざけてるとリュートが思った瞬間にレーザーの発射されたのと別方向から何かが向かってくる。 『・・・高度を下げて!』 「・・・あ、あぁ!」 ウィンド隊の僚機もエスパーダ隊も気づいたかすぐに高度を落とす・・・その途端に何かが空中で炸裂、一斉に破裂する・・・ほぼ同時に逃げ遅れたエスパーダ隊の機体が爆散する。 「エスパーダ4、爆散!」 「嘘・・・何あれ!?」 「ドーラ08より司令部、1機撃墜だ。」 ドーラ・・・?リュートはどこかで聴いた記憶がある。そういえばこのコードネーム、何のつもりだろうか? 必死に探り寄せる・・・絶対どこかで聞いたはずだ。 「・・・列車砲か!」 列車砲だ。それに違いない・・・タイタンとかストーンヘンジみたいなものを列車に搭載すれば確かに素早く展開できる上に、攻撃力も高くなる。 ISAFではユージア大陸戦争のときに列車兵器が大活躍したと聞く。すると画像データをマリエルが流してくれた。 「列車砲レールガンか・・・砲塔旋回式のタイプ。ふざけた兵器だ。」 『・・・切り裂いてあげましょう。』 「無論だ・・・エスパーダ隊は続け!列車砲破壊を最優先とする!」 列車砲は数2基。その間に対空砲を満載した車両を挟み防御性能を高めている。動けないという欠点を防御性能でカバーするつもりか。 よっぽど取られたくないらしい・・・大統領を帰してしまえば、ベルカの計画は崩れかけてしまうのだろうか? 「射撃だ!撃て!」 いくらリロードタイムをカバーするといっても2基では数が少なすぎる・・・20秒おきに発射しても遅い。 さすがに決戦兵器とも言えるこの列車砲を数多く出すことは出来ないのだろう。レーザー列車砲にはウィンド隊機のナガ、グリムが向かい攻撃を開始している。 リュートは一旦旋回、離れると線路にそって飛翔する。 「・・・よし、飛べ!!」 スタンドオフディスペンサーを発射・・・線路に沿っての発射だ。数は2個、真上を飛翔すると小型爆弾をばら撒いていく。 対空砲とドーラMk2本体に直撃。だが2基目のドーラMk2に直撃する前に対空バルカンで二つとも叩き落されてしまう。 「落とされたか・・・!」 小型爆弾はドーラMk2に隣接する対空砲と本体を容赦なく傷つけている・・・すると無事だったドーラMk2が炎上した対空車両などを切り離し移動していく。 同時に炎上したドーラMk2が弾薬に引火したのか爆発を起こす・・・1基撃破、残り1基だ。 「よし、撃て!」 友軍ラファールからAS30Lが発射、先頭車両とドーラMk2を狙い対空砲火をすり抜けて行く。 8発が放たれ3発が撃墜、残り5発が直撃し先頭車両が軽く吹き飛ぶ。ドーラMk2の砲身が高く巻き上げられ、そのままかなり離れた場所に落ちる・・・これで列車砲は全て沈黙したはずだ。 「ざまあみろ、ベルカ連中め!俺たちにかなうかってんだ!」 「エスパーダ4の仇はとったぞ!」 エスパーダ隊は一糸乱れずに再びシュティーア城へと支援に向かう・・・リュートもようやく気づく。列車砲より大統領のほうが優先だ。 すると、いきなり陸上部隊から通信が入る・・・先ほどよりもかなり銃撃の音が多い。激戦でもあるのだろうか。 「こちらガーディアン!誰か城壁をぶっ壊してくれ!外に出られない!」 「何やってるんだ・・・?」 「繰り返す、城壁を爆破してくれ!レーザーポインターで誘導する!」 するとHUDに攻撃目標として城壁が入る・・・リュートはすぐに通信を入れる。 「スタンドオフディスペンサーをそのまま直撃させる。不発弾に気をつけろ!」 「頼む!安全な場所にいるから遠慮なくぶっ飛ばせ!」 迷っている暇など無い。リュートは城壁をロックオンするとスタンドオフディスペンサーにデータを与える。 城壁に直撃させるようにコースを取り、そのまま発射・・・狙い通りにスタンドオフディスペンサーが城壁に突き刺さり、数秒後に大爆発・・・城壁が一気に崩壊してしまう。 『な、何だ!?外からの攻撃か!?』 『吹き飛んだ!?どこなんだ!頼む、殺さないで・・・!』 残留思念も響く・・・これはベルカ陸戦隊の残留思念らしい。ここの守備隊というところか? いつ聞いても気持ちよくない・・・いやそれでいい。命の重さと言うのを実感させられるのだから。 『城壁崩壊・・・お見事よ。』 「そろそろだな・・・」 「ちょっとやりすぎか・・・まぁいい、脱出だ!」 ガーディアン隊が大統領や補佐官などを連れてヘリにむかう・・・城外の戦車も既にウェインが壊滅させている。これで安全にヘリは運べるわけだ。 陸戦部隊はもう来ない・・・ガーディアン隊は安心してヘリに乗り込むと、そのまま上昇する。 「ガーディアンよりウィンド、エスパーダ隊へ。コールサインをマリーン・ワンに変更する!」 マリーン・ワン・・・大統領搭乗機のヘリにつけられるコールサインだ。と言うことは無事に救出したのだろう。 だが敵機が追随してくる。EFタイフーンが数機・・・これは食い止めなければ終わってしまう。 『・・・敵機よ、迎撃して。』 「・・・そうだな!」 ミーティアを撃つ前にウェインのEFタイフーンからミーティアAAMが発射・・・すぐに回避行動を取ったところにウィンド隊とエスパーダ隊が襲い掛かる。 同時にリュートも回避先にいる敵機にDEFA30mmを発射・・・ヘッドオンでEFタイフーンを撃墜。 「僚機がやられた!!」 「どこのエースだ!?くっ、近づけない!」 すかさずリュートはEFタイフーンの背後を取る・・・敵機だ。グリムを狙っているらしいがこっちが後ろにいることに気づいていない。 マジックAAMロックオン、発射・・・短射程ミサイルが近接信管で炸裂、敵機を撃墜する。 『・・・華麗な切り口ね。撃墜確認。』 「そうだな・・・撤退していくぞ?連中・・・」 ベルカ空軍機が次々に撤退を開始する・・・もう領空を抜けたらしい。 みるとウスティオ空軍機F-15F/25が領空にベルカ空軍機を一歩も入れない構えで旋回をしている・・・こちらに気づいての軍事行動なのか。 「・・・助かったよ、ありがとう。ところで君達は、あの時の・・・」 「そうですね、大統領・・・礼ならあっちで無愛想に1機で飛んでるラファールの搭乗員に言ってください。俺たちよりも。」 「そうか・・・ありがとう、ブルーゲイルだったか・・・」 覚えていてくれたか・・・リュートは敬礼をすると、無線で返答する。 「・・・大統領。ケストレルまで我らが随伴します。ご安心を。」 「では、ハーリング提督も気づいたのか・・・よし、引き続き護衛を頼めるかな?」 「了解。」 ヘリを護衛しつつ、ウィンド隊はケストレルへ・・・エスパーダ隊は本国サビンへと帰還する。 すると、エスパーダ1の機体が近づきリュート機の隣に並ぶ。 「リュートだっけ?」 「・・・マルセラ・バスケス。あの時国境なき世界より親友を選んだあのエースか。」 「まぁね。いい腕前だからさ・・・またいずれ飛びたいなぁって思って。じゃあね。」 彼女が敬礼すると、リュートも敬礼を返す・・・そしてエスパーダ1の機体はそのまま離れサビンへと向かう。 いずれ出会うだろう・・・味方として。それまで共に飛ぶ空は預けておくとしよう。 ユーク国内クルイーク要塞 1000時 「片羽の妖精ね。お久しぶり。」 「何の用件だ?傭兵の俺に・・・」 滑走路で待機しているフォルクに1人の女性が近づいてくる・・・ナスターシャとか名乗っていたなとフォルクは思い返す。 オーシアは防衛ラインを大幅に後退させて兵力損耗などを防いでいる・・・ユーク最強の味方ともいえる冬将軍が到来、そしてジラーチ砂漠に残していた部隊が同時に大攻勢を展開しオーシア軍は戦線を維持できなくなっている。 進みすぎた当然の報いだろう。クルイーク要塞も抜けないが・・・抜けない理由は解っている。ウィンド隊とやらがいないからだ。 マールには及ばないがあのくらいの腕前ならエースと呼ばれてもおかしくは無い。彼らがいない上にエースのフェザー隊、ヴァルカン隊まで消え去ったと言う。 逆にこっちはジェラーヴリク、グリューン、ゴルトなどに戦線を押される形で猛反撃に出たのだが。 「・・・マスター、この人は・・・?」 「シルヴィア、大丈夫だ・・・味方らしい。」 落ち着かせるようにフォルクはシルヴィアを撫でる・・・するとナスタースアは話を続ける。 「話があるの。この戦争・・・貴方には別行動を取ってもらいたくて。」 「俺にか?また国境なき世界みたいなことをしろというならお断りだ。」 「その逆よ・・・今のところは。12/16に出撃命令・・・場所はここよ。」 防空システムで覆われている封鎖空域だ・・・ユーク空軍機にさえミサイルを発砲する危なっかしい場所に向かえと言う。 たいそうなものを隠している、あるいは隠す予定のある場所だろう。 「ここで何を?」 「レジスタンスの支援活動。上層部には私から報告しておくわ。」 「・・・それはかまわない。内容は?」 周囲を見渡し・・・誰もいないことを確認してからナスターシャは話し始める。 「V2核弾頭の解体。」 「・・・あれか?」 自分がかつて一度だけ発射したあの核弾頭・・・威力については良く知っているつもりだ。 さすがに今のユークには過ぎた代物。持たせたらオーシアに使うだろう・・・別に使うのはかまわないが、ユークの場合無用な犠牲まで出してしまいかねない。 「まぁいいんだが、報酬は出してくれるよな?」 「当然よ。契約書も交わす?」 「いや、遠慮しておく。報酬さえもらえれば充分だ。」 追加報酬でユーク情報部からの依頼・・・裏はありそうだが、確執があることくらいはわかっている。 大体融和路線のニカノール首相で戦争が起きることすらありえない。絶対情報部は何か掴んでいるはずだ。 「・・・大丈夫ですか?」 「大丈夫だ・・・勝算はある。それにあの様子だとウスティオにも相棒を呼ぶかもしれない。」 「マールさん・・・」 かつて袂を分けたあのエース、マール・レヴァンス・・・フォルクはそんなことを思い出す。 15年ぶりの再会。彼女は一体何を思うだろうか・・・外見はあまり変わっていそうに無いが。 「・・・ああ。生きてるか?相棒。」 同じ空を見ているはずの「相棒」にフォルクは語りかける・・・唯一リードを取れるのは彼女だけだ。 今頃誰かと幸せに暮らしているのだろうか?それとも・・・ CVN-05ケストレル艦橋 1607時 「あ・・・大統領。」 次の作戦の打ち合わせをクラウスとウェイン、そしてアンダーセン艦長らと話し合っている間に大統領が艦橋に入ってくる。どうやら一通り艦内を見終わってきたようだ。 軽い衰弱程度で外傷はなし。補佐官と彼・・・ギャラクシー4とやらも現在休養中だ。 「君達だったか、あの時はありがとう・・・本当に助かった。」 「いや、そんな・・・」 大統領がウェインにクラウス・・・そしてリズやフェメナにも握手をすると艦橋内部を見渡す。 なかなか興味深そうに見渡すと、アンダーセン艦長とも握手を交わす。 「そういえば大統領、この数字は何か心当たりがありますかな?」 何気なくヒューバードから送られてきた数字をハーリング大統領が見る・・・そしてあぁとうなずく。何か心当たりがあるらしい。 「驚いたな。これは私の大統領選の時の得票数だ。6年前と2年前の・・・おそらく私に当てたものだろう。」 「ふむ・・・となるとこの前の数字は緯度と経度か・・・」 アンダーセン艦長は早速解析を命じる・・・その間にハーリング大統領が2人のエースを見る。 そして、何かを思いついたように2人に話しかける。 「よければ、私直属の部隊として今後飛んでもらえないだろうか?」 「まぁ、構いませんが・・・クラウスは?」 ウェインが改めて訊ねると、クラウスも大きくうなずく・・・どうやらそのことに依存は無いようだ。 すると、早速ハーリング大統領が何かを出す・・・そしてそれを地図などが置かれているテーブルの上に広げる。 戦乙女ヴァルキュリアのエンブレム・・・ラーズグリーズか? 「これは?」 「先ほど作ってもらったエンブレムだ。これに変えてもらえないか?部隊名はラーズグリーズ中隊・・・どうかな?」 すこし考え、ウェインはリズを見つめる・・・特に依存は無さそうと判断し、それに同意する。 「せっかくだからカラーリングも変えませんか?もはや死んだ部隊・・・黒をメインにしたものに。今のオーシア空軍標準のカラーリングは味気が無くて。」 「まったくだ。ウェイン大尉にも依存は無いか?」 「ああ。」 クラウスの提案ももっとも、それに闇夜に姿を隠すには充分だ・・・正規の作戦にならない以上、夜間飛行などが増えるのは間違いない。 「センスよく塗るです。ダメだと一発殴らせるです。」 「それもそうだな。」 思わずハーリング大統領がリズの言葉に笑ってしまう・・・さすがにフェメナが「大統領を殴るなんてダメよ。」と突っ込むが、ウェインとクラウスも思わず笑う。 すると、クルーが解析を終えたようだ・・・座標などがわかったらしい。 「位置が判明しました・・・ベルカ領内シルム山脈です。」 「よし、UAVを飛ばして偵察させよう。明日も頼めるか?」 「当然です、艦長。」 ウェインが敬礼する・・・遅れてクラウスも敬礼。明日もまた忙しくなりそうだ。 それでも出撃しなければならない・・・これ以上の戦争の拡大は、より多くの悲劇を生み出すかも知れないから・・・ 続く あとがき マリーン・ワンってのは大統領専用ヘリのコールサインです。言わせて見たかったんです。 今までの無人機体はベルカが作っていた設定なので大量に登場します。 むしろ無人機での物量作戦が主体かも。有人戦闘機も当然出てきますけど、人員が足りないので。 次回は鉱山を爆撃します。硬いのでB-2の爆撃で一気に沈めます。 |
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2007/10/17あくてぃぶF-15さんから頂きました。
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