ACE COMBAT The Belkan war 円卓の騎士たちへのレクイエム


――彼は片羽の妖精と呼ばれた傭兵。
私が相棒と呼んだ、ただ1人のパイロット。


ACE COMBAT The Belkan war 円卓の騎士たちへのレクイエム
第2章 凍空の猟犬〜クロスボー作戦〜

4/2 ヴァレー空軍基地

「早速だが任務だ。ベルカ空軍の爆撃機がこのヴァレー空軍基地に接近している。防空火力は貧弱で、基地は張子の虎も同然だ。ヴァレー空軍基地到達前に全ての爆撃機を撃破せよ。」
「了解!」
ブリーフィングを聞き終えたパイロットは、格納庫で待機しているそれぞれの機体に乗り込む。
マールはフォルクと同じ格納庫を使うため、そこにきた。
「初めての出撃か・・・」
「偶然にしても、6が3つなんて不運かも。」
第6航空師団第66戦闘航空隊。マールがその名前を聞いて不安に思ったのも無理も無い。
「ええ。悪魔の数字とは・・・縁起が悪いです。」
「おいおい、そんなこと言って・・・最初から雪山でベイルアウトは悲惨だ。シルヴィアもそんなこと・・・」
「私は一応シスターですから。悪魔の数字とは不吉です。だからこれを・・・」
シルヴィアは、どこからか首にかけるロザリオを取り出した。
マールはうけとると、首からかけた。
「こんな感じ?」
「似合ってます。それがあれば、おそらくはこの悪魔の数字がもたらす災いをかわせると思います。」
他愛ないことだが、彼女にしてみれば本気で信じているらしい。
「いつもこういう感じ?」
「ああ。俺が食事する前なんか代わりに祈りをささげてるからな。まぁいい、俺もつけておくか。」
フォルクも首にロザリオをかけると、F-15Cに乗り込んだ。
「主よ、マスターとその僚機に祝福を。彼らが無事に帰還できるように・・・」
十字を切り、ロザリオを握りしめて祈りをささげた。
「離陸準備、急げ!」
マールがF-15Cに乗ってから後ろを振り向くと、すでにシルヴィアの姿は無かった。
気にしないで機体を滑走路に向かわせ、離陸準備を整える。



「全機上がったようだな。ガルム2はガルム1の指揮下に入れ。」
「報酬はきっちり用意しとけ。」
「・・・互いが無事であればな。」
フォルクは微笑すると、基地知れにはっきりと言った。
「お財布握り締めて待ってろよ。」
「私の分も残しておいて。司令官。」
マールもそんなことを言うと、僚機のブレアから通信がきた。
「敵爆撃機を捕捉した。ルーク、エンゲージ!」
「了解。」
F-29A(X-29Aの正式採用タイプ)が真っ先に敵編隊に突っ込んでいくのが見えた。
マールは出力を上げて一気に敵編隊へと接近する。
「敵編隊確認。あれは・・・!?ウスティオ空軍のエースが2人も混じってるぞ!ルークとサイファーだ!」
「あせるな。コース変えずにすすめ!」
すでにマールは2機の爆撃機を見つけ、AIM-120の射程に捕らえていた。
「サイファー、フォックス・スリー!」
ヘッドオンでAIM-120を発射、敵爆撃機BM-335の機首を食いちぎった。
「こちら1番機!機首大破!脱出する!」
「護衛機は本気だ。気を抜くな!」
ベルカ空軍も、ようやく本気を出したのか護衛戦闘機がたくさんこちらに向かってきた。
が、F-5EやF-4Eがほとんど。F-15Cの相手になりそうなのは居ない。
「ピクシー、爆撃機は任せるね。私は護衛戦闘機をやる。」
「了解。ま、任せとけ!」
真正面から向かってきたF-5Eに20mmバルカンを食らわせ、マールはまた1機撃墜した。
隣でブレアのF-29Aが軽い空戦機動でミサイルをかわし、次々に敵機を撃破していく。
マールも負けじと短距離AAMを発射、敵機を劇はしていく。
「こちらティーガー。あんなのに何手を焼いてやがる!?俺がぶちのめす!」
「ウスティオの蒼い鳥が相手してあげる!」
機体の色が違うF-5Eが、まっすぐにマールのF-15Cに向かってきた。
ヘッドオンですれ違ったが、互いにダメージがない。
「・・・ちょっとやるじゃない。」
すぐに反転させてマールはそのF-5Eを追うが、相手もなかなかロックオンさせてくれない。
それなりに手ごわい相手のようだ。


「何手を焼いてるんだ?あんなのに・・・」
『なかなかの腕前ですが、落とされますね・・・マールさんのイーグルが押してます。』
BM-335の後部機銃からの銃撃を交わし、フォルクは20mmバルカンを敵機のエンジンにぶち込んだ。
煙を吹きながらBM-335は墜落していく。
「脱出しろ、急げ!」
「4番機が墜落した!片羽の妖精がやった!」
「あの3機に全部持っていかれるぞ。」
ブレアの指揮下にある傭兵部隊もまた、それなりにいい働きはしている。
が、サイファーとピクシーのスコアには及んでいない。
「ウスティオの傭兵が・・・っ!」
断末魔の敵の表情まで、2人は感じ取っていた。
ここ最近は声どころかそんなものまで聴こえるようになってしまった。
「・・・大丈夫か?こんな生々しいもの見て・・・俺は大丈夫だが。戦闘機で・・・よかったのか?」
ふと、フォルクはシルヴィアに尋ねてみた。
『・・・マスターのためです。辛くないと言えば嘘ですが、できます。』
「・・・悪いな、辛い思いさせて。」
『マスターが死ぬ方がもっと辛いです。安心して・・・戦ってください。』
フォルクは微笑すると、トリガーに手をかけた。
「ガルム2、フォックス・ツー!」



「しつこい敵機だ!ブリッツ、後をカバーしてくれ!」
「わかった!」
後にJ-35ドラケンが回り込もうとしたが、その前にマールはF-5Eをロックオンしていた。
「ガルム1、フォックス・ツー!」
短距離AAMが突き刺さり、F-5Eは四散。パイロットは脱出したようだ。
「ティーガーがやられた!」
「こちらティーガー、機体損傷!脱出する!」
マールは距離3000付近にいるJ-35を発見すると反転してヘッドオンをしかけた。
かすかに機首をあげ、AAM発射のタイミングを待つ。
「ブリッツ、ミサイル発射!」
アラートがなったタイミングでマールもミサイルを発射、そのままエアブレーキをかけて急旋回させた。
J-35の真正面にAAMが直撃、機体が炎上している。
「やられた!脱出する!脱出す・・・」
脱出中にJ-35が爆発、パイロットの生存は絶望的だろう。
マールは戦果を確認すると、まだ向かってくるB-52GにAIM-120を発射した。
「サイファー、フォックス・スリー!」
2発のAAMが直撃、B-52Gは煙を吹きながら墜落していく。
「こちらヴァレー空軍基地。敵爆撃機の撃墜を確認。爆撃機を撃墜したエースは誰だ?例を言っておいてくれ。」
「任務完了。全機、帰還!」
敵性航空機全機撃墜、味方の損害無し。
ウスティオ空軍の反撃にふさわしい幕開けとなった。



同時刻 サピン領内メステア基地

「171号線奪還作戦、ローゼンライン作戦をウスティオと合同で?」
「現在のサピンの軍事力ではどうしようもない現実だ。」
僚機のアルベルトが、マルセラに仕方なさそうに言っている。
サピン空軍だけで何とかしたかったらしいのだが・・・
「なるほどね。指揮官からさっき話聞いてきたんだけど・・・承諾したから。」
「・・・待て。何で俺達が面倒ごと抱え込まなきゃいけないんだ!」
「ウスティオに親友が居るし。助けないわけにはいかない。当然、付き合ってくれるよね?」
「ああ・・・わかった。行けばいいんだろ、行けば・・・」
ため息をついて、本当に泣きそうな表情でアルベルトはうなずいた。
「・・・これだけだよな?この作戦だけ・・・」
「終戦までがんばろう。ね?」
「あー・・・なんで俺の僚機は強気なんだよ・・・もうちょっと素直な奴呼べよ・・・」
このマルセラを僚機にされたのが彼の最大の不幸と言ってもいいかもしれない。
どっちが隊長かわからないとまで言われてしまう。
「さ、行こう。」
マルセラに言われ、アルベルトはしかたなく了承した。



ヴェルデブルグ基地

円卓に最も近いとされるベルカ空軍の基地。
ベルンハルトは円卓に進入したオーシア空軍の戦闘機を全機撃墜し、戻ってきた。
MLS機の前で通常戦闘機はかなうはずもなかった・・・しかも、その差を埋められるほどのエースでもなかった。
「あいつら、結局何?円卓で6機で向かってくるなんて。」
「オーシアの高官の息子らしいな。あんなのに苦戦する第3師団もたるんでやがる・・・7機撃墜、死者6人。冗談じゃねぇな。そりゃ、あいつらもソーサラーとかウィザードに手ほどき受けたんだろうけどよ。」
ベルンハルトが梯子から降りると、いつの間にか後にクーナがいた。
緑色のショートヘアーに黒い瞳。黒い毛糸の帽子と黒い服の上下。銀色のネックレスとチェーンをつけている。
「まぁ、これで円卓も当分は落着きそうね。円卓にある鉱山の採掘がすすんで、ベルカも長期戦争継続能力を手に入れると。」
「ああ。ま、オーシアの雑魚には負けねぇよ。ウィザードでもださねぇと無理だな。けどよ、問題がウスティオとISAFだ。あとサピン。」
「ウスティオの蒼い鳥。それ?」
「ああ。俺に撃墜判定をださせやがった機だ。カプチェンコとデミトリ以外でな。メビウスは俺が撃墜してやったけどな。」
「3年前のガントレット演習ね。マスター、凄かったじゃない。案外。」
「案外って・・・」
3年前のガントレット演習では、ベルンハルトはロト隊を壊乱状態に追いやりISAFのエースメビウスを撃墜、レイピア中隊やシュネー隊まで撃破したがインディゴとゴルトに敗退、さらにサイファーにも敗北した。
だからこそ、ベルンハルトはマールを注意している。
何よりも、MLS機でもないのに同等の性能を見せている。
「噂なんだけど、マールの機体はJFS機って・・」
「JFS?あれは蒼晶石を使ったMLSで廃案になったんじゃねぇのか?」
「いや、ベルカ上層部が極秘で計画を進めてて、一部がケラーマン教室のパイロットから選ばれたらしいの。マールもその被験者ってミストが・・・」
「厄介だな。」
JFS計画。ベルカ空軍が一度だけ構想した戦闘機強化計画で戦闘機の機能システムを直接被験者の神経につなぐと言うもの。
無論、ある方法で神経の信号を増幅させているため被験者の身体を傷つけることは無い。
それでも、あまりにもパイロットの負担が大きすぎるのと、蒼晶石が採掘されMLSが開発されたことで頓挫したらしいがJFS機はMLS機とほぼ同等とも噂されている。
ベルカはその取り外しを行わず、現在でもMLSと天秤にかけているところもあるとまで噂されている。
シュバルツェ隊がJFSで機能しているMig-31を使用しているとも言われているが、詳しいことは不明だ。
「ま、なんにしろ敵は撃ち落すまでだ、そうだろ?」
「当然。私がマスターについてる限りね。」
クーナはほほえむと、ヘッドフォンをつけて音楽をかけた。
「・・・何聞いてるんだ?」
「My way。」



続く



あとがき
JFS機の詳細はまだ不明です。こんなこと使っていいのだろうか・・・
・・・似てるけどJSF(ジョイント・ストライク・ファイター)計画じゃないです。F-35は関係ないです。
FをAにしてもグリペンとかぶるからダメですし。
現実組で誰か出そうと思ってますが、まだ難しくアイディアがかたまりません。
戦闘機の兵装はACEシリーズそのままで、爆弾やロケットランチャーなどもそのままだします。
あと、アサルトレコードの敵機もかなりたくさん出します。
最後に。ACEシリーズですが状況をあわせるため一部ACEシリーズ未登場の敵機を出します。
AH-64を使うのはオーシアだけです。ユークはKa-50+Ka-52、ベルカはUHTティーガーを使わせます。
では。



 2006/05/16:あくてぃぶF-15さんから頂きました。
秋元 「現実グループは随時増えていきますから、そこから捻出するのも(笑」
アリス 「……最初、JSFと読んだのは秘密(ぼそっ」
秋元 「気のせいだろ」

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