ACE COMBAT04 Shatterd skies〜メビウスの記憶〜




ACE COMBAT04 Shatterd skies〜メビウスの記憶〜
第8章 奪う者達〜民間機護衛〜

3/14 CV-47スフィルナ搭乗員待機室 1450時
揚陸作戦からほぼ1ヶ月・・・空軍だけが主だった動きも無くただ月日だけが流れていく。
イスタス要塞も陸軍特殊部隊と列車砲の連携で一気に陥落し、空軍の出番は殆ど無かった。ストーンヘンジ射程内に空軍を出せないというからだ。
ISAF空軍は確かに強い。だが数が少々不足気味だから上層部もかなり大事にしたいらしい。陸軍部隊は補給ラインを整えるために一旦停止。ストーンヘンジ射程内ぎりぎりで待機している。
さすがの大型砲台も、遠くの陸上部隊までは狙撃できない。ただし航空支援が無ければ突破不可能な堅固な陣地も数多くある。
1ヶ月半近く、両軍で目立った戦闘が行われなかった。だが戦局は水面下から大きく傾こうとしていたのだ。

「航行ルートがばれたって!?」
フィンは驚きながらF-15Irに乗り込む・・・突然のスクランブル出撃、しかも訓練飛行からルウとヴィクセンが戻っていない状態。レイピア隊も戻ってくるまで時間がかかる。
無線機越しに作戦内容が伝えられる。まさかこんな大失態になるなんてわからなかった。
『エア・エルジア102便、101便に乗ったストーンヘンジ技術者の脱出がエルジア軍に知られ、空軍および防空高射砲が稼動したとの報告が入った。直ちに該当空域に急行し、3機編成の民間機を護衛せよ。』
「民間機を打ち落とすつもり!?ストーンヘンジを使われたら・・・!」
「さすがにエルジアも民間機を打ち落とすためにストーンヘンジは使えないさ。それをやったら全世界に民間機を撃墜したって事を知らせてしまう。となれば現地のSAM部隊、もしくは戦闘機を使う。間に合うよ。」
落ち着いた表情でフィンがレナを落ち着かせる。今から行けばまだ間に合うと言いたいのだろう。
増槽を多めに搭載し、AAM-4とAAM-5を搭載できる限り積み込んだ機体で行く。
『今日もやけに重いなぁ・・・』
「どうせ途中で捨てるんだから軽くなるよ。ミサイル2本が無いからね。」
そう、どうせ増槽は向こうに到着するまでの燃料を搭載している。空戦をやって帰れるだけの燃料はF-15Irなら楽に搭載できる。
あとは生き残れるかどうか。それだけが問題だ・・・下手してストーンヘンジを使う可能性だって否定できない。
勝利か名誉か、それで勝利を選ぶ人だって居ないとは言いきれない。
都合悪く作戦空域は高山地帯・・・つまり逃げ場なんて無い。低空でしかストーンヘンジから逃れることは出来ないから・・・
「とにかく行こう?取り返しが付かなくなる前に。」
『了解っと。』
エルジア領内にいるレジスタンスが航空会社に働きかけ、ストーンヘンジの技術者とともに旅行中でISAF領内に家族を残してきた人を送り返す予定だった。
が・・・どこかで知られてしまったらしい。計画がエルジア軍に露呈し追撃を受けていると。これが今回の作戦の発端・・・まぁストーンヘンジ技術者と一緒に民間人を送り返そうと言うことだったらしいが、それが裏目に出たようだ。
フィンは仕方ないなと思い、早速操縦桿を握り締める。

1520時 ロスカナス山岳地帯
トラック数台が通れるくらいの道が続くこの山岳地帯に、数台のトラックが向う・・・ここはレーダーや空軍基地の1つもない空白地帯だ。
何故入っていくのか・・・だがここは民間機飛行ルートのちょうど真下だ。
「少佐、組み立てが終わりました。いつでも起動できます。」
「そうか。すぐに起動してくれ。」
この近辺などISAFは目もくれないだろう。要塞も作りにくいため、殆ど通過点としてしか見られていない。
自国領内だが、ISAFのUAVも飛んでくる。でもここは偵察空域から外している・・・だから民間機もこのルートを使っているのだ。
「この戦争に正義はあるのですか・・・?」
誰とも無く、ただ空に向ってつぶやく少佐。そして今兵士が「起動完了しました」と報告を出す。
後ろにあるのはLRC5A1タイタン。エルジア制レールガン砲台だが本来つけているCIWSや装甲版は外されている。
迷彩色で塗られているし、対地レーダーを使う連中も居ないから気づかれないだろう。
「少佐、何を考えていたのですか?」
「ん・・・なんでもない。」
エルジア軍兵士40名ほどでこの簡易型のタイタンを組み上げた。つい先ほどまで頑張っていたのだが。
彼らはイスタス要塞にタイタンを輸送する任務についていた。だが空軍の来ない間に要塞が突破されたためやむなく引き返していた途中だった。
補給基地で受けた命令。それは「国の為に汚名をかぶり、死んでくれ」と言うのに等しいものだ。
・・・国とは?大体この戦争はエルジアが勝手に始めたもの。俺の家族はセントアークに人質同然として・・・
「装填完了!発射できます。」
「旅客機、射撃空域到達まで残り10分!」
あと少しか・・・少佐は空を見上げる。これが誇り高い軍人のすることとは思えないが。
勝つためだ。それ以外何を考えろと言うのだろう。
「少佐、自分たちのしようとしていることは・・・」
「もう言うな。それ以上は。」
悲しげな雰囲気をまといつつ、少佐が部下を制する・・・目標はストーンヘンジ技術者の乗った旅客機。情報はやはり漏洩している・・・レジスタンスの弱さは機密保持のしずらさだ。
命令を受けると、早速この空域にトラック数台でタイタンの最低限の部品を運び込み組み立てさせた。装甲板、CIWSをオミットした状態でだ。
あらかじめカモフラージュできるように迷彩色にしておき、速攻で組み上げさせた。何とか砲身と冷却装置、ジェネレーターなど必要なものだけで10分近くも余裕を持って組み上げられた。
あとは対空砲撃を限界まで行い、トラックで離脱すること。だが少佐は逃げるつもりなど無かった。
煙草をふかしながら・・・その時が来るのをじっと待つ。
「やはり落ち着かない・・・ですか。」
「この作戦だと特に・・・そうだな。」
「今からでも間に合います!ISAFに投降してこの攻撃をやめましょう・・・民間人を殺すなんて、自分にはできません・・・」
やれやれと少佐はつぶやく・・・それが本音だ。誰としても。
彼もまたよく頑張ってくれた。だがここでお別れを告げるべきだ・・・そう思い少佐はすぐ行動に移す。
「無理強いはしない。逃げたかったら今すぐにでも逃げてくれ。まだ間に合う・・・家族の居る者も多いだろう。それに発射なら数名で出来る。」
「・・・わかりました。」
半数近くがトラックに乗り込む・・・戦友に別れを告げたり、残る者と握手を交わしたり、なき始めたりとそれぞれだ。
それでいい。誰も無理をしろとは命令はしていない。タイタンを組み上げて発射する。それをこなすだけなら組み立て要員の40名を全員無駄に死なせることも無い。
「少佐は?家族が居るでしょう・・・」
「お前達が残ると言うならともに残る。上官として最後まで見届ける必要があるからな。」
それに、これはどうやっても償えない罪だ。自分だけ生き残ろうとは思わない。
これからどんな罰でも受ける・・・自分だけ地獄に落ちても、家族は無事で居て欲しい。彼は神にこれからするであろう愚行を詫びると、無線から連絡が入る。レーダー車両からだ。
「旅客機確認・・・3機編成です。予想しているルートから少しずれてます。そのうち1機は高度を落とし飛行中。」
「砲撃だ。まずは真上を飛ぶ2機を狙え!」
「レーダーに感!ISAF機・・・数1機!F-15Ir、その後方にF-4Aストームウィンド!」
やれやれ、随分と手際がいいじゃないか。だが護衛機はエルジアの空軍で抑えさせてもらう。
少佐は砲撃命令を下し・・・残った彼らは躊躇無く砲撃を開始する。


作戦空域 1531時
「間に合った・・・エアイクシオン機よりISAF空軍メビウス1、状況を報告してください!」
ぎりぎりで到達できた・・・フィンは一安心しながら、旅客機のパイロットに状況を尋ねる。
「こちら101便!エルジア軍機が追撃中、助けてくれ!」
「102便よりメビウス1、離陸時に機長が重傷。今は副操縦士のナガセが操縦しています。」
とりあえずは無事。エルジア軍機が迫ってくるのはもう少し後。自分がそれを食い止めて少し遅れて発進したヴィエラに旅客機の直掩を頼めばいい。
「103便よりメビウス1、北西から敵機を確認・・・追ってきた連中だ。おそらく敵の新鋭機だろう。」
「来たね・・・メビウス1、エンゲージ!」
『了解。AAM-4ロックオン。敵機・・・新鋭機みたい。Mig-29ファルクラム改。数は2機。』
改造型のファルクラムを持ってきたらしい。黄色中隊のフランカーと同様に大幅な改造が施されていると見て間違いない。
構わずにAAM-4をロックオン、2発だけの発射だ。
「フォックス・スリー!」
追撃に夢中な2機への先制攻撃・・・距離8700でAAM-4を発射。一直線にMig-29に向う。
1機が回避行動を取り、もう1機は気づかずに爆散・・・ベイルアウトを確認できず。
「僚機がやられた・・・冗談だろ!?リボンだ!!」
「旅客機を狙え、リボンに手出しするな。」
「ダメだ、真正面だ!」
急降下し、チャフをばら撒いてAAM-4を回避したがそのファルクラムの真正面からF-15Irが突っ込んでいく。
ヘッドオンでバルカンを連射。エンジンをぶち抜く・・・パイロットは脱出するようだ。
「メイデイメイデイメイデイ!こちら黒8、操縦不能!脱出する!!」
「なんてスピードだ!もう2機叩き落されたのか!?」
敵機があわてている・・・だがそうなると民間機に攻撃を集中させる可能性も高い。
すると、レーダーにようやくヴィエラが映る・・・何とか到達したようだ。
「レイピア2よりメビウス1、援護します。」
「旅客機の護衛を最優先にして!」
『はいはいっと。さーがんばって叩き落し・・・高度を落として!フィンもマスターも・・・急いで!』
いきなり何かに気づいたのか吹雪が警告を出す・・・フィンはすぐに民間機にも警告を出す。
「エア・イクシオンの2機!すぐに高度を落として!」
「どうした!?それに急には落とせないぞ!」
「いいから!急がないと・・・!」
何かが来る。フィンがそういいかけた途端何かが近くを駆け抜けていく。この速度からして砲弾か?
急激にそれが炸裂、上空の旅客機2機をまとめて吹き飛ばしてしまう。
『落ちた・・・!?』
「今の砲撃・・・ポイントがわかる?レナ。これを破壊しないとどうにも出来ない。」
『何かある・・・地上に大型砲台!これ、新型!』
だったら解らないはずだ。だがロックオンは出来る。AAM-4でぶち抜けるだろうか?
レナの送った画像イメージからして装甲板は1枚も無い。ステルス性も配慮されていないから何とかなる。
これだけ大きい目標だし、AAM-4は命中率の高さが持ち味だ。あたらないと言うことは無い。
「ぶっ飛ばすよ。」
アフターバーナーをかけて接近、目標をロックオンできた。この距離で当てられる。少々無茶だが・・・
『近接信管OFF、直撃するかな・・・』
「させるさ・・・フォックス・スリー!!」
「・・・民間機を狙う非道な真似・・・許せません!」
2発のAAM-4が放たれ、それがタイタンへと向っていく。もう逃げ場所は無い。

「少佐!次弾装填完了・・・み、ミサイルです!」
「やはりか・・・!総員退避!急げ!」
上官として1人でも多く部下を救う。その任を果たした後少佐はその場に座り込む。これが罰だ。受け入れよう。
CIWSや迎撃ミサイルも無い上に、装甲板すら取り付けていない。間違いなく吹き飛ぶだろう。
「・・・やるべきことは最後までやった。放たれたものが憎悪ならば・・・目を見開いて受け止めよう。」
家族にはもう会えない・・・自分が消える。そう思うとやはり涙が出てくる。
そして、臨機応変な判断でこれだけのことが出来るパイロットを賞賛したくもなった。
「F-15Ir・・・リボンか。さようなら・・・」
AAM-4は1本が砲身に命中、もう1本はフレームを抜けて弾薬庫に直撃し爆発を起こす・・・

『・・・辛すぎる、こんなの。』
「うん・・・」
旅客機の乗客の残留思念を感じ取り・・・フィンとレナは気持ち悪くなってしまう。さすがにこんなものを感じ取って平然としていられない。
大量の残留思念、そして記憶・・・一瞬であの対空炸裂弾で吹き飛ばされた光景が見えてしまう。
「逃げてる。トラックで兵士達が・・・」
『彼らも望んでいなかった・・・まっとうな神経を持ってたなら、逃げ出したかった気分だったんだね・・・』
軍の命令だからそれが出来なかった。家族が人質にとられているのも多いのだから。
トラックで撤収する兵士達・・・彼らも命令でやった。つい1ヶ月前の揚陸作戦の自分と重ね合わせてしまう。撃つつもりなんて全く無い。
「・・・行こう。まだ敵機が来る。」
『うん、来たみたい。FX-10Aが3機。』
残った今の彼らだけでも守り抜く。それしか今の自分に出来ることが無い。
今度の相手は無人機だ・・・容赦なく狙ってくるだろう。今までのように躊躇のあった敵機とは違う。
「ヴィエラ、応答して。すぐに旅客機を護衛して!」
「了解です・・・無人機相手は辛いですけどね。」
『後方に敵機、もうはりついてる!』
急激に上昇、旋回しながらフィンは隙を見る・・・こちらの動きに着いて来ている・・・それでいい。
少々機首をあげ、ループするように見せる・・・するといきなりFX-10Aが急加速してくる。
すかさずポストストールに移行。機首を真上に急激に引き上げる。
『ロックオン、狙えるよ・・・!』
「フォックス・ツー!」
機首を戻し、すかさずAAM-5を発射。フレアーをばら撒くがFX-10Aは回避しきれずに爆散。
すると真正面からFX-10Aが接近、すかさずトリガーを引きバルカンを発射。ヘッドオンでぶち抜く。
『ナイスキル!あと1機来る!』
「もらうよ・・・」
すると、いきなり反応が消える・・・AAM-4が直撃。ヴィエラが放ったのだろう。
が、まだ来る・・・今度はトーネードFXが4機、EFタイフーンが2機・・・さすがに多すぎる。
「数が多すぎる・・・これじゃあ・・・!」
『諦めてないんじゃないの?むしろ楽しんでる。』
「だといいけど・・・!旅客機周辺をガード、1機も近づけないで!」
フィンが旅客機の援護に向う・・・さすがに敵の数が多い。AAM-4の残量は残り1本、これは撃たずAAM-5の射程距離まで近づく。
そして旅客機の射程距離まで来たEFタイフーンにロックオンをかける・・・思ったとおりだ。攻撃を停止して急激に旋回する。
その間に距離を詰めてショ−トレンジまで持ち込む。
「ロックオン・・・くそっ!AAM-4は罠だ!」
「逃さない。これ以上悲劇を増やさないために!」
AAM-5が左翼パイロンから発射、急激にEFタイフーンが旋回するがその軌道についていけないミサイルでもない。
急旋回しつつ距離を詰め、近接信管が稼動・・・破片と金属棒がエンジンを刺し貫き爆発させる。
「何でリボンが相手なんだよ!かなうはずないだろ!?」
「無人機はリボンを落とせ!」
さすがに自分が落ちたくない。だから無人機が食い止めて自分で旅客機を落とすと言うのは悪くないアイディアだろう。
だが・・・旅客機はヴィエラが護衛している。1対1なら勝てるだろう。少なくとも撃墜はさせない。
「甘いです・・・戦闘機動がなってませんよ?」
旅客機に接近したEFタイフーンめがけF-4A・吹雪が真上から接近、すかさうzEFタイフーンが回避し左旋回で退避。
その旋回を読んでいたヴィエラが敵機の進路上にバルカンを連射・・・弾幕に突っ込みEFタイフーンが爆発。パイロットはベイルアウト。
『さっすが!見越し射撃得意なんだから・・・』
「いえ・・・まだ来ます。」
はしゃぐ吹雪をヴィエラが押しとどめる・・・まだ敵機が襲来してくるのだ。数もかなり多い。
「ダメだ・・・増援を!」
「到着したぞ。」
敵増援はF-35A、およびシーハリアーFA2。数はそれぞれ6機ずつ。さらにその後方にFX-10Bの4機編隊だ。
速攻で始末しなければまずいじゃないだろうか・・・これでは対処しきれない。
『おおいよ、レナぁ!!こんなんじゃ対処しきれない!』
『諦めないで・・・まだ戦える!最後まで・・・諦めないで!』
F-15Irがそのまま機首を向ける・・・シーハリアーFA2の編隊にヘッドオンを挑む。
『ガンレンジ!行ける!』
真正面から20mmバルカンの銃弾が炸裂、その前に敵パイロットがベイルアウトしシーハリアーFA2が爆発。
「スプラッシュ・・・ですね。しかしこの数は・・・!」
「1機の航空機の為にこれほどまで戦う。ストーンヘンジがそれほど大事なんだよ!」
そう、ストーンヘンジさえ攻略できれば空軍の質の高さを最大限に生かせる。エルジアはISAF空軍という最大の武器を潰せたから開戦当初から大規模な攻撃が出来たのだ。
それが失われたら・・・もはや食い止める術など無い。
「諦めないで・・・か。僕もそうしなきゃね。エースって言うのは、不利な状況でも・・・!」
右旋回ですかさずF-35Aをロックオン。放たれたAAM-5がIRシーカーを稼動させ追撃。
フレアーを回避、同時にF-35Aを狙い済まし突撃。無数の破片が突き刺さり機首を落としていく。
「ダメだ、高度が上がらない!」
「すごい・・・あれだけの数をたった2機で・・・」
あまりの壮絶な戦闘に副操縦士ナガセが言葉も出ないと言った表情だ。どこか信頼している。
この2機さえ居れば何とかなる・・・だったらその信頼にこたえようじゃないか。
「スプラッシュです!もう少し・・・!」
「無人機が合流・・・ヴィエラ、迎撃して!IRアムラームだ!」
無人機はフィン、ヴィエラに向わず真っ直ぐに旅客機を目標として狙いIRアムラームを発射。数は約16発。
すかさずヴィエラが迎撃。だがミサイルの数が足りない・・・12発しかない。
「く・・・発射です!フレアーをばら撒いて霍乱します!」
『何でまたこーなんのさ!ちょっとくらい遠慮しなよ!』
ミサイルをロックオン、F-4Aが全てのミサイルを発射する・・・AAM-4を6本にAAM-5が6本・・・ほぼ正確に向っていく。
当たった・・・いや、6発抜けた。フレアーに2本だけ。旅客機に真っ直ぐ向っている。
「ダメだ!あのコースだと当たる!」
「・・・っ!!」
ヴィエラとフィンも諦めるしかなかった・・・やれるだけのことを全部やりきっても、結局は防げないのか。
途端に、ミサイルが飛来しIRアムラームに向う・・・4発全て命中、爆発。
「今のはMICA!?何で・・・」
『増援部隊到着!メビウス隊とレイピア隊!』
レーダーに反応・・・F-12Dおよびミラージュ2000C、F/A-18EJの5機編隊が接近している。ようやく増援の到着だ。
思わずフィンは涙を流したが・・・すぐに拭い去ると無線を入れる。
「遅かったね、メビウス2!」
「下手な戦闘機じゃ、数があってもあたらねぇよ!遅れて悪ぃな!」
「・・・今行く!」
「レイピア隊各機へ、遅れるな!」
形成が逆転した・・・後は向ってくる敵機を落とすだけだ。これだけ居れば波状攻撃も食い止められる。
F/A-18EJが旅客機を護衛。ほぼ同時にF-4Aが接近、F-35Aを追撃する。
「システム機だと!?こんな時に・・・!」
「逃がしてやる余裕はある。だから早く逃げな・・・お前らじゃ落とせない。」
「・・・なんて貧乏くじだ!ちくしょう!敵エースが揃いも揃って!いいから旅客機を落とせ!」
「落とさせるか。貴様等のような腕前で俺たちが・・・落ちると思うな!」
シーハリアーFA2とF/A-18Jが応戦、F-35Aがシステム機に向ってくる・・・時間稼ぎとでも言いたげだ。
フィンのF-15IrにもF-35Aが向ってくる。機動が鋭い・・・油断できない相手だ。
これ以上の増援は無いはず。無人機とF/A-18EJ相手でも相当な激戦だが押している。無人機を格闘戦の相手として使っているエースなら、落とせないことは無い。
「スプラッシュ!標的はとっとと落ちな!」
「無人機があっさりと!?何だよこいつら、化け物か!?」
操縦席狙いの一撃を逆手に取り、射撃軸をずらして回避。隙を見せたFX-10Bを追い込みAAM-5を撃ち撃破。
その背後にシーハリアーFA2が迫るが、すかさずヴィエラがカバー。20mmバルカンを食らわせて撃墜する。
「負けてらんないね・・・!」
フィンが素早く右に機体を倒し旋回・・・F-15Irは並の人には少々扱いにくい機体なのだろうか。反応が早すぎる。
途端に真横からAIM-132が飛来。フィンは急激に旋回させるとミサイルにヘッドオン。F-35Aもついてくる。
「ま、味方の攻撃で吹き飛ぶって最悪だろうけど・・・!」
急激に旋回、F-35AがF-15Irを見失ったところにミサイルが直撃。一瞬で爆発してしまう・・・また1つ残留思念が届く。
こちらを狙った敵機は、マジックAAMで撃墜された・・・ルウがやったのだろう。
もう増援は来ない・・・これ以上は無理と判断したのだろうか。
「メビウス1より各機・・・作戦は終了。帰還するよ。燃料は大丈夫?ダメだったらすぐに給油機を手配する。」
「レイピア2、大丈夫です・・・何とか。」
あれだけの激戦で、傷一つ無かったと言うのは驚きだ・・・民間機も102便の損傷は離陸前の破損だけ。
すると、その102便から通信が届く。
「こちら102便。全員無事です!ありがとうございました・・・それと101便、103便の乗員乗客に黙祷を・・・」
フィンは旅客機に見える位置まで来ると、数度バンクしそれから離れる。
それがせめてものお礼だ。姿を見せることくらいは許してもいいだろう。


CV-47スフィルナ格納庫 1750時
「あー、本当に今日は疲れた。」
「うん。でも技術者が無事でまだ良かったのかな・・・」
エルジア軍新兵器であるタイタンのことなども尋ねられ、フィンはかなり疲れた顔だ。
見た感じ殲滅範囲などはストーンヘンジに及ぶべくも無いが、それでもかなり広くまとめて数個航空隊を吹き飛ばせそうだ。
「あの兵器・・・やっぱりエルジアのレールガン技術なのかな。ストーンヘンジだって彼ら主導で建造されたんだし・・・フィンはどう思うの?」
ストーンヘンジのレールガン機構も元はエルジアの技術。それがあちこちに使われ始めている。
ベルカよりも早くこの技術に目をつけて、低燃費高出力の電力供給装置を開発するなど決戦兵器として作っていた節がある。
ストーンヘンジでさえ、もしかしたらレールガン技術を売り込むためにエルジアが建造しようと言ったのかもしれない。
「ありえる話。僕も思ったけどこの戦争に大企業が絡んでる気がする。兵器を実験するにはちょうどいいからね・・・本物の戦争は。」
フィンの言うとおりだ・・・MLS機の部隊運用、レールガン技術、そして海戦・・・ベルカ戦争ではなかったシチュエーションが立て続けに発生している。
これがもし、大きなシミュレーターとしてみている人が居たとしたら・・・いや、それは考えたらダメだろう。
あったとしても・・・今何も出来ることじゃないんだから。
「まぁそれはとにかく・・・いよいよだと思う。ストーンヘンジを破壊するのは。」
「黄色中隊とも戦うのかな?」
「封じる方法も考えなきゃいけない。僕達がエースと戦うんだ、きっと。」
メビウス、レイピアのMLS部隊に黄色中隊がぶつかり合うのだろう。誰が生き残り、誰が死ぬのか。
生き残れるのか・・・あれほどの敵エースを相手にして、どこまで戦えるのか。
「・・・フィン。敵討ちなんてやめてって言えない。けど・・・生き残って。必ず。」
「君をおいて死ぬ、そんなことは出来ないよ。レナがいれば大丈夫・・・きっとね。」
もう孤独は無い・・・ずっとレナが居てくれる。だったら最大限に協力して、生き抜けば言い。
それが今自分たちに出来る唯一のこと。けどひいてはISAFのためにもなる・・・

サンサルパシオン領内酒場「スカイ・キッド」 2214時
「もうすぐよ。もうすぐ始まるから。」
聴こえないように外に出て、酒場の少女が私と話す。黄色中隊のメンバーとは充分離れている。
連合軍の大陸侵攻が始まった。いずれここも開放されるだろう。そして・・・・
「助けが着たら、この人たちはどうなるの?」
私が黄色中隊のメンバーを見て言う・・・離れるのは正直辛い。そしてセイルとも・・・
このままの時間が、後少しでも続いて欲しいと願っている。
「・・・もちろん追い出してやる!私達の町から!」
威勢良く彼女が言う。それはサンサルパシオンの市民ならば誰もが思うことだろう。
だが、彼女はそれを望んでいない。少なくとも心の底で望んでいるとは思えなかった。
彼女は「13」に心を寄せていた。2番機を見る嫉妬の目ですぐわかる。
「・・・そうだと、いいね。」
私は適当に相槌を打ちながら黄色中隊のメンバーを見る。彼女より腕前のよさそうなパイロットならもっと多い。オルベルトもそれなりに強いしベルナードとルーチェ何かでもいいだろう。
が・・・決して入れ替わることは無い不動の2番機。地上にあっても片時も離れない『黄色の4』。
隊内では2人の女性の1人であり、絶対の信頼を置かれた護衛機・・・

「もう少しだ・・・」
今日の空戦のビデオを見て、ふとエーリッヒが紺色のF-15Irを見る。
かなり鋭い機動、無駄の無い格闘戦での動き。どれを見てもエースそのもの・・・ただし直感の部分が多くまだ経験が足りない。
「どうかしたかな?エーリッヒ。」
「こいつだ。」
「リボン・・・前よりも数段強くなってるみたいだ。どこの空戦を?」
「いや、ただ知り合いから奴に関連する情報は回してくれと頼んでるからな。」
なるほどという・・・どうやら偵察機からの動画らしい。撮影したのは無人偵察機なのだろうか?
「この画像はどうやって?」
「何でも無人偵察機らしい。コードネーム「インヴィジブル・ウィング」。まぁメビウスの機動でも無人機に使わせるんだろう。それか研究する・・・そのプログラム作りであまったデータ画像はこっちに回ってくるだけだ。」
やはりこれは本当の映像か・・・オルベルトは納得し、その機動を食い入るように見つめる。
鋭すぎる機動、そして高機動機体を最大限に生かした戦術・・・
「・・・レイシスの弟と聞いたが、これはそれ以上だな。奴と並ぶ・・・ウスティオのあいつと。」
「蒼い鳥・・・円卓の鬼神か。彼女のようなエースとは二度とお目にかかれないと思っていたが、こんな場所で出会おうとはな。生きていれば、俺の前に出られるほどのエースだ。」
エーリッヒは嬉しくなってきたが・・・敵にそんな幸運はないと思ってしまう。
ストーンヘンジの前ではいかなる敵も滅ぼされるだろう。やはり自分は幸運に恵まれないのか・・・そんな感傷を拭い去り、エーリッヒはまたグラスにボトルを開ける。
「決戦は近いぞ。今のうちに飲んでおけ。」
「はっ!」
部隊の皆で酒を飲む、それがいつまで続くか・・・できればずっと続かせたい。
エーリッヒは、まだ続いているリボンの戦闘映像を切り替えて歌謡曲のかかる番組をかける。今だけは忘れよう・・・黄色中隊の1人ということを。

続く

あとがき

民間機護衛→タイタンを思い出してついついクロスオーバーの形に。
・・・いや、やっぱりこうじゃないと。しかしストーンヘンジの影が薄いなぁ。
まぁ次回はストーンヘンジ攻撃・・・の前に前線基地強襲ってことで。1回でも砲撃を加えないでストーンヘンジを壊すのはさすがに気が引けます。
では。



 2007/11/05:あくてぃぶF-15さんから頂きました。
秋元 「なるほどそう来ましたか。上手くクロスしてますね! 確かにストーンヘンジの影が薄い」
アリス 「……活躍されても、ISAFとしては痛いでしょうけど。あの兵器の被害、どのくらいだったのでしょうか」

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