第6機動外洋艦隊 -外洋機動艦隊IF-


3話
【鳳凰の咆哮】

後ろを向くとつなぎ姿の女の子がエリナと喋っていた・・・・・・・・


「あらぁ?見たところ、精神生命体のようね」
「聞いていたんだろ、どうせその聴診器で」
目敏く由紀の首に掛かっていた聴診器を疑った。
「ところで、坂本」
「なんだ?」
「あいつら、意気投合してるみたいだぞ?」
何か楽しい事でも話しているのか笑っている。
「へぇ〜、su-47の子だったの」
「そうです。で、マスターがあの人」
エリナが俺を指差すとその女の子が話しかけてきた。
「F/A-44Bfalconのレイナ、マスターがこれ」
「お前、主人をこれ扱いとは・・・・」
「いいじゃない、これでもアレでも」
つなぎ姿で少々言葉遣いが男っぽい
「機内でもこんな感じか?」
「最近の娘は、みんなこうだろ」
隣では、エリナとレイナに挟まれて悦に入ってる由紀がいた。
「カワイイ〜、このまま死んでもいい〜」
「由紀、言っとくけどお前の姉のにもMLシステム搭載してあるぞ」
「なら、まだ死ねない。早く3人揃わないかな〜」
話をしていると、本人が来た。
「由紀にエリナに渥美、坂本・・・・・って、誰この子」
「坂本の精神生命体だそうだ」
「F/A-44B falconのレイナです。いつも情報ありがと」
「いいな〜、私の何にもないの〜」
「エリナ、確か前に精神生命体が目覚めているなら会話ができるって言ってなかったけ?」
「はい、確かにできますが、マスターである者とその従える者しか聞こえません」
美紀がさらに落ち込んだ。
「差別よ〜、私の子なのに〜」
「喋った事は、伝えるから安心しな」

〜鳳仙花・下段格納庫〜9月29日、時刻午後10:12
「さぁ〜て、どんな子かな〜」
「機体名は、JE-1 セントラル・HONOKAだけど」
「ほのかね。では、ご対面〜」
機体に手を当てて問いかけた。
<いるのか?・・・・・・いたら返事してくれ>
<同じ精神生命体です。怖がらなくても大丈夫>
少し待つと声がした。
<怖い?なにそれ、寂しいだけ>
<どうして寂しい?>
<マスターは、きずいていないけど敵機や敵艦が潰される瞬間の声が聞こえて・・・・ただ怖がる声だけならまだいいけど・・・>
<いいけど?>
<ノイズなしでクリアに死ぬ瞬間の人の声が頭に残っていて・・・・>
<精神生命体は、みんなそうなのか?>
<マスターも私の存在にきずけば、聞こえるんだけど>
一度会話をやめて話した事を美紀に伝えた。
「人の死ぬ声が聞こえる・・・・・・エリナやレイナにも聞こえてるの?」
「はい、聞こえると思いますが私が気がついてまだ、無人機しか落としていないので」
「私には、一度だけ聞こえた。クーデターが起きて出撃した時、一機だけ無人機じゃないのがいた。それをマスターが落としたときに
脱出できなかったんだろうね・・・・・とても嫌な声が聞こえて消えた瞬間に敵機が爆発してた。」
「いたのか・・・・・無人以外にも・・・・・・・」
坂本は、すこし悲しそうな顔をしていた。
「レーダーにも、TND-ADV-54の機影しかなかったけど・・・・」
美紀がそういうとまたエリナがJE-1 セントラルに手を当てて再び話しかけた。
<クーデターが起きた時の事、覚えてますか?>
<すこしだけなら>
<無人機以外にもいましたか?>
<いた・・・・輸送機がね、小型で一応はステルス機能があったみたいでけど・・・・つけていなかったみたいでF/A-44B Falconが間違えて撃墜したみたい・・・・二人乗っていて一人は脱出できなかったけど死なずに済んだみたいで、もう一人は積荷の固定中でまともに爆発に巻き込まれたみたい>
<そうですか・・・・>
<でも、こういうことは戦場では付き物だしね。少しは、前向きに考えよう>
ホノカが前向きにことを進めようとしていると、不意にアラートが鳴り響いた。
[安田よ!艦のプログラムをのっとられた模様!どこか動く箇所があったら報せて!]
のっとられる・・・・・・と言う事は、この近くに母艦があるはずなのだが詳細が解らない
そのころ、艦橋では大騒ぎだ。
「舵はきくか!」
「完全にのっとられました!」
「通信機器は!つかえるか?!」
「使えません!」
この状況で進行方向を変えられてしまうと大惨事になる。
「発光信号を全艦に送れ、内容は「我が艦は、プログラムをのっとられた。他の艦にもまわせ。また、そちらの状況を報せろ」と」
「自分は、その技術を習得しておりません」
「だれかいないか!」
「この老兵を忘れられちゃ困る」
そこには、大泉がいた。
「発光信号だぁ?若いモンには、任せておけんな」
「頼んだ。まず、発炎筒を焚いてから信号を送ってくれ」
「わかった。」
大泉は、一番近い同型空母「瑠璃菊」に送り始めた。

同型空母「瑠璃菊」艦橋、9月29日 時刻午後11:32
「艦長、鳳仙花から発光信号が送られてきています。」
「ん?なんといっている」
「「我が艦、のっとられた。舵がきかない。そちらの状況を同じ方法で報せろ、又、他の艦にもまわせ」といってます」
「全システム、チェックしろ」
「全システムをチェック、アイ・サー!」
瑠璃菊のすべてのプログラムがチェックされていく・・・・・
「全システム、異常なし!」
「鳳仙花へ返答!「我、異常なし、できる限りの支援をする」と」
「アイ・サー」
すぐに艦橋から鳳仙花へ電文が送られる。

「鳳仙花」艦橋、同日、時刻11:41
「瑠璃菊から、返信が来たぞ」
「何と言っている」
「「我、異常なし、できる限りの支援をする」とのことだ」
この船だけ狙うなら、最初から艦隊で攻撃をすればいいものを・・・・・・
しかも、民間船なら簡単にハッキングされてもおかしくないが、軍の最高技術の塊に挑めるハッカーは、限られている。
「戌亥などはどうだ」
「まだ、返答は無いようだ」
気がつくと瑠璃菊が全機発進させていた。そのうち一機がこちらに着艦しようとしている。
「なんだ!?着艦する気か!」
安田が気がつくよりも早く、デッキクルーが気がついた。
「おい!アイツを着艦させろ!」
明かりの少なくなった甲板に見事、着艦した。

「鳳仙花」デッキ、同日、時刻11:47
「こちら、瑠璃菊所属、フリードックの大竹 優少尉です。システム復旧と大北艦長から重要書類を任されました。」
コクピットからすぐに20歳代の男が降りてきてデッキクルーと話している。
「あれが、フランカー・ゼロか〜」
「渥美、エリナちゃんがさびしそうに見てるぞ」
坂本が茶化すとこちらもレイナの怒った顔が見えた。
「そちらさんは、殺されるかもよ」
「え?」
坂本が振り返るとそこには、今にも襲ってきそうなレイナがいた。
「れ、レイナ?ただ、渥美をからかっただけで・・・・」
「言い訳なんて聞かない、後でお仕置き」
「エリナ、ただフランカー・ゼロを見たのは、久しぶりだから見とれていただけで」
「そうなんですか?」
意外とエリナは、普通だ。
その時、ゼロのノーズギアからエリナが実体化する時と同じ光が降りてくる。
「あれもMLシステムを搭載してるのか・・・・」
実体化した人影には、獣のような耳と尻尾があった。
「犬?猫?それとも獣人?」
「猫だな、あれは」
艦長やクルーには、悪いがパイロットにはのっとられていると言う危機感が全く湧かずそれどころかいつも、危険なところにいるせいかこういう危険は、反対に落ち着く
大竹が気がついたのか近づいてきた。
「お前ら、危機感がないのか?」
隊員と間違えて話しかけられてきた。間違えても仕方ない、デッキクルーのヘルメットなどで遊んでいたからだ。・・・・もうこちらは、名前も階級も聞こえた・・・・中尉が3人少尉が2人・・・・・
「大竹と言ったか、瑠璃菊では中尉にそう話しかけているのか」
「おまえっ、デッキクルーの癖におかしなことを言うな」
大竹の目には、全く肩の階級章と部隊マークが見えていないようだ。
「お前、俺の肩が見えないか」
指摘され、俺の肩を見て敬礼し誤りだした。
「ち、中尉、無礼なことを言ってしまって失礼しました!」
「ま、気にはしてないんだけどね」
「はぁ・・・・・」
大竹は、怒鳴られたり叱られると思っていたようだが俺は、教官のように細かく言わない
「あ、ちなみにこの二人も中尉で、この二人が少尉」
「坂本 勇太中尉だ。F/A-44Bfalconが搭乗機」
「山本 美紀中尉。JE-1 セントラルが搭乗機」
「で、俺が渥美 翼中尉だ。搭乗機はsu-47Berkut」
「大竹 優少尉です。搭乗機はsu-37jk フランカー・ゼロです」
ロシアンブルーのような猫耳と尻尾がついた女性が機体のノーズギアに寄りかかり腕を組みながら主人を待っている。
「あの子が、精神生命体のアイリスです」
「まあ、耳と尻尾でわかるけどね。ちなみにこの二人右から、エリナにレイナだ。二人とも精神生命体」
大竹が時計を見て、焦りだした。
「あ、すいません。そろそろシステムの状況などをみないといけないので失礼します」
ビシッと敬礼をしすぐに中に入るが、アイリスは後について行かなかった。
ずっと寄り掛かったままで動かない・・・・・と、エリナとレイナが近寄って行く
「どうしたんですか?」
「待っているだけ・・・・・・・」
素っ気無い返事にレイナが猫特有のつぼをついた。
「猫とかは、首や耳が弱点〜♪」
さすが、坂本の精神生命体だ。飄々ぶりはコピーしたように残っている。
「あっ、そこはっ・・・・・・・ふぁ〜・・・・・・」
アイリスの尻尾が垂れて頬が赤くなり顔が緩んだ。
「ふぁぁ〜・・・・・だ・・・・め・・・・・」
だんだん気が緩んできている。
「そろそろ、やめよ」
「はぁ〜・・・・」
完全に緊張感が無くなり和んでいるエリナとレイナ、だがその時間は長く続かなかった。
「全クルーへ、レーダーと一部の火器が使用可能になった。ただちに全機、上がってくれ」
「エリナ〜、出撃だぞ〜」
「あ、はい。マスター」
「やれやれ、いつまで遊んでいるやら・・・・レイナ、行くぞ」
「へいへい、またね〜いつでも耳と首、触ってあげる」
アイリスは、顔が真っ赤だが仕草は変わらない
「どうかしたのか?アイリス」
大竹が戻ってきて聞いたが「ただ、恥ずかしい事があっただけ」としかいわない

「鳳仙花」上空2000ft

[こちら、バルセムコントロールだ。全機、上がったな]
[子猫ちゃんよ〜、付近に艦影ない?]
[とくに、無し・・・・それと子猫ちゃんは、やめて]
[なんで?]
[野生的な猫って意味だから]
[ホワイトナイト、ワイルドキャッツ、私語は慎め]
いきなり聞きなれない声がした。そして前方に瑠璃菊からの機体か知らないがJE-1セントラル4機が高度と速度をあわせて飛んでいる。
[こちら、瑠璃菊所属、スカイアイ隊長、西川 亮太少佐です。鳳仙花と戌亥の護衛に来ました。]
[バルセムコントロール、安田 舞大佐だ。現在、鳳仙花はレーダー及び一部の火器が使用可能だ。戌亥の護衛に向かってもらいたい]
[スカイアイ・リーダー、了解]
[少佐だろうがなんだろうが、この艦はいつもこうだってのに・・・・]
[二回目だ、ナイト・リーダー。私語は慎め]
[ナイト・リーダーは、索敵中で応答できません]
[ふん、落ちても助けてはやらん]
[頼れるパートナーがいるから落ちませ〜ん]
なにやら水面に気泡が上がってきている・・・・・・次の瞬間、ミサイルが発射された。
[バルセムコントロール、警戒しろ通常弾頭とは違う]
安田の読みは、当たった。高度2000ftで爆発、炸裂した。炸裂した破片の中から一瞬にして直径、1cmほどの鉄球が出てきた。
[全機へ!3000まで上れ!]
[スワロフ・スリー!左翼に被弾!]
[ナイト・フォー!右翼とキャノピーに当たった!]
ワイルドキャッツは、3700ftにいたため無傷だ。
[なんて、弾頭だ。こんな広範囲を攻撃できるなんて・・・・・]
[やばいぞ、鳳仙花に飛ばされたら終わりだ]

「鳳仙花」艦橋、同日、時刻11:56
「艦長!ソナーに感あり!これは・・・・・・潜水艦です!」
「全艦、対潜戦闘準備!」
「スワロフ・スリー、ナイト・フォーが帰艦します。被弾しています。」
「全機、帰艦させろ。」
「ソナーに突発音!魚雷です!数は2!迎撃不可能!」
特殊弾道ミサイルを装備し撃って来る・・・・・どれだけの大きさなのだろう
「回避!」
「間に合いません!」
「総員!手近な物につかまれ!」
一気に衝撃が艦内を揺らす。
「損傷状況を知らせろ!」
「浸水箇所無し!照準が甘かったようです。」
「全機、帰艦を確認」
「ホワイトナイトに対潜装備を搭載し再出撃!」

「鳳仙花」から約120キロ上空・・・・・・
「システムを再起動」
「ウィルコ、システム再起動」
「再起動を確認」
「総員、衝撃にそなえよ・・・・鳳仙花へ通達、「こちら実験機、鳳凰。斜線上からの退避を願う」と」
「ウィルコ」

「鳳仙花」艦橋
「艦長、不明機から通達です。「こちら実験機、鳳凰。斜線上からの退避を願う」と言ってます。」
不明?・・・・・レーダーには、確かに自軍艦隊と所属不明潜水艦しか移っていない・・・転送されてきた地図には、潜水艦より直径20キロに斜線が引かれていた。
「地図どうりに退避しろ」
「艦長!不明機の指示どうりに動くのですか?!」
「仕方ないだろう、今は一つでも戦力が多いほうがいい。機関最大!斜線上から退避!」


「鳳仙花」から約120キロ上空・・・・・・
「鳳仙花、以下艦は、斜線上より退避しています。」
「システムの最終チェックを済ませろ」
「ウィルコ」
指揮官らしき男が次々と指示を出す。
「全艦、射線上から退避を確認」
「システム、オールグリーン」
「照準!敵潜水艦」
「照準、敵潜水艦。ウィルコ」
「発射準備完了」
「テーッ!」
ーーーーーーブォン!!・・・・・・・・
機体の下に取り付けられた巨大な砲口から青紫の閃光が走った。

「鳳仙花」艦橋、同日、時刻00:21
[なんだ!?あの光は!]
[空が光った・・・・・]
閃光は、水中に消えたと思うと凄い水柱が立った。
「艦長!敵潜水艦に命中!浮上します!」
浮上してきた潜水艦はとても大きく鳳仙花並みで艦載機があるのか艦載機を発進させ始めた。
「敵艦載機の発進を確認」
「ホワイトナイトを呼び戻せ!対艦装備に変えろ!帰艦を確認後、全機発進!」
甲板に居たクルー達にもよく閃光が見えた。
「何だろう、さっきの閃光は」
「さぁ、敵の新兵器じゃない事を祈ろう」
デッキクルー達も少し動揺しているようだ。
「話してねぇでさっさと作業しろ」
大泉が甲板に出てきて整備兵に怒鳴る。
「おう、さっきの光は何なんだ?」
艦橋にいた大泉なら知っているだろうと思い聞いてみた。
「俺もよく知らんが、敵のモンじゃない事は確かだ。」
システムのハッキングの次は、新兵器かと思わされるくらい速い展開だ。
「艦長の安田だ。さっきの閃光は、付近を飛行していた試験機「鳳凰」からのレーザー兵器での攻撃だ。」
レーザー・・・・・・ゲームの世界だけの物と思っていたが実際に見ると驚いてしまう
「各員、動揺せずに作業を進めてくれ。作業が終わり次第、全機出撃!」
ホワイトナイトが装備を換装して再び空へ上がる。
「さて、俺たちも上がるか」
「はい、マスター」
デッキに機体が上げられカタパルトまで誘導される。
いつものように進行方向を指され射出される。

同日、敵潜水艦付近上空2000ft・・・・・
もうさっきのような特殊弾頭の脅威は無くなった。炸裂予想高度を上回るところに居るのだから
「エリナ、敵の射出した機種わかる?」
<解りません・・・・・小型ようです。>
正式な軍の潜水艦を奪ったならそれなりの機体は格納してあるはずだが・・・・・
[とにかく、制空権を確保する。スリーの穴は、旨くカバーしろ]
前方に小型の機体が見えた。
[ツー、エンゲージ]
[フォー、交戦]
[ファイブ、交戦]
何か、今までの無人機とは違う感じがした。
[ナイト・リーダー、これより本体を叩く。全機、ASM2準備]
<ほい、モーニングコール>
敵も攻撃を察知したのかレッド・スワロフと交戦中の3機をこちらに回してきた。
[あぁ!五月蝿いハエが入り込んだ!攻撃中止!攻撃中止!]
<ちッ!>
[おおっと、お前はコッチのおもちゃだ。フォックス・ツー!]
スワロフ・ツーが一機落としたおかげで2機は、ツーに張り付く
[よし、今のうちに再攻撃だ。]
<潜行されないよな、マスター>
[わからん、可能性はないとは言い切れない。急ごう]
ドンドン接近しロックしかけたときに再び特殊弾道ミサイルが打ち出される。
[嘘だろ!全機!上昇しろ!]
[クソッ!]
ホワイトナイトが苦しんでいる時、また空が光った。
[またか!]
今度の目標は違う・・・・・飛行中のミサイルを貫いた。爆発はしたものの、例の金属片は飛び散らなかった。
[コッチには、あのレーザーがある!全機、元の位置にもどれ!]
少し、上ったせいで上空からの攻撃になる。
[エイエスエム・ツー!]
合計3発の対艦ミサイルが潜水艦に迫る。
1発は、左舷前方にあたりもう2発は、マストに当たった。
攻撃にもうこれ以上耐えられないのか潜行準備をし始めた。
[潜行される、次の浮上を待とう]

同日、潜水艦「フォルツァート」
音楽用語で特に強くだ。
「ダメコンいそげ!」
「潜行し、さっきのレーザーの出現付近に行け!」
「アイ・サー!」
コントロールパネルには、左舷2ブロックとマスト1ブロックが浸水している。
「USTの準備まだか!」
「あと、1分です!」
《Uniqueness Shot Trajectory Missile》特殊散弾弾道ミサイル・・・通称、USTミサイル、日本からアメリカまでは射程圏内だ。
アメリカが極秘裏で試験製造していた物だが、ハワイで極秘実験のために5発持ち込まれていたすべてを奪取された。
「この、USTを東京に落とせば我々の勝利だ。」
「でも、アリューシャンの方がミスんなければの話よ。」
周りで全クルーが慌しく作業をしているのに艦長の隣で座っている一人の女性が冷たく答えた。
「ネイ、冷たいな。ミスなどありえない・・・いや、あってはならないのだ。」
「レーザー出現海域に到着、レーダー及びソナーに反応なし」
「よし!焙り出してやろう。UST発射準備!」
「ダメです!先の攻撃で潜行発射できません!」
マストに、当たったミサイルが致命的だったようだ。
「うむ・・・・付近に機影は!」
「ありません!」
「よし!浮上し即座に発射!炸裂高度、4200ft!」
「浮上の後に高度4200ftで炸裂、アイ・サー!」
「簡単すぎる・・・・・浮上をやめたら?」
確かにネイの読みも正しい、先ほどから上空をうろついていた機影が急になくなったからだ。
「簡単なのがいいのさ!総員、心してかかれ!」

同日、潜水艦「フォルツァート」上空、300ft
[全機、海面に擦るなよ]
F/A-44B falconの特化したステルス性で海面擦れ擦れの高度を保っている。
慎重に飛行していると瑠璃菊所属のパイロットの会話が聞こえた。
[よく見ておけ、あれがエースの飛び方だ。]
[超低空であんな固まっての編隊飛行なんて・・・・神業だ・・・]
隣を見るとナイト・ツーが肩をすくめて見せた。
少しすると潜水艦が浮上してきた。
[よし!全機!1000まで上がって攻撃開始!]
<よ〜し、今度こそ沈んでもらう!>
[エイエスエム・ツー!]

同日、潜水艦「フォルツァート」

「今まで何処に居た!迎撃!!」
「ダメです!迎撃追い着きません!」
「ほら、言ったとうり。浮上しないほうが良かったじゃない」
ネイは、レーダーから不自然に消える機影を不審に思い発言したようだが、もう遅い
「くッ!沈む前にUSTを撃て!その後、総員退艦!」
「アイ・サー!」
ミサイルが飛び立ち、マストに白旗がくくり付けられた。
そう、”投降”一斉に海上に救命ボートが広がる。

「鳳仙花」から約120キロ上空・・・・・・
「くそ!回避!」
巨大な機体が、バレルロールしなんとか回避したように見えた、がココからがUSTの恐怖だ。
「ミサイル炸裂!破片が機体に刺さります!」
離れていてもその爆発が見えた。太陽が降って来たような光が辺りを包んだ。


同日、潜水艦「フォルツァート」付近上空
「なんだ?あの光は」
<いや・・・・・聞きたくない・・・・>
「エリナ?大丈夫か?」
<聞こえた・・・・人が死ぬ刹那の声が・・・・>
辛いだろう・・・・自分は、少しでもエリナの気持ちがわかる。陸軍の頃、周りは銃声と悲鳴などしか聞こえない
よく酷い光景を見たものだ。横を見ると死体・・・・しかも腕が片方なかったりしていた。
「エリナ、俺も聞いたことがあるからお前の気持ちがわかる・・・・大丈夫、大丈夫だ。」
<マスター、早く平和が来てほしい・・・・・もう二度と聞きたくない・・・・>
「エリナ、試練だろう・・・俺たち軍人達に与えられた試練だ。これを越えた時、真の平和が来る。」
<はい、耐えましょう。真の平和が来るように・・・>
下を見るとフォルツァートから脱出したクーデター軍兵士の乗った救命艇が浮んでいた。
[スワロフ・リーダーからバルセムへ、敵潜水艦からの救命艇が6隻居ます。]
[バルセムコントロール、了解した。ヘリを向かわせた。]


〜鳳仙花・自室〜9月30日、時刻午前2:10
「ああ〜、疲れた〜。」
「そうですね。」
俺はおもむろにCDラックに入っていた一枚のCDを出してきて流し始めた。
「何しているんですか?」
「一度エリナに聞いてもらおうと思っていたんだ。世界の平和を願って、ある女性歌手が歌った歌だ。」
聞いてみると一部英語で歌われており少ししか解らない
「世界中で流行っている曲だよ」
「そうなんですか、結構いい曲ですね」
まだ、2時頃だ。結構疲労で眠いがいつ警報がなるかわからないので仮眠程度しか取れない
「今日は、俺にとって特別な日なんだ。」
「なんですか?特別って」
「誕生日だ。今日で24になる。また、決意の日でもあるんだがな」
「決意の日・・・ですか」
そう、9月30日は、俺の誕生日であり決意の日でもある。
ちょうど13年前、爆破テロで父を亡くして兄が重傷で右足が切断された。
俺は、そのとき一緒に家族で誕生日を祝いに来ていた。
「13年前に家族で誕生日を祝ってくれる事になったんだ。大きなデパートでちょうど11時ぐらいかな、急に停電が起きたんだ。
少しすると階段から武装した、クーデター軍兵士が出てきて警備員とかを殺し、制圧して爆薬を仕掛け始めたんだ。」
かなり大きなニュースになったのでこの日は、クルーみんながあまりそういう関係の話をしないように気を使ってくれている。
「父が、爆薬の設置を阻止しようと一人の男に飛び掛った時に頭を撃たれてね。即死だったんだ。そのせいで設置作業していた男がミスをして爆発させたんだよ。兄は、鉄骨に足を挟まれて母と俺は、ショウケースのおかげで無傷で生き残った。」
「マスター、泣かないで下さい。私が隣に居ます。もう誰も大切な人は死なせません」
「泣いてなんか・・・・いないよ」
自分ではきずいてなかった。涙が流れている事に・・・・・・
「そのとき誓ったんだ。もう戦争なんて起こさせない、自分で阻止しようと・・・・そして軍に入った。」
「がんばって、戦争をなくしましょう」
「ああ、もう父のような犠牲を出したくない」
そのとき、艦内放送で呼び出しを食らった。
[あ〜あ〜、大泉だ。至急渥美中尉は、食堂に来るように!また、クルーの誰かが発見後逃走し場合は阻止しろ、連行してきた者には褒美をやろう]
「マスター、何か悪い事しました?」
「いんや、少しテンションが低かっただけで・・・・なんだろ、とにかく行ってみるか」
「はい」

同日、食堂「鳳仙花」室内、時刻午前2:20
「なんすか?」
「何ですかじゃねぇ、今日の昼頃には横須賀に入る。」
「知ってるよ、何で呼び出した。」
テーブルの上には、艦内の図面が置いてある。
「物資の積み込みで毎度お馴染みの例のモノが密入国来るだろう」
「もしかして・・・・例のアレか!?」
そう、例ののアレとはネズミ・ゴキブリ等の事である。それぞれのコードネームは、ネズミがアイトでゴキブリがオルトだ。
「今回の掃討目標は、オルトだ。その次にアイトだ。」
今回で21回目になる。港に入るたびに警戒態勢に入る。そして出港1日前になると臨戦態勢になる。
「俺は、とうとうやったぞ。新兵器を開発した。見てみろこのケースを」
ケースの中には、固形状の餌が入っていた。
「なんだ?これ」
「誘引型オルト捕獲装置だ。この装置には両面テープ式とネズミにも対応可能な縦穴式がある。」
縦穴式は、コンテナの隙間に傾斜の緩い山を造り中心部に設置するタイプだ。
「だが、両面テープのほうが確実に捕れる。」
「その前にアイト掃討には、艦長の許可が要るんじゃなかったの?」
そう、アイトの掃討には艦長の許可が要る。19回目の時、ハムスターが敷設型機雷にかかっていた。
そのハムスターは、デッキクルーの癒しの動物だった。ハムスターは、重傷(毛が抜けて少し血が出ていた)で20回目で試作型縦穴式の餌食となり戦死した。今度、上陸した時に艦長が基地に迷い込んでいたと言う犬を貰い受ける事になっている。
「それがだ。なんと徹底的にやってくれとの令状がでたのだ。」
「で、いつも空で格闘している者を陸でカブトムシモドキを殺せと?」
「そうだ。いつもどうり武器はある。オルト撃滅用スプレーに新型地雷と敷設型地雷だ。」
「なんか用か?」
坂本ペアと美紀が入ってきた。
「もしかして、また掃討作戦なの」
「ご名答」
「私、帰る」
「なんで」
あんな、気持ち悪いのは男だけで殺してくれればいいのだ。想像しただけでおぞましい
「なんなの、これは」
「レイナ、ゴキブリ知ってるか?」
「ああ、あのカブトムシね」
「カブトムシじゃない。まず、角がないだろう」
「じゃあ、メスのほうで」
レイナにとっては、黒い・羽がある・夜行性この三拍子が揃うとカブトムシのメスになるようだ。
「さて、まず部隊を分ける。渥美ペアと俺の部下、6人で構成したA班、坂本ペアと俺の部下5人で構成したB班、そして俺と残りの者でC班を作る。それぞれの部隊に通信機材と一人に一つずつOGスプレーを配備する。地雷は、各種5個各班に配る。」
OGスプレー・・・・オルト撃退スプレーをローマ字読みしたものだ。
「よし、装備をチェックしろ。確認後Aは、食糧関係を徹底的にやれ。Bは、居住区をやれ。そしてCは、下段格納庫だ。繁殖量が多い場合は、ガスの散布を許可する。全部隊、戦闘準備!」

同日、横須賀港、第二ドック時刻午後2:47
戌亥は、損傷が酷いため第一ドックに回された。
艦長は、報告と例の犬を引き取りに司令部に向かった。


食堂「鳳仙花」キッチン 同日、時刻午後2:50
「まずは、索敵だ。痕跡も見逃すな」
「アイ・サー」
壁と調理台の隙間などくまなく捜索をしていた時、エリナがある物を見つけてしまった。
「マスター、この茶色い塊は何でしょうか?」
「ん?・・・そ、それはっ・・・エリナお手柄だ。」
「おお!阻止できたぞ」
エリナは、この塊が何か解らない様だ。
「マスター、これは何でしょう」
「オルトのたまごだ。切り離されてまだ時間がたっていない・・・袋をもってこい、密閉型のだ。」
袋の中にそのたまごを入れるとOGスプレーのノズルだけが入る隙間をつくりその隙間から薬剤を散布し密閉する。
「このまま棄てれば、出てくるとガスの充満した中に出て一瞬で死ぬ」
「発見が遅れれば、手遅れだったな」
「残りがないか捜索しろ」
再び捜索が開始される。
「こちら、異常なし」
「こっちも、異常なしです。」
「ふむ、もうない様だな。地雷を全種類3個ずつ設置しろ」
「アイ・サー」
設置が完了しこの部屋を後にする。

「鳳仙花」居住区、同日 時刻午後3:14
「そっちに一匹行ったぞ!」
「殺せ!そこだ!叩け!」
コッチでは、繁殖が進んでいたようだ。
居住区には、女性も多いので速くやってしまわないと苦情が来る。
「レイナ、大丈夫か?」
「このやろっ、隙間にはいるな!」
「そういうやつにはこれだ。」
坂本が取り出したのは、OGスプレー用の狙撃型ノズルだ。
「よぉ〜し、覚悟しろ」
レイナが大量に噴射すると4匹ぐらい出てきた。
「踏め!レイナ!」
「ふ、踏む〜!?靴裏は、誰が洗うんだよ!」
「自分がやります!」
そういうと近くにあった布で厳重に包むと床において踏みつけた。
「よく殺った。」
「さすがに生だと気が引けます。」
「この様子だと、結構繁殖してるな・・・・前の時の生き残りか?」
「生き残りとなるとガスの散布を行ったほうが良いのでは?」
ガスとは、害虫用のスプレーで床において踏むタイプだ。
「そうするか、2個もってこい」
「アイ・サー」
床に置くとレバーを踏む、少しすると霧状のガスが出てくる。
「ドアを全部閉めてから出ろよ」

下段格納庫 同日、時刻午後3:25
「アレは、まだ見てないな」
「ああ、まだ見てない」
大泉は、オルトが嫌いだ。見た瞬間に気化爆弾を使ってもおかしくない
一度だけ、格納庫に出てしまったのだ。それを見た瞬間に大泉は、護身用のグロウ・オービターHHG9を取り出して
オルトに向けて発砲。幸いミサイルなどには当たりはしなかった。
「もう、銃を撃つのはやめてくれよ」
「この場所にいなかったらな」
隅から隅まで探したが痕跡もなかった。
「安心しろ、例のモノはいない」
「ならいい」
地雷を設置し退却した。

「鳳仙花」デッキ、同日、時刻午後3:34
「新しいクルーだ。」
艦長が例の犬を連れてきた。犬種は、ラブラドール・レトリーバーの黒でメスだ。
「一般的な犬種だな」
「かわいい〜、私たちが世話していい?」
現れたのは、CICI担当の三姉妹の皆瀬 由香と美香と冷香だ。
由香は、元気一杯で美香がおっとりしていて少し意味不明、冷香は名前に冷がついているように少し冷たくクールだがかわいい動物には弱い
「デッキクルーご要望の犬だ。主権はあちらにある。」
「な〜んだ。」
「い・・・犬、あぁ〜、カワイイ〜」
冷香が犬に抱きついた。
他の者はそれを無視し名前を考え始めた。
「名前は何にする?」
全員、一斉に悩みだした。
「整備クルーは、万丈一致でベルクートだ。」
「なんで、渥美の機体名から取ってるのよ〜」
「イヌワシってかっこいいから」
「他にない?」
整備クルーはベルクート、CIC三姉妹はセーラで他にも次々と各クルーが出していった。
上陸許可が出ていると言うのにほぼ全クルーが犬の名前をデッキで考えている。


ー艦長室 同日 時刻、午後3:42ー
艦長は、大の酒好きで秘かに棚の中にコレクションがある。
中でも大事にしているのは、1999年物のウォッカだ。これだけはまだ、未開封でとってある。
「あぁ・・・・飲みたい・・・・でも貴重だからな・・・・・うむ・・・・」
デスクに瓶を置いて考えているとノックも何もなしに青木が入ってきた。
「艦長!!」
いきなり入られて急いでデスクに伏せて瓶を隠した。
「・・・・何か隠されましたか?」
今日は、意外に目が鋭い
「い、いや。別に・・・・・・・」
「何か見られてはいけないものでも?」
「なっ、なにもない!で、ノックなしに人の部屋にはいってくるなよ」
「あ、すいません。あの、格納庫が凄い事に・・・・」
「凄い事?」
青木に連れて行かれた。

下段格納庫 同日、時刻午後4:10
「なんだ、これは」
そこには、機体の隙間や開いているスペースに卓球台が数台置かれていた。
「あ、艦長だ。」
「艦長〜、一緒に戦いましょ」
「艦長、これは先ほどの犬の名前を決めるための「第1回名づけ親決定戦」です。」
CIC三姉妹の冷香が解りやすく説明してくれた。
「青木、そこの拡声器をとってくれ」
近くにあった拡声器を受け取った。
「この場にいる全クルーに告ぐ!直ちにかたずけて持ち場に戻れ!従わない場合は、一週間のトイレ掃除を科す!以上!」
「え〜、艦長〜。少しぐらい良いじゃないですかぁ」
「私は別にいいと思いますがね」
青木までこの遊びに付き合うと言うのか
(最近、戦闘ばかりだったな・・・・たまにはこういう娯楽も必要か)
「訂正!続けてもよい!」
(私も甘いな。まあ、乗艦する度に酒を持ち込んでいるから言えないな)
チームは、計8チーム。CICチームにレッドスワロフ、ホワイトナイト、ワイルドキャッツ、整備クルー、デッキクルー、艦橋グループ、医務班だ。
「大会で4年連続優勝しているのだ。俺には誰もかなわない!」
俺は、中学の時に2年連続で高校で2連優勝した実績だ。
「マスターは、最強です。」
レッドスワロフの付けたい名前は、ニナだ。
「負けてられないわよ」
ワイルドキャッツは、ナナでホワイトナイトはレンなどなど・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


下段格納庫 同日、時刻午後5:10
「ふぁ〜・・・・・まだ?もう一時間よ」
隣では、青木が寝息を立てている。
対戦表には、この試合で決まるようだ。
レッドスワロフ対CIC三姉妹だ。
三人勝負で11点マッチ
渥美は、圧勝で由香が敗退
次にスリーの前永が勝負し敗退、美香が勝利
ツーの上田 冷次と皆瀬 冷香の勝負だ。どちらも冷たくクールと言う印象だ。
「負けて良いですか?隊長」
「ん〜、どちらでも」
ここで女性を泣かすのも気が引ける。特に上田は紳士で女性を泣かせる事を嫌う
「行くよ。ボケッとしてたら負けるよ」
「負けはしません」
両者とも初心者とは思えないほど強い・・・・
開始から10分、やっと決着がついた。
1対2でCIC三姉妹の勝利だ。
「で、なんて名前だ?」
「セレナ・・・でいいんだな、由香」
「待っていろ、今ドックタグを作ってやる。」
艦長の趣味その2だ。艦長の部屋には骨董品らしき物などがある。酒のコレクションが入っている棚の上に並んでいるタイプライターの隣にその機械がある。
「できたぞ・・・・・これでよし」
この瞬間、この艦に新しいクルーが出来た。

次回に続く・・・・・・・・



 2006/12/06:アルトマンさんから頂きました。
秋元 「ゴキブリ掃討作戦、躑躅じゃ恒例だぜ!」
アリス 「……しかもみんなノリノリです」

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