ACE COMBAT04 Shatterd skies〜メビウスの記憶〜




ACE COMBAT04 Shatterd skies〜メビウスの記憶〜
第10章 リボンと黄色〜ストーンヘンジ攻略戦〜

4/3 0700時 ISAF空母「スフィルナ」甲板
「いよいよ・・・か。」
早めにフィンは目覚めて、服を着替えると同じベッドにいたレナを揺り起こす。
「・・・ん?フィン・・・」
「先に行くよ?今日は大事な日だ。」
大事な日。レナははっと気づき大急ぎでネグリチェからいつもの赤と黒の服装に着替えフィンの後を追う。
廊下を大急ぎで走り、格納庫へと向かうと整備員が忙しそうに武装などを取り付けたり機体を念入りにチェックしたりしている。
機体もいつものスフィルナに搭載している数より多い。普段見慣れている機体以外にもF-15IrやF-22Jなどの新鋭機も揃っている。
「そっか・・・今日は・・・」
ストーンヘンジ攻略作戦の日。ISAF勢力圏内の航空隊全てをかき集め第4艦隊に集結させている。
この航空隊全てをストーンヘンジ目掛け投入し、一気に撃滅させるつもりだろう。燃料気化爆弾や徹甲爆弾を備えたF-4A、F/A-18Jなどが飛行甲板に上がっていく。
「やはりレナもここに?」
「当然じゃない。」
「・・・まぁ、緊張してここに居ることくらいしかないから落ち着かないわけさ。」
F-15Irの近くでフィンがたたずんでいる・・・整備員がひっきりなしに駆け回り、武装を積み込んでいく。
フィンはそれを見て何とか落ち着こうとしているらしい・・・無理も無い。レイシスが死んだ因縁の空域だ。
そして、黄色中隊との因縁の始まりを作った場所・・・そこでの空戦なら緊張しないほうが可笑しいだろう。
「レイシスさんが・・・死んだ空域だからね。」
「そう・・・兄さんもそこで・・・」
悲しげにフィンは目をつぶる。楽しかった思い出などが次々に蘇っては消えていくようだ。
「リボンが感傷にふけってていいのか?」
「フォルク?」
フォルクがシルヴィアを連れて格納庫へと来たらしい。一体何をしに来たのだろう。
「作戦開始はもうすぐ、のはずだけどな?」
「そうだけど?」
「朝飯はどうした?食べておかないと作戦は持たないぞ?」
フィンとレナがああと顔を見合わせてうなずく。そういえば格納庫に来ただけで何も食べていない。
何か大好物でも食べて気分をすっきりさせようと考え、2人は食堂へと向かう。
「元気一杯だな。」
「・・・・うん。」
そっとシルヴィアもうなずく・・・どう見てもISAF空軍を引っ張るエースには見えないなというのがフォルクの印象だ。
人は見かけによらない、というところだろうか。


エルジア領内サンサルパシオン野戦滑走路 0817時
「・・・何!?」
彼が爆発に気づき、滑走路の方へと向かっていく。私は黄色の13と滑走路で会話するようになっていた。
ここ数日からか、憎しみを思い浮かべようとしても全く沸いてこない。
「どうしたの!?何が・・・」
私がSu-37の方へ向かうと、煙が上がっているのが見える・・・滑走路に爆薬が仕掛けられ、爆発したらしい。
腕を押さえて、4が歩いてくるのを見る・・・私が駆け寄ると「大丈夫よ」と短く答え、自力で医者の居る場所まで向かっていく。
幸いにも先日運ばれてきた爆弾には引火しなかった。あのようなもので戦わなければならない相手が来ている。
「・・・参ったな。」
セイルが頭をかきながら、酷い有様の様子を見ている。
「機体なら大丈夫でしょ?」
「いや・・・黄色の2番機、エンジンが不調だから今日修理する予定だったが・・・これではどうしようもない。」
そうか、と私がうなずく・・・これはかなり痛い。交換予定の部品が足りないのだ。
難しいことはよく解らない。だが・・・このまま飛べば危険というのは解る。
「・・・まずいぞ。」
「でも、俺たちにはどうにも出来まい・・・ベルナード、2番機をはずすよう助言しておいてほしい。」
「何?」
「ISAFのストーンヘンジ攻撃は間近だ。リボンやレイピアといった猛者相手に不調の機体で勝てると思うか・・・?」
そうだな、とベルナードはうなずく。エース部隊ゆえに1機も空で失うことが合ってはいけないのだ。
黄色中退の背負う役目はかなり大きい。1機すらも欠けずに困難な任務をこなさなければならないのだから。
「それより滑走路の修復を急ぐべきだ・・・ISAFもこの間隙に責めてくる可能性が高い。復旧予定時刻は?」
「プロの仕業だ。出来る限り修復を急ぎたいが・・・」
大きくめくれ、地面まで抉れている滑走路を見てセイルは難しいなと答える。
「6時間は掛かる・・・いっそトレーラーで機体を運んで民間空港からスクランブルさせたほうがいい。Su-37全機を運んでも3時間あれば大丈夫だが。」
「空港側に許可は取れまい。サンサルパシオンの連中が黄色中隊を入れまいとする・・・まったく。民間人の心を掴むことに失敗した戦争ほど苦しいものは無い。」
今の私はエルジア軍と接しているが、黄色中隊やセイル達が好きなだけでエルジア兵は嫌いだ。
サンサルパシオン市民がエルジアを嫌っていることくらい、時々買い物に行くときの噂話を聞けばすぐにわかる。
「あ、13!怪我は・・・」
「あいつか?大丈夫だ。」
黄色の13が私の様子を見て、一安心したようだ。彼女は怪我を負ったものの、かすり傷程度という。
「・・・しかし嫌なレジスタンスだ。飛んでからのことは恨みっ子なしだが、飛ぶ前にやられるのは腹が立つ。」
その言葉は確かに同感だと、私がうなずいてみせる。彼の気持ちはよく解る気がする。


CVスフィルナブリーフィングルーム 1000時
予定通りに部隊全員が集結し、ブリーフィングが行われる・・・誰も軽口を叩かず、緊張した面持ちだ。
こんな状況で、軽口を叩ける奴が居るとしたらかなり凄いのだが・・・いろいろな意味で。
「ISAFを長く苦しめてきた巨人兵器ストーンヘンジを攻撃する。隕石を打ち落とす目的で作られたシステムなので、高速で移動し軌道の予測が困難な少数の戦闘機なら接近できる。亡命した技術者たちからの情報によると、中央のジャミング装置がミサイルの誘導を妨害している。これを破壊せねば、作戦遂行は困難だろう。司令部では出撃機の40%損失を覚悟している。困難な作戦だが、避けては通れぬ道だ。大陸の空を取り戻せ。以上。」
緊張したところに、フィンが質問をする。
「ストーンヘンジ防衛の黄色中隊は?可能なら僕達で食い止めたい。」
「それには先ほど報告が入った。レジスタンスが黄色中隊の滑走路を破壊、修理予定機体の予備機材も破壊し1機欠けるとの事だ。速攻でストーンヘンジを落とせば黄色中隊到着前に何とかなるだろう。」
少々レジスタンス頼みは無謀かもしれないが、それしか打つ手段は無い。何にせよ前の攻略戦のようにいきなり黄色中隊がストーンヘンジ上空に居るということは無くなった。
「・・・もし来たら全力で食い止める。」
「うむ、メビウスに頼もう。作戦が完了するまで、黄色を抑えることも任務だ。」
了解とフィンが敬礼する。許可を貰ったなら思う存分黄色と戦って落とす。燃料が危うくなるまで追い続けるつもりだ。
あまり無理をするわけにはいかないのも事実だが・・・ストーンヘンジの攻略戦で結構燃料を食うはずだ。
「以上、解散し任務を全うせよ。」
「了解!」
一同がブリーフィングルームから出て、早速飛行甲板へと向かう・・・紺色のF-15Irにフィンも乗り込み、レナが同化する。
機体に異常なし、相変わらずいい腕前の整備員のおかげで異常なく出撃できそうだ。
「・・・ルウ、ヴィクセン。訊いてる?」
「あぁ?どうしたんだよ。」
無線の周波数を2人に合わせ、フィンがそっと2人に話しかける。
「・・・万一死んだらさ、どっちが隊長か決めておいて。」
「縁起でもねぇ事いうな、フィン。」
「でも、相手は黄色中隊・・・生き残れる確立だってかなり低い。だから、そんな時・・・」
『黙れってんだ、フィン!そんな事言ってると後ろから機銃ぶち込んでやるから覚悟・・・っと、スマイル、スマイル☆』
F-15Irの後ろに、確かにミラージュ2000-5が待機している。本気でミラならぶち込みかねないだろう。
必ず生き残らなければら無いなとフィンは改めて思ってしまう。
「肩の力を抜け、フィン。力が入ると出来るものも出来なくなる。」
『同感。生き残れるように頑張って。』
ヴィクセンからアドバイスを受け、フィンはそっと深呼吸をする・・・そう、こんな場所で緊張してるわけにはいかない。
『レン、それより帰ったら戦勝祝いに何作る?』
『さてね・・・どうしようかな。』
そんなことを話しているレナとレンをよそに、フィンのF-15Irが射出位置へと入る。


1145時 サンサルパシオン
「発進準備急げ!」
トレーラーからSu-37フランカーE改がおろされ、民間飛行場の滑走路へと出される。滑走路の復旧不可能と判断した司令部が民間空港からSu-37を発進させるようにしたようだ。
Su-37がトレーラーから下ろされ、ミサイルなどを次々に積み込んでいくと順次パイロットが乗り込んでいく。
「隊長、私も行きます。」
「お前はダメだ・・・待っていろ。」
黄色の4が飛ぶというが、エーリッヒは絶対にダメだと首を振る。
「不調の機体で上がって、撃墜されたという真似は見せたくない・・・相手はリボンだ。」
「それでも・・・行きます。死んでも文句は言いません。」
頑固だなとエーリッヒは思ったが今は時間が惜しい。1機でも多く上がってくれればありがたい。
「・・・死ぬなよ。」
「解っています。」
彼女も自分のSu-37へと乗り込み、そのままタキシング・・・エーリッヒは無事で居てくれと思ってしまう。
操縦技量なら抜群だが、何か今日は言いようの無い不安が付き纏って離れないのだ。


ストーンヘンジ 1100時
「これまで多くの英雄がストーンヘンジに散ってきた・・・そろそろ新しい英雄が必要だ。全機、必ず生き残れよ。」
「了解。」
兄レイシスも、スカイアイが言う英雄の1人なのだろう・・・・フィンは低空で真っ先にストーンヘンジへと向かう。
低空に対空機銃があるものの、ISAF空軍機は一気に通過し被弾はしていない。狙いがまともについていけないようだ。
「ストーンヘンジが砲撃してきます、高度を落としてください!」
ヴィエラが無線連絡を入れる・・・真上をストーンヘンジの砲弾が飛んでいくが、はるか遠くで爆発している。近すぎて信管が働かないらしい。
「好機だ・・・レイピア5、突破する。」
フォルク機のF-15CもフィンのF-15Irに追いつくと、ストーンヘンジが見える・・・巨大な砲塔をISAF航空隊に向けている。
1機だけ破壊されているが、あれは先年の航空部隊による攻撃で破壊されたものだ。
「ターゲットまでの距離は間違いないのか!?なんてデカさだ!」
「生き残ってこそ英雄だ。死ぬなよ?」
ISAF航空隊が一斉に攻撃を開始。フィンの機体にはAAM-4を4本と中型爆弾を8個。AAM-5を8本搭載している。
メビウス隊は対地、対空混成装備。ストーンヘンジを破壊しつつ、適度に支援を行うといったところだろう。
早速レーダーロックをストーンヘンジに仕掛けて目安にしようとするが・・・ロックオンがきかない。
『中央のジャミング装置を破壊しないと、フィン。』
「そっか。」
ミサイルのロックオンが訊かない。フィンは搭載した中型爆弾をストーンヘンジ中央部へと叩き込む。
爆撃を喰らいジャマーが破壊、同時にF-4AからAGM-88が一斉に発射される。
ストーンヘンジの対空砲火が起動、ミサイルを撃墜していくも完全ではない・・・何発かが抜けてストーンヘンジ本体に直撃。
砲塔の予備弾薬に引火し、ストーンヘンジが爆発を起こす・・・2機使用不能、残り4基だ。
「ターゲット沈黙!」
「敵空軍到来。メビウス隊、迎撃部隊を撃墜せよ。」
「了解!」
レーダーに映っているのはEFタイフーンやF-35Aの編隊。ここに新鋭の航空隊を持ってきたということはやはり黄色中隊が到来するまでの時間稼ぎというところだろう。
ISAF空軍の制空部隊が敵空軍機撃破のために前に出る。メビウス隊も無論前へと。
「メビウス1、エンゲージ!」
距離7200で敵機をロックオン、友軍F-15FJを追撃しているEFタイフーン目掛けAAM-4を発射。
『ロックオン、行けそうかも?』
「フォックス・スリー!」
AAM-4が煙を噴出しながら射出、友軍機追撃に夢中になっているEFタイフーンを正確に捉え直撃する。
脱出は何とか出来たらしい・・・だが、エルジアもここが正念場と合って激しい抵抗をしている。
「1機落ちた!エルジアめ、なかなかやる!」
「ここが落ちたら一巻の終わりだぞ!」
なるほど、確かに本気を出して戦っているらしい。油断できないとフィンが思っているといきなりミサイルが飛来。
チャフをばら撒いて回避、発射した相手はF-35Aライトニング2だ・・・かわされたと見ると格闘戦を挑んでくる。
『勇気あるのね?私のマスターは負けないけど。』
「まったく・・・確かにね?」
機首を傾けてヘッドオン、互いにバルカンを連射してくるがいきなりF-35Aが爆発する。
「何が!?」
何が起こったか解らずにフィンが動揺するが、レナがあっさりと答えを出す。
『ストーンヘンジの砲撃ね・・・無茶苦茶に撃ってるみたい。』
ストーンヘンジもやられるわけには行かないと、ゼロ距離で無茶苦茶な方向に発砲しているがエルジア軍機も巻き込んでいる。
「アレに巻き込まれるのは勘弁だ・・・フィン、ストーンヘンジも気をつけろ。」
「解ってるよ、メビウス3。心配性なんだからもう・・・」
ヴィクセンに心配されるほどじゃないとフィンはいい、次の目標を探す・・・機首を上に傾けると、真上から突っ込んでくるFX-10Bが見える。
操縦席狙いでガンキルに来たのだろう。すぐにフィンは機首を上げてAAM-5を発射。無人機の回避が遅れ爆発する。
『いい感じ!ナイスキル!』
「ストーンヘンジは?」
『・・・まだ3基しか破壊してないの?以外・・・』
最初のAGM-88での攻撃は上手く行ったのだが、投下型爆弾での攻撃があまり上手くいかないらしい。
目測での照準がことごとく外れている・・・ストーンヘンジの巨大さに目測を誤ってしまうためだという。誘導爆弾での攻撃で3基目を落とした程度だ。
『あ、今4基目沈黙・・・あと3基つぶそう?私達で。』
「僕達で?」
『爆弾投下しておけば黄色中隊とやりあうとき楽だし、それに・・・攻撃隊もちょっと不安だから。』
ジャマー対策として大半の機体が無誘導投下爆弾を装備している。今のようなミスを犯す可能性だって考えられなくも無い。
仕方ないなとフィンは思いながらも爆弾に兵装をあわせるが、どこを狙えばいいか迷う。砲塔そのものを狙うべきだろうか?
「何をミスばかり・・・私が手本を見せますよ。」
ヴィエラのF-4A・吹雪が急降下すると砲塔基部に爆弾を投下する・・・地下に爆弾が食い込み、ストーンヘンジ砲塔基部を破壊。
そのままストーンヘンジが停止してしまう・・・もとは民間用。精密な機材ばかりで組まれているため装甲は無いのだろう。
「・・・できるかもね。ヴィエラのまねだけど。」
フィンもF-15Irを急降下、ピパーに砲塔基部をあわせると爆弾を2発投下。
薄い砲塔基部の床を貫き、内部で爆弾が爆発・・・基部がゆがみストーンヘンジが沈黙してしまう。
「メビウス1、レイピア2がターゲットを破壊!」
『さっすがマスター、皆続いてよ!?』
無茶苦茶だとヴィエラがたしなめるが・・・ストーンヘンジも残り1基だ。
「後は任せろ・・・」
「ヴィクセン、お前だけに獲物を捕らせるとでも!?」
ミラージュ2000-5とF-12Dが急降下、ほぼ同時に全ての爆弾を投下する・・・ストーンヘンジ砲台基部に爆弾が突き刺さる。
爆弾がその後で爆発・・・砲塔基部に装填中の砲弾に引火し大爆発を引き起こす。ストーンヘンジの砲塔が根元から吹き飛び、中央部に突き刺さる。
「目標沈黙!!メビウス隊が最後のターゲットを破壊!」
「よくやった!」
ほぼ一斉に歓声が沸きあがる・・・フィンはようやくといった感じで一息つく。もう高度を気にせずに飛ぶことができる。
ストーンヘンジが無ければ、これからの戦いはかなり楽なものになるはずだ。
『フィン、疲れた顔してどうしたの?』
「何となくね・・・もう、ストーンヘンジを気にしなくていいと思うと気分が楽。」
そんなことをフィンが言っていると、スカイアイがいきなり通信を入れてくる。
「こちらスカイアイ、レーダーでもストーンヘンジの破壊を確認した。だが5機の機影が接近中だ。」
「敵は!?」
「フランカーE2改だ。だが大丈夫だ、こっちのエースは奴等より早い。交戦を許可する!メビウス隊、何としても食い止めろ!」
「了解!メビウス1、エンゲージ!!」
間違いなく黄色中隊だ。しかもきっちりと編隊を組んで向かってくるが1機だけどうも様子がおかしい。
挙動が不安定だが、この敵機を見逃すほど甘くは無い。フィンはAAM-4にロックオンをかける。
『狙うのはあのフランカー・・・ね?黄色の4。』
「うん・・・行くよ!フォックス・スリー!」
「メビウス2、フォックス・スリー!」
ほぼ同時にミラージュ2000CからMICAが発射。レイピア隊から2機が出て黄色中隊めがけミサイルを発射する。
同時にSu-37からも大量のAA-13が発射され、白煙をなびかせて交差する。
「かわすよ!」
『ええ・・・わかってる!』
チャフをばら撒き、急激にF-15Irが初撃を回避。F-12Dとミラージュ2000Cもほぼ同時に回避する。
が・・・いきなりのように黄色中隊機が1機爆発を起こす。まさかAAM-4が直撃したのだろうか?
「メビウス1が1機撃墜したぞ!」
「黄色4、脱出しろ!」
「・・・不調の機体であがったのが駄目だった・・・すみません、隊長・・・」
エンジン出力とTVCの不調で思うように動けず、2番機が撃墜・・・誰もこの瞬間を見ていなかったが、後でガンカメラの映像で判明した。
緩やかに機体が降下・・・だが、地面にたどり着く前に爆発を引き起こす。
「・・・黄色中隊は無敵じゃない!行くよ、残りも殲滅する!」
「全機散開・・・リボンを狙え!燃料の続く限り逃すな!」
黄色中隊機が突撃、ヘッドオンでSu-37がF-15IrにAA-11を発射するがフィンは降下してヘッドオンを回避する。
『何なんだよ・・・僚機もやられてストーンヘンジも落ちたのに!』
「愚痴るな、ミラ!付き合ってやる!」
AA-11を発射したSu-37めがけ、ルウがマジックAAMを発射・・・すぐにSu-37も回避、そのまま急降下しフィンの機体を追う。
「気をつけろ、フィン!黄色の13が後ろだ!」
「わかってる!」
黄色の13の挙動が鋭く、なかなか振り切れそうに無い。フィンは舌打ちしながらも機体を急降下させていく。
離されまいとしてSu-37がAA-11を発射、それと同時にフィンがフレアーを発射すると急激に機首を上に向ける。
「挙動はいい。だが・・・貴様は許さない!黄色の4の敵はとらせてもらう・・・」
「僕も同じだ。兄さんを奪った・・・だから落とす!」
2機が急激にすれ違う・・・互いに機銃を発射していたが、相対速度に追いつかず一撃も当たっていない。
Su-37がすぐに機首を上げるが、その隙を狙いF-12DがAAM-5を発射する。
「邪魔をするな!く・・・厄介な機体に乗せてしまったな・・・」
Su-37改と張り合える機体といえばF-15Ir程度だ。フランカーのライバルとして常にイーグルが立ちふさがってきた。
エースパイロットであるフィンもF-15J程度ならまだ何とかできる。だが・・・同等の実力を持つ機体に乗せては厳しいものがある。
AAM-5をSu-37がすぐにフレアーをばら撒き、フィンの方に機首を向けて回避する。
「ブラックバードは俺が引き寄せる・・・隊長はリボンのイーグルを。」
『任せてください!MLS同士で決着をつけます!』
ベルナード機が後方の上空からF-12DにAA-11を発射、ヴィクセンも反応すると一瞬で加速してミサイルを振り切る。
「MLS同士か・・・やめておけ。」
『私たちに勝てると思ったの?』
ブラックバードとベルナード機が格闘戦開始、その間にエーリッヒがフィンのF-15Irを追撃する。
「・・・絶対に落とす・・・あいつを!」
『フィンも落ち着いてよ!もう・・・!』
レナが説得してもフィンは説得に応じる気配が無い。もっとも憎悪というより別の何かだからレナも落ち着いていられるのだが。
それでも、いつ憎悪とかに変わってもおかしくは無い。レナはフィンを落ち着かせようとしている。
「リボン・・・貴様だけは!」
「僕だって落とされるつもりは無い・・・黄色の13!」
素早くフィンが機体を減速させてシザースに持ち込もうとする。
が、エーリッヒも引っかかっていない。同じように減速しGSh-30-1を発射するもぎりぎりでフィンが機体を旋回させ回避。
減速したSu-37の後ろをとる。
「ふ・・・リボン、これで終わりだ。」
エーリッヒのSu-37から一瞬だけアフターバーナーの炎が長く伸びて降下しようとする・・・フィンは急加速すると考え、素早くバーナーを吹かせて追撃。
『フィン、ダメ!あの機体、そんなに加速してない!』
「え!?」
黄色中隊仕様Su-37はアフターバーナーを吹かせるとわずかな時間だけ長い炎が出る。
最高出力と勘違いさせることも不可能ではない。反応速度が過剰に速いフィンならなおさら引っかかるとエーリッヒは読んでいた。
フィンはまんまとはめられ、Su-37を通り越してしまう・・・狙いを定めエーリッヒがGSh-30-1を発射。
「終われ、リボンつき!!」
通過する一瞬だけ手前で30mm銃弾が直撃、左主翼に集中して命中している。
『・・・っ!?』
「レナ!?主翼が・・・!!」
すぐにフィンが挙動を整える・・・左主翼のダメージが甚大だ。揚力を得ている部分など1/3程度ではないだろうか?
とにかく、戦闘機動など取れる状態ではない。エーリッヒのSu-37が操縦席に狙いをつけている。
「・・・兄さんと同じく、僕まで・・・!?」
「フィン!」
一瞬でSu-37がエンジンから煙を吹き始めている・・・フォルク機のF-15Cの銃撃を喰らったようだ。
「・・・フォルク!?」
「片羽か・・・全機撤収しろ!」
苦戦を強いられていた黄色中隊機は全機撤退・・・何とかフィンは一息つく。ヴィエラやルウ、ヴィクセンらが何とか食い止めてくれたようだ。
彼らも加わっていればまず勝てなかった。友軍機に感謝したい気分でもあると同時に・・・悔しさも沸いてくる。
「・・・まだ勝てない・・・ずっと・・・」
黄色の13にまだ及ばない・・・フィンはそれがショックのようだ。そこに追いつくことが目標でもあった。
前の航空戦で黄色中隊に損傷こそ与えたが・・・それでもまだ及ばない。
「黄色中隊機、1機の撃墜を確認した!我々の完全勝利だ!」
スカイアイのうれしそうな声も・・・今のフィンには少々空虚に感じられた。
「フィン、大丈夫か!?」
「何とかね・・・主翼も形が残ってるだけマシ。イーグルの生存性能は抜群だから帰還できるよ。」
ルウが無線を入れてもフィンは大丈夫と答える。主翼の1/3を吹き飛ばされてもイーグルならば大抵帰還している。
フォルクに出来るなら自分にも出来るはず。慎重にフィンは機体を動かし、CVスフィルナへと帰還する。
『・・・フィン。私・・・』
「邪魔してない・・・僕の責任だ。まだ及ばない、それだけ。」
不安げに語るレナに、フィンははっきりと答える・・・まだ及ばないなら追いつくしかない。
ただ、それだけのこと・・・落ちなかっただけ幸運と言うべきなのだから。


CVスフィルナ機銃甲板 2140時
「・・・祝賀会、出ないの?」
レナがそっと機銃甲板にいるフィンに話しかける・・・F-15Irの損傷はかなり酷かったが、修復できないほどでもなく次の出撃のために突貫工事で整備された。
だからレナも何とか実体化できているらしく、ストーンヘンジ攻略の祝賀会に出席していたのだが・・・突然のように退出したフィンを見て追いかけてきたようだ。
「出る気分じゃない。」
「今日の主役じゃない?黄色中隊落として、ストーンヘンジだって1基を一撃で沈黙させたのに・・・黄色の13のことまだ気にしてるの?」
「違う。今日撃墜した2番機・・・黄色の4とか言ってたけど。黄色の13、エーリッヒに好意を抱いていたんだ。彼もそれをわかってた。」
「そのこと?」
「そう・・・僕もエーリッヒと同じところに来てしまったと思うとね。」
大事なものを奪う存在にはなりたくなかった・・・フィンはそれで落ち込んでいるのだろう。
「でも・・・不調の機体であがってたのよ?彼女・・・落とされても文句言えないはず。」
「・・・悪い?後味が悪いから感傷にふけってるの。」
「ううん。けど・・・ちょっと待ってて?」
レナが戻っていくと、フィンは何をするつもりだろうと思いながら待っている。
しばらくすると、ワインのボトルを持ってきて戻ってきた。ちょっと高そうだが別にどうってことは無いだろう。
「何のつもり?」
「彼女と・・・ISAFの為にね?」
「レナ、なかなか・・・ありがと。」
ボトルを受け取ると、フィンはキャップをあけてそのまま中身を海にぶちまける。
「・・・今までストーンヘンジに散った空軍の仲間と、黄色の4の為に。それと・・・兄さんに。」
「私も。」
夜の風を受けながら、2人はワインを海へと流す。これで浮かばれるだろうかと思いながら。

「吹雪、ボトルどうしたかわかる?」
「わかんないね?私に聞かれても。」
かなーり高い年代物のワインをレナが持っていったことに吹雪とミラは気づかないようだ。
「あ、さっきレナがもって行きましたけど・・・」
そっとヴィエラが答えると、ミラが表情をいっぺんさせてしまう。
「・・・あんにゃろう。」
「え?」
「よりによってあれで晩酌とはいい度胸じゃねぇか。マスターが楽しみにしてた物を・・・ぶっ飛ばす。」
「あ、私も協力するね。」
ミラがそのままレナの出て行った方向へと向かう。面白そうということで吹雪も突いていくがヴィエラは冷や汗を流してしまう。
本当は言わないほうが良かったんじゃないかと。

同時刻 サンサルパシオン領内スカイ・キッド
「・・・気にしてる、の?」
黄色の4が帰ってこなかった・・・私がそのことに気づいたのはこの酒場に彼らが着てからだ。
外で黄色の13がハンカチを握り締めながら涙を流しているのを見て、彼女は死んだと確信する。
「・・・ああ。だが・・・理由はどうであれ、不調機で上がった者に文句は言えん。どんなときでも、パイロット自身で償わなければならないことだ。」
「そう・・・」
不調の機体であがった代償・・・そう、考えられなくも無い。彼女の機体はTVCがまともに動かず、エンジン出力も落ち込んだために開始早々撃墜されたのだ。
「・・・3年前だ。私が彼女と出会ったのは。」
「彼女・・・黄色の4?」
「そうだ。エルジアを守りたいといって入ってきた普通の娘だった。私のところに来て、空戦技術を教え込んだ・・・何故そこまで思いつめていたかはわからないが。」
唐突に、黄色の13が彼女に出会ったころの話をはじめていた。戦闘機パイロットになる前の彼女の話・・・それを私に記憶させたかったのだろうか。
もうこの世界にいないからこそ、大切な記憶として。
「・・・お前だけは・・・いなくなるな。必ず。」
「うん・・・」
本当に両親を奪った人だろうか。いや、むしろほかの原因があるのではないだろうか?
私は・・・黄色の13を気遣ってしまう。もう、両親を殺したのがこの人であるなんて一度も思いたくなかった。

続く

あとがき
ストーンヘンジ攻略終了。長い間お待たせしました。
かなりスタイルとか変わっていると思いますが、何とか・・・一息つけます。
続きもしっかりと書いていく予定。では。



 2008/11/22:スフィルナ(あくてぃぶF-15)さんから頂きました。
秋元 「ストーンヘンジの中心部、あれ、弾が勿体無いってんで機銃掃射してましたよ。なつかしいなぁ〜」
アリス 「……機銃大好き(ぼそっ」

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