ACE COMBAT5 The unsung war〜謀略の破壊者・ラーズグリーズ〜




ACE COMBAT5 The unsung war〜謀略の破壊者・ラーズグリーズ〜
第23章 因縁再び〜ヴェリア峡谷防衛戦〜

12/16 0610時 CV-04スフィルナ飛行甲板
「やっぱ寒いねぇ・・・ここってさ。」
暇そうにマールが飛行甲板で待機している・・・もう兵装の積み込み作業なども完了し、あとは出撃まで待機。
対戦車バルカン1基にAAM-4を8本、AAM-5を8本・・・重武装だがこれくらい積まないと無理らしい。
「ねぇ、マールさん・・・出撃なの?」
「そうそう、何か任務が入っちゃったわけ。しかも私をご指名みたいで。」
明るく笑ってマールはフィンに答える・・・考えてみれば奇妙だ。単独でヴェリア峡谷の廃棄施設周辺を偵察しろと。しかもこれだけの重武装とは。
しかも「僚機は現地で合流する」という前代未聞の事続き。一体何があったのだろうか。
「しかもこの峡谷ってさ。酷いんだよ?峡谷から真上に出たらミサイルじゃなくてオートマティックの高射砲で蜂の巣。何だっけ?あの15.5cm砲弾ぶっ放すロングレンジの・・・」
「ストームメイカー。それであってる。」
「そうそう、それの固定砲台が対空炸裂弾装備で待ち構えてくれてるの。本当にもうちょっと神経に優しい任務選んでくれたっていいじゃないの。」
戦場には不釣合いなほど明るい。フィンは少々戸惑ったがそれもありかなと思ってしまう。
やはり違う。英雄とまで呼ばれる彼女と・・・自分に何か決定的に違っている。
「じゃないとさ、本当に胃潰瘍でぶっ倒れちゃうって。フィンも任務くらいは選びなよ?」
「何で・・・」
「冗談よ、冗談。さ、早速行かなきゃ。」
マールはF-15F/25にかかっている梯子を上り、早速機体に乗り込む・・・計器類全てに異常なし。ISAFの整備員も充分な腕前のようだ。
「フィン、ISAFもすごいけど一度ウスティオに来てみてよ?歓迎するよ。」
「解った。さ・・・頑張って。幸運を。」
「じゃあね。すぐ戻ってくるから。」
そろそろ発進する・・・マールは操縦桿を握り締め、発進される時を待つ。


ヴェリア峡谷 0810時
「そろそろだ。準備しとけよ?てめぇら。」
「了解っと・・・」
ドミニクらに率いられたレジスタンス部隊が格納庫に上陸、早速周辺を確認し扉へと向っていく。
「・・・俺、始めてっす。突撃銃なんか持つの。」
「愚痴言うんじゃねぇよ。俺だって初めてだ。」
ユーク情報部が全面協力する・・・と言っても正規軍用の武装は調達できず情報部用のメインアームOC-14グローザをレジスタンスが装備している。全然銃に触れたことの無い人ばかりだが。
まぁ元は一般市民だから仕方ないだろう。ドミニクもプルバップ式の銃を使うのはファマス以来だが、かなり扱いにくい。無謀な銃撃戦などは避けた方がよさそうだ。
「やけに静かだな・・・本当に核兵器があるのかな?」
「行くぞ。」
10名程度のレジスタンスが同行、早速潜入する・・・核兵器用の格納庫と言うものがあり、そこに入っていると情報があった。その通りに向うだけだ。
警備兵力は多いから無駄な戦闘を避けるべきだ。だが迂回していると空軍が先に到着してしまう。
「・・・前方に連絡橋・・・核兵器格納庫は向こうです。敵兵は大体7名くらい。」
連絡橋の入り口からレジスタンスが覗き込み、状況をこと鎌かに報告する。
数ではこっちが優位だが、普通どおりの銃撃戦では分が悪い。銃の扱いに慣れていないのに連射しても当たらないし、逆に狙い撃ちにされるだけだ。
「・・・だからレジスタンスは嫌だ。」
負傷した位で騒ぎ立てるような連中では無理だ。ドミニクはそう思ったがそうさせない状況に持ち込めばいい。
「スモークを投げ込んどけ。」
「はっ。」
「爆発したら敵兵を捕まえて気絶させろ、殺すんじゃねぇぞ。出来る限りな。」
レジスタンスの1人がピンを抜き、スモークグレネードを投げ込む・・・敵兵は手榴弾と勘違いしたか数名があわてて連絡橋から下に飛び降り、残りは視界を奪われた間に気絶させられてしまう。
飛び降りた警備兵は着水したが無線連絡を入れようとしない。水でもかぶって使えなくなったか。
「この奥に核兵器か・・・行くか?」
「無論だぁ・・・ご対面って行こうじゃねぇか。」
あとは先ほどの敵兵から奪ったカードキーを差込、核兵器保管庫へと入る・・・なるほど、いつでも運び出せるように金属製の台車に入れられている。1人でも何とか運べそうだ。
「意外と軽いっすね?これが核弾頭・・・」
若いレジスタンスの1人が手をかけた途端、いきなり誰かが爆発音の口真似をしたため思わず彼は飛びのいてしまう。
格納庫が少しの間笑いで包まれたが・・・ドミニクがいつもの表情に戻ると、台車に手をかける。
「こいつぁ頑丈にできてんだ。銃弾喰らったり強くぶつかったくらいで爆発なんかしねぇよ。とっとと運び出すぜ。」
「了解。」
壁にぴったりと張り付き、輸送部隊をドミニクなどの実働部隊が護衛する・・・見つかったら終わりだ。
が、見つかった形跡は無い・・・このまま行けそうだ。
「そういえば・・・ドミニク隊長。」
「隊長はいらねぇ。呼び捨てにしろ。」
「あ・・・ドミニクは何でこの作戦を?もうユークとは縁が切れたかと・・・」
「・・・・行けってお告げがあったんでねぇ。」
まともにこたえる気は無いのか・・・レジスタンスの1人がはぁとため息をつくがドミニクも本気で言ったようなものだ。
何かが起こっている・・・いや、起こりそうな気がする。だから自分も暇つぶしに加わりたかっただけだが。
直感は当たったらしい。だからこんな大仕事が回ってきたわけだ。
「やばい・・・こっちのルートが見つかった。」
「しゃーねぇ、迂回するぞ。」
来た道は戻れない・・・5分程度時間は食うが、別ルートから進んだ方がよさそうだ。
台車を押しながらレジスタンスのメンバーは迂回路を通る。いつ見つかるか不安はあるが、何よりもこの核弾頭を解体してしまうほうが先だ。
それが自分たちの街や、隣国に落とされるのかもしれないのであれば・・・なおさらだ。
「追ってくるぞ!」
「しゃーねぇ、俺と数人でおびき寄せてあとで合流だ!急げ!」
ドミニクの後ろに数人続き、OC-14を連射・・・その間にレジスタンスは逃亡し、潜水艦へと一目散に向う。
生きて帰れるかどうか。それよりも今は核弾頭をどうするかが問題だ。

同空域外部 0847時
「ついた・・・しかし疲れる場所だなぁ。」
マールがため息混じりにF-15F/25を操縦していると、いきなり通信が入る。レジスタンス側からだ。
「やっぱり・・・きてくれた。戦闘機だ・・・ガルム隊!?あの円卓の・・・」
「そーいうこと、ばっちり聴こえてるからどうすればいいのかな?」
どうやら間に合ったらしい。ちょっと遅れたがまぁ何とか無事でよかった。
一安心していると、オーバーライドして通信に割り込んでくる人が居る。ユーク情報部のGRUからだ。
「聴こえてる?マール少佐。私はナスターシャ・・・GRU所属の少佐よ。」
「充分聴こえてる。で、GRUが何の用件?」
「時間が無いから任務だけを説明させてもらうわ。えっと・・・」
レジスタンスが該当空域の核弾頭を解体するので、それを掃討しようとしている部隊の討伐命令だ。
ユークがユーク部隊の討伐を命令する・・・だが今はその状況も仕方ないこと。主戦派と停戦派で分裂しているのだから。
「了解。ま、任せておいて?」
「それと、特別に僚機も用意したわ。後は彼から聞いて頂戴。」
「僚機?」
こんな場所を飛べるパイロットなんてかなりの腕利き。そんな奴が居るのだろうか?
マールは気にしないで峡谷内部を飛ぶ・・・見つけた。Mi-24ハインドDだ。兵員を輸送しているらしい。
「悪いけど、ぶっ飛んで。許しは請わないから。」
バルカンで撃墜。いちいちミサイルを使う相手でもない・・・大量に敵が吹っ飛んでいく。
JFS機だから残留思念などは感知しないが、はっきりと敵の思念が消えるのは感じられる・・・いつ感じても気分がいいものじゃない。
ブルーレインも良く考えたら不思議だ。思念を感知したり、吸い取ったりシルヴィアみたいな1つの命まで生み出す・・・どういう構造なのかさっぱり解らない。
「っと・・・」
今度は対空砲艦だ・・・機銃を連射してくるが機体を射線からそらし、対戦車バルカンに兵装をあわせトリガーを引く。
重い銃声とともに高く水柱が吹き上がり、砲艦が木っ端微塵に爆発する・・・敵兵は直撃前に脱出したか。
「今、核弾頭を解体しています・・・小さいな。」
「これで街が吹き飛ぶんだ。慎重に切れよ。」
なるほど、今核弾頭を解体しているらしい。マールは目標のKa-50を発見すると20mmバルカンで銃撃。
ローターをぶっ飛ばされてベイルアウト。最近のヘリは脱出装置もついたらしい。パイロットは無事だ。
「つーか僚機って何やってんの?遅い・・・」
「誰が遅いって?相棒。」
目の前のレティクルに納めたMi-24ハインドDが爆発。F-15Cがすぐそばを駆け抜けていく。
あのカラーリング・・・間違いない、フォルクだ。ここに帰ってきた・・・
「フォルク!?お久しぶり・・・元気してた!?」
「ああ、あんたこそ生きていて何よりだ。」
『お久しぶりです・・・・マールさん。』
相変わらず2人とも元気だ・・・マールはほっと一息つくと、そのまま次の目標に狙いを定める。
「積もる話は後だ。15年ぶりに2人で飛ぼうか。」
「・・・ええ!無論!フォルクは自由に敵を吹っ飛ばして。」
「解った・・・相棒。」
もうこれで怖いものは無い。どんな相手でも倒せる気がしてきた。
すると真上からロックオンがかかっている・・・あの機影はSu-47ベルクトか?
「ずるいのは関心しないね・・・やっぱり格闘戦で始末つけないとダメじゃん?」
無謀にもマールは峡谷外に出る・・・対空砲火を切り抜けるとSu-47にヘッドオンを挑む。
相手もそれに乗り真正面からAA-10を発射、すかさずマールは急激にロール、同時にエンジンを狙い銃撃。
何が起こったかわからないままSu-47は炎上・・・パイロットは脱出しマールはすぐに峡谷内部に戻る。
「ちょっと無茶しすぎたかな・・・」
一瞬だけ破片を喰らった気もしたが、大丈夫だと思い直しそのまま目標の掃討を続ける。
「おいなんだ・・・アリョーシャ!通電してるぞ!何のスイッチ入れやがった!」
「な、何!?核爆弾が動いたの!?」
ビックリした様子でマールが通信を入れるが、何とかなったようだ・・・一息ついた後レジスタンスが応答する。
「大丈夫だ。カットオフして何とか・・・」
「よかった・・・」
寿命がかなり縮んだ気がしたが・・・マールは砲艦を対戦車バルカンでロックオンして撃墜。
ついでなので連絡橋も一緒に破壊する。これで少なくとも大混乱に陥るはずだ。
無線からは金属音などが聞こえてくる、解体作業は順調に進んでいるようだ。
「ガルム2からガルム1へ。あと少しだ。北は任せるから南をやらせてもらう。」
「了解っと。」
「慎重に頼む・・・・って言った先から手を滑らせて落とすな!」
「受け止めろ!」
びっくりしてしまったがマールは操縦桿を引き上げずにそのまま待機・・・何事も無かったようだ。
今の発言にビックリした・・・マールは何事かと無線で訊ねる。
「いえ・・・ぎりぎりで受け止めました・・・」
「もうこれっきりにしてよ!本当にもう・・・!!」
ただでさえ神経を使う峡谷の飛行、その上にこんな事態ばかりでは本当に不安になってくる。
ようやく安堵したマールは砲艦を対戦車バルカンで破壊。すると増援がレーダーに映る。
「相棒、やばいのが来た・・・エースだ。負の思念を大量に撒き散らしてやがる。」
「解ってる。何だろ・・・」
マールがレーダーで確認する・・・機種信号、Su-43ベルクトD、オヴニル隊だ。数は4機くらいか。
途端に上空の高射砲がシステムを停止する・・・何のつもりだ?
「オヴニル2より隊長機・・・現れたのは奴らなのか?」
「ちげーよ。噂のラーズグリーズじゃねぇ・・・ガルムだ。俺のずっと昔の相手。」
「嘘だろ・・・?まだ実戦に出ているって言うのか!?」
自身ありげな声でミヒャエルがああと一言言うと、いきなりガルム隊に無線を入れる。
「ガルム隊、聞いてんだろ?せめて同じケラーマン教室で教わった間柄だ、敬意を表して空で決着つけてやる。防空システムは解除した、上がってかかって来い!」
「何のつもり?」
「1回撤退に追い込まれたんでね・・・てめぇとイーブンな環境で決着をつけてやる、来やがれ!!」
信用していいかどうか・・・マールはとりあえず試しに上がってみる。確かに高射砲は動く気配が無い。
本気で1対1で決着をつけるつもりなのだろうか。数的優位も生かさず、本気で。
「相棒・・・久しぶりにやるか。」
「無論。フォルク・・・行くよ!ガルム1、エンゲージ!」
マールもそれに乗る・・・罠だったら罠ごとぶっ飛ばす。そのつもりで居る。
とは言っても相手はああいう口調でありながらあくまで冷静だ。前戦った時は血気にはやっているところもあったが、今では落ち着いている。
「久しぶりじゃねぇか・・・さ、てめぇの全部見せてみろ!」
「腕前上がった?生半可だと落とせないよ。」
「言ってろ!」
真っ向からSu-43が向ってくる・・・同時にAA-11を発射。AAM-5を2本ロックオンして発射・・・ステルス性を維持するために短射程、中射程ミサイルともに4本ずつが限界らしい。
AA-11、数は2本・・・AAM-5が真正面から向かい爆発。同時に2機がすれ違う。だがマールの戦術を使わせないためかスピードが想像以上に速い。
と思ったら急激に方向を変えて後ろを取っている・・・機動は鋭い。あの時よりも数段上を行く。
「腕前上がった?面白くなってきた・・・!」
「ほう・・・って、危ねぇっ!」
いきなりF-15F/25からAAM-5が真後ろに飛びミヒャエルは回避、だがその前にAA-11を発射する。
「相手もさすがにサイドワインダーじゃないか・・・けど、交わせないほどじゃないね?」
急降下しつつAA-11を引き寄せると、ループを描きながら旋回、AA-11はF-15F/25の真上から向ってくる。
それをマールは地表ぎりぎりで水平に機体を戻し、高射砲のすぐ近くを掠めさる・・・AA-11は至近距離をとってF-15F/25に向うが・・・進行ルート上の高射砲に直撃し爆発。
すぐにマールはAAM-5を回避し終えたSu-43に目標を定める。AAM-5をセット。ここで吹き飛ばす。
「何て真似しやがる!てめぇ・・・そんなに戦争が楽しいかよ!」
思わずミヒャエルは叫んでしまう。あんなぎりぎりで回避して見せるなんてそうとう危険だ。大体無謀すぎる。あと少しずれていたら主翼を持っていかれてぶっ飛ばされる。
「戦争なんかショーで充分。狂気じみた計画を進めるあんた達よりは数段まともだって思ってる。」
「あぁ!?」
「核弾頭使って町吹っ飛ばす?そんなんで実現できる理想がどこにあるって言うの?そんな相手に全力を出すことは無い・・・ベルカの空の騎士も落ちたものね!」
「んだと!?てめぇらにこの怒りが解ってたまるかよ・・・!ウスティオやオーシアに食い破られた俺たちの怒りがな!!」
ガンレンジまで接近するとマールが20mmバルカンを発射・・・ミヒャエルは射線から機体をそらして回避、右旋回し上昇してくるはずのマールを待ち構える。
思ったとおりにF-15F/25がすぐ脇をかすめさる・・・ミヒャエルはSu-43の機首を上に向けて追撃。F-15F/25の後ろにつく。
「許しは請わない・・・落ちて。私の敵である以上・・・」
ただ核兵器の使用を止めて、自分たちが生き残ること。それだけしかマールは考えていない。
後ろに張り付いているSu-43をマールは一瞥する。憎悪を放ちこちらを狙う・・・だが本人は割りとまともなようだ。
「落ちるのは・・・てめぇだ!」
急激に距離を詰めてSu-43がGSh-30-1を発射。だがその前にマールが高迎え角でエアブレーキを仕掛けSu-43をオーバーシュート。
すぐに機体を立て直し、Su-43を追撃・・・上昇しこのままヘッドオンで決着をつけるか?
予想通り、大幅に速度を上げてF-15F/25を突き放すと急激に反転。向ってくる。
「さて・・・かわしてみろよ!」
「負けない!」
AA-11がSu-43から放たれる・・・ほぼ同時にマールもAAM-5を発射し迎撃。互いの短射程ミサイルが爆発する。
そしてヘッドオン・・・30mmチェーンガンと20mmバルカンの銃弾が交差する。だがいきなりSu-43の搭載しているポッドから何かが放たれた。
「・・・これは!?」
何か危険だと感じ、そのまま回避するが・・・機体に強い衝撃が走る。あちこちに傷を折ったようだが何が?
機体状況は・・・左エンジン出力低下。だがまだ戦える・・・何とかだ。
「ったく・・・やりやがったな、てめぇ・・・・」
「今何したの・・・?」
Su-43もたいしたダメージは無い。主翼端をかすめた程度ならまだ戦えるだろう・・・そして確実に狙ってくる。
「ミサイル迎撃用のポッドって奴だ。お前に当たるかと思ってやってみたらお見事に直撃だ・・・ったくよ。てめぇも全然衰えてねぇな。ヘッドオンの腕前。」
「そっちこそ、面白いもの使うじゃない。」
ヘッドオンのときは被弾率を減らすためにどうしても高速になる。ミヒャエルはそれを狙いAAMハード・キル用の試作ポッドを射出。マールに直撃するように仕向けたのだ。
広範囲に金属の球を撒き散らす。ミサイルをその速度自体で殺してしまおうと言うわけだがそれを戦闘機相手に使ったのだ。そのまま突っ込んでいたら間違いなく爆発していただろう。
「戦闘機相手に当てるってのは俺が初めてだろうな・・・まぁいい、最初からてめぇはこうするって解ってるからつけてお板までだ。」
「落とす自信が無かった?まっとうな手段で。」
「けっ・・・気に食わねぇな。確実に倒せる手段を選んだだけだっての!」
再びヘッドオン。互いにAAMを放たない・・・マールはここぞと言う時に使いたいのと、相棒の救援に使うかもしれないから。ミヒャエルにしてみれば少ない武装を無駄撃ち出来ないから。
銃弾が交差しすれ違う・・・旋回しすかさずミヒャエルの後ろにつける。ここで定石どおりの機動を取るはずはない。
必ず、引っ掛けてくる。直感がそう囁いている。
「さぁ行こうか!もっと下へとよ!」
急激に降下態勢に入ったミヒャエル、マールもそれを読んでいるから上昇をそのまま仕掛け反転。
スティックを左に引き絞る・・・思ったとおりだ。アフターバーナー最大出力じゃない。一瞬だけ吹かせてフェイクをかけにきた。
「解ってるんだけど。こうするってさ。」
「バレてんのかよ!ちくしょう!」
距離が近すぎる・・・AAM-5使用を諦めトリガーに手をかける。M61A6バルカンが回転し、20mm銃弾を敵機に放つ。銃弾は・・・掠めただけ。だがいつでも狙える。
「まだまだじゃない?いや・・・私が強すぎるだけかな。」
「ふざけんな!まだ終わるか!」
急降下を仕掛けた途端にSu-43が峡谷へと逃げ込む・・・まずい。峡谷に入られたら見失ってしまう。それに奴の腕だ、レジスタンスを銃撃するなどたやすいだろう。
しかも飛びなれた様子でSu-43が峡谷の中を疾走する。何度もこのあたりを飛んでいる雰囲気だ。
「逃げ込んだ・・・!」
「相棒、残ったオヴニルの連中も峡谷に逃げ込んだ。追撃する!」
「衝突なんて勘弁してよ、相棒!」
急降下すると2機も峡谷内部に侵入。まだ防空システムを解除するつもりは無いらしい。それがプライドなのだろうか。
15年前に落とした恨みは、空戦で片付けるつもりか。
軽口を叩きながらマールは峡谷に侵入・・・しかし逆に考えれば回避が殆ど出来ないここでヘッドオンしたら間違いなく吹っ飛ぶ。
オヴニル隊、残り4機。相棒が既に2機を撃墜した。第2ラウンドの開始だ。
「獲物は逃さない。必ず!」
F-15F/25がかなりの速度を出して旋回。峡谷奥へと侵入するとレーダーが敵機を捉える。Su-43ベルクトDが突っ込んでくるようだ。
ちょうど曲がり角で接敵する・・・残り十秒ほどだ。時間はない。マールはトリガーに手をかける。
「吹っ飛びなさい、15年前の亡霊!!」
曲がり角から敵機が出てくる前に20mmバルカンが射撃を開始・・・射線が旋回してきたSu-43に直撃。操縦席後ろのエンジンを直撃し爆発する。
破片には幸運にも当たらずにマールは突っ切る・・・一安心といったところだ。
「マールの奴は俺に任せろ。F-15Cをやっとけ!」
「了解!」
ミヒャエルがいきなりのように峡谷外へと逃げ出す・・・一体何を思ったのだろうか。マールもすぐに機体を上昇させ背後から追撃。
すると角度を付けてSu-43が旋回しつつ降下。マールが追撃に入った途端に減速する・・・が、これではガンレンジに入ってくださいといっているようなものだ。
「何のつもり・・・!?」
疑いつつマールがガンレンジに入りトリガーに手をかける・・・途端、敵機のウェポン・ベイから何かが射出される。
いきなりのように爆発、金属球と破片を撒き散らす・・・まずいと思ったマールは急激に逆旋回をかけて機体へのダメージを防ぐ。
ユークで開発されたミサイル迎撃システムを攻撃に転用したらしい・・・機転は利くようだ。
「よけやがった・・・!」
「あの程度の工夫じゃ無理ね。空戦の腕前はまだまだ私のほうが上。」
「何だとっ!?てめぇ・・・その台詞を言った事後悔させてやんよ!」
ハードキルタイプのミサイルジャマーをぎりぎりで交わしきったが、急激に反転したSu-43が後ろからAA-11を発射。
フレアーをばら撒きマールは急激な旋回を織り交ぜて交わす・・・距離を詰めてきたSu-43をオーバーシュートさせようとすかさずエアブレーキをかけて一気に減速させる。
「く・・・!!」
身体にかかるGを無理に押さえ込み、マールは機体を旋回・・・するとSu-43の機体がキャノピーのすぐ近くまで迫っているのがわかった。
そしてミヒャエルと視線が合う・・・割と端正な顔立ちで、狂気に飲まれているようには見えない。むしろ理性と本能の中間くらいで戦っている表情・・・自分と同じだ。
「・・・綺麗な顔してんな。落とすのが惜しいじゃねぇか・・・!」
「落ちるのは貴方、ミヒャエル。」
一瞬だけ減速させるのが遅れたSu-43の後背をとりすかさずマールは20mmバルカンを射撃。垂直尾翼に直撃しSu-43の挙動が乱れる。
が、なりふり構わずミヒャエルが機体を下降させる。煙を吹きながらSu-43が峡谷に逃れようとしたが、その真正面にもう1機のSu-43が迫ってくる。
そして突然のように爆発、パイロットがベイルアウト・・・そして目の前にAA-12が迫ってきた時ミヒャエルは何が起こったか理解していた。
咄嗟にイジェクトレバーを引き、脱出・・・風防が吹き飛び、座席が射出された直後にAA-12が機体に直撃、爆発を引き起こす。
「相棒、腕が鈍ったか?」
「そんな事無いけど、相手も強くなってたの・・・ありがと、フォルク。」
峡谷内部にF-15F/25が降下、マールがフォルクにお礼を言う・・・かなり楽だったらしい。
『・・・オヴニル隊、6名生存・・・まだ、生きてます。』
「パイロットの鏡みたいな連中だ。レジスタンスは大丈夫か?」
あの状況で大半がベイルアウトするとはなかなか腕前の良い連中だ・・・フォルクが素直に感心すると、レジスタンスに通信を入れる。
「まだ生きてるか?お前たち。」
「ええ、しっかりと・・・核弾頭の解体も完了しました。そろそろ守備部隊が来るので撤収します。」
あわただしくレジスタンスのメンバーが撤収していく雑踏が3人には聴こえている。
「乗船完了しました。海上まで護衛してくれませんか?」
「わかったけど・・・海に捨てるの?」
「そうですが、何か?」
マールはふと在ることを思い出してしまう・・・ユーク海軍はリムファクシ、シンファクシの2隻と巨大航空戦艦をやられた程度で海軍の通常兵力はまだ大規模なものが残っている。
新型のステルスフリゲートにイージス艦にも匹敵するとされるキーロフ級巡洋艦、そして主力のソブレメンヌイ級駆逐艦・・・このままタダで返してくれるとは思えない。
「ナスターシャ少佐、聴こえる?」
「何かしら?」
「ハープーンかASM-2を補充できる場所って無い?海上に核弾頭を投棄する時に海軍が来られると厄介よ。もしかしたらレジスタンスごと撃沈するかも・・・」
まさか、とナスターシャは言う。撃沈したところでどうなるわけでもない・・・が、ふと考え直し峡谷を流れる川がどこへ行くか確かめるために地図を見る。
周辺に集落は無い。そして大陸棚とも呼ばれる深度400m程度の浅い海域が続く。ここで撃沈すれば核弾頭を回収可能だ・・・核弾頭は滅多な事で爆発はしない。撃沈した後でゆっくりと探査艇を使い回収されては元も子もない。
「・・・その可能性はあるわね。それと悪い知らせよ。マカロフ司令からの報告で駆逐艦を中心とした艦隊が出撃。旗艦はモスクワ級軽空母チェリノヤルスク。護衛にフリゲート4隻の艦隊が・・・」
「それで、補給可能な空港はあるの?」
「南東の空港に許可は取ってあるわ。GRU直属よ。。」
了解と返答を入れると、2機は北西に進路を取り、そのまま南東の空港へとむかう。GRUの偵察機などが保管されている場所であり西側航空機への偽装を行うため敵国であるオーシアの兵器も保管しているという。
しかしユークも行動が早すぎる。もうレジスタンスが脱出したということが知られ直ちに対潜艦隊を差し向けるとは。かなり手際が良い。どこから情報が漏れたのだろうか?
『・・・不味い、ね。』
「その通りね、シルヴィア・・・」
直感でシルヴィアも不味いと感じたらしい。核弾頭が誘爆して大爆発する危険性もあるというのにユークは欲に目がくらんで民間人の乗る潜水艦を撃沈するという暴挙までやるつもりだ。
それだけは止めなくてはいけない。フォルクもそれは同じらしく無線で「了解」と言ってきた。


グロフスク河口付近 潜水艦U-796艦内 1342時
「・・・上手く行くんでしょうか?」
弱気な声でアリョーシャが言う・・・ここまで敵の攻撃が一切無い。それが逆に彼らの不安をあおっているようだ。
激しい抵抗があってもいいはず・・・重要拠点から核弾頭を奪ったのだ。ユーク陸軍のプライドはズタズタだろう。
「安心しとけ。生き残れるって思った奴が最後まで生き残れんだ。弱音なんか吐くんじゃねぇ。」
バートレットが相変わらずの口調で答える・・・そろそろ潜水艦は外海へと出る頃だ。もっと出て深い海溝にでも核弾頭をバラバラに捨てれば、二度と使用されることは無いだろう。
「狭くてやってられねぇぜ、俺はなぁ。戦犯の無罪放免って条件が無けりゃあ逃げてぇくらいだ。」
愚痴をこぼしながらドミニクがウォッカを飲む・・・やはり潜水艦は窮屈で嫌なのだろう。バートレットやレジスタンスのメンバーもほとんど同じ気分のはずだ。
潜水艦は狭く、息苦しい・・・ストレスが溜っていくのも仕方ないことだ。するとソナー要員が艦長に報告する。
「報告・・・敵艦を確認しました。音源は4つ。おそらくはそれ以上かと。」
「急速潜行、急げ!」
このワルター潜水艦では深度280mが限度・・・だが海面に姿をさらしミサイルと速射砲を受けるよりはマシだと考えたのだろう。
敵艦はまだこちらに来ない・・・こちらの位置を探っているのだろう。ソノブイで発見されたら一巻の終わりだ。
囮魚雷でアスロックを霍乱する手段もあるが、数に限りがある・・・それに近づいて対潜ロケットを叩き込まれることもありえるはずだ。
「音は立てるな・・・見つかるぞ。」
艦長の言葉でほぼ全員が慎重になり、その場にとどまり続ける・・・潜水艦が音を出すようなことはあってはならない。即発見されてしまう。

「間に合うかな?相棒。」
マールが急ぐように最高速度で該当海域へと突貫する・・・ハープーンミサイルが用意できず、やむなく無誘導の500kg爆弾を取り付けている。
12個くらいあれば敵艦隊は簡単に殲滅できるだろう・・・一方のフォルク機にはKh-41サンバーンを搭載。F-15Cの改造型では2本が限界だが、あとはVTOL機相手の戦いだから別に構わない。
「間に合わせる、違うか?」
『・・・はい。急ぎましょう。』
「こちらオーカ・ニェーバ。フリゲートおよびヘリ空母からKa-27が離陸した。至急撃墜せよ。」
GRUが命令書を偽造し、AWCASが今回の作戦に同行している・・・A-50メインステイが1機。オーカ・ニェーバというらしい。ユーク語でスカイアイと同じ意味と聞く。
駆逐艦やフリゲートから対潜ヘリKa-27が離陸したという。潜水艦の位置特定前に撃墜しなければレジスタンスの命をかけた行動が無意味になってしまう。
撃沈した後、探査艇を使い核弾頭を回収されればそれで終わりだ。間違って誘爆させてもせめて口封じにはなる。
「さて、行くよ!サイファー、エンゲージ!」
対潜哨戒を行っているKa-27目がけマールが急速に接近、真横から20mmバルカンを連射・・・ローター部分に直撃し、Ka-27が粉々に吹き飛ぶ。
ほぼ同時にピクシーもAA-11を発射・・・吸い込まれるかのようにKa-27にミサイルが直撃。爆発を起こす。
「敵機確認・・・ガルム隊だと!?」
「VTOLで撃退しろ!」
ステルスのVTOL戦闘機であるS-47がヘリ空母「チェリノヤルスク」から離陸する・・・が、フォルクはそれを見逃さずKh-41をロックオン、ミサイルを2本投下する。
CIWSがすさまじい勢いで弾幕を張り、ミサイルを近づけまいとする・・・が、狙いが甘い。それに旧式の空母ゆえにCIWSの数も少ない。
1発が爆発、もう1発のサンバーンは艦橋構造物へと吸い込まれる・・・そして突き刺さると爆発を引き起こす。艦橋の吹き飛んだチェリノヤルスクはもはや旗艦の機能を果たしていない。
「「チェリノヤルスク」大破!艦橋要員、総員戦死と思われます!」
「チェリネンコ少将が戦死したか・・・!提督の敵を討て!潜水艦を何としても撃沈しろ!」
CIWSで一発撃墜できたのが奇跡とも言えたほどの旧式空母が行動不能に陥るが、艦隊は一糸乱れぬ動きで向ってくる・・・S-47も爆弾を搭載しているマールのF-15F/25を目標に突撃を開始。
『マールさんには、近づけさせません・・・・ロックオン。』
「堕ちろ・・・悪いけどな。フォックス・ツー。」
F-15Cが機首を巡らせ、マールへと攻撃態勢をとったS-47目がけAA-11を発射・・・敵機は4機。1発ずつ発射したようだ。
フレアーをばら撒き一斉にブレイク、だが反応の遅れた1機が爆発する・・・AA-11を喰らったのだろう。
「1機やられた!」
パイロットがベイルアウト・・・残った3機が分散、1機がマールへと向かい残りがフォルクに格闘戦を挑むらしい。そしてAA-12をまとめて発射する。
数は8発ずつ・・・フォルクはチャフとフレアーを同時にばら撒くとアフターバーナーをかけて接近。ミサイルはチャフへと吸い込まれていく。
IRアダーというのはまだ出来ていないらしい・・・ヘッドオンで接近しGSh-23Lを発射するも交わされてしまう。マールのように鮮やかには行かない。
その好きにS-47が反転、AA-11を発射する・・・近代戦闘機相手というのもあるが敵の腕前もたいしたものだ。フォルクは感心する間もなくAA-11を回避。
強いGをかけ一瞬だけ減速、無理矢理旋回させるとかなり近くまでS-47が迫ってくる。ヘッドオンにも近い状態でフォルクはトリガーを引き絞る。
曳光弾が敵機のウェポン・ベイへと直撃し金属音を鳴り響かせたと単に発火・・・S-47が墜落する。
『撃墜確認・・・残り1機。あ・・・マールさん、敵機撃墜。』
「相棒、やることが早いな。」
「それほどでも・・・ね。」
多分無線の向こう側で笑顔で話しているのだろう。フォルクはそんなことを思いつつ残りの1機を狙うが陸上基地へと帰還していく。
叶わないとわかったためなのだろうか。フォルクはすかさず追撃する・・・対艦攻撃用の武装は無い。主戦派に組する戦力を減らして置いて損は無い。
「追って来る!?くっ、振り切れるか・・・!?」
最大加速でS-47が逃げようとするがF-15Cの最高速度に劣っているためか振り切れない。観念したかS-47は旋回しF-15Cの背後へと回り込もうとする。
「逃さねぇよ?この戦場から。」
F-15Cも負けずに旋回・・・するといきなりのようにS-47が速度を落し始める。VTOLでオーバーシュートさせるつもりか?
「終わったな・・・散れ。」
慌てずに機首を上げてレティクルに収め、GSh-23Lが23mm銃弾を発射・・・VTOL中のエンジンや尾翼を引きちぎり、敵機を炎上させる・・・パイロットは即座に脱出したようだ。
『撃墜確認・・・あ、マールさん、敵艦撃沈。』
「爆撃まで得意とはな・・・死角なしか。」
弾幕を潜り抜け、まるで二次大戦のJu-87や99式艦爆のような急降下爆撃を仕掛ける・・・爆弾が上手く目標であるゴルシコフ級フリゲートの艦橋に直撃、爆発を起こす。
機関部から炎上しているらしく、次々に兵員が離脱していく・・・F-15F/25は低空を飛翔すると、真っ向からゴルシコフ級フリゲートに突っ込む。
ステルス性能の高いフリゲートだが無誘導爆弾には何て事の無い相手だ。ピパーに捉えると爆弾を投下、加速して離脱する。
艦首部分に爆弾が直撃、57mm速射砲の弾薬庫に到達し爆発を引き起こす・・・艦首から浸水しているらしい、あれではもう5分も持たないだろう。
「残り1隻・・・って、ミサイル?無駄なことやめたら?」
チャフをばら撒き、マールが対空ミサイルのコースから回避。ループを描いてミサイルを引き離すとピパーに敵艦を捕らえる。
狙いを定め、爆弾を投下・・・爆弾は艦尾に向かい、爆発。推進軸がへし折れたらしく艦艇の動きが止まりそうだ。
「機関損傷・・・復旧不可能です!潜水艦も探知不能!」
「救難信号を発信しろ・・・我が艦隊の完敗だ。たった2機の戦闘機に・・・!」
悔しそうな声でフリゲートの艦長が呟いているが、マールには関係の無い話・・・フリゲート4隻は全く動かずもはや戦闘能力は無い。
ワンサイドゲームでの勝利といっても過言ではない。たった2機で対潜艦隊を壊滅させたのだから。
「こちらオーカ・ニェーバ。作戦完了だ。おっと、護衛目標の潜水艦から入電。「遅ぇんだよ、ウスティオの傭兵」・・・何なんだ?一体・・・」
「了解・・・助けないほうが良かったかも?」
マールが軽く答えると、フォルクも「同感だ」と頷き返す。オーカ・ニェーバのクルーは何が何だかさっぱりわからない様子だったが。
どう考えてもあのエスケープキラー、ドミニクだ。彼に関してはいい思い出が1つも残っていない。
『・・・とにかく・・・早く、帰りましょう?』
「ああ・・・相棒、俺はユークに戻る。」
了解とマールは頷く・・・すると、フォルクが言い忘れたと言って話しかけてくる。
「あえて嬉しかったぜ?相棒。」
『・・・マールさん、いつかまた。』
機首を巡らせてF-15Cは戦域から離脱する。マールも2人の思念が感じられなくなるとISAF空母へと戻っていく。
相変わらずJFSシステムには異常は無い。このシステムではMLSより簡単に扱えるように作られた簡易型・・・感知範囲がMLSに比べて狭いものの、普通に訓練を受ければ使いこなせる。
FX-10Aのシステムを応用したという噂もあるが、あの当時無人機はベルカの極秘プロジェクトだったからそれは多分デマだろう。
「・・・ふぅ。ベルカもきつかったなぁ。」
さすがに15年前まで世界最強の空軍を持っていたことはある。おそらくエースの挙動などを全部データベース化してそれをトーネードFXやFX-10Aといった無人機にプログラムを組み込み訓練させたのだろう。
「そういえば、ベルカってどれくらい核弾頭持ってるんだろ?」
独白ともいえる呟き・・・が、それに突然のようにナスターシャ少佐が答える。
「おそらく20個程度はあるでしょう。V2も含めれば。」
「な、ナスターシャ少佐!?驚かさないで下さいよ!」
いきなり独り言に応答されたら誰でも驚いてしまう・・・マールも一瞬ながら驚いてしまったがいつもの明るい調子に戻りナスターシャに訊ねる。
「V2って・・・あの短距離弾道ミサイルじゃないよね?アヴァロンにあったあれと同じの?」
「違うわね。その改良型とも言うべきもので1発だけでオーシア領内を灰燼に帰すことも可能よ。弾頭部に20発ほどの自立誘導核弾頭が入っているわね。」
「・・・冗談抜きにして。」
そんなものが直撃したら世界は滅亡してしまうだろう・・・いや、オーシアが滅んでも関係ない人が数多く死んでしまう。核戦争何て最悪のパターンだ。
「だから、何としても食い止めなければならないのよ・・・ウスティオが貴方をISAF空母に派遣した理由もわかったでしょう?」
「痛いほどにね・・・まっずいなぁ。」
だとしたら、最大限努力して止めなければならないだろう。マールはまた重荷が増えたと思いつつスフィルナへと帰還する。
ステルスフリゲートを撃沈できたから少しは楽になるだろう・・・あとはあの潜水艦が無事に帰還できるのを祈るばかりだ。

「あれで解る奴がいるのか?」
怪訝な顔をしてバートレットが尋ねるがドミニクは大丈夫だとはっきり断言する。
「エスケープキラーの俺が奴らに言う言葉など少なくて結構だ。いい印象のねぇ奴にグダグダ喋られても気分よくねぇだろ?」
確かにそうだとバートレットも頷く・・・もっともドミニクもこんな展開を予想せず、咄嗟に何か送りたいが言葉が思い浮かばなかっただけでもあるが。
それでも、少し懐かしい気分にはなった。あの時戦ったエースが元気に飛んでいればそれだけでも少し懐かしい気持ちにはなる。


続く

あとがき
本当に久しぶりですみません。第23章完成です。
スローペースで進みますが、しっかりと書いて行きます。



 2008/05/05あくてぃぶF-15さんから頂きました。
秋元 「蒼晶石、俺もよく分からん」
「馬鹿言ってんじゃないよ、アッキーがわかんなきゃどうすんのサ」
秋元 「馬鹿は貴様だこの小娘が。“俺は”分からんのだ。俺じゃない『別の俺』がいる訳だ! 今の俺は22歳であって24歳の俺じゃぁない!!」
「……めんどくさー
アリス 「……今回はあの谷間の戦いですね。AC5の記憶が蘇ります」

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