ACE COMBAT The Belkan war 円卓の騎士たちへのレクイエム | ||||
――人が知識を得て、変化を願えば・・・ただそれだけだ。 今の世界も、あの時から変わっているんだ。 〜2005 11/11 「Revolutionary」ジョシュア・ブリストーへのインタビューより〜 第16章 円卓の鬼神、ウスティオの蒼い鳥〜サンダーボルト作戦、ポイントブランク作戦前編〜 12/31 1100時 ウスティオ領内 作戦空域B7R「円卓」 先発してエスパーダ隊の2機が出撃。そしてマールとシルヴィアは円卓を通り抜けシェーン平原を通過、アヴァロンダムへと向かっている。 アヴァロンダムは、ベルカが要塞として建造したダムで、連合軍も終戦までこの位置を知らなかったようだ。 巨大ミサイルサイロがそのまま稼動し、多弾頭核ミサイル「V2」が格納されていることが判明した。 あわてて連合軍は調査隊を派遣したが、そのまま行方不明になっている。 それ以降、アヴァロンは連合軍の興味を引かないまま放置されていたのだ。 マール達は円卓を通過、シェーン平原で空中給油を行った後アヴァロンへと向かう。 「エリアB7Rを通過する。最悪の場所だが、最高の近道だ。そのまま経路を維持せよ。」 イーグルアイからの通信を受け、F-15F/25とF-15Cはそのまま円卓へと侵入する。 「・・・戦うかもしれないね、もしかしたら。」 国境なき世界に向かったかもしれないシルヴィアのマスター・・・フォルクのことをマールは言う。 彼のことだ・・・おそらくはこの組織にいると見て間違いない。 「・・・マールさん・・・相手をお願いします。私には、落とせません・・・」 「わかった・・・」 「できることなら、生かして欲しいのです。できるだけ・・・」 操縦席をぶち抜くようなマネはマールは絶対にしないが、間違ってそうなることもなくは無い。 そのときはそっと謝っているが・・・今回はそれで住みそうにない。 すると、イーグルアイがまた通信を入れてくる。 「エリアB7Rにレーダー反応。敵性航空部隊の接近を確認。別の空路を取っている暇はない、撃滅せよ。」 「まって・・・ベルカの識別番号じゃない。友軍じゃ・・・?」 接近してきたのは・・・F-16XLセイカーファルコン4機。 オーシア空軍のようだが、どうも怪しい。 「こちらウィザード1.「蒼い鳥」が網にかかった。」 「ウィザード5了解。では始めよう。」 「目標確認、F-16XLセイカーファルコン4機!」 AIM-7を搭載したF-16XLが前方より接近中。 しかもこちらにロックオンをかけている。明らかな敵対行為だ。 「蒼い鳥、名声をも味方にしたか俺が確かめる。」 「何やってるんですか!こちらウスティオ空軍第6師団所属ガルム隊!攻撃停止願います!」 その途端に敵機はAIM-7を発射、まっすぐ進んでくる。 マールはすかさずロールで回避、敵機の操縦席を目標に進んでいく。 「クーデター軍だ・・気をつけろ!」 「分ってる・・・!」 20mmバルカンをエンジンに狙いをつけて発射、まずは1機を撃墜する。 セイカーファルコンの編隊など軽く落とせるが、何かがおかしい。 「何のための戦い・・・!?こんな事して!」 「戦場はここではない。ルーメンの会議室に移った。その円卓で世界大戦がおこなわれている。」 「・・・新しい世界を作るための話し合いじゃない!」 もう1機のF-16XLをロックオン、すかさずAAM-5を発射する。 が・・・敵機はチャフ・フレアーをばら撒いて回避してしまう。 「所詮欲のぶつかりあい。それが新たな戦争を生む。」 「あっそう・・・でもあんたたちの殺戮は許さない。戦場で死ぬのは高官と兵士だけで十分よ!」 ウィザード隊といえば、ゴルト隊にこそやられたがスーデントール市街地戦で大活躍をしたオーシア空軍の切り札だ。 F-16XL4機とF-23A4機・・・だが、肝心のステルスはまだ出てこない。 「おびえながら落ちて行け!」 後にF-16XL、シルヴィアはもう1機と交戦中。 マールはAAM-5をもう1本発射しておいてすかさず大迎え角でエアブレーキをかける。 オーバーシュートしたF-16XLを捕捉。狙いを定める。 「・・・行くよ!」 M61A2が垂直尾翼と主翼に甚大なダメージを与え、敵機はきりもみ回転のまま落ちていく。 その途端にミサイルアラート、AIM-120が迫ってくる。 「ステルスです・・・!増援出現!」 「やばいかも!」 F-23Aの4機編隊が出現、ようやく本隊が出てきたようだ。 すぐにミサイルを回避、F-23Aの編隊に狙いを定める。 「よく見えているぞ、蒼い鳥。」 「こっちも、十分に見えるから。」 「ふん・・・円卓の鬼神には舞台を降りて貰う。破壊という名の新たな創造は、正道な力を以って我々が行使する。」 「何・・・!?」 破壊のために何千万もの人を虐殺するというのか・・・ 新しい世界は確かに必要かもしれない。でもそれは・・・ 「領土、人民、権力。今その全てを開放する。『国境無き世界』が創造する新しき国家の姿だ。」 「そのために、多くの人が犠牲になる・・・私はそれを許さない!」 「世界は変わる、それは当然の流れだ。革命に犠牲者はつき物だ・・・無益な破壊を好まないのだろう、蒼い鳥。それもエースの条件だ。」 ヘッドオンで敵機は20mmバルカンを発射、こちらも発射しつつすれ違う。 たいしたダメージもなく、ループの頂点で再びヘッドオン。 「フォックス・ツー!」 「あいつの話どおりだ。動きに癖があるが・・・高機動機ではやはり違いすぎる。」 互いにミサイルを発射したが、敵のミサイルはこちらのAAM-5を狙っている。 空中でミサイルが衝突、爆発し機銃だけですれ違う。 またダメージもなくすれ違ったが、別の敵機が後から狙っている。 「空戦にルールはない、ただ敵を殺すだけだ。」 「そう・・・じゃ、死んでくれる。」 逆向きのAAM-5を発射、油断していた追撃機は一瞬で吹き飛んでしまった。 残りはAAM-5が5発(うちリバースセットが1発)、ミーティアAAMが6本だ。 「・・・油断しやがって。あいつのAAM-5は逆向きのもセットされている。撃墜には興味はない、死をくれてやれ。操縦席をためらうことなく狙え。」 「了解。」 また後にF-23Aが続いてきたが、マールは機体を減速させながら飛んでいる。 F-23Aはガンキルを狙い、至近距離で格闘戦を挑んできた。 「こいつめ、すばしっこい!」 「貴様の好きな殺し合いだ。蒼い鳥・・・血に飢えた蒼い鳥よ。」 真正面からF-16XLが接近、マールはそいつにヘッドオンを挑む、 もう少し・・・ガンレンジの限界まで接近した途端に機体を横に滑らせる。 「な・・・ウィザード6、かわせ!」 「ダメだ!もう・・・」 空中で2機が衝突、爆発を起こしながら落ちていく。 シルヴィアのF-15Cもまた1機を撃墜、こちらに向かってくる。 「これで同数格闘戦ね。早く終わらせるよ。」 「円卓の主役は俺達だ。貴様の墓は俺が掘る。」 「何言ってるのさ。そのときあんたは亡霊になってるんでしょ。」 高度21000から敵機が急降下、20mmバルカンを乱射してきた。 すかさず右旋回でマールは回避、ローリングさせそのまま追撃する。 降下しながらも敵機は上手く回避運動をしている。なかなかの相手だ。 ロックオンさせまいとしているが・・・こちらはもうIRシーカーで捕捉。 「ガルム1、フォックス・ツー!」 AAM-5が敵機に白煙を上げながら向かい、F-23Aを捕捉。 TVCつきのAAMは敵の機動に喰らいつき、上手く命中してくれたようだ。 「・・・国境なき世界が、新たな物語を書き連ねる。」 最後にF-23Aもパイロットは脱出、隣でももう1機が落ちていくのがはっきりと見える。 制空権を確保し、何とか戦闘は終わったようだ。 「敵航空部隊全滅。一旦近くの航空基地に帰還し補給を受けよ。作戦を変更する。」 「了解。」 AAM-5をかなり使った上に機銃も残り少ない。 ここは補給を受けて何とかするしかないだろう。 「・・・マールさん。あなたの軌跡を見届けます。最後まで。」 「わかった・・・行こう。」 2機は一時タウブルグ航空基地に進路を変更。そこで補給を受けることになった。 タウブルグ航空基地 1200時 「・・・曇ってるね、空・・・」 「嫌になりそう。冗談じゃないなぁ。」 マールとマルセラは久しぶりに合流し、空を眺めている。 一面の曇り空。そろそろ雪が降りそうだ。 空対空武装での出撃で、ミーティアやAAM-5などもしっかりと搭載されている。 そろそろ出撃時間。十分程度しかこの基地にいないが連合軍に遅れを取るわけには行かない。 「出撃時刻。全機急げ!」 マールはすばやく機体に乗り込み、計器をチェック。 TVCもカナードも・・・何もかも準備万端。 ミーティアAAMを6本、AAM-5を8本の完全空対空装備だ。 「こちらも準備いいよ!」 「出撃します!」 PJのF-16Cが先に飛び立ち、それからシルヴィアのF-15Cも離陸。 4機の戦闘機は、国境なき世界の本拠地アヴァロンへと向かう。 アヴァロンダム手前ムント渓谷 1500時 「アヴァロンへは水面を低空で向かえ。上からの進入は狙い撃ちされる。」 「了解。」 「高度2000以下を保て。以上。」 連合軍の航空隊なども入り混じっているが、地上には対空火器が大量に配備されている。 「高速で抜けるよ。ガルム2、ついてきて!」 「・・・了解。エスパーダ隊も遅れないように。」 急激にガルム、エスパーダ隊の4機が加速。一気に渓谷を駆け抜けていく。 「前方に対空火器。SAMと対空機銃。」 「突っ切るしかないかも。」 高度2000以下を保ちつつ、4機は一気に通過する。 「左翼をやられた!すまない・・・サベージ4、離脱する!」 「ジョーカー1が落ちた!」 1機のF-16XLが離脱、F-15EがSAMを喰らい落ちていく。 「やばいぞ、1機落ちた!」 「犠牲が大きすぎる・・・連合軍は壊滅するかもね。」 マールがそんなことを言っている間に真正面からSu-47の2機編隊が接近。 すかさずミーティアAAMをロックオン、2発発射する。 こんなところを通ってくるのはさすがだが、相手はウスティオ最強のヘッドオン名手。かなうはずもない。 「フォックス・スリー!」 ラムジェット推進のAAMが白煙をなびかせてSu-47に接近、同時に2機の機影がレーダーから消える。 「撃墜確認、行くよ!」 熾烈な対空火器の砲火をかわし、4機はアヴァロンへと迫っていく。 「ジョーカー3がやられた!」 「ドミノ2が落ちたぞ!数が少なくなっていきやがる!」 橋といくつもの対空火器をくぐり、4機はようやく渓谷の出口へと到達。 何十人も対空火器でやられたが、もう大丈夫だ。 「4機抜けた・・・俺達も抜けたぞ!」 「残り14機!行くぞ!」 「全機散開、自由戦闘!」 マールはすぐに指示を出すと、前方のFX-10Aをロックオン。 中距離なのでミーティアを発射、すぐにブレイクする。 「あの光景はもう見たくない・・・とめるんだ・・・!」 「解ってるじゃない、行くよ!制空権は私達で握るの!」 マルセラとPJが制空権を握るために攻撃開始、マールとシルヴィアはダム内部へと向かう。 「無数の国境という大国の横暴、それを我等は消し去る。領土、人民といったあらゆるものを我等は解放する。国境なき世界という理想のために。」 「え・・・!?」 どうやら、国境なき世界の高官による演説のようだ。 マールは神経を全て機体に集中させ、トンネルの幅や大きさなどをJFSで感じ取る。 主翼が少しも触れないように侵入、ダム内部へと突入を成功させた。 「ブルーレインに代表される異世界の産物、いずれ来るであろう大敵を今の国家で迎え撃つことは不可能。国境なき世界が全ての国境を消し、外敵を迎え撃つための世界を作る。」 蒼晶石は円卓で大量に見つかった輸送船内部から発見されたもの。到底この世界のものとは思えない。 精神生命体を生み出したり、機体を自分の一部のように自由に操ったり・・・ 国境なき世界の新の狙いは、世界を統一政府の元でまとめること。 だが・・・そんなことはできない。恐怖で縛られた独裁など・・・ 「間違ってる・・・あんたたちは間違ってる!人種や言語といった壁がある。それを統一するなんてできない!」 「おろかなる連合軍よ、アヴァロンの洗礼を受けろ!円卓の蒼い鳥・・・我らの計画をとめることはできまい。貴様が奇跡をいくら起こせるといっても・・・な。」 「いいよ、その言葉・・・覚えておいて!」 マールは第1モジュールを捕捉、20mm機銃を発射してアナだらけにしてしまった。 「何!?ダムの内部に入っただと!?」 「だから言ったじゃない。覚えておいて・・・ってね。」 隔壁を抜け、2つめのモジュールを捕捉。 再び20mm機銃を乱射して爆破。あと1基だ。 「なんて奴だ・・・隔壁を閉めろ!」 「了解!1分で封鎖します!」 「・・・急加速、行くよ!」 マールはすぐに機体を加速、シルヴィアも続く。 高速でダム内部のカベを上手くかわし、最後のモジュールを確認。 「これで・・・終わり!」 モジュールに遅延信管を作動させずにミーティアを発射。 命中、爆発を確認しすぐに上昇。 半分くらい隔壁が閉まっているが、何とか切り抜ける。 「シルヴィア、早く!」 「・・・解ってます!」 F-15Cも何とか脱出、その途端にアヴァロンダムが大爆発を引き起こしていく。 「戦争も終わる・・・これでようやく・・・」 「帰ったらプロポーズしますよ。彼女が待っているんです。花束も・・・」 PJが、基地に戻った時のことを考えているようだ。 が、その途端にイーグルアイからの通信が入る。 「警告、不明機高速で接近中!ブレイク、ブレイク!」 「た・・・隊長っ!!」 マルセラの機体にレーザーが迫り、それをPJのF-16Cが受け止めた。 機体は四散、生存は絶望的だ・・・ 「そ、そんな・・・」 「戦う理由は見つかったか?」 感じ取ったのは憎悪を吸い取ったEFLシステム、そして片羽の赤い機体・・・ 「相棒。」 続く あとがき ようやくラスト。PJは約束どおり撃墜されて貰います。 そして、最後に待ち構えるのはベルカ国営兵器廠の機体を貰った・・・わかるとおもいます。 ここから先はお楽しみです。では、次回で。 |
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2006/08/21:あくてぃぶF-15さんから頂きました。
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