外洋機動艦隊外伝 蒼の翼




外洋機動艦隊外伝 蒼の翼 閑話
朝顔の一日
時間軸としては、空軍部隊が朝顔に来て数日たったところです。


朝起きたら洗顔をする、当たり前だが。そのあと服を替え、アテナを起こしに行く。彼女は低血圧だからだ。
「アテナ、朝だぞ、起きろ」
俺はドアをノックする。これが毎日の日課になっている。
「ふぁ〜い」
ドアが開き、アテナが出てきた。まだ、眠たそうな顔でパジャマが少しはだけていた。
「はやく、着替えて朝食食べに行くぞ」
「わかった」
「ニャー」
入れ替わるように、黒猫が出てきた。
「おっ、クロここで寝ていたのか」
「ニャー」
答えを返すように、鳴いてどこかに行った。クロは隊長の2匹飼っている猫のうちの一匹で、基地に置いてくる訳にもいかず、連れてきたのである。もう一匹の猫は、艦長の膝の上が定位置である。
「和馬、準備できたよ」
「じゃ、行くか」
カフェに向かった。朝食はパンなどの洋食系にした。イギリスで生活をしていたため、これが癖になっている。なお、食費は実費である。
「ここのは、いつもミルクティが美味い」
「そうね」
なごんでいる最中に艦長がきた。
「良い香りね?」
「ええ、艦長もどうですか」
「もらうわ」
俺は、マスターにミルクティをもう一杯頼んだ。
「ここには、慣れた?」
「ええまあすぐに慣れましたね、慣れないとベストにいち早く持って行けませんから。レーサーとしての癖、もしくは職業病かもしれません」
「そうなんだ」
そのあと、ミルクティを飲みきって、仕事場に向かった。
格納庫端
午前は、戦闘機のパイロットではなく、テストドライバーとしての仕事をする。
「さて、新しいエアロパーツのシュミレートを始めるか」
「今回は、どんな条件でやるの」
「スペインカタルニアサーキットで、汚れ目のコースに」
シュミレーターが進化して、ありえない状況でも作り出せることができ、事故等での状況分析も可能になった。なお、データーはハワイに着いてから全部を送信する予定だ。仕事はすべて、チームからのである。
「お、片山またかりているぞ」
先客がいた。朝顔のクルーで今日は非番みたいだ。
「ああ、どうぞいっぱい遊んで、いいデーターを出してください、僕のスポンサーのために」
「皮肉かい」
「いや、ぜんぜん」
シュミレーターは、2台あり、一台は民間使用で製品化前のお試し期間中なので1プレイ100円である。加え、民間使用はゲーム用のカードがあり、個人データーを入れておくことができる。ゲームのスタートは下位チームでトライアルから始める。画面は大型ディスプレイでもあるが、リアルさを出すためにヘルメットを被り実際のドライバーと同じ視点でもプレイすることも可能である。加えネットワークシステムで対戦可能にしてゆく予定で、実際のフォーミュラーレースと同じシステムでグランプリも実地される。予選、決勝。最終的に全国戦も構想されており、これは、本気で全国で予備予選を行い、F1ドライバーと同じ人数のみにして、予選、決勝と持っていく構想である。なおお金のあるゲームセンターとメーカー直営店のみに古くなった本物のマシーンを改造してプレイするという計画もある。通常の媒体は普通にF1のマシーンと同じ形はしている。
「感想は」
「イージーとノーマルの差が激しいな」
「どんなふうに」
「リアルさが、薄いかな」
そのあと、始めに軽く対戦(ハンデ付き)をして圧勝、パーツのデーター取りをした。この間、アテナはデーターを整理していてくれた。コースはスペインのへレスサーキットで、ヘルメットを装着せずテストを行う。さなかにアクシデントが起きた。操作したときの反応が微妙に鈍くなりだした。とりあえず問題ないかと、テストを継続をした。ピットインはあと数週だ。だが、周回が進むごとに鈍さが増しタイヤも限界に近い。もっと、スピード上げたかったがタイヤが原因のコースアウトは避けたい。なんとか、ピットに戻り待機していた仮想のクルーを無視して、頭から突っ込んだ。
「和馬、どうしたの」
「水くれ」
息が上がり、脱水症状に近い状況だった。
「わかった」
アテナが大急ぎでスポーツドリンクを買ってきてくれた。
それを一気に飲み干して、一息ついた。
「ふ〜」
「和馬、いったいどうしたの」
「わからん、急に反応が鈍くなったことしか」
「前、シュミレーターをやっていてこんなことあった?」
「いや、ない」
しかし、メカニカルトラブルなのかそれともどこか壊れたか分からず、テストを打ち切りにした。昼飯時でもあったし。
混んでいる食堂で食事を取り、昼食は蕎麦にした。空軍から派遣されている俺達のチームのミーティングルームに向かった。
「だから、猫イメージでマークを考え・・・・」
「いや、空軍だからフェアリーやシルフなどの風などの精霊ほうがあっている」
「後付けで服装や体に変化起きないかしら?」
声が漏れていて、話の内容はどうやらまだ決めていない部隊マークについてだった。
「さてどうかな、部隊マークが始めから付いている機体から生まれたシステム機は付いている報告があるぞ、猫耳や犬耳とか」
「あんまり、付いてほしくないね」
「同感ですわ」
「私も」
「私もだ」
「見てみたいかも」
そう言いながら部屋に入り、女性陣から奇異な目でみられた。
「冗談だ、隊長まだ決めていなかったのですか部隊マーク?簡単にAFで良いんじゃないんですか」
「いや、短期になるかもしれないとはいえ、部隊がしっかりとここ、朝顔にいたことを残したい」
熱意をこめて隊長の中嶋達也大尉が力説した。
「そうね、短期間になる可能性があるとはいえ部隊に連帯感を持たせるには私も必要と感じるわ」
隊長のパートーナーであるレクシュも同意する。
「私も何かしらのマークが欲しいな、マスターはどうする?」
「俺は、キルマークの案なら考えていいけど」
「マスター、私たちは公務員ですからいくら敵を落としたって給料は、あまり上がりませんよ」
「加えて言うなら、しばらく昇進はできないぞ明」
「えっどうして!」
「一応みんなにも言っとくけど、始めから君らのパートーナーに准尉の階級が付いているわけは、知っているか?」
全員がこの質問の答えが分からず首を横に振った。
「なら説明するけど、准尉と言う階級はこれから稼ぐと思われる戦績を前借にしたものなんだ」
「それで」
「学校から准尉までに上る戦績を積まないとお前たちの階級は上がらん」
「そういうわけかい」
納得したのかしないのか分からない明が顔で答えた。
「しきりなおしで・・・・」
その時、内線が鳴り達也がでた
「はい、空軍派遣組ミーティングルーム」
「艦長の付島よ、貴方達哨戒の任務忘れていない?ローテンションに組み込んだこと伝えておいただけど、もしかして忘れていた?」
「いえ、そんなことはありません。ただ部隊マークと部隊サインが決まっていないのでそれについて話をしていました」
「そう、とにかく哨戒に上がって大急ぎで」
「了解しました」
内線の受話機をもどし、
「総員、格納庫までダッシュでいくぞ」
「「「「了解」」」」
全員が慌ただしく部屋を出ていく。
「やれやれ、忙しい奴らだ」
と近藤が呟いた。
格納庫に着き整備士側は、すでに準備ができていたらしく、後はエレベーターに乗せて上がるだけだ。こちらもスクランブル癖で準備をすでに整えていたので問題なかった。
「すまん、エレベーターを急いで上げてくれ」
本来だったら飛行甲板の待機所に居なければならないが、ローテーションの事をうっかり忘れてしまい、エレベーターで大急ぎで上げてもらうことになった。それでも上段格納庫に待機していたので、飛行甲板に上がるのは一回で済む。
飛行甲板に上がり、エンジンをスタートさせた。
「今回は防空圏の再縁側の空域を担当する、了解か?」
隊長の言葉に、全員が各々にハンドサインで答えた。Eゼロの山下機以外は1,2番のカタパルトで次々と空に上がり、そして和馬の番が来た。
「ファイナルチェック、よし」
(問題ないわ、和馬)
「上げてもいいか?」
カタパルト担当の士官が上げてもいいか確認してきた。
「了解、何時でもどうぞ」
HADにシグナルをだした。意味はないかもしれないが、趣味である。赤のシグナルがつき、カウントしていく、そしてブラックアウトするとともに、機体は一気に引かれアフターバーナーによる加速とともに空へ舞い上がる。
変則編成であるわが部隊は防空圏の一番外側にそれぞれ分散して他の小隊と共に配置されている。侵入する敵機にいち早く対処するための配慮である。
「目立った変化はないか」
(そうね、変化があり過ぎるのも困りものだけど)
「だな」
隊長である、中嶋達也(コールサイン「アルト」)大尉の担当空域のレーダー感度は65%前後。一応、艦隊全域のレーダー感度を確認しておこうと思念通信で一つ内円の電子戦士の山下一貴(コールサイン「スフィア」)に簡単なレーダー感度マップの作製を命じた。
数分後、レーザー通信でデーターが送られてきた。
「早いな」
(そうね)
特に感度が低い場所もなく・・・・
「こちら、レイブン。敵機侵入、迎撃に移行する」
隊長の弟である、中嶋明(コールサイン「レイブン」)の担当する空域の方にきたようだ。
「あいつ、平気かな」
(ラフィールが付いているから、問題ないと思うわ)
「ならいいが」
暴走しやすい弟を持つ兄は苦労するものである。
「こいつら、沖縄で戦ったFX−10より速い」
(マスター、敵の動きが読みにくい)
進入してきた、敵機は4機で楽かなと思い明は手こずっていた、TAで無人機に対する今までの戦闘データーから作ったプログラムを入れてみたが、基にするデーターがあまりにも少なく効果は低いようだ。それに、ここで攻撃を受けている時点で、敵は空母もしくはサイパンないしグアムのどちらかだ。2機のうち、1機は簡単に落としたが
(マスター、敵機は無人機ですけど人間臭い機動をしている)
「本当か」
(はい、僅かですが癖みたいな機動をやっています)
後方につかれたので、後ろを取るべくジーザス機動から高度を一気に上げ、エア・ブレーキを開け強制的に減速させ敵をオーバーシュートさせたが、あまりにもきつく、意識を失うかどうかギリギリのラインで、ラフィールの手助けによってガンを叩き込むことに成功した。敵はきりもみしながら落ちて行った。
「撃墜2、ラフィール良い仕事だったよ」
(いつもどうりだ、それよりマスター深い追いし過ぎだ)
「悪い」
(その言葉を聞くのもこれで何回目ですか)
「カフェで朝顔スペシャル奢るから、それで勘弁してくれ」
(それで、手を打ちましょう)
明は、大急ぎで担当空域に戻った。戦後に分かったことだが、大和の艦砲で壊滅できたと思われたグアム島のUSAJ空軍基地だが、サイパン島に分散保存しといた予備の機材が無事で民間の飛行場でその機材を組み立て、そこから発進させたようだ。なお、無人機で人間臭い機動をしていた理由は、所属していた全パイロットのデーターをFX−10に入れた上でさらに詰めたデーターと対戦をさせていという。ちなみに朝顔スペシャルは超一品のアイスデザートで値段も相当掛かる。
その後、何事もなく終わり朝顔に帰還。定型文に近い報告書を書き、提出して仕事は終わった。
「終わった〜」
「疲れましたね〜」
土屋と山下が担当した空域は特に問題はなく終わったのだが、報告書を定型文で良いのか迷い隊長の達也に相談し、こちらも今終わったばかりである。
「フェイミンさんの中国茶、ほんと香りと味がいいね」
「それは、ありがとうございます。こんどはミリィさんの紅茶を頂きたいですわ」
女性陣はお茶を楽しんでいた。


達也のパートナーのレクシュが風呂からあがって部屋に戻ろうとしたとき、艦長の付島冨美子とばったり出会った。
「艦長、上がりですか?」
「そうよ、今終わったばかり疲れたわ」
「御苦労さまです」
「ありがと、これから一杯やるけど付き合う?」
「よろこんで」
艦内のPXで酒とつまみを買い、艦長の部屋で飲むことにした。乾杯の音頭をあげ、ここへ着ての感想や、所属していた基地の料理の味と朝顔の料理の味の違いなどの雑談で彼女達の夜は過ぎて行った。


なお会話の一部。


「いいわね、好きな人が近くいて」
「どうしたの、藪から棒に」
「なんか、貴方達がうらやましくて」
「そういう冨美子こそ、その綺麗な美貌なら、男の一人くらいいるんじゃないの」
「いるわ、けど彼イギリスなのよね〜しかも陸軍」
「はあ〜、そうなんだ。大変ね」
「そうなのよ」



あとがき
とりあえず、空母の一日はこんなものかと思い書いてみました、すみませんかなりほったらかしになっていました。冨美子大佐の愚痴は、勝手にこちらで作らさせてもらいました。



 2008/07/10:アイギスさんから頂きました。
秋元 「ペットの存在は、長期航行する外洋航行艦にとって大きな存在だ! とても癒される。勿論、病気対策もちゃんと受けなければならんが」
アリス 「……申請も必要です。……富美子大佐のお相手は──想像が付いていると思います」

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