外洋機動艦隊外伝 蒼の翼




外洋機動艦隊外伝 蒼の翼第5話「迎撃」



 ハワイ、日本人にとってどのような場所なのか。有名観光地、憧れの地、日米大戦の最初の地。クルー達は、どういう感想を抱くのか。
現在、真珠湾のドック内で朝顔は対空システムの大規模改修を行っている。雛菊三姉妹の長女、雛菊嬢が軍の予算を決める議会の想定外の事態に陥り、ピンチを迎えたが何とか撃退には成功した、しかし以前から指摘されていた雛菊級の欠点が表面に出てきたため、大型ドックを備えるこのハワイで対空に関する大規模改修が行われているのである。搭載機は全部ハワイの各飛行場に降ろされているが、ドックに入っているとはいえ艦内生活は可能なのでミーティングルームで第1外機と第3外機のエース対決を記録したビデオを見ている。両方ともシステム機で、勝負は第3外機の白き猟犬こと秋元中尉が勝利している。勝利要因が、飛行技術、彼女ないし機体への愛など上げれば限がない、なんでも知ろうとするテストパイロットの職業病だ。
「できれば、手合わせしたかったな、白き猟犬と」
「マスターの腕だと私のサポートがあってもすぐに落とされる可能性が高いかも・・・」
「相棒の腕を信用しろよ」
明は困り顔でラフィールに言ったが
「そうだな、もう少しの追撃時の周りを見るスキルを上げないとすぐに落とされる可能性が高い。相手は空軍からではなく直接海軍に行き、残党狩りで腕を鍛えている秋元中尉だ、我々空軍とは違い実戦で多くの経験を積んでいる。メカニカルアドバンテージが有ったとしても、俺達がチームで対抗できるか不明なところだ」
兄の達也がとどめを刺した
「兄貴まで・・・」
がっくりと明は頭を落としたが近藤中佐の一言で気を持ち直した。
「とりあえず、この戦争が終わったら模擬戦を組めるよう手配はしてやるよ」
「本当ですか!」
「ああ、今回の戦闘は艦長同士のプライドのぶつかり合いで起きたものだ、システム機対システム機の戦闘は色々な意味で良いデータが取れるはずだからな、・・・・その日まで生き残れよ」
「はっ」
明は見事な敬礼でそれに答えた。一方で電子と偵察と試験はいうと、
「第3外機のシステム機の配置は、俺ら大体同じだったよな」
「ええ、制空の人数と管制と攻撃が居ない以外は」
「どんな、人たちかな」
「お茶好きな方々なら、良いんですけど」
「どっかで、交流会でも開ければわかるかもね」
各々が雑談に入ろうとしたとき

パンパン

近藤が手を叩いた。
「雑談もいいが、これから重要なことを話す」
全員が話をやめ、近藤からの話を聞く体制を取った。
「昨日、雛菊機が敵編隊交戦、その後超大型で高速の巡航ミサイルが飛来した」
部屋にいる全員に衝撃が走る。ハワイ解放後敵がしばしば散発的に攻撃を仕掛けているという報告はよく聞いていて、実際に対応したこともあるが戦略型の兵器が投入されたのは今回が初だ。
「交戦した、キメラの報告書によるとどうやら蒼晶石が搭載されている可能性がある」
「よく、昨日の報告書が手に入れられましたね」
「宇和島が、緊急性の高いデーターとして回してくれた。キメラとオクトが哨戒中に敵編隊と遭遇、敵にはAEWが随伴しており、空母から来たものと思われる。一息吐いたところでシステム機の感と味方AEWの通報で大型の巡航ミサイルの飛来を確認、残っていた全ミサイルを使い迎撃で打ったが失敗、スクランブル機及びオアフ島に展開していた艦艇と地上のミサイル車両で迎撃成功」
一息つき
「報告書には、蒼晶石が搭載されている可能性有りと書いてある。USAJがどうやら戦略型の蒼晶石搭載兵器を実戦投入したようだ、現在朝顔は改装中だ、この期間内以後に敵がまた、搭載型をここに向けて発射する可能性がある。今回は大和がLRGを積んでいたから良かったものの、生憎第2外機旗艦長門には積まれていない、迎撃の主軸はミサイルになる。各員、十分注意しこの船とハワイを守ってくれ、以上解散」
全員が出て行ったあと、隊長の達也とレクシュが戻ってきた。
「で、話とは」
「ああ、眠り姫に会いに雛菊に行く」
「眠り姫?」
「だれですか、その眠り姫と言うのは」
二人には見当がつかないようだ。
「3年前に沖縄でテロリストの残党が実験後のシステム機と戦闘になったことは知らないよな」
「ああ」
「ええ」
同時に答えた。
「まあ、公式には発表されていないからな、たぶん達也は、搭乗していた奴の名前は知っているはずだ」
「誰が乗っていたのだ」
間髪入れず
「栗原だ」
「あいつか」
「マスターは栗原という人を知っているの?」
「ああ、空軍学校の同期で共にマリヴァに乗り、同じ釜の飯を食った仲間だ、あいつは海軍に行ったが・・・そういえば空軍に来ていたという話もあったな」
「そうなの」
「ああ、けど栗原は今行方不明のはずだが」
顔をしかめて答える
「栗原についてはまだ行方不明だが、用があるのは彼の搭乗機のゼロ、パーソナルネームブラックレイ」
「あいつも、被験者だったのか」
「ああ、史上初のな」
「それで、私たちは何をするの」
「二人には声かけを怜にたいして行う」
『はあ』
二人には意味が分からなかった。
「何故声かけを」
「現在雛菊には活動状態の2機のシステム機が居るのは知っているよな」
「ああ、キメラとオクトのことだな、それにさっきの時にも出てきていたし」
「これはおれの予想なのだがもしかしたら、2機のアクティブなシステム機との共鳴で覚醒している可能性があるかもしれない、そのための声かけだ、協力してくれ」
「なるほど、協力するよ、あいつの奥さんも見てみたいし」
レクシュが顔をちょっとだけ赤らめた。
「奥さんね・・・・とりあえず助かる、今時間はあるか?」
「訓練を入れておいたが、第1飛行隊との共同訓練だから、坂井大尉に頼めば後は勝手にやってもらえると思う」
「そうか、では善は急げと言うし行くか」
「了解」
そのあと、第1飛行隊の坂井大尉に連絡を取り、訓練に参加できない事を伝え、山下にデーターを取っておけと伝えた。
朝顔を出た後、雛菊が入っているドックに向かう、対空に関するすべの作業は終わっていたが試験航海中にトラブルが発生し、さらなる偶然が重なり再度のドック入りになったという話らしい。艦長室を訪れ、今回行う実験の主旨を話し、宇和島を引き連れ怜が眠っている、格納庫の奥に向った。
「覚醒していますかね、彼女」
「わからないところだ、覚醒してなくても、きっかけになれば良いんだが」
艦長に扉を開けてもらい、ぞろぞろと入っていった。薄暗い中でも、その色は分かった。
「良い色をしているな」
「そうね、黒は高級色だし」
近藤の方をむいて
「とりあえず何をすれば」
「ああ、とりあえずレクシュと共に手を機体に触れてみろ」
「了解」
「わかった」
レクシュの手を下にして、触れてみた。
「レクシュ、何かわかるか」
「ちょっと待って」
そう言って目を閉じ、俺も一緒に目を閉じた。
暗闇、その形容詞が似合う空間だった。レクシュに手を引かれ探るようにして飛んだ。しばらくして、彼女を見つけた。僅かな光を放ち膝を抱えてそこにいた。
「貴方達は・・・誰」
近く俺達に気づき顔を上げた。意識がはっきりしていない、眠たげのような感じだ。
「俺は中島達也、階級は大尉」
「パートナーのレクシュよ、TAの人にあなたの様子を見てこいと言われてきたの」
「そう、なの」
また、顔を膝に埋めた。やはり、久しぶりに目覚めて目の前に見知らぬ他人がいれば誰でもショックを受ける。それにここは彼女の空間でもある。すうっと、という形容詞が合うようにして急に怜が消えそうになる。蛍光灯の寿命が近いような感じに。
「おい、平気か」
「だいじょうぶ?」
二人が気にかけるとなんとか、持ち返した。
「ごめんなさい、時々意識が飛ぶことがあるの」
「ねえ、ちょっと手を握らせてもらえない?」
「いいけど」
了解の返事をもらい、レクシュが片膝をつき差し出された怜の手を握った。
「冷たい手ね、熱いココアでも有れば良いんだけど」
「あったかい」
レクシュは心なしか寒気を感じ、怜は少しだけ元気になったようだ。
「とりあえず聞くけど、いつ頃起きたか分かるか?」
「わからないわ、けど私と似た感じの何かを感じた時期からかな」
「そうか」
とりあえず、近藤の仮説は正解のようで新たなシステム機の事象例になったな。
「あの、私のマスターについて何か知っていること有りませんか?」
この質問に対して、俺達は固まった。どう答えれば彼女を傷つけずにすむかわからなかったからである。意を決して言おうとしら、
「貴方のマスターは、今行方不明よ」
レクシュに先取りされてしまった。怜は俯いてしまったが、レクシュが両手をしっかりと握り、真剣な眼差しで
「けど、どこかで生きていると思うわ。そうよねマスター」
「ああ、あいつは飛行学校のころから腕もよかったし、簡単に落ちるやつではない」
「私のマスターの言葉聞いたでしょ、きっとどこかにいるわ、会うときのためにいい笑顔で迎えないと、でないと貴方のマスターががっかりしちゃうわよ」
「とりあえず、俺達は帰るが、聞けるかどうかわからないが元気になれる曲のアルバムをインストールしてもらう。きっといつかは君のマスターに会えるはずだ」
「それでは、またいつか」
そう言って俺たちは目を開けた。
「どうだった」
一番手で近藤が聞いてくる。
「起きてはいたが、あんまり意識がはっきりしていないようだ」
「私が見た感じでも、ぼんやりした感じで見つけにくかった」
「そうか」
彼女は目覚めてはいたが、これは予想の範囲内のことなので、これだけでは儲けものと言えるかは定かではない。できるだけ彼女には完全に目覚めて早急に戦力になってほしかった。付島艦長には悪いが、雛菊の錬度は高いがシステム機を運用している部隊としては、投入できる任務への幅が狭い(別の意味で)。単騎で高い戦闘力を発揮できるシステム機がいくら優秀とはいえ数を武器に攻めてこられれば負ける確率も大きくなる。日本は機体とパイロット共に優秀ではあるが、大局からの視点みれば無人機であるFX−10の方が正解だ。大量生産を可能にし、なによりパイロットがいらない点が大きい。優秀な機体で少数精鋭、これはルーザー(敗者)的考えと昔何かの本で読んだことがある。理想とするなら1個小隊のMLシステム搭載の制空戦闘機隊と電子、AEWを1機ずつ配備されるのが艦隊での運用理想だが、システム機自体が少なく空軍との兼ね合いもある。
「とりあえず御苦労、ほかに何かあるか」
「後で音楽データーをインストールしてやってもらえないかな?」
「いいですけど・・・、いったい何のために?」
宇和島が疑問を投げかけた。
「それは・・・」
「彼女、ずいぶん元気なさそうだったからよ」
達也答える前にレクシュが答えた。
「音楽にはいろんな力があるし、マスターは、元気になれるすごく良い曲を持っているしねっ」
「まあ、そういうことだ」
「わかりました、後でデーターを持ってきてください、インストールしておきます」
「頼む」
「で、何を聞かすつもりなんだ?」
彼女に聞かせる曲について近藤が聞いてきた。
「無難にTV局オリンピックテーマソング集かな」
「そうね、曲数もあるし元気になれる内容も入っていたしあれ」
「下手な曲を入れるよりはいいだろうな」
その後雛菊で昼食を取り、艦長に移籍を誘われるが丁寧にお断りをした。午前中のデーターを山下から受取り特に気になる明のデーターを見たが、やはり突っ込みすぎだ。もう少しロッテ戦法を受け入れられるような状況を作り訓練しなければな。音楽データーを取り込んだUSBを宇和島に届け午後の訓練には少し遅れた程度で参加した。内容としてはチーム戦を重視したガードミッション。ロッテを守り抜くというルールで2番機は反撃不可、被弾機という条件で行った。落とされたら負けというもので、結果的に明は守るべき2番機を落とされ、しぶしぶロッテ戦法を重視を受け入れる機会になることになった。この訓練の後ミーティングの後に超大型巡航ミサイルに関するブリフィーングを日米共同で行った。歩く情報庫、躑躅の艦長安里大佐から提供された情報と昨日の交戦データーを基に防衛ラインを設定し以下のとうりである。
第1防衛ラインをオアフ島よりアメリカ本土側に2南アメリカ側3と南極側1の格1500キロポイントに設定し、IROSであるサーマルアイズと護衛機と迎撃機を配置。サーマルアイズの配置間隔は各機の最大監視範囲の半分が重なるように。
第2防衛ラインを1000キロポイントに設定し、ここにはエーワックスと迎撃戦闘機を配置。
第3防衛ラインは500キロポイントに設定し、迎撃戦闘機とAEWを配置。
第4防衛ラインはDラインであり、艦艇及び待機中の各航空部隊と地上部隊による迎撃。もし全防御艦艇と航空部隊、地上部隊の迎撃が間に合わなければアウトだ。各エリア名は北アメリカ側からエリアノベンヴァー、南アメリカ側はエリアシエラ、南極側をエリアアルファ(Antarctic南極地方の初めの一字から)になり防衛ラインと位置との組み合わせで呼ぶことになる。
なお迎撃担当機はゼロとイーグルで装備はアラモACMとアムラーム(レーダータイプとIRタイプの混載)。余裕のあるゼロは対空装備のアーチャー2発とアダーを2発持たせる。なお、ゼロはCFTをイーグルはドロップタンク3本とCFTで任務につく。この他の部隊は迎撃機の護衛とハワイ周辺の防空担当をする。なお、あるヴァイパーのパイロットは
「攻守交代だな」とぼやいていたとか。
翌日、護衛機を連れたサーマルアイズが12機と北アメリカでの作戦を行うためのエーワックスが予定を繰り上げ飛来した。どうやらTA軍団が無理を利かせて回してくれたようだ。予定どうりにサーマルアイズとエーワックスの各機を指定ラインに配置し、サーマルアイズの残りの6機を第3ラインに配置することになった。
5日後南米側第1防衛ライン第2ポイント(エリアシエラ12)現在警戒しているのは、オーマとアテナのコンビとイーグルが8機、護衛担当のヴァイパーが5機
「こないな」
(ええ)
XCMが来てから6日がたった。
「まさか、この前来たのが全部というわけはないよな」
「その可能性は低いぜ、レーサー」
ともに警戒していたイーグルの1機から、レーザー通信が入った。コールサインフォークナー、親が情報関連の職に就いていてしかも幹部という(親は表の顔はジェイン派ではるが、大統領筋の諜報人、非ジェイン派である)今作戦のチームメイト。片山がレースをしているという話をした時にレーサーという渾名を付けた張本人でアメリカ空軍からのコールサインは渾名が本来のコールサインの変わるになっている。
「うちの親父らが、調べた情報によると巡航ミサイルの母艦はニューロサンゼルス級だ、もう一回は攻撃可能なはずだぞ」
「それ、ミーティングのときに聞いているぞ、フォークナー」
「まあ、そうだがな」
「そういえば、なんで空軍に入ったんだ?親父のコネを使えば情報関連の上の方に行けただろうに」
「あんな場所になんかに行きたくない、親父の同僚が集まったホーム・・・・」
その時、エリアリーダーから緊急通信が飛び込んできた。
「スネークアイ7より全機、雛菊から巡航ミサイルが発射されたとの連絡がきました、数は全部で12溌、3溌ずつ4セットで向かってきています。こちらでもブーストの段階を捉えています。全機迎撃体制へ移行してください、これより迎撃誘導を開始します」
スネークアイ7の誘導の下、有効射程へ部隊は急行した。この少し前に、他の方面で警戒していた部隊が、大急ぎで体制を整えている。ないかもしれないが、通常型巡航ミサイル搭載潜水艦での飽和攻撃をする可能性に対してだ。
「ターゲット、有効射程内です」
スネークアイ7から発射許可が下りる。第1セットに対して各機から2発ずつ放たれる。
「「フォックス4」」
計18発、発射のタイミングをわざとずらし、もし敵巡航ミサイルが回避した場合に備える。
(全機へ第1セット、全ミサイル撃墜しました)
「こちらでも、撃墜を確認」
アテナがシステムで撃墜を確認し、サーマルアイズも同意した。
「よっ・・・」
「まだ喜ぶのは早いぞ」
イーグル部隊の隊長が注意をする。
「アテナ、敵ミサイルは回避軌道をしたか?」
(いいえ、してないわ・・・マスター、データーリンクでミサイルの軌道はHADに出ているはずでは?)
「まあ、出てはいるが一応確認は必要かと」
(そう)
「第2セットきます」
「全機へ、敵巡航ミサイルは奇妙なことにこの前みたいに回避軌道を取らない」
片山は一応、部隊全体に連絡をした。
「どういうことだ?」
「わからん、けど好機と思い利用させてもらう」
その後、回避軌道をやらない敵の全ミサイルを撃墜して、ハワイの飛行場に戻った。迎撃すべき発射された分のXCMをすべてを撃墜したとはいえ、同時多発での攻撃を警戒する必要がある。暴走した敵が弾道ミサイルを撃ち込む可能性も有り、輸送機の護衛で来ていた空軍ゼロ(緊急用のプログラムを使用して臨時ABM機)と待機中の艦艇はいまだに空を睨んでいる。赤道に近いこの空を
12時間後、すべての警戒が解かれた。広域での警戒に当たっていた各部隊は当直の部隊と交代しラインを下げハワイに帰還、ブリフィーングルームはデブリーフィングを行わずして、大宴会が始まった。まだ、この戦争が終わったわけではないが、終わったかのごとく騒ぎ、一部の部屋ではビールかけをできるようにし、やっている輩もいる。
「そういえばさあ、」
「うん?」
片山はほろ酔い気分で一緒に飲んでいたフォークナーに空で聞き逃したことを尋ねた。
「なんで、CIAではなくて空軍に?」
「ああ、それは俺は兄弟の中で情報に対するセンスが無かったのと伯父の影響かな」
「伯父さんの?」
「うちの家系は見事に諜報関係の仕事に就いている人間が大半なんだ」
「それはなんとも、で?」
「で、伯父だけは諜報の仕事に就かず空を選んだ。暗い部屋の中で仕事をするより自由に歩きたかったらしいみたいなんだ」
「ふ〜ん」
「まあ、うちの家系では異端で親せきからも嫌われていたけど、俺は伯父さんによく遊んでもらい空を飛んでもらったからさ」
「なるほど」
ビールを一口飲む、少し温くなり炭酸も抜けていたので一気に飲み干した。
「まずい」
「はは」
缶ビールを飲みきり、新しいビールを二人で取りに行く。
「そういえば、親は空軍に入った時何か言わなかったか?」
「何も言わなかった、ただ選んだ道を後悔するなといったくらいだけだ。そういえばさあ、躑躅の艦長安里大佐を知っているか?」
「ああ、歩く情報庫とかいろんな噂がある人だか」
「その安里大佐もしかしたら、モサドとイギリスの対外諜報部とパイプを持っているかもしれない」
「はあ」
ビールと氷り水が入っているケースに盛大に突っ込みそうになる。
「なんでそんなこと知っているんだよ、噂じゃあ日本の諜報部もあの人の情報網を把握できていないという話だぞ」
「親のパソコンに特殊プログラムを仕込んで盗んだ」
「恐ろしいことをするな」
「ただ単に、暇つぶしとちょっとした報復さ」
軽く何か含ませ、フォークナーが秘密を隠した子供のように笑った。
「はは、何をどういえばいいのかさっぱりだな、それで」
「部下の一部が興味本意と命令が重なって調べたらしいんだが、この戦争の前に。ただ詳しいことは分からず、その上の部分しかデーターを拾ってこなかったみたいなんだ、おれの作ったプログラムが」
「親父にはそのプログラムのことはばれていないのか?」
「あらかじめ、簡単に分かるよう組んだダミーで覆い隠して、ばれて説教を受けたが本体は親父のIDプログラムにしつこい油汚れのごとく付いているよ、物理的に破棄してもネットを経由してまた張り付くようプログラムしてあるが、もしかしたら誰かが利用している可能性もある」
別会場で同時刻、女性専用の会場で雛菊級のシステムプログラムを書き、遅れてきた朝顔のだけ強化をした誰かがくしゃみをしていた。
「いいのか、アメリカの重要な情報がテロリストとかにばれても」
「プログラムの構造はダミーで覆われている幾重にも重ねた簡易プログラムとウイルスによって、それに最終暗号がばれなければ問題ない」
「最終暗号・・・」
「たぶん誰もわからないと思うぞ、古代都市の・・・やっぱ言わない方がいいな」
「それがあたり前だと思う、どこに諜報の目やみみがあるかわからないし」


それぞれの場で夜が更けていく。翌朝の目覚ましはスクランブルコールだった。


あとがき
ハワイでの話は本編でも色々とネタが落ちているので書きやすかったのですが、次で最終話予定のメキシコはまたかなり手こずりそうです。なお、会場をわけた理由は大騒ぎしたい人と女性だけでやれるようにと、解放されて新しく就いたハワイアメリカ空軍司令の配慮です。一応本文中でレクシュが怜の手を握ったのは、よくあるパターンの元気を送っています。そうしないと会話をすることができないので。一応、エリアリーダーの役割は管制機とほぼ同じです。



 2008/10/31:アイギスさんから頂きました。
秋元 「確かに、こういう展開が裏であったかもしれませんね。つーか艦長は、一体どこまで網張ってんだろうな? 危険人物であり利用対象であり」
アリス 「……諜報部の考える事も、よく分かりませんから」

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