遅く起きた朝は

まだベットの中で

半分眠りたい

「日常2」
志野塚一尉の災難
飛龍瑞鶴

 カーテンから差し込む日差しが、私を白濁した意識から呼び覚ます。段々と明瞭になる五感が、彼が私の下に居る事を教えた。

彼の心地よい温もり

彼のしなやかな肢体

鼻腔を擽る彼の匂い

規則的なリズムを私に伝える彼の鼓動

そして、私の中にはっきりと彼を感じる

意識が完全に覚醒しかけると、昨夜の快楽の残滓が全身を駆け巡った。私は彼の頭を軽く撫で起き上がろうとするが、昨夜、彼の上で執った"戦闘行動"が激しすぎたようで、腰が言う事を聞かなかった。
「う、う〜ん」
私の下の彼が悩ましげに動く。彼が身をよじる度に昨夜の残滓がシーツを汚した。
 ゆっくりと彼の肩から脇腹にかけて広がる傷跡に、手を這わした。
彼が私を守るために受けた傷
私の騎士に成るきっかけに為った傷
 ゆっくりと舌を這わせると、彼は小さく呻いた。
 私は悪戯を思いつき。彼の頭を自分で言うのもなんであるが、豊かな二つの塊ので、挟む。彼の口と鼻を塞ぎ、彼が酸素を求め暴れだすのを待つ。
じたばた
 彼が私の胸の谷間でもがく。彼は私の拘束を振り切り、顔を空気中に晒した。
 「ぷっは。先輩何するんですか?」
 「朝はおはようよ、信也くん」
と、彼に微笑む。
「あ、おはようございます・・・ってそうじゃないでしょ、うぷ」
文句を言い出そうとした、彼の口を私の口で塞ぐ。こうすると、彼は大人しくなる。口付けを終えて、彼に微笑みながら言う、
 「おはよう。信也くん」
私を確かめるように抱きしめて。
「もう少し寝かせて」
「だ〜め。折角の休日だから、楽しまなきゃ」
 最も、もう少し時間が無ければ起き上がる事も出来ないのだが・・・
「さっきまで、楽しんでいたじゃないですか」
「それとこれとは違うの」
私は彼の顔に枕を押付けた。
「解りました。先ず、おしっこ」
「馬鹿」
彼は私の下から素早く抜け出し抗議を意図的に無視して、トイレに向かった。
彼が居た所に、私は全身を埋めた。シーツに残った彼の温もりを、私は全身で堪能する。私だけの秘密の楽しみ。彼の温もりが私の意識をゆっくりと白濁させていった。

トイレから出て。素早く着替え、寝室に向かったら。先輩がうつ伏せで寝ていた。
「先輩寝るんなら、僕も寝ますよ」
そう言いながら、布団に足を入れようとする。
「らめ〜信也くん。朝ごはん作って〜」
駄目だ、完全に寝惚けている。
 「朝ごはん。何にしますか?」
 「信也君」
これは、僕が作った物のなら何でも良いのか、それとも、僕を食べたいのか、判断に迷った。後者の方を願いたいが、お腹も空いてきたので、朝ごはんの準備を始めた。
自慢ではないが、これでも自炊暦は長い。悩んだ結果、パスタを作る事にした。鍋に火をかけ、沸騰を始めたら、パスタを入れればOKだ。
ピ〜ンポ〜ン
 ベルが鳴ったので、パスタを茹でるのを諦め。コンロの火を消す。素早くエプロンを外して、机の上に畳んで置く。
さて、この部屋を知っている人物を一瞬で思い出す。最も可能性の高い、加賀一尉は任務中で硫黄島付近なので除外。山本三佐と秋本三佐を筆頭とする。休暇中の飛行隊の面々が態々、冷やかしに来るとは思えない。訪問販売と辺りを付け、玄関に向かった。
この時の判断を後に後悔するのだが、神ならぬ僕は知る由も無かった。
「今、開けま〜す」
ガチャ
「久しぶりだな。信也」
「お・・・お父さん!?」
ドアの外に立っていたのは、僕、佐々木信也二等海尉の実の父。第一機動任務群司令。波木辰弥海将補だった。
「お父さん。なんでココに?」
「お前に大事な話が在ってな。山本くんに聞いたら、一発で場所を教えてくれたよ」
「そうですか」
「立ち話もなんだ。中で話そう」

「久しぶりだな。信也」
「お・・・お父さん!?」
チャイムが鳴り、来客を告げたが。私は加賀ちゃんじゃ無いことを耳にした途端、安心して、深い眠りに付こうとした。
彼女が来襲したら、私は窮地に陥るだろう。腰が言う事を聞かない上に、昨夜の快楽の残滓が全身に濃く沈殿して。私の中に信也くんの種子が大量に残留している状況では、彼女は確実に、何時ぞやの恨みを晴らさんと、私を責めて、責めて、責めぬくだろう。今の私にそれを耐え抜く力は無く。彼女の執拗な責めの前にして、簡単に堕ちる事は目に見えており。はしたなくお尻を振って、おねだりする自分の姿が脳裏に鮮明に映った。
彼女が来ないと解っただけで、私は幸せだった。信也君くんのお父さんなら、何も問題は無い。
そう、信也くんのお父さんなら、何も問題は・・・・・在る、大いに在る。
先ず、どう呼べば良いのか?『お義父さん』と呼べば良いのか?それとも『海将補』と呼べば良いのか?
いや、それ以前に私は全裸だ。こんな姿を"お義父さん"に見せる訳にはいかない。何か身に着けなければ・・・あぁ、下着類は既に洗濯層の中だろう。如何しよう。
不味い
どうしよう
隠れなければ
 結局、私の採った行動は。体を出来るだけ丸め、ベットの壁際に出来るだけ寄り、動かない事だった。

 「なんだ、綺麗な部屋じゃないか」
 僕は、全身全霊で父の侵入を防いだが、結局は、父の人格的迫力に負けて。父をリビングに通した。
 チラリと、ベットの先輩を見たが、知恵を絞ったらしく。丸まっていた。遠めには丸まった布団に見える。
 父と向かい合うようにテーブルに座り、父に言う。
 「で、大事な話とは何でしょうか?」
 「家の家系の"特殊な事情"については知っているな」
 「英国貴族のエドワード家と二世紀に渡る。血縁関係ですね?」
 「そうだ、幕末より続く。混血の歴史だ」
 ここで言われている。"特殊な事情"とは、幕末まで遡らなければならない。当時、幕府の旗本で在った。波木家の先祖は当時日本を訪れた。アーサー・エドワード公爵を攘夷派の侍から守った事でエドワード公爵との交流が始まり、意気投合した彼らはお互いの娘をお互いの家に嫁がせた。
 この時から、二百年もの長きにわたり、波木家とエドワード家の血縁関係は続いている。
 「で、英国の話を持ち出すからには・・・英国で、何か在ったんですか?」
 「ナイトになれ」
 「はい?」
父の言った事に理解が追いつかなかった。理解の後に、父の精神を疑った。
 「"この親父、遂に狂いだしたか"ってな感じで見るな。英国のマーガレットさんから、連絡があってな。エドワード家にナイト称号を継げる資格のある人間が居ないらしい。そこで、お前に英国に行って貰って、ナイトの称号を継いできて貰う。タッグ・ネーム『ナイト』だろ?名実共にナイトになれ」
 父は"行ってくれるな"と言う目で、僕を見た。
 「いいですよ。行きます」
 父は満足げに頷き。
 「お前、ネオ・ゼロ・・・いや、F-90のライセンスを持っているか?」
 「ネオ・ゼロですか。実験飛行隊に居た時に、試作のXF-90の時から乗っていますよ」
 ネオ・ゼロ―F-90は最後の90が示すととおり。1990年に自衛隊に共通配備された。垂直離着陸機である。機体は英国のハリアーをモデルにしているが、機体自体はハリアーより一回り大きく。また、F-2支援戦闘機と同じ炭素系の素材で機体を覆っている。
 性能は保証できる。そう、隊内での非公式な愛称『ネオ・ゼロ』が示す様に運動性能は良好だ。
 「英国で、F-90の試験を行うから。お前にF-90をフェリーしてもらう」
「ちょっと待って下さい。F-90の航続距離じゃ・・・」
「話を最後まで聞け。お前たちは、RF-14JSで第二航空任務群の「ひりゅう」まで飛び、そこでF-90に乗り換え、ベーリング海沖で発艦。途中、米空軍とNATO軍の空中給油機から給油を受け、ノルウェー沖の英空母「イラストリアス」に着艦。以上だ」
 「お前たちって、僕だけじゃないんですか?」
 本題でなく、言葉尻が気になって聴いてみる。父は驚きつつも楽のしげな顔をした。
 「お前の志野塚の娘を置いていったら。俺が殺されるよ。と、言う訳だ。良いかね、志野塚一尉」
 「は、はい!」
 父に呼ばれ、驚いて起き上がる先輩。当然ながら、全裸な訳で・・・
「きゃあぁぁぁぁぁぁ」
 「せっ先輩、何か着て下さい」
 僕は混乱して、机の上に畳んであった物を先輩に投げた。先輩は布団に包まって、それを着ているようだ。
ポン
父が僕の肩を不適な笑みを浮かべながら叩いた。
 「信也。お前が投げたのを何か、解っているか?」
 「え?」
「いやぁぁぁぁぁぁ」
先輩の悲鳴が再び響いた。
 「どうしたんですか!」
僕は慌てて駆け寄るが。
「来ないでぇぇぇぇ」
 先輩は喚き、布団を振り乱して暴れる。そうすると、布団ははだける訳で・・・
「え?」
「見ないでぇぇぇぇぇ」
先輩は布団を被って蹲ってしまう。被る前に一瞬見えた姿は・・・
 「エプロン?」
 先輩がその美しい肢体に纏っていたのは、エプロンのみ。俗に言う『はだかエプロン』だ。しかし、なぜ・・・僕が投げました。ごめんなさい。
 しかし、いやぁ〜。出でる所は出てて、引っ込んでいる所は引っ込んでいる。先輩の裸エプロンは気化燃料爆弾並みの威力が有りました。おかげで体の一部が狂い高ぶっています。
 「志野塚一尉。そのままで良いから聞いてくれ」
 父は別に気にも留めないで、淡々と話し続けた。先輩も布団から泣きそうな顔をちょこんと出して、こちらを見た。
 「志野塚一尉。どうだかな?新婚旅行の積もりで行ってくれないか?いや、いっその事、向こうの教会で式を挙げたらどうだ?俺も第一機動任務群の完全編成で駆けつけるかな。志野塚SF(自衛艦隊)主席幕僚も喜んで参加するそうだか・・・」
「「なな!」」
 直接『結婚しろ』と言われ、お互いにキョトンと固まってしまう。そこまでの事を考えていなかったので、余計に答えに詰まる。
 父は全てを知っているかのように笑い。困り果てている僕たちを見て言った。
 「ははは、冗談だ冗談。志野塚一尉行ってくれるかね?」
 「行きます」
 先輩は僕に微笑みながら言う。僕は微笑み返すが、直ぐに父を睨む。
 「性質の悪い冗談は辞めてください。寿命が縮みましたよ」
 「そう怒るな。日は高いが飲みに行こう。お前には、言わなければならん事が沢山あるかならな。志野塚一尉、信也を借りていきます」
 父は有無を言わさずに僕の肩を抱き、玄関に進む。助けを求めようと、ベットの方に手を伸ばしたが。
 「どうぞ、久しぶりの親子水入らずを楽しんで下さい」
 怒って居る時の笑顔を僕に見せながら、先輩は笑う。確実にエプロンの件で怒らせてしまったようた。
 「先輩〜ごめんなさ〜い」

信也君の悲鳴が完全に聞えなくなり、する事がなくなった。生憎な事に、腰は全く言うことを聞かず。暫くはベットの上で大人しくするしかない様だ。
 「寝よう」
 私は彼が帰ってきたらどう、責めて上げようかと考えつつ。意識を白濁させていった。



佐々木信也が彼女の元へ帰ってくるのは、翌日の明け方である。志野塚一尉の災難はまだ、始まったばかりである。
終わり


後書き+おまけ
 どうも、飛龍瑞鶴です。日常シリーズの第二作目になる「志野塚一尉の災難」を楽しんで頂けたでしょうか?エロが足りないと言う方は、此方まで。
おまけ その1
各キャラクター 技能集(S・A・B・Cの4段階で評価)

波木辰弥
階級 海将補
技能 操船技能A
   航空技能S
   砲雷技能B
   潜水技能C
海上自衛隊第一機動任務群司令。指揮官しては、戦闘に突入したら最後、刀折れ矢尽きてもなお絶対に引かない、闘将という意外に他に無い男である。しかし、外見的にはおっとりしており、部下からの信頼は厚い。現在、バツイチの航空作戦の鬼才。

佐々木信也
階級 二等海尉
タッグ・ネーム ナイト
技能 空対空戦闘技能 A
   空対地戦闘技能 B
   空対艦戦闘技能 B
   戦術偵察技能 A
   飛行技能 A
   運 S
航空護衛艦『ずいかく』所属第108戦術飛行隊のパイロット。父に波木辰弥海将補であるが、母親が離婚した為。別姓に為っている。
彼は第二次統一戦争時に11機の敵機を撃墜しており、彼の腕は保障できる。
志野塚智美
階級 一等海尉
タッグ・ネーム アテナ
技能 電子作戦技能 A
   航法技能 A
   航空管制技能 A
   飛行技能B
佐々木機後席のRIO(レーダー士官)で佐々木信也、個人にとっても。"この世で最も大切な人"で、防衛大学校での先輩である。

おまけ その2
第一機動任務群 完全編成時の編成図

旗艦 指揮通信護衛艦 「さがみ」
   航空護衛艦「ずいかく」「しょうかく」
   大型対空誘導弾搭載型護衛艦「いぶき」「ほだか」「あさま」「あそ」
   対空誘導弾搭載型護衛艦「ながと」「むつ」「いせ」「ひゅうが」「ふそう」「やましろ」
   大型打撃護衛艦「いずも」「やくも」「ときわ」「おとは」
   打撃護衛艦「みなせ」「あやせ」「はつせ」「あやせ」
   対空誘導弾搭載型護衛艦「ゆきかぜ」「はたかぜ」「いそかぜ」「うらかぜ」
   回転翼機搭載型護衛艦「あおば」「きぬがさ」
   汎用型護衛艦「あさぎり」「あまぎり」「せとぎり」「ゆうぎり」「くろきり」
   汎用型護衛艦「なゆき」「みゆき」「はつゆき」「あとゆき」「まつゆき」
   汎用型護衛艦「たかなみ」「おおなみ」「ゆきなみ」「はつなみ」「ながなみ」
   電子作戦護衛艦「あすか」
   電子情報護衛艦「はるか」
   補給艦「はまな」「びわ」「しこつ」「ましゅう」
   潜水艦「くろしお」「おやしお」「はつしお」「はましお」「うずしお」「たかしお」

真後書き(なんだそりゃ!)
多分、2004年最後の作品となる作品になります。
さて、現在の構想ですが。上記の設定も纏まって来たので、遂に長編小説を書き始めようと思っています。
それでは、新しい作品でお会いしましょう。
以上、飛龍瑞鶴がお送りしました。

2004/12/31 飛龍瑞鶴さんから頂きました。

 エロエロw(ぉ
 一応、ノーマル(ぇ)HPなのでこの辺が限度か? 直接戦闘描写はさすがにまずいですw いや、最近のアニメや漫画はかなりストレートな表現してますけどね(しかも年齢制限なしかよ


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