ACE COMBAT04 Shatterd skies〜メビウスの記憶〜




ACE COMBAT04 Shatterd skies〜メビウスの記憶〜
第5章 無敵艦隊撃滅〜コンベース軍港強襲戦〜

12/8 1000時 CVスフィルナ

「・・・随分と調子よさそうだな。」
ヴィクセンがフィンに話しかける・・・1週間前ほどに届いた新鋭機の調子は良好そのもの。
かなり機動力に優れ、どんな機体にも負ける気がしない。
「まぁね。良い感じ・・・この機体なら黄色にも勝てる。」
「黄色中隊か。」
「そう。1回落ちた恨みはまとめて返すよ。兄さんの分もこめて。」
はっきりとフィンは言う・・・どうしても許すつもりは無いらしい。
まぁ、ヴィクセンもその気持ちはわかっている。唯一の肉親を殺されたのだ・・・許せと言う方が無理がある。
「・・・レイシスか・・・確かに強かったよな。けど・・・もう戻ってこない。」
「僕にとっては師であり親代わり。ルシアも一緒に・・・だから・・・・」
「まぁ、そうだろうな。」
「そこでやめて。」
ヴィクセンの後ろからレンが歩いてきた・・・少々不機嫌そうだ。
「どうした?」
「そういう会話、いやなの。それに・・・マスター。そういうことを考えるのもやめてほしい。」
「・・・どうしてだ?」
何故かわからない様子にレンははぁと息をつくと、その質問に答える。
「私達精神生命体はそういう・・・負の思念に弱いの。ことに至近距離で感じる憎悪にはね。フィンもMLS機を貰ったなら、気をつけておいて。」
「そっか・・・」
苦しい思いをするなら、そういう感情は捨てた方が良い・・・フィンはそう感じた。
どれだけ戦闘で大事だったか、そしてかけがえの無い存在だったか知っているから・・・
1週間経って・・・覚醒はしたけどかなり苦しそうだったのはそのためだったのだろう。
黒いロングヘアーに緑色の瞳、赤い服と黒のスカート・・・フィンはレナと名づけた。
「・・・悪いことしたなぁ。」
「フィンの気持ちは人としてまっとうだけど、それが他の人に影響したり苦しめたりする。気をつけておいて。」
レンに言われ、フィンは何も言い返せない。そのとおりだ・・・
憎しみを込めて関係ない人まで殺してしまったら・・・同じことが連鎖してしまう。
割り切れない気持ちは、黄色中隊を落とすことで何とかするしかないのだろうか・・・?
「フィン、ヴィクセン!ようやくブリーフィングだ、急げ!」
「僕が隊長なのに!まったく・・・」
3人はすぐに階段を駆け上がり、ブリーフィングルームに駆け込む。
まだ始まっていないが・・・2人が入った途端に始まったようだ。

「われわれはこれよりコンベース港に奇襲をかけ、停泊するエイギル艦隊を湾内にて撃沈する。これはノースポイントに司令部が移されて以来、もっとも大規模で、かつ重要な航空作戦である。作戦時間も長く、作戦途中での補給も必要になるだろう。全機、粉骨砕身して任務を全うし、そして無事帰還せよ。」

参加航空隊はISAF空軍のブルーバード隊、シルフ隊やリベリオンなど14個航空隊。捕虜収容所に奇襲をかけたり志願兵を募ったりして大分軍として機能できるだけの数をそろえている。
また、開戦当初に負傷した兵士が前線に復帰し始めたためかなりよくなってきた・・・
「さ、行くよ。」
階段を駆け下りて、フィンは梯子を上り機体に乗り込む。
『・・・何か嫌だ。』
「ごめん・・・あんなこと言って。レナ・・・」
『わかってる。深いものがあるって・・・けど・・・・』
「うん・・・」
久しぶりの大きな作戦だというのに・・・フィンもレナもそれどころじゃない。
新鋭機のF-15ACTIVE・・・通称F-15IrにASM-2を4本とAAM-3を8本搭載しての出撃。
気分が乗らないままカタパルトから射出され、コンベース軍港に向かう・・・


1123時 コンベース軍港
「すべてのターゲットへの攻撃を許可する!
無敵といわれたエイギル艦隊を沈めろ!幸運を祈る!」
「了解!」
各航空隊は散会し敵艦船に向かっていく・・・フィンは散会の指示を出すと、少し距離を置く。
何か、話したいことがあるようだ。
『・・・ねー、攻撃しないの?フィン・・・・』
「言っておきたいんだ。僕にとって兄さんは重要だと。だから黄色中隊は絶対落とすんだと・・・」
『うん、それは解る・・・けど、憎しみをずっと抱き続けてどうするのさ!』
「僕の黄色中隊への憎しみは消せないよ。ずっとね・・・ずっと消えない。いや・・・許したら、兄さんにどう顔向けしたらいいかも・・・わからない。空で落としたから、空で落とすだけ。」
フィンは一呼吸置くと、さらに続ける。
「それのどこがいけないの?僕はただ・・・」
『敵を討ちたい?そんなの・・・いつの時代なのさ?』
「今ここで僕が思っている事。何も失ったことの無い君には・・・何もわからない。」
『待って、フィン!!』
「・・・話は後回し。敵機だ・・・行こう。」
新鋭機の実力を実践で測るはじめての任務。敵機はFX-10A。蒼晶石搭載の無人戦闘機だ。
こちらをレーダーに捕捉。AIM-120を発射・・・フィンはチャフをばら撒いて急旋回で交わす。
軽い。訓練やDACTでも実感していたが相当な軽さだ・・・そして苦も無くFX-10Aに旋回性能で追いつく。
急激に減速、FX-10Aが旋回半径を狭めて退避・・・同時にフィンはクルビットで追随、M61A3を発射。
操縦席に当たる部分を破損させ、ぶっ飛ばす・・・FX-10Aは燃料に引火し、地上に着く前に爆発する。
『1機撃墜・・・私が必要?本当に・・・』
「ん?手際が良すぎて自分が必要かって?」
『うん。何かフィンを邪魔してるみたいでさ。あんなこと言ったりして。』
最初から本名尋ねてきて、それからずっと名前で呼んでいる・・・フィンはそれの方が良かった。
自分に尽くしてくれるよりも、話し相手や友達としてみてほしいのが本音。ルシアもそんな雰囲気だったから。
「この世界に不必要なものがあったら、最初から取り除かれてるよ。」
『え?』
「けど、僕達の存在することに意味は無い。生きていて、考えられるならそれを作らないと。」
『・・・案外哲学者ね。ちょっと見直したかも。』
レナの声を聞き、フィンは照れくさそうに頭をかく。
そして、93式対艦誘導弾をぶち込む敵艦を発見・・・中央に戦艦「ヴァンガード」が陣取りその周囲にシェフィールド級駆逐艦とシー・レイス級巡洋艦が陣取っている。
この艦隊を取り巻くシェフィールド級はかなり旧式っぽいが、どうも見えにくい・・・
「レナ、あの敵艦わかる?」
『あ・・・うんと、シェフィールド級。随分旧式ね・・・CIWSもついてないなんて。』
「ありがと。役に立つんだから気にしなくていいよ。自分が役立たずなんて思わないでほしいんだ。」
『・・・あ・・そ、そうだね。』
ロックオンをかけるのはCVLインヴィンシブルとBBヴァンガード。そしてシェフィールド級駆逐艦。
戦艦に2発ぶち込み、インヴィンシブルと駆逐艦に1発ずつ。空母には真上からミサイルをぶち込み甲板を破壊する。それが目的だ。
『3隻にセット。戦艦へは艦橋構造物の根元と艦橋直撃でいいよね?』
「うん。」
『よし、発射!』
ASM-2がいっせいに発射される・・・目標に向かっていくサンバーンを覗いて現在世界最強の対艦ミサイル。
1発はインヴィンシブルに直撃。爆発を引き起こしシーハリアー数機を巻き込んで爆発。もう1発はシェフィールド級の機関に直撃し爆発し最後の2発は艦橋基部に直撃・・・だが、1発が迎撃された。
戦艦は強固・・・ダメージなどそれほど無い。高射砲とCIWSがいくらかやられた程度で艦全体へのダメージはない。
『やっぱり腐っても時代が変わっても戦艦は戦艦ね。無駄に頑丈。』
『じょーだんじゃねぇ・・・喰らえ!!』
ミラージュ2000C・・・ミラから2発の新鋭対艦ミサイルが発射され、砲塔に直撃する。
それでも砲塔が爆発せず、平然と射撃を続けてくる。
「なぁ、フィン・・・やばくないか?」
「僕もわかってる・・・戦艦は他の部隊に任せよう?」
ルウは少々不満げだが、あんな戦艦は下手に素人が手出しするよりも他の部隊に任せた方がいい。
それに敵機が接近。機影はシーハリアーFA2だ。
『ちっ、ロスビフどもが次から次へと・・・』
「しゃーないな。ぶっ飛ばすか。」
シーハリアーFA2をミラージュ2000Cが追撃。同時に2機がこちらに向かってくる。
新鋭ともいえないが高性能なVTOL機。インヴィンシブルから発進したのだろうか・・・あるいは軍港の倉庫に隠されていたのだろうか。
『後ろに2機!』
「やーれやれ。さ、行くよ!」
シャンデルをかけて一気に上昇を仕掛ける・・・その動きにシーハリアーは追ってきてAIM-132を発射。
その前にフィンが強引に機体後部を滑らせガンレンジに持ち込む。操縦席を斜線に入れてM61A3を発射する。
20mm銃弾が敵機を刺し貫き爆発。パイロットは・・・死亡。
『ぐあっ・・・!こ、こんな・・・・!!』
残留思念を感じ取る・・・レイシスから聞いていたが、やはり辛い。
一気に急降下を駆けてヘッドオン。シーハリアーFA2を20mmバルカンで貫く。
こちらも死亡を確認。ヘッドオンでぶち抜かれたら大半は死ぬ。
「撃墜を確認。次。」
『作業みたいによく淡々とこなせるね・・・フィン。』
「・・・解っていれば負担も少ない。それに・・・曲がりなりにも僕は隊長。動揺するわけには行かないよ。」
そうだ・・・とレナははっきりわかった。背負っているものもかなり大きい。
ISAFのエースレイシスの弟。彼はもうISAF空軍の旗頭だ。
『・・・大きすぎるね。フィン・・・背負ってるもの。私達ってさ。』
「うん。けど・・・どちらかしか生き残れないなら、ISAFが生き残る道を選ぶよ。そのためなら僕は迷わない。」
『・・・フィン、わかった・・・』
アラートが鳴り響く・・・発信源は海面の対空ミサイル艇だ。
急降下をかけてフィンはレティクルをあわせる・・・目標はミサイル艇。
20mmバルカンをぶち込んで沈黙させる・・・そして上昇しミサイルを発射。
ヴィエラを追撃していたF-16Cを撃墜する。これで大丈夫だろう。
「助かりました!」
「まぁ、いいよ。次行くよ次!」
フィンが次の目標に向かう・・・戦況はISAF軍優勢か。
「やられた、くそ!何とか飛んでる!」
「タンカー炎上中!やばい、引火するぞ!!」
真下でタンカーが爆発・・・銃弾でも喰らったのだろうか。
それよりも燃料タンクがある。壊して置いて損は無いだろう。
『ロックオンかけたよ。いける。』
「よし・・・フォックス・ツー!」
AAM-3を燃料タンクに向けて発射。直撃しタンクが爆発を起こす。
が・・・敵機が来る。改アークロイヤル級CVジオフォンから発進した機体3機。新鋭機と思われる。
『敵機・・・FX-11BとF/A-18I!』
「ホーネットADVとヘブン・ランサー・・・来た!!」
無人機だし敵にはブルーレインの反応は無い。これならまだ勝機はある。
「っと。俺が引き寄せておいてやるよ。無人機は頼む。」
AAM-4が飛来、F/A-18Iはそれに反応しF-15Cへと向かっていく。
無人機はF-15Irを相手にするようだ・・・早速フィンはヘッドオンでAAM-3を発射。
急激に旋回し、フレアーをばら撒く・・・が、AAM-3は無人機を捕捉ししっかりと追撃する。
途端、敵機はハードポイントに引っ付けたポッドから何かを射出、煙幕を展開する・・・AAM-3がそれに引き寄せられる。
「IRが霍乱された!?」
『フィン、上に無人機!』
レーダー、IRシーカーが使用不可能。レナの言葉を信じて機首を真上に上げる。
やはり居た・・・敵機が急降下を仕掛けてくる。この一瞬で決めるしかない。
AAM-3を発射、同時にFX-11BがAIM-132を発射して迎撃する。
爆発・・・そしてほぼ同時と言っていい金属音と銃声。2機がすれ違い・・・互いに煙を吹いている。
FX-11Bが可変翼を引きちぎられ回転しながら落ちていく・・・同時にフィンのF-15Irもエンジンから煙を吹いている。
「無理すんな。後は任せておけ!」
「ルウ・・・ごめん。任せるよ!」
F-15Irは戦線離脱。残りはルウとヴィクセンが引き継ぐ。
無人機撃墜。これで大分マシに鳴るだろう・・・

「エイギル艦隊がやられるぞ!」
「上空敵機多数!上空敵機多数!」
敵は不意打ちに混乱している・・・しかもこの前の燃料施設が破壊されてろくに艦船が動けない状態だ。
とりあえず第7艦隊が離脱したが海上でISAF空軍に叩かれて壊滅、戦艦ヴァンガードはまだ煙を吹きながらも応戦しているが沈没は時間の問題だろう。
ルウは下を除きながら、ミサイルでの攻撃目標を探している。
『いい気味ね。今までのお返し。』
「・・・まぁな。やられっぱなしだったからな・・・」
航空魚雷を喰らい巡洋艦ラズーリが大破炎上。ISAFは新鋭の対艦航空魚雷を使いかなりの戦果を上げている。
魚雷のほうが有効な迎撃手段が少なく、攻撃力も高い。空母ですら4発くらいで撃沈できる。
それも現在ある対潜誘導魚雷ではなく昔使われていた61cm酸素魚雷を元に新たに開発したものだ。
長さは対艦ミサイルほどだが、破壊力に関しては数段上だ。
「魚雷なんか喰らわせやがって!いったいいつの時代だよ!?」
「ジオフォンに水柱が!ダメだ、沈むぞ!」
改アークロイヤル級「ジオフォン」が傾斜。あの状態では持ち直せないだろう。
『・・・着やがった・・・マスター、上にトーネード!』
「っと。そろそろ来る頃じゃないかと思ってたけどな!」
マウザー27mmの銃弾を交わし降下するトーネードF3を追撃する。
急降下しスピードをつけてからトーネードF3は旋回、振り切ろうとするが動きが甘い。
トーネードF3よりも鋭く旋回、ルウはマジックAAMをロックオンする。
『ロックオン、距離5700。』
「未熟さをのろうんだな。フォックス・ツー!」
白煙と黒いトーネードが空を切り裂き、ミサイルがトーネードF3のエンジンを破壊。
搭乗員は2人ともベイルアウト。機体は揚陸艦に直撃し爆発する。
「こちらメビウス3、やばいものを見つけた・・・無人コルベットの拠点だ。新鋭のステルス艦らしい。」
「おい・・・そのコルベットは見たのか?」
「燃料補給中の3隻を除き全部出撃した後だ。とりあえずシルフ隊が破壊している・・・ミサイルばっかり積んだ連中だ。しかもCIWSまでステルスだから見えにくいことこの上ない。」
「ああ、ヴィクセン・・・頼んだぜ。」
ヴィクセンからの通信を聞いたルウはちょっと不安になった・・・まさかとは思うが、艦隊にコルベットを向かわせたのではないだろうか?
どれだけのスピードを出すか解らない艦船。今頃艦隊に向かっている可能性も否定できない。
「写真撮ったか?」
「ああ。」
「じゃ、そのまま散会。好きに目標をぶっ飛ばして置けよ。」
指示を出し、ルウはF/A-18IホーネットADVと交戦を開始する。数は2機。
空軍機が散発的に飛んでくるが・・・逆にISAF空軍に撃墜され数を減らしている。
艦上機のシーハリアーではF-15EJ、F-4Aを中心にした攻撃部隊に傷すらつけられずライセンス生産されたと思われるF/A-18Iはそこそこ奮戦するがそのたびに制空部隊に囲まれて落ちていく。
『これくらいじゃねぇと面白くもなんともねぇ・・・行くぜ!』
「そうだな・・・メビウス2、エンゲージ!」
カナードつきのホーネットADVを追撃、ルウはロックオンをかける。


CVスフィルナ 1150時
「・・・ふぅ。」
地上施設破壊に向けてフィンのF-15Irには中型爆弾12個およびAAM-3を8本搭載している。
これだけあれば十分。空戦もやらなければならないからミサイルは多い方がいい。
『ねぇねぇ、後ろ。』
「後ろ・・・?」
何故か残されていた後部座席、そこに1人の少女が実体化する・・・
イメージで見たレナの姿そのもの。ようやく実体化したようだ。
「・・・心強いね。」
「それだけ?」
「まぁ・・・突然だから何もいえないんだと思うよ。」
何も動じることなく、フィンや燃料補給やエンジンの修理を待っている。
「・・・ごめん、こんなマスターでさ。嬉しいけど・・・あまりにも突然すぎて実感がわかないんだ。」
「そっか。」
「うん・・・とりあえず、生き残ってまた戻ろう?ゆっくり話をするのはそれから。」
すると、整備員が発進許可を伝える・・・もう大丈夫のようだ。
応急修理ゆえに少々性能は落ちているが、この作戦で使うにはまだ十分らしい。
「さ、行くよ。」
「メビウス1、発艦許可を出す。」
カタパルトにセットされ、甲板要員が所定の場所に着く。
同時にフィンは最大速度を出す・・・カタパルトが動き発艦する。


コンベース軍港 1207時
「まだやってるね・・・」
エイギル艦隊は壊滅状態。コルベット発信基地も破壊し残りは地上施設と揚陸艦のみ。
甚大な被害を受けている・・・が、敵空軍機や海軍機も必死に応戦している。ISAFが押してはいるのだが。
『敵機来るよ・・・JAS-39Cグリペン。』
「こいつは辛いかも・・・」
機動性能は抜群にいい邀撃戦闘機。相手には少々手間取りそうだ。
まずはヘッドオン。加速して無理やりガンレンジまで持ち込む・・・そしてM61A3を発射。
敵機は旋回して交わそうとしたらしいが被弾。エンジン部分をやられベイルアウト。
「ちくしょう!もろに浴びた!」
「ロックした!」
後ろを振り向くとJAS-39CがAIM-9を発射。フレアーをばら撒きフィンは急激に降下を書ける。
JAS-39Cも追撃。だが・・・
「ちょっと無理するよ・・・行けぇ!!」
TVC、カナード最大角度で宙返り・・・相当なGがかかっているがフィンは気にせず目標を捕捉。
M61A2をてJAS-39Cに発射・・・20mm銃弾を喰らった敵機は爆発。パイロットはベイルアウト。
「食らった!ダメだ、火だ!脱出する!」
「貰うよ・・・次!」
緩やかに旋回してニューコンベース軍港へと向かう・・・建造中の空母がまだあるようだ。
建造中といえども容赦するなと命令を受けている。ためらわずにピパーをあわせ爆弾を6発投下。
改アークロイヤル級空母の甲板をぶち抜き、作業用の鉄骨やクレーンを巻き込んで破壊する。
「インプラカブルがぶっ飛んだ!!紺色のイーグルだ!」
「味方だ!味方を撃つな!」
敵の対空砲火が誤射で敵機JAS-39Cを撃墜。ベイルアウトしたからよかったもののとんでもない失態だ。
それほど混乱していると言うことだろう・・・思った以上に油断していたようだ。
『敵戦力はほぼ壊滅。フィン、あと揚陸艦もぶっ飛んだし地上施設も壊滅状態。』
「終わったのかな。まぁ・・・これ以上やるとしたら民間のビルしかないけど、そこまで非情じゃないし。」
コンベース軍港は壊滅状態・・・もはや建て直しは不可能なほどにまでなった。
「敵戦力の撃滅を確認した。繰り返す。こちらスカイアイ。無敵艦隊は海に沈んだ。
作戦終了、全機帰還せよ。」
戦艦ヴァンガードは傾斜したまま・・・残りの艦船はもう沈んでいる状態だ。

「提督!」
「・・・見事にやられたよ。」
ヴァンガード艦橋では、すでに総員退艦の命令が出ていて乗員の大半も脱出した状態だ。
後は提督と艦長のみ。幸いにも戦死者が少なかったが・・・
「脱出・・・しないのですか?まだ、エルジアの艦隊を再編する役目があるというのに・・・」
「どうせ帰ったら叱責されて退役だ。だったら・・・せめて彼女と残りたい。」
「ですが、貴方ほどの功労者を海軍司令部が・・・」
「容赦なく切り捨てる。それが連中だ・・・戦況よりも自分の保身が第一だ。」
提督の言葉に艦長はうつむく・・・駆逐艦、巡洋艦すら全滅させられ残ったのはコルベットとミサイル艇、フリゲート程度。
これで許してくれる司令部なんて居るはずも無い。提督の言うことは事実だろう。
「・・・ですね。」
「ISAF空軍はまだ衰えていないな。むしろ強くなった・・・」
その途端にミラージュ2000Cが駆け抜けていった・・・あれはアンバー共和国機だろう。
中央ユージア軍機では無いのはわかっている・・・そして、そこにメビウスの輪のエンブレムがはっきりと見える。
「リボンは死にました・・・けど、また復活した。ラーズグリーズの伝説そのものですね。」
「ああ・・・さ、早く降りるんだ。私には何も失うものは無いが・・・君には家族が居るだろう?」
「わかりました・・・提督。今までありがとうございました。」
艦長が階段を下りて甲板に上がる・・・そして救命ボートめがけ飛び降りると、戦艦ヴァンガードは少しずつ傾斜して沈んでいく。
エルジア艦隊の象徴とも言える巨艦は、少しずつ沈んで行き翌日にはもうその姿を消していた・・・


CVスフィルナ格納庫 1740時
「はぁ・・・ようやく終わった。」
レンがブラックバードの主翼に乗っかって一息ついている・・・エイギル艦隊は殲滅された。
潜水艦や駆逐艦にいたるまで、1隻も残らず破壊されたのだ。
「あ、レン。どうだった?」
暇になったのかレナも格納庫に来た・・・フィンはいろいろフォルクから説明を受けているらしい。
「こっちはまぁまぁね。けど・・・とっつきにくいでしょ?フィン。」
「まぁ、そういわれればそうかな・・・?」
「こっちにも思念が流れ込んでくるけど、ギクシャクしてる。ちょっと。」
そういう思念を僚機だと感じるらしい。ことにMLSだと余計に。
まだフィンとレナは打ち解けていない・・・レンははっきりと感じたようだ。
「どこかで仲良くしたい気持ちがあるみたいだけど。」
「まぁね・・・」
「そーやって辛気くせー話ばっかりってのも嫌なんだけどな。」
ミラもまたやってきた・・・最近は地を出すことが多くなってきたようだが。
マスターのルウの影響もあるだろう。あの言葉遣いに少々似ている。
「ミラ?どうした?」
「最初なんてそんなもの。時間でもおかないと無理だ・・・って言いたいわけだ。」
「まぁ、そうなんだけど・・・」
レンもその意見には同意するが・・・やっぱりどうも割り切れない。
・・・割り切れないと言えば、レンもまだ妹扱いから抜け切れていない。
「今思うけど、私達ってMLSのケースじゃ最悪なパターンだったりして・・・」
レナの一言でさらに空気が重くなった・・・あわててレナは何か話題を探す。
もうやめだ。こんな暗い話題だと性格までそうなりかねない。
「そ、そういえばさー・・・無人コルベットはどうなったの?」
「あれ?確か・・・」
その途端に警報が鳴り響く。敵艦の襲来・・・艦隊の規模がはっきりとわかる。
おまけにこの海域は暴風雨。出撃は不可能だ。
「え、何!?」
「こんなときに何だって敵艦が・・・!」
エイギル艦隊に合流するための艦隊だろうか・・・そして、見張り要員が急いで向かってくる。
「ちょうどよかった!協力してくれ!この暴風雨で敵はECMを稼動している。見張りだけが頼りなんだ!」
「え、ええっ!?」
半ば強引にミラとレン、レナが連れ出され、外套を着せられると双眼鏡を持たされる。
そして、まだ風雨の激しい甲板へと出る・・・持っているのは赤外線感知式の双眼鏡。これで探し当てると言うのか。
左舷甲板に出るとひどい風雨だ・・・そして何も見えない。
「何か見つけたらこの周波数で艦長に連絡してくれ。わかった?」
「あ、うん・・・」
レナは無理やり無線機を持たされると、見張り要員は次のところに行ってしまう。
「あ、ちょっと!」
「レナ、こうなったら探すしか無さそうね・・・私たちなら何とか見つけられるかも。」
レンが意識を集中する・・・ずーっと向こうに何か敵意が。
いた・・・この数百の敵意の塊。砲塔の形状などを感知する・・・
「艦種・・・駆逐艦グロスター級とシェフィールド級。巡洋艦はトライバル級およびシー・レイス級。駆逐艦8隻、巡洋艦4隻。」
「えっと・・・こちら・・・・・メビウス1の相棒!」
レナはどう報告したらいいか解らず、とりあえずそんな風に言う。
「どうした?」
「方位213に敵艦隊!距離約15km!」
「わかった!あとは任せろ!」
この艦隊にはCVスフィルナ、フォレスタル以外にも戦艦リシュリュー級2隻と巡洋艦ジャン・バール級2隻、ド・グラース級4隻。そして駆逐艦ル・テリブル級4隻とル・ファンタスタク級7隻が所属。負ける要素は無い。
その途端に轟音が・・・戦艦リシュリューの38cm砲が発射される。艦首を敵艦隊に向けての斉射だ。
先頭のシェフィールド級を夾叉。2番艦ストラスブールの砲撃で拡散砲弾が艦橋構造物を吹き飛ばす。
リシュリューに向け敵艦隊が砲撃。砲塔に20.3cm砲弾が直撃するが苦も無くはじき返す。
「こちらCVスフィルナ、砲撃だ!!」
艦橋構造物の前にすえつけられている15.5cm3連装砲が砲口を敵巡洋艦に向ける。
近くまで来ていたシェフィールド級駆逐艦の艦橋をぶち抜き爆破・・・敵艦も速射砲で応戦したが、ダメージはそれほどでもない・・・巡洋艦の砲撃程度なら耐えられる。
「よく聞こえるね、これ。」
「まぁ・・・そうじゃないと困るし。」
イヤホンをつけてレンとミラ、レナは甲板で音声を聞いている・・・が、正攻法だけでこの艦隊が来るとは思えない。
すぐにレンが意識を向ける・・・敵兵の死ぬ音がはっきりと聞こえる。ゴムを叩ききるような音が・・・
そして、それが全く無い方向に敵艦隊が。しかもこの艦隊はリシュリュー、ストラスブール2隻の主砲射角外から向かってくる。先頭はグロスター級。続いて巡洋艦リアンダー級だ。
「敵艦隊増援確認!数7隻、艦隊後方から接近中!!」
「な・・・!!」
追撃に戦力を回した結果、CVフォレスタルの護衛が手薄だ。
その周辺にはル・ファンタスタク級4隻しか居ない。ド・グラース級2隻は追撃に回してしまった。
「くそっ!!ストラスブールは増援を叩け!」
下手にリシュリューまで引き抜けば追撃している艦隊も勢いを増してかかってくる。
戦力を2つに割くしか方法は無い・・・ジャン・バール級巡洋艦も護衛に向かう。
駆逐艦ヴァルミがスフィルナとシェフィールド級の斜線に割り込み、魚雷を発射。敵駆逐艦を撃沈する。
「危なかった・・・おい、み、ミサイルだ!!」
「ミサイル・・・!?迎撃、急げ!!」
スフィルナに2発向かってくる・・・1発をRIM-4で撃墜。残りが左舷から向かってくる。
ここからでもはっきりと見える・・・やばいと思ったレナがすぐに伏せる。
「き、来た!!」
「どうして何も無いところから・・・!?」
伏せた途端にミサイルが爆発・・・振動がここまで伝わってくる。
何とか20mmファランクスで撃墜できたようだ。
「危ないなぁ・・・レン、何か見える?」
「蒼晶石だけ・・・?無人コルベット、まさかここに・・・!?」
今日のエイギル艦隊との交戦で出撃したあとのコルベットはここに来ていたようだ。
そして次々に爆発が起きる・・・巡洋艦ド・グラースが後部艦橋を吹き飛ばされ炎上中。駆逐艦タルトュ、ヴォークランが轟沈しクレベ、ヴォルタは弾薬庫に火災が回り総員退艦。他の艦船も少なからず損傷を受けている。
リシュリューは迎撃に成功。ジャン・バールも何とか無傷だ。
「・・・ステルスね。思いっきり。」
「やっぱり・・・」
途端にリシュリューが砲撃開始。敵艦隊を殲滅するようだ。
同時に護衛の駆逐艦が音響誘導魚雷を発射。いくらステルス性が強いといってもそれは海面の上だけ。船底はステルスなど配慮できない。
4本のうち1本が直撃。大爆発を起こし一瞬だけコルベットの艦影が移る。
「主砲斉射!ぶち込め!!」
一瞬だけ姿が見えたところに駆逐艦ル・ファンタスタクが主砲を斉射。コルベットは予備弾薬に引火し大爆発を引き起こす。
続いて2隻、3隻と破壊される・・・さすがにコルベット。装甲など紙だ。
10cm速射砲を喰らい吹き飛んでいく・・・1分間に70発で発射可能。威力よりも連射性能を求めた結果だ。
「・・・さすがにきつい・・・・・」
「うん、はっきりと・・・」
レンとレナが少々辛そうだ・・・海戦を見ようとして意識を向けているためか。
が・・・海戦は優位に進んでいる。巡洋艦リアンダー級がリシュリューの砲撃を喰らい撃沈。続いてグロスター級が10cm速射砲を喰らい艦橋大破。
残りの敵艦隊は戦況不利と見るとすぐに撤収していく・・・ISAF艦隊も追撃の余力は無い。
「・・・終わった。」
「にしても、随分と楽な気分ね・・・あれだけ負の思念を感じてたのに。」
空戦以上に感じていたのだが、それでもまだマシな方だ・・・するとミラが答える。
「技術者に聞いた話だけど、ある程度補完して負担を和らげるんだと。近くにこういう存在が居れば・・・」
「はぁ・・・なるほどね。」
そろそろ暴風もやんできた。雨はまだあるがこれならヘリの発進は可能。
敵艦が置き去りにした敵兵や友軍兵士の救助のため飛行甲板にUH-60Jが出されて発艦。JH-24という新鋭ヘリも混じっているが共同で作戦に当たる。
「あー・・・何か疲れたよ・・・」
レナがそんなことをつぶやく・・・時計を見ると1950時。何時間も経っていたら疲れるはずだ。
サーチライトを照らしながらUH-60Jが海面を走り、友軍敵軍に関わらず救助していく。
他の大型艦も動かず、救助を行う・・・ヘリ総動員で救助活動を行う。
「あの無人コルベット・・・ミサイルボックスとでも名づけとけばいいんだけどな、連中無人が好きだな。今日のヘヴン・ランサーといいデスティニーといい・・・」
「ミラ、そうだけど・・・エルジアの軍事力だけじゃISAFに対抗できると思う?」
すると、艦長から通信が入る。
「なるほど。よし、あの無人艦のコードネームはミサイルボックスに決定だ!」
「マジかよ!?」
ミラの通信がはっきりと向こうに聴こえていたようで・・・ミラはびっくりしてしまった。
すぐに通信を閉じると、ミラが話を続ける。
「・・・けどよ、無人機械にぶっ殺されるなんてたまったものじゃねぇよ。きっと。」
「そうね。それより・・・ミラ、嫌われるよ?そんな言葉じゃ。」
「別にいいだろ?」
「私達だけならね。でも、人前じゃ怒ったとき以外やめといたほういいよ。うん・・・私、ミラが誰かに嫌われるところを見たくないから。」
「・・・ちっ。わーったよ。」
あっさりとミラはうなずいてくれた・・・まぁ、はっきり指摘されれば直した方がいいと思ったのだろう。


2100時 サンサルパシオン領内「スカイキッド」

「おいおい、エイギルまで壊滅って冗談だろ?」
「・・・俺が冗談を言うと思っているのか?」
はぁとラーレイがため息をつく・・・こんなんでよくエルジアが勝てたなと思っている。
黄色中隊のおかげだろうか。多分それだ。というよりそれに頼りすぎているのだろう。
私は相変わらずこのバーで黄色の13を待っている。
叔父は失踪した。理由はわからないが・・・そんなこともあり、私はここで暮らしている。
「次、どこに行かされんだ?俺達。」
「・・・多分、コモナ諸島だろうな。この宇宙基地を破壊する。お偉いさんから聞いたから間違いねぇって。」
その会話は、裏にある部屋で録音されISAFに暗号電文で伝えられている。
この酒場の人たちは、皆抵抗運動のメンバーで客から情報収集をしているのだ。
「そうだ。また・・・吹いてくれないか?ハーモニカ。」
「あ、うん・・・いいよ。」
このラーレイという人にも慣れた。今では随分打ち解けてきたように思う。
チップを渡され、早速私はお気に入りの音楽を吹く。
不思議と、彼だけは敵には思えない。戦争が終わってからもここに着てほしいと思っている。

隣で、私をかばう酒場の少女の声が聴こえてくる。
敵兵相手に本気で商売をしている私は、あまり良くは思われていない。
彼女は私をかばっている・・・だが、それは私が幼いからだろう。
「・・・どっか悲しいのか?」
「別に・・・なんでもないよ。」
せっかく言葉をかけてくれたのに、そっけなくしか返せない私。

実は英雄的だった酒場の一家。
それにくらべ、敵の中に安住の場所を見つけている私・・・・

続く

あとがき
無敵艦隊封殺に艦隊決戦を交えてみました。
ISAFは仏海軍イメージでやってます・・・日本語が合わないので。
戦艦リシュリュー級はオリジナルです。主砲や兵装配置はWW2の設定ですが、それ以外は外洋機動艦隊の装備っぽいものをイメージしてくれるとありがたいです。
では。次はまだ未定ですがとりあえずコモナ諸島の制空戦で。



 2007/06/15:あくてぃぶF-15さんから頂きました。
秋元 「ミサイル・ボックス。水上艦は勿論、潜水艦も航空機も仕留められるので、海上封鎖とか用途はいろいろ」
アリス 「……これに蒼晶石搭載型ミサイルが装備されたら?」
秋元 「ワンサイドゲームだ」

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