ACE COMBAT The Belkan war 円卓の騎士たちへのレクイエム





――戦う理由なんて、誰にもわからなくなっていた。
ただ、世界が悲しかった。だから俺は・・・

〜2005 12/25 「Sold wing」ラリー・フォルクのインタビューより〜


ACE COMBAT The Belkan war 円卓の騎士たちへのレクイエム
第12章 ホフヌング無差別爆撃〜カニバル作戦〜

6/1 2310時 ホフヌング市街地手前

円卓からベルカ軍は撤退、円卓は連合軍の手に落ちた。
ベルカ軍は北部に押し込められ、空軍も抵抗が薄い。
これ以上は、別にガルム隊やエスパーダ隊が居なくてもできそうな任務だ。
が、ベルカ空軍はまだ強力な第3航空師団、通称「灰色のエース達」を有しているため油断はできない。
JFSを使用したベルカ空軍機のため、熾烈な抵抗も予想される。

今回、ガルム隊とエスパーダ、レイピア隊およびクロウ隊に任された任務は「連合軍爆撃機を護衛せよ」との事らしい。
対空機銃やSAMの破壊、敵性航空機の撃滅などだ。
「なんともアバウトな任務だな。」
フォルクがそんなことを言っていると、友軍の爆撃機が到着した。
B-52D8機が、護衛戦闘機を連れて到着したのだ。
「こちらガルム1・・・ホフヌング市街地炎上中!爆撃が始まったみたい!」
「何・・・!?急げ!」
「こちらレイピア2.連合軍爆撃機を護衛する。メビウス、ガルム隊についていけ。」
「了解。」
ガルム隊、エスパーダ隊、クロウ隊は先行して地上ターゲットを破壊しにかかる。
市街地に大量の機銃やSAMを配備しているようだ。
すでに市街地は炎上し、あちこちから火の手が上がっている。
「全爆撃機につぐ。ベルカの反撃能力を奪う。精度より攻撃範囲を優先せよ。」
「了解。」
が、この無線をマールはしっかりと聞いていた。
「どういうこと!?あいつらの任務って誘導爆弾とミサイルによる精密爆撃じゃ・・・」
「・・・相棒。任務が先だ。」
「わかった。」
猛烈な弾幕を展開している対空機銃に、マールは20mmバルカンを乱射した。
対空車両が火につつまれ、爆発した。
「こちらレイピア2・・・どういうことだ!?奴ら、絨毯爆撃をしているぞ!」
「な・・・レイピア2、本当か!?」
フォルクは耳を疑ったが、B-52Dはめぼしい建物や燃料タンクに爆弾を投下しているようだ。
さらに、増援でB-70Aヴァルキリー爆撃機が接近してきたがこいつらも巡航ミサイルを容赦なく発射している。
都市部にまでAGM-86B巡航ミサイルを発射しているのだ。
「容赦ない攻撃だ!」
「B-70Aなんて撃ち落せるわけないだろ!こんなSAMなんかで!」
地上軍にとっては、散々な結果だろうが見ているマールたちもかなり気が重い。
マルセラが27mm機銃でSAMを打ち抜き、爆発させたのが見えた。
「・・・民間の工場まで爆破してる・・・」
「友軍機に告ぐ!こちら第8戦車部隊!上空にストライクイーグルが居て進めない!支援願う!」
「了解!」
マールは単独でF-15Eの居る空域に向かった。
F-15E2機がクラスター爆弾を投下し、戦車部隊を撃破しているのが良く見えた。
まずはヘッドオンで1機に狙いを定めて、機銃を乱射。
「メイデイメイデイメイデイ!機体中破、脱出する!」
「僚機がやられたか!」
ヘッドオンで素早く撃破すると、マールはもう1機のF-15Eをねらう。
敵機は加速して退避したが、こちらも追撃して速度を上げていく。
その途端に敵機は急降下したが、マールはAAM-5を発射した。
「フォックス・ツー!」
白煙をなびかせてミサイルはF-15Eに直撃、ベイルアウトしたようだ。
「ウスティオ機か?支援に感謝する。進撃を続行する。」
「了解。」
マールは機体を反転させ、ホフヌング市街地へと戻った。
が・・・B-52Dは爆弾を無差別に投下、市街地まで焼き尽くしている。
「これが戦争・・・?」
その壮絶さに、マールは言葉を失っていた。
すると、ベルカ軍の通信が切羽詰った声で聴こえてくる。
「OKWより入電!「ホフヌングを焦土化させた後、速やかに撤退せよ」だ!」
「何だって!?火を放てということか!?」
「しかたない!やれ!」
火災地域が一気に増えていくのを、マールはただ見つめることしか出来なかった。
「相棒、爆撃機がやられてるぞ。援護は・・・?」
「後にして。ベルカの奴ら、ホフヌングに火を放ってる。」
「何!?」
途端に数箇所で爆発が発生、燃料タンクをベルカ軍が破壊したようだ。
「市民をトラックで強制的にでも避難させろ!陸上部隊は火を放ちながら撤収だ!」
「・・・なるほどね。トラックはやめとこ?さすがに・・・」
マールはフォルクに言うと、了解という声が聴こえてくる。
『連合軍も連合軍だけど、ベルカもベルカ・・・ひどい、こんなの。』
「残留思念がたっぷりと聴こえてくるぞ、おい・・・」
レイシスとルシアは、この惨状に怒りを感じているようだ。
「敵性航空機を発見。全機、迎撃に移れ。」
「了解。」
敵機はF/A-18C、そしてトーネードADV。
そこに、マールたちが突っ込んでいった。
「何のために戦ってるの?マール・・・私達さ・・・」
「・・・一刻も早く離れたい。すぐにでも・・・」
そんなことをつぶやいていると、真上からF/A-18Cが襲い掛かってきた。
マールはすかさず急加速して回避、ループして追撃を開始する。
「貴様らなんかにベルカの地は好きにさせない!」
「・・・恨まれなきゃいけないのかな。私達も辛いのに。」
マールは素早くホーネットを追撃、一気に距離を詰めてバルカンを発射する。
垂直尾翼が吹き飛び、パイロットはベイルアウトした。
「最強の空軍はどこにいったんだ?」
「負け続けの代償がコレか。」
ベルカの兵士たちの声にも、戦意は全く感じられない。
この爆撃は、確かにベルカの士気を落とすのにはいいだろうが・・・その代償が市民の命だ。
上層部が精密爆撃を行うといったのは偽の情報か、あるいは手違いか・・・それとも爆撃隊の独断かはわからない。
『絶え間なく響いてきます・・・負の残留思念が・・・』
「・・・わかってる。ただ、この作戦は早く終わらせるか。」
フォルクはトーネードADVの追撃に移り、レイシスもホーネットを追撃している。
が、いきなりのようにジャミングがかかった。
「こちらヴァント!陸上部隊撤収を支援する!」
E/A-18Gが戦闘空域に突入、ジャミングをかけているようだ。
レイシスはホーネットからE/A-18Gに狙いを変更し、追撃にかかる。
が、相手の動きがイマイチよくわからない。
ジャミングのせいで、MLSまで反応が遅くなっているのだろうか。
『・・・マスター、上!』
「わかってる!」
執拗にジャマーを追い続け、敵の動きに同調してラプターで追跡した。
だが、相手はF/A-18Fを改造したE/A-18G.ラプターほどで無いにしても機動性能が高い。
「こいつを倒さないとジャミングが止まらないぞ!」
最大出力でレイシスは敵機を追撃、敵機はロールしたがレイシスもそれに同調して機銃を乱射する。
ECMポッドに直撃、煙を吹いている。
『ジャミング喪失。追撃を続行。』
「よし・・・行くぞ!」
AIM-9を発射し、レイシスはそのまま離脱する。
短距離AAMはE/A-18Gに直撃、敵パイロットはベイルアウトした。
「燃えてる・・・ベルカの都市が・・・」
「受け入れろ、相棒。これが戦争だ。」
フォルクがそっけなく言うと、マールが反論した。
「こんなの戦争じゃない!放火や無差別爆撃なんて・・・ただの虐殺じゃない!」
「・・・戦争とは無慈悲なものだ。生きた力と力のぶつかりあいだ。」
エスパーダ1までそんなことを言うと、レイシスがはっきりと言い返した。
「戦争にもルールがあるだろ!」
『そう。これはただの虐殺・・・』
ルシアまで同意すると、イーグルアイから通信が入った。
「レーダーに不明機発見。ステルスか!?」
「おそらくそうみたい・・・イーグルアイ、機種は!?」
「B-2が2機と・・・良くわからない。データーには無い。」
すると、シルヴィアが精神リンクを使って友軍に伝えた。
『A-12アヴェンジャー2とB-2A。ステルスです。』
「ファシストめ、焦土作戦か!?」
フォルクはB-2Aに向かい、マールたちはA-12アヴェンジャーに矛先を向けた。
独特の三角形の機体がはっきりと炎によって映し出されている。
「暗いから衝突に気をつけて!」
「了解!」
敵機はいずれも黒く塗装されていて、距離感が掴みにくい。
しかもレーダーに映りにくい。これほど厄介な敵は今までにいなかった。
相手はA-12アヴェンジャー。実力は未知数だがかなり強そうだ。
その途端、B-52Dがいきなり撃墜されてしまった。
「・・・あーあ・・・やられちまったな。」
絨毯爆撃なんかするからだ、とフォルクはつぶやいたが、まずは目の前の敵機を撃滅しなければならない。
さっそくA-12の背後に回りこんだが、なかなか動きが鋭い。
火炎の光が、一瞬だけ機体に反射したのが見えた。
「噂の「灰色のエース達」か。」
『そうみたいですね。第3航空師団のエースたちです。』
第3航空師団はエリート部隊なのだが、ベルカが北部決戦用に温存していた兵力のようだ。
「フォックス・ツー!」
AAM-5が発射、A-12を追尾していく。
が、敵機はホフヌング市街地のビルの間をすり抜け、AAM-5を回避した。
『マスター、後!』
「ああ!」
6時方向、距離2500に敵機を確認した。
フォルクは機体を急旋回させ、ヘッドオンでバルカンを発射した。
金属音が一瞬だけ聞こえ、後ろを振り返るとA-12は煙を吹きながら落ちていく。
「1機撃墜。あとは!?」
「よくわからない!」
マルセラが無線をいれ、フォルクに返答した。
声の調子からして、ステルス戦闘機にかなり手を焼いているようだ。


「こいつら・・!」
必死にロックを外しながら、マルセラはラファールをあやつって回避している。
A-12の機体性能は想像以上で、手がつけられない。
「しかたない、俺がカバーする!」
レイシスが後方に回り込むと、A-12はすぐに回避行動を取った。
見越し射撃でバルカンを乱射したが、余りの早さにバルカンが命中しない。
『マスター・・・?』
「間違えただけだ。もう1回行く!」
かなり狭い旋回半径で、レイシスは旋回してA-12に狙いをつけた。
今度こそ20mmバルカンを乱射、風防をぶち抜いた。
「リボンの化け物が・・・!」
残留思念がはっきりとルシアとレイシスに響いてきたが、かまわずにAIM-120を真正面にいるA-12の2機編隊をロックオンする。
「フォックス・スリー!」
AIM-120は真正面からA-12に直撃し、爆発させた。
「ここまでか・・・っ!!」
「ベルカの誇りをかけた、この私が・・・っ!!」
レイシスのイメージに描かれたルシアが、少し辛そうな表情をしている。
通常機、F/A-18Eで戦っていたときはこんなこと普通にやっていた。
だが・・・一瞬だけでも躊躇してしまった自分は何かと考えてもいる。
『マスター・・・空戦に集中を。』
「見るからに辛そうだが、大丈夫か?」
『・・・私は化け物か?一度問うが。』
「俺に対する褒め言葉だろ?きっとそれは。ルシアは俺の相棒だ・・・と、後に敵だ!」
素早く回避行動に移り、敵のAIM-9を回避した。
『・・・すまない。乱してるのは私のほうみたいだ・・・』
「気にしなくていい。ルシア、サポートに集中してくれ。」
『了解・・・マジックAAMがあたり後方の敵消失。』
どうやら、マルセラが支援してくれたようだ。
「ナイスキル、エスパーダ2!」
「どうってことないから!早く撃墜して!」
A-12アヴェンジャーの数もかなりへってきたようだ。
が・・・どれだけいるかわかりにくいというのもかなり疲れる敵機だ。



「イーグルアイ、残り何機!?」
「4機・・・まて、アンノウンが紛れ込んだ!1機だが・・・可変翼の新鋭機だ!機体解析は追って報告する!」
「了解・・・何が!?」
マールは目の前に出現した制空戦闘機を見つめている。
素早くガンキルでB-52D編隊を壊滅状態に陥れた新鋭機が、こちらに向かってくる。
「な、何・・・コイツ!?」
ヘッドオンですれ違ったが、機銃すら当てることを許してくれない。
すさまじい勢いで反転してこちらの背後に着いた。
「・・・人が乗ってなさそうね。」
縦方向にまでカナードの着いている新鋭機相手に、マールは反転してからのヘッドオンを試みた。
だが、敵機もそれに同調してついてくる。
「・・・しつこい!」
エアブレーキを展開しつつロールを開始。
敵機はオーバーシュートしたがすぐに右旋回して交わす。
マールは右旋回ですぐについていくが、ロックオンすらかけさせてもらえない。
「こちらイーグルアイ。敵機体の解析が完了した!YFX-11ヘヴン・ランサー!試作の無人戦闘機だ!さすがにブルーレインは搭載していないようだ。」
「私を倒すためだけに持ってきたみたい!」
戦局の逆転を狙ってベルカ空軍が投入し、実戦テストも兼ねているようだ。
この厄介な戦闘機を沈黙させる、マールははっきりと決意した。
YFX-11はしっかりと後にひっついて、ロックオンをかけてくる。
「・・・じゃ、こいつで消え去って。」
後ろ向きに1本だけAAM-5を搭載していたマールは、トリガーに手をかけた。
ミサイルアラートに表示が変わった瞬間、逆向きにAAM-5を発射した。
「・・・あとは・・・!」
大きくループを描き、そこから橋をすり抜けてAIM-9を回避した。
レーダーから敵性航空機の反応が消え去り、任務はようやく完了した。
「敵性航空機の撃墜を確認。任務完了、帰還せよ。」
「了解。」
すっきりしない気分のまま、マール達はヴァレー空軍基地へと帰還して言った。



ヴァレー空軍基地 1600時

「・・・俺は決めた。もう・・・」
フォルクは1人つぶやくと、自分の部屋の机から手紙を取り出した。
そして、上に置くと部屋から外に出る。
「この世界を吹き飛ばす。大国オーシアを。ベルカもまきこんで・・・だ。」
フォルクは、携帯をウィザード隊の隊長にかけた。
「・・・ウィザード1だ。どうかしたか?」
「そろそろ時は満ちた。俺は合流する。次の作戦で離脱する。」
「わかった。」
その途端、マールが歩いて近づいてきた。
「相棒?悪い、切るな。」
フォルクは携帯をしまうと、マールが缶コーヒーを差し出す。
「疲れたでしょ?今日の作戦。」
「あ・・・ああ。すまないな、相棒。で、その紅茶は?」
「シルヴィア、レモンティーが好きとか言ってたじゃない。だから買ってきたの。今日、かなり疲れたんじゃない?負の残留思念とかで・・・会ったら渡しておいて。」
マールはフォルクに缶コーヒーと紅茶を手渡した。
「・・・何でMLSのことに詳しいんだ?負の残留思念を感じるとか・・・」
「JFS実験の時に一通り説明聞いたし、今も感じてるから。JFSは精神生命体無しに戦闘機と私を直接つなぐ方法。かなり感度がいいけど、逆に負担も大きい。実戦に投入された被験者が、何十人も自殺したんだから・・・」
「そんな実験か・・・じゃ、何で今も生き残ってるんだ?空軍がすきなんだ?」
そこまで辛い思いをして、マールがまだ空軍に居る理由がわからなかった。
「軍って、人の恐怖を肩代わりする職業って前から思ってた。」
「人の恐怖?」
「そう。誰も戦争なんて望んでないし、怖いと思ってる。だから、私達がその恐怖を肩代わりして、乗り越えていくんじゃないかな・・・って。」
フォルクはだまってうなずくと、マールに言った。
「・・・相棒。俺が急にいなくなったらどう思う?敵同士で戦うとしたら。」
「離脱したい、そう考えるかもね。」
「優しすぎるな・・・相棒。」
「人としての感情を失ったら、ただの人殺しの道具じゃない。ただ生きるためだけに・・・戦えない。」
冷徹になりきれない、そういうパイロットに限ってすぐに落ちる。
フォルクは自分の経験からそう思っていたが・・・彼女はまた違うと思っていた。
自分の信念を貫く、プライドの高い奴はかなり強いエースということを知っている。
「あ、マール!ちょっと来て!」
「え!?」
「オーシアから実験機が届いたの!あんたが欲しがってた、カナードとTVCつきのイーグル!」
マルセラに呼ばれ、マールはすぐに格納庫へと向かっていった。
現在のイーグルは、マールの荒っぽい飛び方のためかなり寿命が縮んでいるらしい。
早めに交換した方がいいと整備員からいわれ、マールは欲を言って「F-15S/MTDを単座にして欲しい」といったのだ。
円卓の鬼神のため・・・ということで、連合軍本部が特注で持ってきたようだ。
「・・・相棒。次が最後のフライトだな。」
フォルクはそういうと、自分の部屋に戻っていった。


続く


あとがき
マールの機体は04のF-15Cカラーです。ジャケット機体です。
イーグル25もこのカラーを引き継ぎます。
次回は凄いことになりますので、よろしくお願いします。
ちなみに、JFSシステムは後で搭載することもできるためこの点は大丈夫です。
YFX-11は蒼晶石搭載してません。ま、4機の試作機だけは完成していたということで。
では。



 2006/07/05:あくてぃぶF-15さんから頂きました。
秋元 「YFX-11、後ろ向きミサイルにてあっさりと昇天。合掌。さすがに試作機&ブルーレイン非搭載だと、システム機には勝てませんな(笑」
アリス 「……搭載型はなかなか手ごわいですよ」

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