ACE COMBAT The Belkan war 円卓の騎士たちへのレクイエム




――彼も、私も・・・憎しみに心を奪われていた。
私は彼の残したものを守り続ける。そして、今持っている大切な物も。

〜2005 10/20 「Mystere」マルセラ・バスケスのインタビューより〜


第15章 天翔るくろがねの鳥〜ヴァルキリー作戦〜

6/20、ベルカ戦争は停戦条約調印によって幕を閉じた。
連合軍に領土の大半を接収、南ベルカの大半が大半がウスティオへと帰属し五大湖沿岸はオーシアに引き継がれた。
1/2をウスティオが、1/4をサピンとオーシアで南ベルカを分割することで合意したのだ。
サピンも南部ベルカの地を手に入れ、ISAFは円卓の鉱山資源に対する権益、および東部諸国の租借地を正式に領土とすることで決定した。
無人戦闘機の設計図と試作機もISAFが接収。結局オーシアの取り分はかなり少なくなった。
積極的に戦争に参加しなかったことが最大の原因だ。
ウスティオ、オーシア共同で蒼晶石の研究も進み、JFシステムを1歩進めたEFLシステムなるものが開発されているという。
MLシステムは1つの到達点と考え、新しく蒼晶石を兵器として運用する方法を探しているようだ。
が、オーシアが捜し求めていた「フレスベルグ計画」の重巡航管制機だけは設計図すら発見されなかったという。
それどころか、どこを探しても無いというのだ。

一方で、オーシアは自分たちのおこなった非人道的行為をウスティオなどの傭兵にかぶせてしまおうとしたのだが・・・逆にウスティオ、サピン、ISAFに叩かれオーシアは完全に発言力を失ってしまった。
そしてオーシアに「お前たちが戦争の原因だからお前が傭兵の金を払え」という無茶苦茶な要求まで押し通し、なんと二倍増しの報酬を支払わせたのだ。
しかも戦時賠償金をウスティオとサピンに取られ、オーシアは「参戦したのだが大損した」ということになってしまう。
その代償にウスティオはオーシア空軍の練成に協力するという条件が付け加えられた。
これからオーシアは反戦主義者が台頭していくのだが、それは別の話。


12/26 ヴァレー空軍基地 1500時
「見つからないなぁ・・・」
マールはクリスマスをこの基地で過ごしていた。
傭兵などからフォルクのことを訊ねて探し回っているが、相変わらず見つからない。
オーシアの新兵と共にこの基地で過ごしたが・・・今ひとつすっきりしない。
そんな時、突然の召集警報・・・マールはすぐにブリーフィングルームに向かう。

「XB-0と呼ばれる爆撃機が、ルーメンを爆撃しこちらに向かっている。ルーメン防衛軍は謎の爆弾により全滅、現在こちらに向かっているようだ。」
「何故、そんないきなり・・・?」
マールにもそれはわからないが・・・ほかのメンバーもわかるはずがない。
「光学迷彩。つまり視界から姿を消すステルス装置が搭載されているらしい。それと・・・敵は広範囲殲滅兵器を使用し防衛軍を壊滅させたようだ。敵は「国境なき世界」と名乗る大規模なテロ組織。レサス共和国の新兵器を強奪し、それをベルカ空軍が使用する予定のXB-0に搭載したようだ。」
その新兵器はSW弾・・・一瞬で広範囲の敵を殲滅できる兵器。詳細は不明。
だが、搭載数はあまり多くなくせいぜい4発か5発と言うところらしい。
「まて・・・管制塔より緊急入電!レーダーにXB-0を捕捉、スクランブル急げ!」
「了解!」
すぐに搭乗員たちがスクランブルを書け、格納庫に向かう。
が・・・上空に巨大な影・・・あれがXB-0、フレスベルグだろう。
「マールさん・・・格納庫に!」
「わかった!」
シルヴィアの後についていき、マールは自分の機体がある格納庫に向かう。
武装は空対空装備。ミーティア6本とAAM-5を8本だ。
「警告、強力なECM!」
「とにかく打ちまくれ!」
「ダメだ、対空機銃がきかない・・・うわあっ!」
対空機銃が1機破壊。あんなのでは対抗などできないだろう。
が・・・マールは通り抜けていった機体を見て驚いてしまう。
「エスパーダ2!?」
あのカラーリングのラファール、間違いなくエスパーダ2だ。
が、積極的な攻撃をしないでただXB-0の周囲を警戒しているだけ。
低空を飛んだのは・・・自分を探すためか。
あちこちに爆撃を受け、格納庫が次々に炎上していく。
この格納庫にもクラスター爆弾がぶつかったが、幸いにも不発のようだ。
「あぶなかったぁ・・・」
「主よ・・・ご加護を・・・!」
シルヴィアは必死にロザリオを握りしめて祈っているが、マールはすぐに機体に乗り込んだ。
いつでもスクランブルをかけられるようにだ。
「管制塔、状況は!?管制塔!」
マールが無線機に怒鳴っても、全然管制塔は応答しない。
すでに爆弾を受けて火災を起こしているようだ。

「・・・上がりましょう。逃しては・・・」
爆撃も止み、ようやく離陸できるようだ。
「わかってる・・・こちらガルム1、離陸する!」
F-15F/25とF-15Cがタキシング、離陸を開始する。
「いいか、ガルム隊の支援をするんだ!弾幕を張って敵機を近づけるな!」
対空機銃の弾幕が滑走路上をカバー、敵機を近づけまいと必死に射撃をおこなう。
その間にマールはシルヴィアと共に離陸、直後に後で爆発が起こった。
「滑走路に直撃弾、離陸不能!」
「戻って来いよ、蒼い鳥!」


シュティーア城上空 1530時

「核の爆心地・・・生きている人はいないです。」
「そうよね・・・」
シュティーア城の上を通り、2機はXB-0を追撃する。
「基地の被害は甚大だ。ガルム隊、頼んだぞ。」
「了解。」
対空砲もかなりやられ、新入りもXB-0の爆弾で戦死したらしい。
「警告!レーダーに不明機捕捉!作戦行動に移れ!」
「了解・・・なんとしてもやらなきゃ・・・」
小さな黒い点が少しずつ大きくなっていく。
あれがXB-0・・・伝説の鷲を名乗る存在だ。
「作戦目標、XB-0を捕捉!」
黒い鳥の周りに群がる戦闘機・・・Su-43ベルクトDとか言うSu-47を後退翼に改造した機が大多数。
が・・・それにまぎれている2機は忘れようとしても忘れられない存在だ。
「エスパーダ1よりエスパーダ2へ。蒼い鳥を食い止める。」
「・・・エスパーダ2・・・命令に背きます。私には撃ち落せません。」
エスパーダ隊・・・まぎれもなく2機とも健在だ。
が、マールが相手と知りエスパーダ2は戦線離脱しようとしている。
「何!?」
「親友を撃ち落すなんてできるわけないじゃない!ウスティオと敵対しないから協力するといったのに・・・ヴァレーを空爆して、挙句の果てに落とせって!?私は協力できない!落とすよ!」
途端にエスパーダ2が反転、ガルム隊と共に戦列を組む。
「マルセラ・・・?」
「親友の方が大事に決まってる・・・ルーメンの裁きは受けるから。」
ラファールが散開、すかさずSu-43を追撃する。
『裏切り者ダ。殺せ。』
「黙れっての!俺の任務は蒼い鳥を止めることだ・・・そいつでお前の飢えでも癒せ!」
もう1機のラファールがF-15F/25に突撃、空戦を挑んでくる。
エスパーダ1の腕前はしっかりとマールにはわかっている。DACTではすさまじい技量を発揮してきたのだ。
「まさか、あんたと戦うなんてね・・・フォルクを誘ったのも?」
「違うな。あいつはウィザード隊の隊長直々のご指名だ。」
ヘッドオンですれ違い、すかさずラファールがマールの動きを先読みして後をとる。
ミサイルアラート、マジックAAMが接近・・・
「その手は食わないって、行ってるよね!?」
急激に迎え角度を大きくしてブレーキ、そのまま逆方向にF-15F/25が進む。
マジックAAMは機動に追いつけず当て外れの方向に飛んでいく。
あの体制だと右か左に旋回したら間違いなく機銃を喰らっていたパターンだ。
強力なECMのせいでレーダーの感度が低すぎる。大体通常の4%しか稼動していないのではないだろうか。
「わるいけど、貰っておくよ!」
AAM-5を真横のラファールに発射。
TVCつきのミサイルはラファールに直進していくが、エスパーダ1は急激に旋回して回避。
その間にマールが真上から急降下攻撃・・・するはずが、あっさりと買わされてしまった。
『叩きのめせ!』
「うるせぇ!誰もしゃべるな・・・黙れってよ!」
「負の残留思念の塊ね・・・何使ってるのさ・・・」
JFSは操縦者とリンクするのにフィルターを通しているが、敵のはおそらく新開発のEFL・・・負の残留思念を大量に取り込むタイプだ。
「残留思念か何かわからないが黙れ!黙れ黙れ黙れ!!」
「エスパーダ1、早くウスティオの小蝿を叩き落せ!」
それにむっときたのがマール。とっととコイツを片付ける必要がありそうだ。
AAM-5は残量7本。リバースのセットが2本残っている。
「こいつでとっとと片付けないとね・・・」
その途端、ラファールが後に迫っているがこれは計算どおりだ。
後にいる相手は攻撃しか考えていない・・・少し機体を揺らしてロックオンできないようにさせておき、その間に敵をロックオンしておく。
「何の真似だ・・・くっ!ロックオンが難しいぞ!」
僚機の戦況を見れば、シルヴィアはすでにSu-43を2機撃墜。マルセラはといえばXB-0に対地ミサイルなどぶち込んでいる。
あれだけ大きかったら対艦ミサイルや対地ミサイルの方が有効だろう。
「さて、あんたとはDACTやったことがなかったよね?ここでやってあげる!」
後ろ向きにAAM-5を発射。だがエスパーダ1はあっさりと回避してしまった。
「いつも見ている俺が、その手を食うと思ったのか?」
「まぁね。結構とぼけてるから。」
後ろ向きのはあと1本。これは大事に使わないと危険だ。
「でさ・・・はっきりさせようよ。何でマルセラまで巻き込んでこんなことするわけ?」
F-15F/25は加速力を生かしそのまま急激に上昇、ラファールも後に続く。
「国境線を全て消し去る。騒乱の元凶となる国境線を。」
さきほどから憎悪はかなり薄らいでいる。例のシステムは切っているようだ。
まぁ、それだったらまともに話などできないだろうが。
「国境線ね・・・争いってそれだけじゃないと思うんだよね。」
「何?」
「戦争の原因は人そのもの。腐った国境を引いた奴らであって国境そのものじゃない・・・戦争を引き起こした主導者を皆殺しにしても文句は言わない。けど・・・市民を爆撃で殺そうとしているあんたたちも同じ。結局、あんたたちが憎んでいるそいつらと同じじゃない!」
「言っても無駄のようだな。理想郷に犠牲はつき物だ!」
ラファールも急上昇をかけてきたが、エンジン推力では完全にF-15F/25が勝っている。
一気に突き放すと、すぐに反転して目標をロックオンする。
「悪いけど・・・終わってもらうよ。」
AAM-5を発射、同時に敵機もマジックAAMを発射してきた。
空中でAAM同士が衝突、ガンレンジの少し手前からマールは機銃を乱射。
20mm銃弾の火花がはっきりと見え、敵のエンジンが爆発・・・戦闘能力を奪ったようだ。
「・・・もうダメか。ったく、いい腕してるな・・・」
「脱出して、エスパーダ1!」
「・・・今さら戻れるか。俺の部下を勝手にこんな計画に巻き込んで、ヴァレーの奴らに迷惑かけて・・・どうしようもない奴だ。けどな・・・マルセラは許してくれよ。無理にEFLを起動させて、付き合わせただけだからな・・・」
ラファールは雪の積もる氷山へと突っ込み、爆発したようだ。
あの様子では生存者はいない・・・絶対に。
「エスパーダ1がやられた!?呼び出せ!」
「もう、頼みの綱は切れたみたいね。早く終わってくれる?」
ミーティアAAMをエンジンにロックオン、6発全てを一斉に発射。
高速でミサイルがエンジンへと向かっていき、XB-0のエンジンを粉砕したようだ。
「ちきしょう、エンジンがぶっ飛んだぞ!滑空しろ!」
もうもたないが、マールは見逃すつもりなど無い。
大量のARFや大型爆弾を喰らってもまだ滑空するだけの余力があるというのだろうか。
「いや、一矢報いてやる。もうフレスベルグは終わりなら、これで決めるぞ・・・SW弾発射用意!」
2個航空隊を殲滅したという謎の兵器かもしれない・・・とっさにマールは高度を上げる。
「エスパーダ2、ピクシー!高度を上げて!」
「了解!」
なんとなく嫌な予感がし、すぐに2里にも連絡をいれた。
その途端に下で巨大な爆発が発生、一瞬で高度4000以下の敵機が吹き飛んでしまった。
嚮導していたB-2AやF-2A、F-16Cなども巻き込まれたようだ。
衝撃のせいでXB-0もまたダメージを受け、制御不能になってしまう。
「最後に私達も巻き込むつもりだったんだ・・・」
あのまま離脱しなかったら・・・マルセラは背筋が寒くなるのを感じた。
「・・・電文です、マールさん。『ヨウ、相棒。マダ生キテルカ?』・・・これって!?」
シルヴィアはその電文を見て驚いたが・・・マールは苦笑するしかなかった。
本気で決着をつけなければいけないようだ。かつての相棒と・・・


ヴァレー空軍基地 1750時

「・・・ブリンクマン大佐がもみ消してくれてよかったよ・・・サピンも不祥事ななくしてくれたし。」
マールは一安心した顔で言ったが、マルセラのことはサピン側にとっても隠しておきたいらしく「戻りたかったら国境なき世界をぶっ飛ばして来い!」とサピン側の空軍司令官から渇を入れられたようだ。
「マール・・本当にごめん。私・・・」
「いいよ。こっちに戻ってきたんだから・・・」
公式記録上は「エスパーダ隊は2機で出撃、ルーメンからシュティーア城まで追撃したのち空戦で落とされた」ということになっている。
サピンも、英雄であるエスパーダ隊の不祥事は隠しておきたいようだ。
「ま、この圧力はウスティオもサピンもいい方向に向かってるからいいけどね・・・オーシアは完全に悪役だし。」
オーシアは悪役、マールの言うとおりあの国家は上層部が完全におかしくなっている。
腐敗しまくりの国家・・・だれもあんな空軍なんかより、ISAFやウスティオに行きたいともっぱらの評判だ。
「私もそれで許されたのかな。健全なる圧力で。」
「コストパフォーマンスじゃない?エースを失うのが一番痛手ってことで。」
冗談交じりにマールがそんなことを言うと、マルセラも冗談で帰す。
「いや、私達の厚い友情に感動した上層部が・・・」
「ありえないって。」
きつくマールも帰すが、その顔は笑っている。
「でも、それもありかな・・・僚機、お願い。」
「あ、言い忘れたけどPJも来るから。」
「嘘!?あのいじられ役・・・」
ちょっとマールは失望したが、まぁいいかと気を取り直す。
それに、やりたいこともあるのだ。
「せっかくだし、DACTでもやらない?明日。」
「いいよ・・・半年で腕前は鈍ってるかどうか見てあげる。」
マルセラは承知すると、食堂に向かっていく・・・どうやら食事をしていないようだ。
そろそろ時間だと感じ、マールもそれに続く。

続く

あとがき
ようやく書き終えた・・・加筆修正しました。
これが一番大変だと思います。マルセラ・・・マールと戦う後一歩で反転。
どうするか迷いましたよ・・・エスパーダ隊、死んだことにするかそれともって。
では。



 2006/08/21:あくてぃぶF-15さんから頂きました。
秋元 「この世界では、JFSの進歩型がEFLSになってるんですな」
アリス 「……物語りも終盤に入りましたね」
秋元 「AC ZERO未プレイなため、この先がまだまだ分かりません(笑」

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