外洋機動艦隊外伝 〜鶴は不滅〜


仲のよさそうな夫婦が並んで歩き

子供が駆け回る街

この平和を崩す音が突如として鳴り響く

鳴り響いた警報

それが示すのは、空襲

―――なっ、空襲警報?!逃げるぞ理佳!

―――うん

慌てて逃げ出す二人の兄妹

二人がデパートの出口から出た瞬間――――

―――?!お兄ちゃん危ない!

―――えっ!?

刹那――――

片方が突き飛ばされ突き飛ばした方は落ちてきたデパートの残骸の下敷きに――――

―――理佳?………理佳ぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!

爆弾を落としたF−15Eが泣き叫ぶ兄の上空を過ぎ去っていった

まるで、戦果を確認するかのように……







外洋機動艦隊外伝
〜鶴は不滅〜
第三話「実体化」




―二〇五三年九月二七日午前一一時二分横田基地上空―
下に日本有数の基地、日本空軍横田基地が見える。
基地を見下ろし着陸態勢に入ってるのは日本空軍横田基地直属護衛隊``アストリア小隊``の五機。
直属護衛隊と言っても普通の飛行隊とさほど変わらない。
そのため、哨戒飛行などもやる。
今日はその哨戒飛行の帰りだ。
今日のレーダー感度は二四%。
こういう日に哨戒飛行は欠かせない。
「管制塔、こちらアストリアリーダー、着陸許可を請う。」
「こちら管制塔、着陸を許可する、着陸せよ。」
「了解。」
管制塔に着陸許可を求める。
すぐに許可は下り、天川は五番機の桐野少尉の機から着陸させる。
《マスター、何も無くてよかったですねぇ〜。》
「うん、そうだな。まぁ、異常が無くて何よりだ。」
話しをしている間に二番機の横山少尉の機体も着陸する。
「よし着陸するぞ。」
《はい〜。》
すぐに着陸する。
そのまま格納庫へ。
格納庫に着き、キャノピーを開け、外に降りる。
昇降用の梯子が降りており、それをつたって降りる。
牽引車で格納庫にゼロ``レイナ``を収容しすぐに整備班が取り付き整備を開始しようとする。
すでに隊員たちは居ない。
「あ〜……飯でも食いに行くかな……。」
昼食を食いに行こうと、足を動かそうとした時。
《私も行きますっ!》
「へっ?」
突如、ゼロ``レイナ``の機首付け根の辺りに白く輝く光が集まりだした。
取り付いていた整備班が驚き慌てて離れる。
その光は円運動を開始し徐々に人の形を創ってゆく。
そして形を形成し終わり実体を持ち始める。
そして完全に実体を持ち笑顔でこちらを向く彼女の姿。
人間では有り得ない真っ白で汚れのない純白の猫耳、同じ色の尻尾。
そして透き通るような水色の目、灰色の髪。
ゴスロリに似ているようで違う服。
そう、あの戦いから三日間乗るたびに見た彼女。
「君が……君がレイナだね?」
「はいっ、そうです。マスターの、あなたのレイナですっ。」
そう言いレイナは抱きついてきた。
恥ずかしくなって離れてくれと言おうとしたら後ろから突然、
「おや、やっとですか。」
声がした。
振り向くと人懐っこい笑みを浮かべた、技術開発部の技術者さんがいた。
「大分仲がいいようですね。良かったです。」
「う、うるさい。」
レイナに、ちょっと離れてくれと言って離れてもらう。
かなり残念そうな顔だ。
罪悪感すら芽生えるがしょうがない。
それに整備班の連中が興味津々の表情でこっちを見ているからなおさら。
「で、何のようだ?」
レイナの頭を撫でながら聞く。
残念そうな顔が一転、物凄く幸せそうな表情に変わる。
「あぁ、ちょっと用があって、とりあえずは特にあなたたちに用はないので戻っても結構ですよ。」
「そうか、じゃぁレイナ、飯食いに行くか。」
「はいっ。」
レイナは天川にぴったりくっついた状態でついていく。
そんな二人の後姿を見つめながら大和田はデータを取るためにノートパソコンとゼロ``レイナ``のコンピューターを接続した。
整備班の人が整備をしてもいいかと大和田に尋ね、構わないですよと大和田が答える。
整備班の連中は興味津々の表情で格納庫を談笑しながら出て行く天川とレイナの後姿を見ながら整備を開始した。



―二〇五三年九月二七日午前一一時五一分横田基地食堂―
天川は今、大変困っていた。
何故か?それは今のこの食堂の状況を見れば分かる。
状況
・人が沢山居てなおかつ天川が囲まれている。
・何故か司令、副司令がいる、というか、少佐、中佐クラスの人まで居る
・全員の目がこの可愛い子は誰だ、といいたげな目線で見てる
・一部野郎が殺気を込めた目で見てくる
・レイナがかなりビビッて今にも泣き出しそう
これが現在天川が置かれている状況である。
レイナの容姿がさらに注目に歯車をかける。
「うぅ〜、マスター……。」
レイナが今にも泣き出しそうな感じでしがみ付く。
あまりの迫力に逃げたい天川だがそれは出来ない。
三六〇度囲まれている時点で脱出は不可能である。
漫画によくありそうな状況である。(笑
「天川よぉ……。」
基地の航空管制官(少佐)が口を開く。
何気に威圧感有りだ。
「「「「「その子は誰だ(です、ですか)?」」」」」
全員がそういう。
何気にはもってるが、誰も気にしない。
「えーっと……この子はだな………。」
説明に困る、この前のシステムの説明の際に軍機だから他言するなと念を押されているのだ。
説明のしようがない。
完全に困り果てたその時、
「はいはい、そこまで。」
フォロー(?)に入ったのは司令の畑山。
助かりましたという顔で畑山を見る。
「この子に関しては軍機!余計な詮索は禁止、分かったね?」
確認する様に周りを見渡す。
「はっ、分かりました。」
納得いかない顔をしつつも了解と管制官が答える。
「分かったなら、すぐに離れなさい。」
その言葉で全員が離れていく。
(色々な意味の)重圧から天川達は解放されてやっと一息つく。
「司令、助かりました。ありがとうございます。」
「いいって、幹部の奴らには話しておくから。じゃあね。」
お礼を言っておく。
それに畑山は返事をして去っていった。
レイナの様子を確認しておく。
「ふぅ、大丈夫?レイナ。」
「マスタ〜……怖かったですぅ〜〜………。」
完全に怖がって萎縮してしまっているレイナ。
初っ端にこんな目にあってしまったので、大分恐怖を感じてしまってるようだ。
それはまぁ、しょうがないことであろう。
あの状況じゃぁな………
天川はそう思った。
「とりあえず飯を食べるか、レイナは何がいい?」
そう言ってメニューを見せる。
この食堂はかなりレパートリー豊富で、自分の食べたい物を選ぶことが出来る。
ラーメン、カレー、定食系、そば、うどん、定番のものなら何でも食える。
「あ、私は……マスターと同じもので〜。」
「そう?じゃぁ……野菜定食でいい?」
「はいぃ〜。」
「野菜定食二つください。」
「分かりました。」
とりあえず野菜定食を二つ、注文する。
どうやら、レイナは大分調子を取り戻したようだ。
「少し待ってください。」
そう言われ、ベルを渡される。
番号の書かれたベルで、九二、九三と書かれている。
それを持ってとりあえず席を探す。
「ここに座れば?」
と言われたので、誰だと思って声のした方を見ると、何故か副司令の西村優人大佐が座っていた。
「あ、大佐。」
「ここに座れ。」
「はぁ、構わないのですか?」
「いいから、ほら。」
とりあえず座ることにする。
そしてふと思った。
「士官食堂で食べないのですか?」
そう、士官食堂というものがあるのになぜここで食べているのか、疑問に思ったのだ。
「あ?あぁ、士官食堂はどうもね性に合わん、こういうとこの方が落ち着く。」
「それにいつもここで食べてるが、気が付かなかったのか?」
よく考えてみると確かに何度か見たな。
たまたまかと思ったが。
「それにな、畑山ともここで食ってるしな。」
そういえば畑山少将もたまに見かける。
そこでレイナが突然、
「あれ?なんで畑山少将のことを呼び捨てなんですかぁ〜?」
初めて聞く人ならもっともだと思う質問。
天川が説明しようとすると、
「ん?あいつとはな、昔っからの幼馴染だしな。」
先に大佐が説明する。
「ふえぇ〜そういうことですかぁ〜。」
納得したようだ。
しばらく談笑していると突然ベルが鳴り始める。
完成したので取りに来てくださいという合図だ。
「お、出来たようだな、じゃぁ俺取って来るからレイナ座ってて。」
「あ、いいですよぉ〜マスター、私が取りに来ますからぁ〜。」
「いいって、座ってな。」
そういってとりに行く。
取りに行って戻ってくるとレイナと西村がなにやら話しをしていた、西村の方は顔がにやついている。
戻ってきたのをレイナが確認すると、離れる。
「ほい、ほらレイナの。」
「あ、ありがとうございますぅ〜。」
レイナが頭を下げてお礼を言う。
「ところでさっき何の話ししてたんだ?」
「え、い、いや、なんでもないですよぉ〜。」
ちょっとどもりながらレイナが答える。
「じゃ、天川、俺は戻るから。」
「あ、はい。分かりました、それでは。」
「おう。」
西村が戻っていく、おそらく管制塔の方に戻るのだろう。
あそこは司令たちの定位置といってもいいような場所になってきている。
二人はそのあと話しをしながら食べた後に格納庫に行った。



―二〇五三年九月二七日午後十時三八分横田基地天川の部屋―
「…………………。」
「?どうしたんですかぁ〜、マスター?」
天川は何故レイナが一緒の部屋に居るのかをずっと考え直していた。
―――1時間ぐらい前―――
「そういえばさ、レイナは寝るとこどうするの?」
二人は隊員にざっと説明を済ませて部屋に戻るとこだった。
隊員はよくわからないと言っていたがほっておいた。
ただ、同じシステムが搭載されてると思われる横山と山下はどんな子が現れるのだろうと、少し期待している感じがしたが。
そしてその帰り部屋に戻る際にふと寝る場所はどうするんだろ?という疑問が思い浮かんだので聞いてみたのだ。
「副司令さんが、一緒に寝ろよ、とおっしゃてましたが?」
それを聞いた時天川は聞き間違いだろうと思って再び聞きなおしてみたがやはり解答は同じ。
そのあと、副司令を見つけ出し聞いてみると、
「いいから、一緒に寝ろよ。」
と西村とその場に居た畑山に押さえ込まれてしまった。
そう言われて一番困ったのは天川だ。
自分も男だ、万が一………ってこともあるだろうに。
そう思ったがああ言われてしまっては一緒に寝るしかなかった。
そして今の状況に至る―――
「しょうがないか……。」
諦めたようだ。
「あの、マスター?」
「ん?あ、別になんでもないよ。」
「そうですかぁ〜。」
ちょっと不審がられたが誤魔化す。
「ん〜、じゃぁ寝るか。」
「はいぃ〜。」
寝ようとして気付く。
「……どう寝るか……。」
そう、どうやって寝るかというのに気付いたのだ。
とりあえず―――
「ん〜、レイナはベッドで寝て、おれは床で寝るっていうので良い?」
―――無難なことを提案する、しかし
「嫌ですぅ〜、マスターと一緒に寝たいんですぅ〜。」
………まじですか?
天川はそう思った。
いや、待てまてマテ、一緒に寝るというのはいくらなんでも不味いんじゃないのか?
「い、いや、レイナ、一緒に寝るというのはヤバイ気が―――」
「駄目ですかぁ?」
レイナが今にも泣き出しそうな感じでそう聞く。
いや、さすがにそんな風に言われると断れないのだが―――
そう思いつつ、駄目もとでもう一回聞いてみる。
「いや、でもさ万が一ってことも……。」
「?、万が一って何ですかぁ〜?……一緒に寝ちゃ駄目なんですかぁ?」
もう、完全に泣きそうである。
あと一回断るか、そんな素振りを見せたら確実に泣くだろう。
「……分かったよ、一緒に寝ていいよ、レイナ。」
最終的に天川が折れた。
一緒に寝るのを許可する。
「う〜ん寝るか、じゃ着替えるからさ、レイナ、出来れば向こう向くかシャワールームに居てくれる?その間に着替えてくれる―――」
「ここで着替えますぅ〜。」
まじ……ですか。
とにかくちゃっちゃと着替えてレイナが着替え終わるのを待つ。
「あのぉ、マスター、何着ればいいでしょうかぁ〜?」
「え?」
そのまま、反射的に振り向いてしまう。
はっとした時には、時既に遅し。
「!?、ご、ごめん!?」
「はいぃ〜?何がですかぁ〜?」
振り向くと下着姿のレイナが居た。
視界に入ったレイナの結構大きい胸とそのきれいな体に一瞬目を奪われつつもなんとか前を向く。
「で、なに?レイナ。」
顔を真っ赤にしながらも平常心を保つよう努力して聞く。
「あのぉ、寝巻きは何を着ればいいでしょうか……。」
はっとする。
よく考えれば、寝巻き等をレイナが持っているわけがない。
「ん〜、とりあえず俺の予備の寝巻き着てくれ。」
「はいぃ〜。」
そう言って寝巻きを貸す。
ちなみに天川の寝巻きは普段着ているのは個人で買ったやつだが、予備の方は軍の支給品だ。
渡したのは既に封が破られているやつ、一度使用したやつだがちゃんと洗ってあるし最近着てないから大丈夫なはずだ。
渡してそのまま前を向くが天川はかなり恥ずかしかった。
何故か?簡単である。
後ろで少女が、しかも相当スタイルがいい子が着替えているのだ。
恥ずかしくないのは女に興味がない奴ぐらいであるが、あいにく天川そういう奴ではない、むしろ興味ありまくりな年齢。
「あの、マスター、着替え終わりましたぁ〜。」
「うん、じゃ寝るか。」
そう言って布団に入る。
レイナが入ってくる、はっきり言って滅茶苦茶恥ずかしい。
「じゃ、おやすみレイナ。」
「はい、マスター、おやすみなさいですぅ〜。」
数分後、なんだかんだ思いつつもちゃっかり寝ている天川の腕にしがみ付きレイナが
「おやすみなさい………私の、私だけの、マスター。」
そういってすぐにレイナも眠りにつく。
窓に掛かっているブラインドから注ぐ月の光が優しく二人を包みこんでいた。




第四話に続く






〜あとがきという名の反省会〜
こんにちは、文章力が無く最近小説が停滞気味のくそな中学生の林大尉です
本当は秋元さんのサイトの前の更新の際に載るはずだったのに、いつまでもこのあとがきを書かないでおいたら
こんなに遅れてしまいました。マジですいませんm○m
しかも、これの本文を書き終わってちょっとした頃の携帯を買ってもらって余計遅れました……_| ̄|○
とりあえず次の第四話も相当遅れる可能性があります……、マジでごめんなさいm○m
それでわ、過度の期待をせずにお待ちください(マテ



 2006/11/12:林小尉さんから頂きました。
秋元 「外機に於いて“一緒に寝る”はデフォルトワードの一つ!(ぇ」
アリス 「……それはもう、一緒に寝たいですから」

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