ACE COMBAT The Belkan war 円卓の騎士たちへのレクイエム




――ISAFは、おそらく利権のために戦っていた。そんな奴らに何故私は負けたのだ。
国を背負わねば、早く飛べるとでも言うのか・・

〜2005 10/12 「Red Swallow」デトレフ・フレイジャーへのインタビューにて〜


ACE COMBAT The Belkan war 円卓の騎士たちへのレクイエム
第11章 円卓制空戦〜バトルアクス作戦〜

5/28 ヴァレー空軍基地
「全機スクランブル、急げ!」
一斉にヴァレーに居る航空隊全てが空に舞い上がり、作戦空域へと向かっていく。
大規模な空戦がエリアB7Rで発生、先発したビショップ、レイピア、エスパーダ隊が苦戦しているらしいのだ。
クロウ隊も少し前に向かい、ガルム隊もようやく出撃した。
『マスター・・・マールさん。』
「何だ?」
精神リンクを通じて、2人にシルヴィアの声が聴こえた。
『生き残りましょう。何があっても・・・』
「ああ。そうだ・・円卓の空は厳しい。新鋭戦闘機をそろえて待っているからな。」
「ええ・・・」
2人は風防越しに敬礼をかわすと、最大出力で円卓へと向かっていった。


ベルカ絶対防衛戦略空域 エリアB7R 1200時
「連合軍統合本部より入電、連合軍は戦力の80%を喪失!」
「80%も!?無人機のせいだ・・・」
「デスティニーは何機残ってるんだ!?」
次々に連合軍機はFX-10Aに撃墜され、すでに80%も喪失したというのだ。
「上も下も戦闘機だらけだ!」
「数が多すぎて手に負えん!増援はまだか!?」
円卓上空にマールとフォルクが到着したのは、ちょうど劣勢に陥っていた頃だった。
「よし、花火の中に突っ込むぞ!」
「了解!」
一気に2機は急降下、そこからAAM-4を発射した。
友軍機を追撃していたFX-10Aに命中、撃破した。
「円卓が何だ、俺がやってやる!ISAFの実力を見せろ!」
「レイピア9がやられた!」
FX-10にレイピア隊が撃墜、それほどの実力を持っているのだろう。
『マスター、上を!』
「FX-10Aか、ここに凄いもの置いてくれたようだな!」
急降下しながらバルカンを乱射してきたFX-10Aを回避、すかさずフォルクは追撃を開始する。
蒼晶石搭載タイプの無人戦闘機で、その性能はベルカのエースにも劣らないようだ。
「援軍か!?どこの隊だ!?」
「識別番号を確認・・・ウスティオのF-15C2機、ガルム隊だ!」
真正面に向かってきたFX-10Aを、マルセラは27mm機銃で粉砕した。
すばやく後ろに居るFX-10Aから回避、距離を置く。
「タウブルグの剣を抜いたやつが紛れ込んだ、警戒しろ!」
ここに居るのは大半がFX-10A、あとはベルカの名だたるエース達だ。
「こちらエスパーダ1!機体損傷!離脱する!」
「エスパーダ1までやられた!?」
マルセラは唇をかみ締めつつ、Su-27を捕捉した。
コブラ機動で逃げようとしたところにマジックAAMを発射。エンジンが火を噴いて落ちていく。
「あたったか・・・!」
Su-27のパイロットがベイルアウト、それを確認してマルセラはFX-10Aに狙いを定めた。

『前に敵機。これ、試作機!?』
「・・・冗談じゃないな。」
目の前に居るのはFX-10DELTAエターナル、デルタ翼のデスティニーだ。
試作タイプまで引っ張り出してきて戦わせているようだ。
「・・・やるか!」
後方から追撃を開始するが、ラプター相手でもエターナルはかなりいい動きを見せている。
ロックオンを外すような動きを平気でしてくるのだ。
「フォックス・ツー!」
AIM-9を発射したが、軽く交わされてしまった。
ここでレイシスは機体を急上昇させ、背面飛行の状態で追撃した。
『マスター・・・!?』
「ま、見てろ!」
FX-10DELTAを追い越すと、レイシスは背面飛行で機首を真下に向けた。
そこにバルカンを乱射、キャノピーのあるはずの部分に打ち込む。
金属音と共にFX-10DELTAは爆発した。
「負の残留思念が来ないのが救いだ。」
『確かに。マスター、後に敵機。』
「っと・・・!?」
いきなり、バルカンで後ろの敵機が撃ち抜かれてしまった。


「14機目・・・!」
FX-10AやSu-27にすさまじい勢いでマールはバルカンを当てて破壊していく。
「いいぞ、脅威レベルが低下した。そのまま続行せよ!」
「こちらウィザード1.ベルカ軍機の足並みが乱れた。追撃する。」
F-23AとF-16XLの8機編隊が、すさまじい勢いで敵編隊に突撃していった。
「相変わらずいい腕だ。ジョシュア。」
「考えは決まったか?時は満ちた、一気に行くぞ。」
「やめとけ。まだそのときじゃない。」
フォルクはそういうと、急旋回してMig-29にバルカンを打ち込み、撃墜した。
マールはそんな会話を聞いているはずも無く、F-15Cの尾翼にバルカンを打ち込んで撃破する。
「あのウスティオ軍機、何て強さだ!?」
「バルカンだけでもう10機はやったぞ・・・あいつが戦況を覆してる!蒼い鳥だ・・・うわあぁぁ!」
Su-37がAAM-5を喰らって、火を噴きながら落ちていく。
「蒼い鳥!?そんな縁起のいいものじゃない!化け物だ!」
「悪魔か・・・!?」
その無線を、マールはどこ吹く風で聞いていた。
「そんな生易しいものじゃない・・・ああいうのは鬼神っていうんだ!」
「円卓の鬼神、ウスティオの蒼い鳥か・・・」
ベルカ軍機の嘘機に、乱れが生じてきた。
FX-10Aの数も、交戦当初から見ればかなり少なくなっている。
「鬼神ってのも、似合わないなぁ・・・」
そんなことをぼやきながら、マールは引き続きFX-10Aを重点的に狙っていく。
「悪いけど、人が乗ってない奴には負けない!」
マールの旋回方向と逆方向にFX-10Aは旋回、バルカンを乱射しながらF-15Cはすれ違った。
FX-10Aは機首から煙を吹き、爆発した。
「ウィザード各機へ、ベルカは瀕死だ。畳み掛ける。」
「ソーサラーより各機へ。ガルム隊だ。良く見ておけ!」
オーシア軍機も、次第に気力を取り戻し次々にベルカ軍機を撃破していった。
「ここから巻き返すぞ!」
「ガルムが戦線を復活させた!」
戦力の80%を喪失、そこからの大逆転劇が始まっていた。
ガルム隊が、戦線をひっぱっているのだ。


「・・・やはり、俺じゃかなわないな。」
「弱気ね。どうかした?」
マルセラとレイシスは、空戦をしつつ通信をしていた。
「俺はマールにはかなわない。俺はただ生き残ることしかできないが・・・あいつは戦線をひっぱっている。次々にデスティニーを撃破して・・・だ。」
『弱気な発言は後、マスター。後にも敵機。』
「とっとと片付けるか・・・」
AIM-9を発射してFX-10Aを撃破。後ろに居るSu-27を狙う。
「・・・やっぱり、蒼い鳥ね。奇跡を起こすんだから。」
「あいつには鬼神ってのは似合わないだろうな。ああいう顔でもないし。」
ラファールが追撃している敵機を、レイシスが真上からバルカンを打ち込んで撃破した。


「俺は平和のために戦っている。だから・・・世界の空で飛ぶ。」
PJはすばやくMig-29を捕捉、バルカンを乱射して撃墜した。
「その平和の下じゃ、何万リットルもの血が流れてるんだ、PJ。」
「あんたの流すその血も、俺が止めるさ。」
ふぅとフォルクはため息を吐くと、はっきりと言い放った。
「血で血は止められない。理想で空を飛ぶと死ぬぞ。」
『マスター・・・そ、そんなこと言っていいんですか?』
「わかってるだろ?その事実は。人が終わりたいと思わなければ血は止められない。」
『・・・ですね。』
ようやく敵機を捕捉、フォルクはAAM-5をFX-10Aに叩き込んだ。
「くっ、主導権が敵に移った。増援はまだか!?」
「早くしないと円卓が取られるぞ!」
その途端、ようやく増援が到着した。
「ガルム1、複数の機影が接近中!様子が変だ、警戒せよ!」
機影は16機、それもかなりのエースのようだ。
「ロト1より各機へ、野犬狩りだ。全機落とすぞ!」
「グリューン1より各機へ。ガルムを落として戦局を逆転させる!」
「ゴルト1より各機へ、状況を開始する。円卓の王者の名にかけて敵を撃滅する。」
一同に解したベルカのMLS使用エースが、一気に襲い掛かってきたのだ。
「こちらメビウス。ロト隊は俺達でやる!」
「ソーサラー1より各機へ。オーシア軍の恨みをそそぐ。ゴルト隊に集中攻撃!」
「グリューンには手を出さないで。私達がしとめる!」
マールはグリューン隊へと突っ込んでいった。


「ゴルト2からゴルト4、ゴルト5からゴルト8は散会しろ。俺とゴルト5が敵機を誘い込む。」
「了解。」
『了解、マスター。さっさと片付けようね。』
「・・・ああ。」
Su-47の8機編隊はF-15S/MTDの6機編隊に突っ込んでいった。
カプチェンコはF-15S/MTDの後に喰らいついた。
「ゴルト4、ゴルト2.獲物を誘い込んだ。5秒後に攻撃だ。」
「了解。3、2、1・・・行くぞ!」
ゴルト4が真上から急降下、それをかわしたF-15S/MTDにアーチャーAAMが喰らいついた。
後から直撃して爆発、四散した。
「大丈夫か?」
『大丈夫。私にかまわないでがんばって!』
「そうだな。やらせてもらうか。」
負の残留思念のことを警戒したのだが、ルカは大丈夫のようだ。
最初からこんな調子だが、カプチェンコも慣れてきた。
「ゴルト5、コーナー速度でこちらに回避。」
「了解。
素早く指示をだし、カプチェンコはゴルト5とすれ違った。
そこに27mm機銃を発射、また撃墜した。
「メイデイメイデイメイデイ!こちらソーサラー4、脱出する!」
「ウィザード1、支援する。」
ウィザード隊がゴルト隊に向かってきたが、ベルカ空軍もさらに増援を派遣してきた。
「こちらグラーバク航空隊。ゴルト隊を支援する。」
F-15S/MTDの4機編隊が、ウィザード隊に襲い掛かっていった。
「作戦を遂行する。」
ゴルト1は隊長らしいF-23Aを捕捉、追撃を開始した。
「F-23Aを捕捉。ゴルト2、ゴルト3は攻撃態勢にはいれ。ゴルト4、フォローしろ。5秒以内に配置だ。」
「了解。」
「よし・・・発射!」
アーチャーAAMがベルクトから発射、F-23Aは左旋回して交わす。
それを待ち構えているかのように真正面からゴルト3が27mm機銃を発射する。
「・・・しつこいぞ!」
F-23Aが急上昇して背面飛行に入った途端、真正面からアーチャーAAMが直撃した。
ゴルト4が進路を先読みし、アーチャーAAMを発射したのだ。
「隊長が落とされた!?」
「浮き足立ったな。ゴルト2からゴルト4は自由戦闘。ゴルト5は引き続きソーサラーを誘い込め。私がかく乱する。」
「了解。」
敵の隊長機を集団戦法で撃破、浮き足立ったところを各個の戦闘で撃破していくのだ。
それがゴルト隊の戦い方。円卓の王者ともよばれたベルカ最強の航空隊だ。
オーシア空軍のエース部隊、ウィザード、ソーサラー隊は壊乱状態に陥っていた。
「ゴルト1が敵機撃墜!」
「ソーサラー2がやられた!」
「ウィザード8からの通信途絶!」
グラーバク航空隊の支援もあり、ウィザード、ソーサラーの両航空隊は撃滅されてしまう。
数では圧倒的優位だったのだが、それもあっさりと潰されてしまった。


「・・・強いぞ、こいつらは!本物のエースだ!」
「映画で何度も見た奴等だ、強くて当然だ!」
レイピア隊は3機がすでに撃墜され、のこりは3機。
2機は損傷が激しく、すでに離脱した。
マルセラと共に戦っているが、やはり相手がこれではきつい。
この兵力でロト隊と渡り合っているのだ。
「長距離ミサイル!」
「よし・・・行くぞ!」
旋回せずに、レイシスとマルセラは急加速してミサイルの中央を突っ切った。
目標を見失ったミサイルは、そのままどこかへ飛んでいく。
相手は距離をとろうとしているようだが、2人はそこを狙った。
「行くか・・・ルシア、ウェポンベイは?」
『開いた。いつでも行ける。』
「フォックス・スリー!」
ここでAIM-120を全て使い切るつもりで発射、マルセラもMICAを発射した。
長距離AAMを発射する前に中距離AAMでの応戦、その間に2機は距離を詰める。
「ちっ・・・!」
中距離AAMの旋回に躍起になっているところに、マルセラとレイシスは突入した。
『回避行動中のロト隊タイフーン、真上に1機。』
「格闘戦に持ち込む、行くぞ!」
機首を上げてレイシスはタイフーンを捕捉、AIM-9を発射した。
「・・・ちっ!」
振り切れずにAIM-9はタイフーンに直撃、パイロットはベイルアウトした。
『ナイスキル。マスター。』
「ベイルアウトすると余裕だな、あんたは・・・」
その間にマルセラは、後に食いつかせながら急上昇していた。
「さて・・・と。」
ラファールは空中で推力を失って機首を真下に向けた。
そこに映りこんだタイフーンに27mm機銃を発射する。
機首から穴があいていき、パイロットは素早く脱出したようだ。
「円卓の主役はリボンつきだ。用無しのツバメには退場願おう。」
「言わせやがって・・・!ISAFの偽善者が!」
「貴様の腕前で俺は落とせない。嫌というほどわからせてやる。」
あっさりと敵機は挑発に乗ってしまった。
タイフーンとラプターではステルスで分があるだろうし、レイシスの腕前はマールやマルセラ、フォルクにも劣らない。
彼のエースとしての才能は、気力や意識だけで覆せるものでもなかった。
後からラファールの追撃があるなど、彼は思いもしなかったようだ。
「フォックス・ツー!」
マジックAAMがデルタ翼を離れ、タイフーンの胴体を引きちぎった。
「・・・くっ!」
敵パイロットはベイルアウト。のこりはあと1機だ。
「無駄に突っかかるからだ・・・まぁいい、黙らせるまでだ。」
ロト隊は最後の1機になってでも突っ込んできた。
多分、こいつが隊長だろうか。
「ラスト1機。マルセラ、俺が貰おう。」
「ご自由に。」
レイシスはヘッドオンでバルカンを乱射したが、かわされてしまう。
すれ違う瞬間にTVCと尾翼を最大まで傾け、最小半径で反転。
タイフーンはそのまま距離をとろうとしているが、そこにレイシスがAIM-9を発射した。
「しまった!!」
AIM-9がエンジンに直撃、タイフーンは落ちていく。
「ありえない・・・ベルカの正義のために戦ったこの私が・・・負けるなど・・・っ!!」
叫び声が途絶えた途端、風防が吹き飛びパイロットが脱出した。
「ロト隊全機の撃墜を確認。」
「了解。」


「蒼い鳥・・・決着をつけるぞ!」
グリューン隊のF/A-18Cが、ふたたびマールとフォルクの前に立ちはだかった。
後にはベルンハルト機、そして僚機のF/A-18Cが追撃してきた。
「ミサイル発射!どこまでも喰らいつけ!」
AIM-7をベルンハルトは発射。そのまま背後に回る。
「スパロー!?どこの骨董屋から買って来たの!?」
マールはそんなことを言ったが、このスパローはなかなか厄介者だ。
後ろに居るベルンハルトを振り切らなければ、必ずあたってしまう。
急上昇しつつ、マールはベルンハルトの後ろに居る敵機を見ていた。
「・・・行けぇっ!」
そこから一気に反転、急降下。
敵機が反応する前にAAM-5を発射、ヘッドオンで撃墜した。
「やられちまった!風防が飛ばねぇ!!」
「フリッツ、何とか脱出してみろ!」
「もうだめだ!落ちる!」
機体が四散、F/A-18Cは残骸すら残さずに爆発した。
マールはそれを見ることなく、フォルクの後についている敵機にAAM-4を発射する。
敵機はこれをチャフで回避、そのままフォルクを狙う。
「相棒、こっちは大丈夫だ!ベルンハルトを先に撃て!」
「了解!」
後ろに居たベルンハルトは、AIM-9を発射してきた。
マールは急降下しつつ右に旋回、アフターバーナーを吹かせて最大推力で回避する。
「落ちろ、蒼い鳥!」
ベルンハルトがすばやく接近し、20mmバルカンを乱射してきた。
幸いにも交わせたが、またAIM-7を発射してくる。
「ガントレットみたいに撃墜はされない。もう・・・お前には負けるか!」
「私にも守るべきものがある、負けられない!」
最大出力でマールは離脱、そこから思いっきり操縦桿を引き上昇しつつ右旋回を行う。
が、ベルンハルトも同じ動きをして向かってくる。
『私から振り切れると思わないで。イーグルとホーネット、機体性能はほとんど互角なんだから。』
「・・・思いっきり聴こえてる。でも・・・」
隣ではF/A-18C1機が爆発、四散するのが見えた。
スパローはしつこくこちらを追尾し、もう当たりそうだ。
「・・・だったら、これで!」
マールは機体を減速させつつロール、ミサイルが動きに対処しきれず目の前に出て行く。
機首を下にむけて失速、ベルンハルト機が前に出た。
「ほう・・・!」
ベルンハルト機は高速で離脱、マールもそれに続く。
加速性能、最高速度ならF-15Cの方が高いはずだが、あえてベルンハルトはそれをしって追わせている。
「俺も腕前を上げたが、あんたも同じようだな・・・」
ベルカ空軍機のレーダー反応が次々に消えていき、手の空いている友軍が増えている。
だが、誰もこの空戦に介入しようとしない。
「ベルンハルト、あんたのような好敵手に会えて・・・幸せだと思う。」
「ああ。運命のいたずらって奴だ。ベルカ空軍のままだったら僚機として出会えたものを。」
突如ベルンハルト機は反転、F-15Cと一旦距離を置いた。
「・・・もう一度、正面からだ。」
マールはそっとうなずくと、敵機との距離3000近くで旋回する。
そして、マールがAAM-4を発射すると同時に敵機はAIM-7を発射した。
すかさずマールはロールさせてかわし、ベルンハルト機を捕捉する。
相手も同じことを考えていたようだ。
互いに20mmバルカンが発射されそのまますれ違っていく。
「・・・また引き分けか。あんたと俺は・・・」
マールの水平尾翼に穴があいているが、ベルンハルト機も左の垂直尾翼が吹き飛んでいる。
互いに、戦闘続行は不可能な状態だ。
「いつ出会うかわからねぇけどな・・・次こそ決着をつけてやる。」
「こっちこそ・・・!」
F/A-18Cは僚機をつれたまま撤退し、戦闘空域を離脱していく。
「円卓が生んだ鬼神・・・蒼い鳥か。」
「戦闘空域の敵勢力撤退を確認。作戦終了だ。」
おそらく、ベルカ戦争最大規模と思われる空戦はこれで終了した。
「ふぅ・・・よう、相棒。まだ生きてるか?」
「死んだ・・・」
エリアB7Rは、ついに連合軍の手に渡った。
全ての作戦が終了。一斉に連合軍の航空隊は帰還していく。




ヴェルデブルグ基地食堂 1600時

「・・・負けちゃったね・・・」
「ああ。こうなるとは思っていたが。」
ソーサラー、ウィザード隊を壊乱状態に陥れたゴルト隊だが、友軍航空隊の数が少なくなり離脱することになった。
やむをえないとはいえ、やはりゴルト隊は悔しがっているようだ。
アントン・カプチェンコは愛機Su-47ベルクトの精神生命体、ルカと会話をかわしている。
茶髪に赤いコート、金色の瞳で背中には白い翼がついている。
「・・・FX-10Aがこうも簡単に落とされるなんて、誰も思わないよね・・・」
「ああ。相当な戦力だが・・・落としたのはあの4機。その中でも2機はMLSじゃない。JFSだ。」
「噂のあれ?かなり強いってことね・・・ま、それだけ面白いんじゃない?ラウンドテーブル・マスター?」
「それもそうだな。」
ベルカ戦争開戦以来、常に最前線で各地のエースを打ち破ってきたのがこのゴルト隊だ。
ラウンドテーブル作戦では部隊全てで20機近くの敵機を撃墜し、各地の戦場でもかなりのスコアを稼いでいる。
「・・・もう1つ、気になる情報を得た。国境なき世界だ。」
「やだよね、あいつら。何で全部吹っ飛ばそうとするんだろ・・・」
「ああ。嫌な連中だ。俺は阻止するけどな。何があっても・・・1機だけでも。」
「マスター、私もがんばるよ。でも、その後はどうするの?」
「お前ごとユークにわたって、傭兵でもやるさ。」
カプチェンコはそんなことを言いながら、紅茶をもう1杯注文した。

続く


あとがき
謎につつまれたアントン・カプチェンコとゴルト隊。
彼は国境なき世界の思想を忌み嫌うという設定にしました。
DRが何かさっぱりわからないので、Roundtable MasterとTACネームを決めました。
ガーディアンでもよかったんですけど救助ヘリ部隊で使う予定なので。
円卓を支配できる唯一の人物という意味を込めて。できてないけど・・・
ま、サイファーやピクシーたちが強すぎるんです。ええ。
次回は、連合軍の汚さがかなり表向きにさらけ出されます。
ホフヌング無差別爆撃・・・では。



 2006/07/05:あくてぃぶF-15さんから頂きました。
秋元 「エターナルまで出てくるとは!(笑 1機だけ作られた、試作機です。高速性能は上がりましたが航続距離がダウン、こいつのデータは(以下略」
アリス 「……そしてひとつの戦いの終わりですね」

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