外洋機動艦隊外伝 〜鶴は不滅〜


機械鳥が空に飛び立つ時、彼女は目覚める

彼女は、戦うために生み出された兵器

彼は言う

彼女は、兵器ではない

誰がなんと言おうと俺は彼女を兵器としては見ない

彼女は人だ

しかし人は彼女を兵器だという

彼は言う

ちがう、彼女は……兵器なんかじゃない

俺は彼女を絶対に守る……






外洋機動艦隊外伝
〜鶴は不滅〜
第一話「目覚めのとき」




―二〇五三年九月二十四日午前九時二〇分横田基地格納庫―
今、格納庫には五機の機械鳥が眠っていた。
その内の三機にあるシステムの搭載作業が行われていた。
「なぁ、なにを搭載すんだよ、教えてくれたっていいだろう?」
先程から担当の准尉に聞いているこの男。
天川竜也(あまがわ たつや)という空軍大尉が、自分の機体に搭載しようとしているシステムの内容を聞こうとしている。
しかし、いくら聞いても准尉の答えは変わらず
「機密ですよ、大尉。」
これだ。しかしそれでも諦めずに、
「なぁ〜、だからなんなんだよぉ、少しくらいいいだろう?これは命令だ准尉。」
「軍機のため無理ですね、時が来たら教えますよ、大尉。」
「はぁ、分かった分かった。」
やっと、諦めたようだ。
こころなしか、准尉の顔に安堵の色が浮かんでいる。
「じゃあ、せめてシステム名だけでも。」
……前言撤回。
どうやら、まだ完全には諦めていないようだ。
「しょうがないですね、じゃあシステム名だけですよ。」
最終的に准尉が折れた。
教えることにしたらしい、まぁ、天川のことだから教えてくれるまで諦めようとはしないだろう。
言い忘れたが、准尉の名前は大和田幸樹(おおわだ こうき)という。好奇心旺盛な子供のようなシステム軍団の人だ。
「さんきゅ、准尉。」
「えー、このシステムの名前ですがね、このシステムの名前は『MLシステム』といいます。」
「『MLシステム』?なんだそれ」
「Machine Link Systemの略ですよ。」
「へぇ〜、でどういうシステムなんだ?」
懲りずに聞く。
「いつか教えますよ。」
やはり、教えてくれなかった。




―二〇五三年九月二十四日午後十二時半横田基地食堂―
「いったい、なんなんだろうな〜、あのシステム。」
あの後、さらに三十分ばかり問い詰めてみたが、教えてくれなかった。
トレーの上に生姜焼き定食を載せて、席に向かいながら天川がつぶやく。
「よぉ、どうしたんだ、竜也。そんな冴えない顔して。」
途中、横山浩之(よこやま ひろゆき)少尉にあった。
少尉と大尉という関係だが、それ以前に親友だ。
「そうですよ、どうしたんですか。隊長。」
山下貴史(やました たかし)少尉も聞いてくる。
横山は天川が隊長を勤める、``アストリア小隊``の二番機、山下は三番機だ。
「いや、システム軍団の連中がなんかよく分からないシステムを組み込んでいてね。
どんなシステムだか聞こうとしたんだが、教えてくれなかった。」
「そりゃぁ、どんまいだな。竜也。」
「そうですね。」
二人が、ご愁傷様というような顔で見る。
しかし、そこでふと竜也は思い出した。
確か准尉は二人の機体にも装備するって言っていたな。
「何言ってんだ、確かシステム軍団の准尉が二人の機にも搭載が決まっているので、二人の機にも搭載するって言っていたぞ。」
「「……それは本当(です)か?」」
二人が同時に聞き返してくる。
「あぁ、そう言ってた。」
「俺たちにまで……何故?」
「さぁ……?」
「まぁ、気にしないでおこう。」
「「そうだな(ですね)。」」



―二〇五三年九月二十四日午後4時半格納庫―
既に搭載作業は終わっていた。
もうすぐ、哨戒飛行の時間だ。
「さて、機体のチェックでもしますかね。」
そういって、エンジンチェックなどを天川は始めた。
「機体各部異常なしっと……、これかぁ、MLシステムっつうのは。……?なんだ?動いてないし動かせない、なんだ?」
なぜかシステムは動かない、疑問に思いながらも各部のチェックはおわった。
「まぁいいか、戦闘には関係なさそうだし。」
実際は関係大有りなのだが気にしないことにしたらしい。そんなことをしているうちに全員来た。
「なんなんだろうなぁ、このシステムって知ってるか?竜也。」
「俺に聞くな。知ってるわけ無いだろう……新庄、桐野、お前らは何かしっているか?」
新庄裕也(しんじょう ゆうや)少尉と、桐野純(きりの じゅん)少尉に聞いてみる。
新庄はクールな性格で結構、人気があるが、本人はなんとも思わないらしい。
「私に聞かないで下さい、隊長」
新庄は、全然知らない、とでも言いたげな顔を向ける。
「じゃあ、桐野お前は?」
桐野少尉に聞いてみる。
桐野は女性でかなり天然な性格で何も無いのに転んだり滑ったりといつも大惨事を起こしていたりするのは全くの余談である。
ちなみに、新庄が好きだったりするのも全くの余談だ。
「私は知りませんよぉ〜。」
かなり間延びした口調で喋っている。
天然な性格のせいか喋り方がスローだ。
「そうなのか?」
「そうですよぉ〜。」
「もし、そのシステムが無いばかりに俺と桐野が落ちたらシステム軍団の連中を恨みますね。」
新庄が全く、というような顔で言う。
「でもよぉ、今俺がチェックしてみたら全く動かないし動かせねぇぜ。」
「そうなんですか?」
「ああ。」
「ほんとだ、うごきませんね。」
隣で機体チェックをしていた山下が言う。
「だろ?全く、一体どういうシステムなのか。」
などと話をしていたら、整備長に
「お前ら哨戒だろ?行かなくていいのか?」
あわてて時計を見る。
そろそろいかないとまずい。
「もうチェックはすんでるんだろ?さっさと行ったほうが良いぞ。」
「やべっ。」
あわてて乗り込む。




―二〇五三年九月二十四日午後五時四〇分格納庫―
「エンジンスタート、EMS回転順調……点火スイッチオン。」
滑走路に出る。今日は晴れだ、レーダー感度84%、かなり高感度、珍しい日もあるもんだ。
「武装確認・・・R−27jk×2、R−73jk×2、増槽……オールクリア。」
『こちら、アストリアツー、オールクリア。』
『アストリアスリー右に同じ。』
『アストリアフォー右に同じ。』
『アストリアファイブ右に同じですぅ〜。』
「管制塔、こちらアストリアリーダー、全機離陸準備完了、離陸許可を。」
『こちら管制塔、離陸せよ。……いつもより少し遅いが何かあったのか?』
「いや、何も……テイクオフ!!」
すこし怪しまれたが、ごまかして離陸する。
まず最初に隊長の天川と横山が飛び立つ。
続いて、山下と新庄が飛び立ち、最後に桐野が飛び立つ。
いつもと同じ光景だ。
これから、約四時間にも及ぶ暇すぎる哨戒が始まる。




―二〇五三年九月二十四日午後七時五〇分日本領空高度一七〇〇〇m―
『暇ですねぇ〜。』
山下が言う。
『私は、眠いですぅ〜。』
『……。』
『……。』
「うるさいぞ、任務中だ。」
『はい。』
ちなみに無言の二人は横山と新庄。
桐野は眠そうだ。
心なしか機体がふらついてる。
……不安だ。
(まぁ、俺も暇なんだがな。)
心の中で呟く。
《そうですねぇ〜。》
(?幻聴か?まあいい。)
ふと、レーダー画面を見る。レーダー感度は78%、珍しく高感度。
レーダーに何か映る、鳥か?いや、鳥はあまり映らないし、第一こんなに早いわけが無い。これは……航空機だ!
「不明機発見、敵は五時の方向!機数は……三!」
『残党ですか!?』
「分からん、とにかくこのままだと本土の上空に入っちまう。
その前に追いついて、残党だったら撃墜、中国機や朝機だったら丁重にお帰り願おう。」
『『『『了解!』』』』
「よし、全機不明機のほうへ行くぞ!」
残党なのか、それとも、中国のくそ野郎どもか、とにかく急がなくては。
「管制塔、管制塔、聞こえるか!?こちら、アストリアリーダー!」
『こちら横田基地管制塔、どうした、ムーン。』
とりあえず、管制塔にボギー(不明機)発見の報告を入れる。
ちなみに、ムーンは天川のタックネームだ。
「ボギーが三機領空侵犯だ!今そこに向かっている!そちらで発見できるか?」
『なに!今探している……ボギー三、貴隊の二時の方向に発見!距離は五〇km!ボギーが残党だった場合はすぐに撃墜せよ!
中国機だった場合は丁重にお帰り願え!』
「了解!」
いいながら、アフターバーナーを入れる。
距離は三〇kmになった。もうすぐだ。
「!敵機を発見!新庄やつらの垂直尾翼みえるか?」
『すこし、待ってください……残党です!あのマークは間違いなく残党です。』
自分も確認する。本土へ向かっているのは三機のMiG−29、爆装している、やつら、本土を爆撃するつもりだ!!
何度もみて、最早見慣れてしまったあのテロ組織のマーク。
「全機攻撃を許可する、ムーン、エンゲージ!」
全機に交戦許可を出した後、自分も攻撃を開始する。
距離は……近い、かなり近い。
「フォックス・スリー!フォックス・スリー!」
R−73jkが二発発射される。爆装していて動きの遅いMiG−29だ。
撃墜は確実。
今気づいた。
だが、もう遅い。
確実に撃墜……?
いやな予感がする。
「全機ブレイク!散開!」
全機がばらばらの方向に進む。
その間に、残党機にミサイルが命中する。
散開した後天川のいた場所に機関砲の曳航弾が通過する。
あと二秒気づくのが遅れたら確実に蜂の巣だ。
「……F−14?!残党か!だが、ゼロの敵ではない!………レーダー感度急激に低下?!八%?!」
くそっ天まで残党に味方するのか?!
F−14が七機、この状況では微妙だ。
『隊長!後ろ!二機食いついている!』
くそ、敵機ミサイル発射、フレアを射出して対処する。
ミサイル回避成功、だが次に待っていたのは機関砲による洗礼だ。
やばい、バレルロールをして何とか回避する。
《右から敵機が接近中ですぅ〜。目の前を横切りますぅ〜。》
何だ?幻聴か?しかし、奇妙だ、幻聴は女性の気の抜けた声だ。
そう考えていたら、敵機が目の前を横切る。
驚いた、本当に通りやがった。
その横切った敵機を追いかけて、機関砲でずたずたに引き裂く、スプラッシュダウン。
《後方に敵機ぃ〜、食いつかれていますぅ〜。》
何だ?また聞こえる。
『隊長、後ろだ!食いつかれてる。』
横山が言ってきた。確かに後ろにいる。
機体を上に引き上げて、大仰え角を取る。
機体全体でブレーキをかける。
急減速、敵機は反応できない、そのまま追い越す。
すばやく機体を水平に戻し、失った機速を取り戻す。
水平に戻してすぐにガンファイア、命中、落ちてゆく。
アストリアスリーが既に一機落とした。
今、アストリアツーが二機目を落とした。
敵機残り二機、逃げる気配は無い。
前に敵機が現れた。
絶好の射点だ、逃がさない。
「砕け散れぇぇぇぇ!!」
フランカー・ゼロの横についている、20mmバルカン機関砲斉射。
F−14トムキャットの胴体部に命中、燃料タンクに引火、爆発。
《マスターにとって私は、私という存在は必要なのですか?……いらないんですか?》
また幻聴だ。
最後は泣いている感じだ。
気にせずガンファイア、しかし外れる。
《私は……要らないのですか?》
また、聞こえる。
しかも泣いているようだ。
「レイナは、ゼロ・``レイナ``は大切なものだ。失うつもりは毛頭ない!!」
女性の質問に対し、そう答えた。
《ありがとうございます。マスター〜。》
そういうと、同時に頭の中に何かが浮かび上がる。……なんだこの青い石は?宝石?
しかし、すぐにそれは消え去る。次にみえたのは……BSCCDと各部カメラに映る画像?
HMS(ヘルメット マウンテッド サイド)に映っているのではなく、頭の中に直接映っている?
「ぐぅ……なんだ?これは?」
次の瞬間何かを感じ取る。後方に敵機?
「ぐっ・・・おおぉぉぉおぉぉお!!」
TVCを最大まで可変させて宙返りする。敵機の後方に付くのに成功。今だ。
「AAM3、フォックス・スリー!!」
R−73jk、短距離空対空ミサイル一発、翼端ミサイルポッドより射出。シーカーが敵機を捕らえた。ロックオン。敵機はフレアを射出、もう遅い、その距離で引っかかるわけが無い。敵機のエンジン部分にミサイルが吸い込まれる。爆発、敵機は火達磨になって落ちてゆく。
『グッキル、隊長!』
「ふぅ、敵機はいるか?」
《もういませんねぇ〜》
『もういませんよぉ〜隊長。』
女性と桐野が同時に報告する。自分も確認する。確かに。
「よし、被弾した奴はいるか?」
『こちらアストリアツー、被弾するわけないじゃないか!』
『こちらアストリアスリー、同じく。』
『アストリアフォー、被弾してはいない、ただし、迎撃したミサイルの中に突っ込んだせいで、右エンジン動作不調。』
『アストリアファイブ、被弾なしですぅ〜。』
「こちら、アストリアリーダー、被弾なし。……大丈夫か?アストリアフォー。」
『何とか、大丈夫です。』
『ばっかだなぁ〜お前』
『黙れ。』
幸い直接被弾した機は無いようだ。アストリアフォーは吸い込んだ破片のせいで、
右エンジンの動作が不調のようだが、帰れないほどではないようだ。
《よかったですねぇ〜》
先程の女性が言ってくる。そういえばまだ名前を聞いてないな。
「そうだな、ところで君の名前は?」
《名前ですかぁ〜?私の名前はレイナですぅ〜。この機体が私ですよぉ〜。》
今、なんと・・・?
「この機体自身がお前だと?どういうことだ?」
《言葉通りですよぉ〜。》
「まぁ……いいか、よろしく。」
もう大分打ち解けているようだ。
「それじゃあ、基地に連絡入れておくか。」
無線のスイッチをオンにする。
「管制塔!コントロールタワー!聞こえるか?残党機全機撃墜した。小隊の被害は、アストリアフォーが破片を吸い込んで右エンジンが動作不調。」
『こちら管制塔、了解した。』
「これより帰投する。」
『了解。』
五機の機械鳥が基地へと進路を向ける。その姿はさながら巣へ帰ろうとする鳥のようだった……。
「これから、大変だな。」
天川の呟きはエンジンの轟音にかき消された。



第二話に続く



〜あとがきという名の反省会〜

え〜、第一話を送らせて頂きました。

まず一言……すいませんでしたぁ!!(ごんっ!頭ぶつけた

友達に投稿する前に見てもらった時も言われたのですが

展開が早すぎます。はい。

すいませんm〇m

本当に早すぎて後悔の極み。

第二話からは少しペースを落とします(予定)

こんな小説を見てくれた皆様ほんっっっとうにありがとうございました。



 2006/05/22(加筆:2006/08/12):林少尉さんから頂きました。
秋元 「そんなところでしりとり(笑 レイナたん登場ですね」
「クーデター直前の話だネ」
アリス 「……約半月後、クーデター勃発。私達の戦いが始まります」

     第二話へ
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