ACE COMBAT The Belkan war 円卓の騎士たちへのレクイエム




――私の目の前で、完璧なはずの陣形が崩されていった。
その時悟ったよ。これが蒼い鳥の実力であり、私など及ばない・・・と。

〜2005 10/25 「Roundtable master」アントン・カプチェンコのインタビューより〜


第14章 ベルカ戦争終結〜ブルーム・ジュピター作戦〜

6/20 ディンズマルク空軍基地

ベルカの首都に程近い場所。
そこに、ベルカの名だたるエース達が集まっていた。
敗走に次ぐ敗走を重ね、ベルンハルトたちは首都まで撤退することになった。
デミトリは他の重傷の兵士と共に搬送され、ディンズマルクの病院にいる。
いまだに昏睡状態なのだが。
「・・・終わっちまうのか。戦争が。」
「みたい・・・」
が、生き残っているベルンハルトとクーナはうかない気分だ。
すると、カプチェンコが部屋を訪ねてきた。
「どうした?ベルンハルト。」
「あんたかよ、カプチェンコ。今日戦争終わるというのに何だ?その格好。」
「アンファングに出撃命令だ。ウスティオの蒼い鳥を落とす。」
ふぅとベルンハルトはため息をつくと、カプチェンコを気遣うように言う。
「やめとけ。円卓の鬼神はただもんじゃねぇ。お前じゃ無理だ。」
「弱気だな、ベルンハルト。」
「弱気でいってるんじゃねぇよ。気を抜いたらあんたでも落とされる。それだけだ。」
「忠告、感謝しておく。行くぞ。」
カプチェンコはルカを連れ、格納庫へ向かっていった。
「マスターはどうする?ここにいたら・・・」
「大丈夫だ。ひと段落住んだらユークに行こう。傭兵で食っていく。俺の名前を売り物にすれば、依頼は殺到するだろうからな。死ぬまで離すかよ。」
「了解。私は航法を叩き込んでおくね。ユークまで飛ぶための。」
「頼むぞ。」
ベルンハルトは食堂に向かい、そこでソーセージを注文した。
「・・・ミスト?」
「失礼。ベルンハルトさん。」
「・・・戦争ってものの汚さがわかっただろ?ホフヌングとか、バルトライヒで。」
ミストはこくりとうなずき、ため息をつく。
「私の言っていた事が、今では空しいです・・・ベルカが大国の圧力を撥ね退けるための戦争だったはずなんですけどね・・・」
「それはあんたの戦う意味だろ?戦争なんてお偉いさんが机の上でやるもんさ。でも・・・俺達は勝った。戦争にはな。」
「え?」
「生き残ってるじゃないか、あんたも・・・デミトリも、クーナもな・・・」
ベルンハルトの態度に、クーナは怒りをあらわにした。
「ま・・・マスターは昏睡状態なんですよ!」
「あんたが存在しているってことは、死んでいないはずだ。死んでから怒るなんてできないだろうが。」
「そ、それは・・・」
その途端、クーナがベルンハルトに駆け寄ってきた。
「医師からの報告なんだけど、デミトリが意識を取り戻したって!」
「何!?」
「マスター・・・今行きますっ!!」
ミストはすぐに立ち上がり、病院まで走っていった。



ヴァレー空軍基地

「・・・さびしいなぁ、やっぱり。」
連合軍はほとんど撤退し、残るはガルム、エスパーダ。レイピアのみになってしまった。
クロウ隊2機は機体が間に合わず、ビショップ隊もブレア少佐が行方不明になり解散してしまったのだ。
「ま、私は僚機ができて嬉しいけどね。」
「そう?」
この作戦のみ、PJがエスパーダ2として同行することになった。
エスパーダ1が行方不明になってからは、マルセラが隊長を任せられている。
クロウ隊も、サピン王国の正規空軍として就任することが正式に決定。PJはエスパーダ隊に編入という形になる。
ブリーフィングが一通り終わると、シルヴィアが自分の格納庫にいた。
「シルヴィア・・・行こう?」
「はい・・・主よ、戦争を終えることができて感謝しております・・・」
シルヴィアは機体に乗り込無のを確認すると、マールは計器の確認をした。
全て異常なし。全て一新された計器で全ては良好だ。

今回の任務は、停戦条約締結を阻止するために集結したベルカ軍全戦力をたたき、撃滅するのが目的だ。
ガルム、エスパーダ、レイピアがアンファング方面の制空権を確保する。
連合軍は先遣隊として敵艦船、および航空基地をたたいたため、残存戦力はかなり少なくなっているはずだ。


アンファング上空 1650時

「制空権を確保せよ。今日を終戦記念日にしてくれ。」
「了解。」
10機の航空機は、編隊を崩し戦闘機へと向かっていく。
が、ジャミングのせいかレーダーの感度がかなり悪い。
「AAM-4の射程が落ちてる。電子戦機を警戒して。」
「了解。EF-111レイブンみたい。」
かなり性能のいいEF-111レイブンが上空を旋回、ジャミングを仕掛けているようだ。
「ガルム2、ゆくよ!」
「了解。ガルム2、エンゲージ。」
F-15FとF-15Cは電子戦機を狙い、距離1750でAAM-4を発射する。
「フォックス・スリー!」
敵機は旋回しようとしたが、かなり挙動の鈍いEF-111にAAM-4はきつい相手だ。
AAM-4は迷わずにEF-111に直撃、火を噴きながら墜落していく。
「まだ感度が悪い・・・まだいるみたい。」
「それよりも・・・レイシスさんがFX-10Aの追撃を受けています。電子戦機は4時方向。」
「電子戦機を狙うよ、ガルム2。レイシスは自力で抜け出せる。」
「了解。」
前方のEF-111を捕捉、マールは後から20mmバルカンをぶち込んだ。
そこそこ頑丈な機体だが、さすがに10発以上も喰らうと炎上せざるを得ない。
「メイデイメイデイメイデイ!エンジンより出火、脱出する!」

「やるじゃないか、マールとシルヴィアは。」
『後に敵機!』
「痛いほどわかってる。せかすな。」
後にFX-10Aが張り付いているが、すかさずレイシスはエアブレーキをかけて機首を上げた。
急な減速に対応しきれずにFX-10Aはオーバーシュート、そこにAIM-9を発射した。
「スプラッシュ!次は・・・」
『マスター、強い負の残留思念を感じ・・・な、何!?』
「発信源は!?」
『真正面のトーネード・・・!』
風防の無いトーネード2機が、綺麗に編隊を組んでこちらに向かってくる。
「こちらイーグルアイ。そのトーネードには気をつけろ。スフィルナの航空隊の半数を壊滅に追いやった!」
「こいつに!?どこのエースだ!?」
「無人戦闘機だ、気をつけろ!」
所属部隊の無い試作トーネード、しいて言うならトーネードFXだろうか。
レイシスは2機のトーネードFXを捕捉、ミサイルを発射する。
『マスター・・・敵機、スカイフラッシュを・・・』
「大丈夫か!?」
『強すぎる・・・負の残留思念が・・・そんな生易しいものじゃない、憎悪が・・・』
レイシスは素早くスカイフラッシュを回避、だがAIM-120もかわされた。
『前方の敵機、抵抗をやめて負の残留思念へと形を変えろ。』
「な・・・貴様は!?」
『前方のトーネードFX。抵抗をやめて落とされろ。』
「勝手なこといいやがって・・・俺もルシアも貴様なんかに落とされるか!」
敵機はなかなかの機動性能を見せているが、元の機体は所詮トーネードIDS。
F/A-22Aラプターにはかなう相手でもない、そう言い聞かせ冷静に操縦桿を握る。
『マスター・・・』
「空戦に集中する。落着いてゆくぞ。」
トーネードFXは1機だけで十分と判断したのか、1機がマルセラのラファールへと向かっていく。
もう1機はレイシスが追撃しているが、なかなかロックオンさせてくれない。
すると、一瞬だけ敵機は主翼を最大まで広げてエアブレーキをかけた。
「ほう・・・!」
この機動を駆使して、数多くの敵機を葬ってきたのだろうか。
敵機はかなり減速したが、その前にレイシスは鮮やかにコブラを決め、空中で反転すると操縦席を狙ってバルカンを乱射した。
敵の蒼晶石搭載部分付近に連続して命中、蒼晶石が砕け燃料タンクにも引火したようだ。
『何・・・!?』
「安らかに眠れ。アンファングの海で・・・」
トーネードFXは空中で爆発、跡形も残さず消え去った。
「マルセラ、そいつは憎悪の塊だ!気をつけろ!」
「わかってる・・・こいつ、結構やるじゃない。」
マルセラは、とりあえずのところまだ無事のようだ。
「エアブレーキを急激にかけてシザースを狙ってる。撃墜されるなよ!」
言うことをすべていい、後はマルセラに任せレイシスは空中管制機を捕捉した。
「AIM-120をセット。一撃でしとめる。」
『了解。』
敵のE-3セントリーを捕捉、レイシスはAIM-120を発射した。
こいつを潰せば、かなり敵の指揮能力も低下するだろう。
AIM-120は敵機の中央に着弾、爆発させる。
「よし、管制機はたたいた。あとは烏合の衆だ!」
『指揮官をたたくのは兵法の常道。見事、マスター。』
その途端、イーグルアイから通信が入った。
「警告!高速で接近する8機の機影を確認!」



「くるよ。ここは私達で相手しなきゃ。」
「了解。」
マールのF-15F/25とシルヴィアのF-15Cは、高速で接近する敵編隊を捕捉した。
「ゴルト1より各機へ。状況を開始する。彼女たちの好きな空戦で正義を決めるとしよう。」
「了解。」
「円卓の鬼神、ウスティオの蒼い鳥。そして片羽・・・別の形で会いたかった。行くぞ。ゴルト5、通常戦闘だ。」
「了解。ゴルト6からゴルト8は配置につけ!」
6機編隊を残し、ゴルト隊は2機で攻撃を開始した。
「ラウンドテーブル・マスター・・・カプチェンコね。」
「やはり蒼い鳥は貴様か、マール。」
「今さらなんで?」
「任務もあるが、やはり終戦前に刃を交えたくてな。」
カプチェンコのSu-47は、マールにヘッドオンで向かってきた。
が、マールは一撃も与えら図にすれ違う。
「ゴルト2、行け。」
「了解!」
その途端に、マールの後にSu-47が喰らいついた。
アーチャーAAMを撃たれたが、それを急上昇しながらかわす。
「マールさん、真正面に敵機!」
「あ・・・!」
Su-47が覆いかぶさるようにヘッドオンで向かってきた。
シルヴィアがいなかったら、気づかなかったかもしれない。
マールは先にAAM-5を発射、回避行動に移る。
「ゴルト2、3秒後にコーナー速度で右旋回だ。」
「了解。」
「振り回されてあせるな。先を読め。」
後にはまたSu-47が。しかもアーチャーAAMをまた発射してきた。
マールは急降下してアーチャーAAMを回避、そのついでに右旋回でかわす。
コーナー速度で右旋回したSu-47のちょうど後についた。
「フォックス・ツー!」
AAM-5がパイロンから発射され、Su-47を捕らえた。
気づいたときにはもう遅く、エンジンに直撃、煙を噴出していえる。
「くっ!脱出する!」
「パターン修正。3機編成に変更だ。」
「了解。」
1回でも気を抜いたら、フォーメーションの真ん中に突っ込んで木っ端微塵にされるに違いない。
ガントレット演習では、マールはゴルト隊のフォーメーションで散々に撃墜判定を受けてしまう。
あのときからゴルト隊もフォーメーションを幾度と無く変更し、今ではマールでも見切るのが難しいほどにまで奈手いる。
マールの後にSu-47が喰らいついてきた。
「・・・だったら、混戦を見せてあげる。」
マールはシルヴィアが交戦中のSu-47の編隊へと向かっていった。
「奴ら、僚機へと突っ込んだ!」
「落着け!捕捉された機を囮にしてこちらに誘い込めばいい。」
が、マールはその安易な手には乗るつもりは無かった。
「シルヴィア、私の後に居る敵機を撃墜して。離脱するようだったら他の機に目標を変えて、手近な敵機を撃墜するの。いい?」
「了解。」
そんなことを言っている間に、マールのF-15F/25の後にSu-47が喰らいついてきた。
すると、レイシスのラプターまでもが乱入してきた。
「こちらメビウス、支援する!」
「3機入ってきた!」
「ゴルト1、指示を・・・!」
これでは、フォーメーションも意味を成さないはず・・・だが、カプチェンコはそう甘くは無かった。
「私が蒼い鳥をやる。3機フォーメーションで残りを始末しろ。」
「了解!」
「1対1だ、蒼い鳥!」
Su-47はF-15F/25へと向かい、後方のポジションを取った。
だが、マールもロックオンさせまいと激しい機動でロックオンを外している。
F-15F/25はTVCとカナードを搭載しているため、前のF-15Cとは格段に性能が違う。
「・・・形勢逆転させてあげようか?」
いきなりマールは迎え角度120度でプガチョフ・コブラを決めて敵機と逆方向に向かった。
そこから機体を反転、上昇しながらループを描く。
Su-47も大きめにループを描き、真正面から向かい合う形になった。
「フォックス・ツー!」
AAM-5を発射、敵機もアーチャーAAMを発射したが途中で近接信管が作動、爆発した。
巻き込まれないように2機は同じ方向へと旋回、エアブレーキをかけつつ2機は後をとろうと激しい機動を繰り返す。
「やっぱり、円卓の王者ってことはあるじゃない。」
「・・・お褒めに預かり光栄だ。が、貴様もかなり進歩している。倒しがいがあるというものだ!」
一旦マールは急旋回してブレイク、もう1回距離を置いた。
このままでは埒が明かないとも感じているからだ。

『あれが円卓の蒼い鳥かぁ・・・』
「見とれている場合でもないぞ、ルカ。」
相当無茶な動きをするカナードつきのイーグルに、ルカは感心しているようだ。
が、マールはいきなりのようにフォーメーションに向かい、一瞬の隙に20mmバルカンで1機を撃墜した。
『早い・・・』
「2機フォーメーションで対応しろ。追撃を続行する。」
「了解、追撃します。」
が、あの様子では多分持つはずが無い。
F-15Cを駆る片羽相手に、2機では不足だ。
『マスター、あのF-15Cにパイロットはいないよ?』
「何!?」
『MCだけで動かしてる。かなり不安定な状況だけど、片羽の相棒だから腕前は変わらないみたい。』
「ま、そうだろうな。」
早いところ蒼い鳥を撃墜して、戦局を変えなければならない。
カプチェンコの動きに、少しずつ焦りが見え始めてきた。

「スプラッシュ!」
「ナイスキル、メビウス!」
レイシスもSu-47を撃墜、残りは5機だ。
隊長さえ落とせば、このゴルト隊の戦力は半減する・・・マールはそう思っている。
「円卓の蒼い鳥、お前が戦場に望むものはなんだ?」
相手の隊長機からの通信が、こちらに響いてきた。
「望むのはただ1つ。生き残ることだけ。今は・・・ね。」
Su-47は軽やかな機動だが、F-15F/25に比べれば鈍い。
が、それを補っているのはカプチェンコの腕前だ。
後についたのはいいが、なかなかロックオンさせてくれない。
「・・・悪いけど、もらうよ。フォックス・ツー!」
AAM-5が発射されたが、Su-47はあっさりと回避してしまう。
マールはその回避行動にしっかりと張り付いていく。
「君はここに居るべきではなかった、蒼い鳥。共に飛ぶ空はもっとよかったものを。」
「そうね・・・でも、それはこの戦争が終わってからの話じゃない?」
「それもそうだな。人の出会いは皮肉だ・・・これが現実か。」
その途端、Su-47が降下、減速してシザースを狙ってきた。
マールはこれを狙い、20mmバルカンを尾翼に打ち込む。
金属音が響き、垂直尾翼が吹き飛んだ。
「さすがだ・・・離脱するとしよう。」
ゴルト隊はフォーメーションを解いて撤退、残っているのは4機だけだ。
マールは追撃をせず、そのまま敵編隊へと突っ込んでいく。
残っているのは4機のFX-10Aで、マルセラが隣でトーネードFXを撃墜したのを確認した。
「こいつは強かったよ。あとはブルーレイン搭載のデスティニーだけ。」
「了解。」
マールはヘッドオンでFX-10AにAAM-5を発射、まず1機を撃墜した。
「6時に敵機!」
「PJ、わかってる。」
敵機も少ない、ならばもう隠す必要も無い。
マールは後ろ向きのAAM-5を発射、また1機撃墜した。
「ナイスキル、サイファー!」
マルセラは彼女の腕前に感心してしまったようだ。
わずかな間に、FX-10A2機を撃墜してしまったのだから。
「PJ、あんたにまかせるからやってみれば?」
「え・・・?」
「ま、がんばって。」
マルセラはそのまま、FX-10から狙われない位置へと離脱した。
が・・・AIM-120が2機のFX-10Aに直撃、四散した。
「よし、2機まとめて撃墜!」
「・・・レイシス、あんたねぇ・・・」
「俺がどうかした?」
空気の読めていない発言に、マルセラは思わず無線機に怒鳴る。
「あんたねぇ、空気くらい読んだらどうなの!?この鈍感!」
「え・・・?」
レイシスがとぼけた声で返事をすると、イーグルアイが作戦終了を告げた。
が・・・帰還するまで終始マルセラはレイシスに怒鳴りっぱなしだったという。
「停戦条約が調印され、東部諸国を巻き込んだ戦争は終了したのです。」
ベルカ戦争終焉のメッセージが聴こえてきたが、マールは首を振った。
「・・・これで戦争は終わらない。まだ、ベルカはどこかに戦力を隠している。そいつらを討伐しないと・・・」


続く

あとがき
ベルカ戦争は終了、これからは国境無き世界との戦いになります。
トーネードFXは、対地攻撃支援用の無人戦闘機という設定です。
超低空飛行で侵入、レーダーや敵対空砲を掃討する任務ですが制空任務もこなせます。
もとがトーネードIDSですからね。
次回は超巨大巡航管制機、フレスベルグとの戦いです。



 2006/08/21:あくてぃぶF-15さんから頂きました。
秋元 「無人のトーネードですか。これに蒼晶石を積んで(ry」
アリス 「……多分、機体がついてゆけないかと」

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