外洋機動艦隊外伝 〜鶴は不滅〜


今、新しい命が芽生えた。

それは、機械により生み出されし、造られし命。

彼女らは何のために造られたのか…。
            
彼女らは…戦うために造られたのだ…。

私は願う。

願わくば、彼女らに幸せが訪れんことを…。






外洋機動艦隊外伝
〜鶴は不滅〜
第二話「守るべき大切な人」




―二〇五三年九月二十四日午後八時十四分横田基地上空―
《もうすぐ着きますねぇ〜。》
「そうだな。」
というかもう基地の上空だ。
米軍が撤退してから、すぐにこの基地は拡大され、滑走路が二本増えた。
大分付近の住民と揉めたらしいが……。
今では、日本有数の大基地である。
『?隊長だれと話しているんですか?』
山下達に怪しまれてしまった。
どうやら、レイナの声はこいつらには聞こえないらしい。
「独り言だ、気にするな。」
『そうですか。』
やけにあっさりと引き下がった、普段ならもっとしつこいのに。
『隊長の独り言は今に始まったことじゃありませんしね。』
「それはどういうことかな?山下少尉。」
『隊長、通信で名前を出してはいけないですよ。』
「うるさいな。」
話をはぐらかされた。まあいい。そろそろ着陸しないと。
「管制塔、こちら、アストリア小隊アストリアリーダー。着陸許可を請う。」
『こちら管制塔、着陸許可出す。着陸せよ。』
「了解、着陸する。」
「アストリアフォー、貴様から先に降りろ。」
『了解。』
着陸許可が出た。天川は損傷しているアストリアフォー…新庄機を先に着陸させることにしたらしい。
次々と他の隊員の機が着陸していく。
《アプローチコースに入りますぅ〜。》
「頼む。」
ゼロ``レイナ``をアプローチコースに入れる。高度十m。……今、接地。
接地すると同時にパラシュートを開く。
短距離で着陸するための物だ。
基本的に空軍機と海軍機に違いは無い。
空軍機も戦争になった際に海軍機として、空母に着艦できるように着艦フックを装備している。
その為空母にも着艦することが出来る。
着艦するための訓練もカリキュラムに組み込まれている。
空母に着艦する時にはワイヤーにフックを引っ掛けて強引に停止させる。
着陸の場合は着艦とは違いまだ余裕がある。
空母の様に二〇〇m有るか無いかの揺れ動く甲板に降りるわけではないからだ。
それでも普通はゆっくりとは止まらず、出来る限りすぐに止まるように努力する。
それが普通だ。
《着陸…、格納庫に向かいますぅ〜。》
レイナが着陸の成功と格納庫に向かうことを告げる。
「了解。」
それに対し天川は短い返事をする。
格納庫に機体を向かわせる。
少し走って、格納庫に着く。
格納庫内手前で機体を止める。
ここからは牽引車の仕事。
『よーし、エンジンを停めろ。』
整備班班長、長森冬夜大尉の声、すぐにエンジンを止める。
そうしないと高温で危険だからだ。
「了解。」
エンジン完全停止。
すぐに牽引車が寄ってくる。
牽引開始、格納庫内にゼロ``レイナ``を収納。
「よっ。」
機体から飛び降りる。
梯子が降りているが、(天川だけ)降りるときにそんなものは使わない。
搭乗するときはなくてはならない必需品となるが。
「大丈夫だったか?天川。」
長森が話しかけてくる。
「あぁ何とかな。」
レイナのことは話さない。
どうせ信じてくれないからだ。
「大尉、大丈夫でしたか。」
大和田准尉がくる。
腕にノートパソコンを抱えているところを見ると、データか何かを取りに来たのだろうか。
「何とか、ところでその腕のパソコンは何だ?准尉」
「ゼロ``レイナ``からデータをとるんですよ。どうやら覚醒したようですしね。」
……准尉はニュータイプかなんかか?
ついそう思ってしまうほど驚いた。
「なぜわかった?」
「なんとなくです。」
「そうか。」
深くは追求しないことにしたらしい。
「さてさて、早速データを取らせていただきますかね。」
機体のコネクター接続部にコードをつないでデータを取り始めた。
ものすごく嬉しそうなのは気のせいだろう。
「新庄、大丈夫か?」
機体から降りてこちらにきた。
「大丈夫です。…すいませんでした。迷惑をかけてしまって…。」
「気にするな。あの状況だ。しょうがないことさ。」
「すいません。」
そう言って格納庫から出て行った。
「大尉〜、司令達がお呼びですよ〜。」
「むぅ…、俺何かしたか?」
「多分、残党機との交戦のことじゃないでしょうか。」
「報告書だけでは駄目なのか…?」
新庄の機体の損傷に関することだろうな。
それに、レイナのことも知っているかも知れんし
周りを見ると隊員はもういない。
部屋に帰ったらしい。
「しょうがない、行くか。」
《うぅ〜、私も行きたいですぅ〜》
「お前は無理だろう。…話しが終わったらまた来るから。なっ?」
《はいですぅ〜……。》
物凄く悲しそうだ。
聞いてるこっちまで罪悪感に駆られる。
そこへ、准尉が首を突っ込む。
「もう仲がいいですね。……これならだいじょうぶかな。」
(何だ?最後は小声で聞こえなかったが……。)
「准尉?何か言ったか?」
「いいえ、何も言ってませんよ?」
何か怪しいがまぁいいか。
「さて、行くか。」
《マスタ〜…。》
まだ言ってる。
だが連れて行くことそのものが出来ないからどうしようもない。
今頭の中に映ってるレイナの姿はそれはもう大泣きしそうだ。
また来るから、と再度言って格納庫を出る。
司令室に居るかな……。



―二〇五三年九月二十四日午後八時三十二分横田基地司令室―
あの後准尉も着いてきて司令たちに説明をするついでに俺にも説明をすることになった。
この基地の司令はすごい。
司令の畑山和輝は若干二十七歳にして既に少将というスピード出世を果たしているのだ。
本来ならば軍作戦司令部などでデスクワークなのだろうが本人の強い希望により前線(というほどの前線でもない)勤務なのだ。
畑山はその容貌により人気も多く、噂ではファンクラブなるものが存在するとも言われてるぐらいの人気なのだ。
さらに副司令も普通ではない。
副司令の西村優人も畑山には遅れているが若干二十七歳にして大佐という階級である。
畑山とは小学校からの幼馴染でよく一緒に居る。
西村も人気があるが、既に結婚済み、子供は無し。
尻に敷かれているという噂も……。
「天川大尉、大和田准尉、入ります!」
「入っていいよ。」
「失礼します。」
部屋の前に着きノックをしてから誰かを告げる。
すぐに返事が返ってきたので入る。
「先程の戦闘に関することなのですが……。」
「あぁ、後で報告書で提出して。まぁ、無事で何よりだよ。」
微笑を浮かべながら畑山が言う。
本当に優しい人物なのだ。
だからこそ人望も厚い。
「俺が聞きたいのは君の機のことだよ。」
「と、言うと?」
「詳しい説明はまだ受けてないからね、MLシステム……だったっけ?」
畑山が大和田に目線で尋ねる。
「そうです、ではそのシステムについて説明しましょう。MLシステムというのは……。」
―――――――約一時間後――――――――
「……と言うことです、分かりましたか?」
と、大和田が聞く。
「なるほど、よく分かったよ。」
とは畑山。
さすが、IQが二〇〇あるんじゃないかと噂の司令は聡明だ。
「……いまいち分からん。」
と、首を傾げてるのは天川。
今にも頭から蒸気が噴き出しそうだ。
……そうなる前に考えを諦めたようだ。
「つまりは、戦闘機にこもってる残留思念とか言うのを実体にさせるんだろ?」
「要約するとそうなります。」
あっけからんという大和田。
天川の心の中は、なんで一時間もかかるんだ?と言う気持ちでいっぱいだ。
「とりあえず、この書類を読んでください。」
そう言って凶悪的な量の書類を渡す。
厚さ一〇cmは軽くいってるだろう。
天川はそっと、溜息をこぼす。
「それでは、大尉、もうこれで終わりです。部屋に戻っても結構ですよ。」
「あぁ……、失礼しました。」
天川はそう言って部屋を出る。
部屋には大和田と畑山が残る。
大和田も二、三〇分畑山と話しをしてから部屋を出る。



―二〇五三年九月二十四日午後十時二分横田基地格納庫―
夜遅く薄暗いオレンジ色の格納庫の中に天川は居た。
行かないとレイナが明日怒りそうだからだ。
「レイナ……?居るか?」
ブンと勝手に機体の電源が入り、BSCCDがこちらを向く。
《マスタ〜、遅いですよぉ〜。》
やけにゆっくりとした調子でレイナが言う。
「すまん、話が長引いてな。」
一応謝る。
「レイナ、これから宜しくね。」
《えっ、あっ、はい、宜しくお願いしますぅ〜。》
《Su−37jkフランカー・ゼロ・``レイナ``です。これからよろしくお願いしますぅ〜、マスター。》
「分かってるかも知れんが俺は天川竜也、よろしく。」
レイナが改めて自己紹介をしたので自分も自己紹介をする。
二〇分位、色々話しをしていて眠くなってきたので天川が言った。
「レイナ、俺はもう眠いんで部屋に戻って寝ても良いか?」
《え〜、もっと話をしましょうよ〜。》
当然レイナがわがままを言う。
ちなみに天川は早寝をするタイプで、哨戒の当番や他の用事が重なってない限り必ず十一時には夢の世界へ旅立つ。
一応、濃いブラックコーヒーを飲んではいるのだが、カフェインなどの成分が効かない体質で、どうしても眠くなってしまう。
哨戒のときに寝てしまってあわや、墜落という事も何度かあったぐらいだ。
しかも戦闘があったせいで余計疲れている。
だから、早く寝たいのだ。
「また明日来るから、なっ?」
《うぅ〜、分かりましたですぅ〜。》
「ありがとうなレイナ、それじゃぁお休み。」
そういって微笑む。
整ったハンサムな顔の微笑みを直に見たレイナは顔を赤らめ、
《あっ、はい、あの、お休みなさいませぇ〜。》
やっとの思いで言葉を出す。
天川はBSCCDに手を振って、お休みと言って格納庫を出て行った。
レイナは扉が閉じても、ずっと見ていた。
《(マスター……、早くマスターと一緒に歩いてみたい……。)》
《(私の、私だけのマスター……、私はマスターに会えて……嬉しいです。)》
ゼロ・``レイナ``のBSCCDはずっとドアの方を向いていた。





第三話に続く







〜あとがきという名の反省会〜

どうも、これを書いていて改めて文章力の無さを実感した林少尉です。

やばいですね、はい

まず、小説自体が短い、あともしかすると

次で時間がざっと一か月分は進むという第一話のあとがきでの展開を遅らせるという

宣言が即刻破られるという事態が発生する確率大

これも私の文章力無さが祟った結果です

この救いようの無い文を読んでくださった方々

並びにアキモト中尉様このような文を載せていただき

真にありがとうございます



 2006/07/09:林少尉さんから頂きました。
秋元 「ゼロはテイルレーダーとドラッグシュートの両方を装備していますので、尻尾が長いです。よって、着艦の時は結構気を使います(笑」
アリス 「……着艦モードの場合AOAリミッターが働きますが、スティックを最大まで引く事によって着艦キャンセルとみなし、解除されます」

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